運営指導がもう怖くない!書類不備の指摘がゼロに
株式会社ほこや
坂東範人さん(代表)
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- 運営指導で何度も書類不備を指摘されていた
- 計画書や記録業務に追われ利用者と向き合う時間がなかった
- 近隣の大手デイサービスやデイケアと張り合うのが困難だった
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- 運営指導で書類不備を指摘されなくなった
- 利用者と雑談する時間ができ、ニーズ把握が可能になった
- アウトカムレポートで選ばれるデイに変化した
- 社名・事業所名:株式会社ほこや デイサービスえがおの樹
- 所在地:静岡県浜松市
- 定員数:35名
- 専門職:理学療法士、柔道整復師、看護師在籍
静岡県浜松市にある株式会社ほこやが運営する「デイサービス えがおの樹」は、2010年に開業し、今年で13年目を迎える定員数35名、利用延人数745名、1日型の通所介護事業所です。介護ケアではなく、「自分の両親の手伝いや喫茶店でお客をもてなすようにサービスを」と、隅々まで目先の行き届いた対応をポリシーとして大切にされています。
同事業所では、2021年4月からRehab Cloud リハプランを導入いただき、現在では個別機能訓練加算、口腔機能向上加算、科学的介護推進加算、入浴介助加算に取り組まれています。導入前の悩みとして、幅広い介護度の利用者に対して、それぞれに丁寧な情報収集を意識するからこそ、属人的な書類作成では業務遂行が難しくなっていました。運営指導で書類不備を指摘されることも多く、その度に発生する膨大な残業時間によって職員が疲弊するという深刻な課題がありました。
しかし、リハプラン導入後は、そうした悩みを一掃でき、利用者様が望むサービスに時間をかけられるようになったと、大幅な業務改善が見られました。今回は、代表取締役であり、デイサービスの施設責任者兼相談員、さらには会話専従介護職員を務める坂東範人さんに、リハプランを導入したきっかけやその後の変化についてお伺いしました。
運営指導で書類不備を何度も指摘され疲弊、残業は80時間
私たちは、利用者様一人ひとりに家族のように向き合いたいと思うがゆえに、個別機能訓練計画書(以下「計画書」)などにもオリジナルの情報を丁寧に書くというこだわりがあります。本人、そしてご家族にもしっかり理解してもらえるような誠意のある書面でなくてはならないのです。
しかし、同時に、書類作成は職員の大きな負担でもありました。というのも、利用者様との会話に重きを置いているからこそ、個別機能訓練時間に留まらない関わりが必要であり、なかなかに忙しい状況だからです。
また、職員の経験値によって差はありますが、どうしてもゼロからの文面づくりに時間がかかってしまったり、運営指導前には何度も確認が必要だったりと、およそ月の残業時間は80時間近くに膨れ上がっていました。当然、専門職員は疲弊していましたし、職員総出でダブルチェック、トリプルチェックをしていても書類不備を指摘され、返還請求、過誤修正が発生してしまっていたのです。場合によっては、1年前の書類を作り直すこともありましたね。
専門職の離職も相次ぎリハプラン導入を決意
書類作成業務における属人的な状況が続いていたことが、職員の離職にもつながっており、なんとか人の手に頼らない組織体制を作りたいと思っていました。
リハプランを導入した理由は、専門職が個別のケアやリハビリ時間の関わりはもちろん、雑談から始まる健康相談や、形にとらわれないサービスに柔軟に対応できる形を整えたい一心でした。そして、専門職が残業せず、疲弊による離職を防ぎたいと思ったからです。
リハプランなら書類作成を楽にし、一括管理もできるため、抜け漏れなどの不備をカバーしてくれ、運営指導を乗り越えられるだろうと考えました。もし、自社でシステムを組み立て、3年毎の介護報酬改定に伴って改修するとなると莫大な費用が必要です。費用対効果を考慮すれば、価値が高いと思い、2021年4月にリハプランを導入しました。
運営指導で書類への指摘はゼロ、残業も5時間に短縮
リハプラン導入後に臨んだ運営指導では、なんと書類への指摘がなくなりました!以前までたびたび指摘されていた計画書にまつわるモニタリングや報告書の漏れがゼロになったことで、ストレスがなく、穏やかな気持ちで日々の業務に取り組めています。
運営指導に向けた準備は、サインや印鑑、日付漏れがないかどうかのチェックにとどまり、80時間に及ぶ残業も、5時間程度と大幅に短縮されました。リハプランによって、完璧な書類作成ができるようになったので、運営指導時に安心して挑めるようになりました。
書類業務も減り、自由な時間が捻出できた
初回の計画書の作成は、1人あたり60分かかっていたものが半分の30分に、2回目以降の更新は15分程度に改善しました。文章が自動で提案されるので、ゼロから考える時間が減り、肉付けが簡単になったのです。
特に時間がかかっていた長期・短期の目標設定シートとモニタリング報告書は、アウトカムレポートを使用することで、時間の短縮だけでなく、誰にでもわかりやすい書面へと様変わりしました。機能や日常生活の改善度がグラフやニコちゃんマークで可視化されるので、ご家族へ報告しやすくなったのも大きなメリットです。
利用者様の帰宅後に取りかかっていた業務が簡素化されたのと同時に、ダブルチェックによる属人的な負担がなくなったことで、自由な時間が捻出でき、職員の心に余裕が生まれました。
利用者と雑談できる時間ができた、稼働率は99%
書類業務の削減によって生まれた心の余裕は、利用者様との関わりの中に確実な変化をもたらしました。雑談する時間に重きを置けたことで、情報収集量が増え、細部まで気配りを可能にしたのです。
前提として、私たちがケアで必要な情報を入手するのは、当たり前のこと。利用者様が望むサービスを提供するには、暮らしにより近い話を密にできることが大切で、その時間が多く取れるようになったのは喜ばしい変化です。直接サービスと関わりがないと思われるかもしれませんが、日常の些細な話、例えば、「今日、ゴミの日なんだよね」というレベルの会話は、いわば家族に近い距離感なんですよ。
利用者様の心のうちに、私たちのデイサービスが拠り所の一つとして当たり前にある。「デイサービスには、自分のことを理解してくれる人がいる」と、親近感を抱いてもらえれば、当事業所に率先して来てくれるようになります。以前休みがちだった利用者様も、私たちのところへ「相談しに行かなきゃ」「休まず行かなきゃ」と思ってくださっているようで、稼働率は今では99%。頼りにしてくださっていることが嬉しいですね。
利用者の不安を取り除くのが私たちの仕事
当事業所には、看護師やリハビリ職、介護士の専門職が在籍しており、それぞれの視点を持って情報収集やケアにあたることが大切だと思っています。しかし、50歳以上のベテラン職員も多いので、ケアには自信があってもパソコンに不慣れで、本来大切にしたいサービスに集中できず、書類業務にひっ迫されていました。
リハプランの導入は、パソコンへの苦手意識を減らし、利用者様の不安を聞き出す時間を捻出するために役立ちました。私たちの仕事は、利用者様の不安を聴取し、一人ひとりへ行き届くフォローをすること。他職種への情報共有が活発になれば、よりその方にあったサービスの方法や適切な専門職の割り当てが可能となり、不安を取り除くことができるのです。
アウトカムレポートで大手と張り合えるようになった
リハプランを利用したアウトカムレポートによって、競合である大手の特養のデイサービスや老健のデイケアに張り合えるようにもなりました。
利用者様が何を基準に施設を選ぶのかを考えると、同じ金額で要望にあった内容、そしてわかりやすい説明があるかどうかだと思います。介護の知識のない家族が見ても、どんな成果を出しているのか、どんなサービスを提供しているのかが、わかる書面があれば安心ですよね。
アウトカムレポートは、データに則ってサービスを提供しているというアピールになりますし、利用者様の状況を視覚的に理解できるので、ケアマネジャーからの信頼も勝ち取り、選ばれる事業所に成長してきたと実感しています。
また、デイサービスで点数の高い加算を複数取れている事業所はまだまだ少ないと思います。書類業務の効率化が可能となったので、利用者様にとって必要な算定項目は、しっかり申請して選ばれる事業所として頑張っていきたいと思います。
一人ひとりの利用者を最期まで見届けたい
繰り返しますが、私たちの仕事は介護ではなく、一人ひとりに合ったサービスの提供です。株式会社ではありますが、営利ではなく、社会福祉の法人として、サービスの質を追求していきたいと考えています。そして、最終的には利用者様一人ひとりに最期まで関わり、終のすみかとしても機能していきたいです。
私は、父が脳梗塞になったとき任せられる施設がないと感じ、この会社を作りました。もし、頼りにしていたデイサービスから他所の施設へ移れば、利用者様はガラリと変わる環境の変化に大きな不安を抱えるでしょう。少しでも馴染みのある場所や人に囲まれて、最期まで安心して過ごしていただきたいのです。
そして、自立支援への考え方はまだまだ「介護する」という視点に囚われていると感じています。まずは、専門職が利用者様と雑談する時間をしっかり取ってみてください。その情報をもとに、活発に情報共有して、その人のためにどう動いていけばよいか考えれば自然に成り立つものだと私たちは考えます。介護はサービスなのだという認識が広まれば、自立支援につながっていくでしょう。