100歳が元気になった!ご家族からの評判もアップ
有限会社栃木ケアーズ
木村光弘さん(代表取締役),木村貴子さん(管理者),小島隆司さん(看護師),黒須美希さん(介護職員),手塚咲子さん(生活相談員)
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- 近隣のデイサービスとの差別化に悩んでいた
- リハビリ希望の利用者の受け入れを断ることがあった
- トレーニングマシンを設置するスペースがなかった
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- 利用者を元気にする機能訓練を提供できるようになった
- ケアマネから利用者を紹介される機会が増えた
- マシンがなくても機能訓練を提供できた
- 社名・事業所名:有限会社栃木ケアーズ デイサービスまごころ
- 所在地:栃木県栃木市
- 定員数:35名
- 専門職:看護師在籍
栃木県栃木市にある有限会社栃木ケアーズ「デイサービスまごころ」は、地域密着型の通所介護事業所です。14名の職員のうち機能訓練指導員を兼ねた看護職員が3名在籍しています。モットーとして掲げられているのは、利用者の「らしさ」のためのきめ細やかなサービス、ケアマネジメントの提供です。「他所行きの姿ではなく本当の自分の姿でデイサービスに通ってもらいたい」との想いを大切にしながら日々、利用者と向き合っておられます。地域の高齢者と真摯に向き合い続け、2023年に開業20周年を迎えられました。
近隣に特化型のデイサービスが増え、新しい取り組みを始めようとしたタイミングでリハプランの導入を決められました。2022年7月から利用者の自立支援を目指し、個別機能訓練に取り組んでおられます。
今回は栃木ケアーズ代表取締役・木村光弘さんと、管理者・木村貴子さん、看護師・小島隆司さん、介護職員・黒須美希さん、生活相談員・手塚咲子さんの5名にお話を伺いました。
利用者や家族から「運動を取り入れて欲しい」との要望
これまで、多くの高齢者に安く利用してほしいという想いを持って「まごころ」を運営してきました。そのため、加算をほとんどとってきませんでした。算定していたのは入浴介助加算くらいです。
最近は、近隣に多くの特色を持ったデイサービスが増えています。まごころもこのままではいけないという危機感がありました。
利用者様、家族からは「もっと身体を動かしたい」「運動を取り入れて欲しい」などの声も聞いていたこともあり、リハビリに取り組むことを決めました。
スペースがなくトレーニングマシンの導入を断念
トレーニングマシンの導入を進めていたのですが、フロアのスペースの問題から、マシンを設置することができないことがわかりました。また、理学療法士の採用も考えたこともあります。しかし、一人目で一人だけの専門職採用ということもあり、採用のハードルは高くてなかなか進みませんでした。
マシンがなくても機能訓練ができる
八方塞がりの中で出会ったのが、大掛かりなマシンを使用しなくても機能訓練が行えるリハプランでした。運動の専門家でなくともリハビリを提供できる点が魅力的でした。
頭の体操の場合は「パズルをしましょう」「クイズをしましょう」などと提案できます。しかし、身体を動かすとなると何かモデルがないとできません。リハプランは2,200種類の運動プログラムから提案されると知り、それも導入の決め手となりました。
個別機能訓練加算を算定するにあたり、準備を始める段階から手ほどきをしてもらえたことは大変心強かったです。利用者様への周知や計画書の作成方法、訓練の具体的な内容もサポートスタッフが丁寧に教えてくれたので、不安を一つひとつ解消することができました。
算定の同意を得る際は、利用者様一人ひとりに合わせた運動プログラムを作成し、一軒一軒回って、家族に直接お会いして丁寧に説明をしました。電話だとどうしても意図が伝わらないこともあると思ったためです。苦労はしましたが、多くのご家族から賛同してもらえることができました。
初めての看護師でもしっかり取り組めた
現在、専門職がいなくても、リハプランから提案されたプログラムを参考にしながら看護師主導で機能訓練を行えています。
プログラムを実施する際は、必ずなぜその運動をするのかの裏付けを利用者様に説明します。この運動をすることで「血流が良くなります」「膝の痛みが改善します」という感じです。説明を受けた利用者様が「それだったらこういう動きをしたほうが良いかしら」と主体的になり、思わぬ効果もあります。
プログラムは施設でできるものにアレンジしてさせてもらっています。例えば、バランス歩行訓練の際に、買い物へ出かけていることをイメージして、1キロの重しが入った紙袋を持ってバランスよく歩いていていただくなどです。
機能訓練は毎日行うので利用者様が飽きない工夫もしています。同じ内容でも、手法を少し変えたり、一人ひとりの能力に合わせて内容を少し変更したりしています。0から考えるのは大変ですが、あるものから工夫するのは可能です。
100歳の利用者が腕を振って歩けるようになるなど劇的な変化
機能訓練の効果は確実に出てきています。
歩行時には必ず腕を背中で組んでいる100歳の男性利用者様がいらっしゃいました。転倒した際の危険性や、訓練の効能などを看護師が丁寧に話すことによって、本人も意識してリハビリに取り組み、徐々に身体機能が変化していきました。訓練開始からわずか4カ月で腕を振って歩けるようにまで改善されています。
また、ご自身の年齢から料理を諦められていた女性利用者様がいました。その方は、リハビリを通して、ずっと立ち続けていられるということがわかり、最近は自宅で簡単なお味噌汁作りに取り組まれておられます。
身体機能の改善がグラフで可視化され家族からも好評
家族に対してはアウトカムレポートを活用し、利用者様の変化を定期的に共有しています。3カ月に1回、家族とケアマネジャーにお渡ししているのですが、グラフで身体機能の改善の度合いが一目瞭然なので、とても好評です。私たちはレポートに加えて、利用者様が機能訓練をしている様子がわかる写真も添えているので、良い報告書になっています。
家族からは「どんどん運動させてください」という声をいただくようになりました。さらに「家では横になっている事が多かったけど、最近はベッド上で自然と足を動かしている姿を見かけます」など、利用者様が自宅で意欲的に機能訓練に取り組まれているというお話を聞く機会も増えています。
ケアマネジャーからの評判も上々
利用者様が機能訓練をしている様子を動画に撮っています。動画は利用者様の担当ケアマネジャーに共有しているのですが、「こんな動きができるんですね」「こんなに良い表情されるんですね」などと、喜んでもらえています。
以前は機能訓練に取り組んでいなかったので、運動を希望していた新規の利用者様をお断りせざるを得ませんでした。しかし現在では、「まごころに利用者様を紹介したい」とケアマネジャーから直接指名される回数が増えており、利用者増加につながっています。
機能訓練を通じてスタッフ間の一致団結力が深まった
機能訓練に取り組むようになってから、スタッフ同士のコミュニケーションも増え、以前にまして一致団結するようになりました。機能訓練指導員の看護師は当然ながら業務負荷はかかりますが、それ以外のスタッフが積極的に全体をカバーして仕事に取り組むようになるなど良い効果を生み出しています。
会議を何度も重ね最適なリハビリ方法を提供
リハプラン導入時はスタッフ間で何度も何度も会議を重ねました。何分提供するかや、実施するタイミング、利同者同士の相性なども考えつつ個別機能訓練の準備を全スタッフが主体的に関わりながら進めました。その結果、利用者様に対して良いサービスの提供につながっていますし、職員はモチベーション高く働けています。
スタッフも利用者もワクワクするデイサービスに
利用者様からは第二の家族のように思ってもらえる存在でいたいです。そのために大切にしているのがスタッフと利用者様が常にフラットな関係であるということ。
機能訓練の際は、スタッフも利用者様もワクワクしながら取り組んでいます。事務的にはならないようにちょっとした会話や、説明を挟みながら楽しくやっています。利用者同士、スタッフと利用者様で応援しあったり、拍手をしあったりする場面も増えました。
最初はリハビリの知識が全くなかった私たちですが、機能訓練を通して身体機能が向上し、気持ちが明るくなった利用者様が多くいます。そして、感謝される機会も増えました。スタッフ全員、本当に嬉しいし、励みになっています。
今後もリハビリを通して支えるとことろは支えて、利用者様には色々とできることを増やしていって欲しいと思いながら日々の業務に取り組んでいきたいです。