法改定を機に自社システムからシフト!年3,000万円の増収益

DSセルリア株式会社(20事業所運営)

北村直也さん(代表取締役)、木村友恵さん(トータルリハセンター富士見台センター長)

課題
  • 1人のリハ職が百数十人分の書類を作成する状況になっていた
  • 自社システムではLIFE関連加算に対応できなかった
  • 離職率を下げるために、業務効率化と職場整備が急務だった
結果
  • 看護・介護職でも機能訓練計画書を作成することができた
  • LIFE関連加算の算定で年間約3,000万円の増収につながった
  • 残業削減と業務効率化で離職率が28%→14%に下がった
  • 社名・事業所名:DSセルリア株式会社(20事業所運営) 
  • 所在地:東京都・神奈川県・千葉県
  • 定員数:
  • 専門職:理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、看護師在籍

DSセルリア株式会社は、東京都・神奈川県・千葉県にて、リハビリ型デイサービス「トータルリハセンター」を20事業所運営しています。「人生の最期まで自分らしく生きる」というビジョンを掲げ、利用者の自己実現を支えることを目指し、全身の健康状態の維持向上に努めています。

現在、利用者数は月間2,000人にのぼり、運動器機能向上加算と個別機能訓練加算についてはほぼ100%の方が算定しているそうです。また、口腔ケアの啓発にも力を入れており、口腔機能向上加算(Ⅱ)の算定は、全利用者の95%で実現。歯科衛生士が口腔機能訓練を提供しているため、口腔ケアと健康における密接な関係性について利用者が理解を深める機会となっています。

会社全体として安定したサービスを提供していますが、設立当初は、介護保険法の改訂による影響や書類業務の非効率さから経営継続に対する大きな不安を抱えていたとのこと。今回は、代表取締役の北村直也さんとトータルリハセンター富士見台のセンター長である木村友恵さんにRehab Cloud リハプラン導入のきっかけとその後の変化について詳しくお聞きしました。

▼導入経緯

リハ職が担っていた約1,700人分の計画書作成の引き継ぎが急務だった

ーーRehab Cloud リハプラン導入以前、もともと会社として抱えていた課題を教えてください。

北村さん:当社は、訪問歯科診療サポート事業を展開するデンタルサポート株式会社が親会社であるため、デイサービスで専従の歯科衛生士から口腔ケアを受けられることを強みにしています。

分社化したのは2015年度の介護保険法の改正のタイミングでした。その時の改正で私たちが展開している小規模デイサービスの基本報酬が大幅に大きく引き下げられたため、今後は口腔ケア以外にももっと注力しなければ、経営継続が難しいという危機感を感じました。

対応策として、効果的かつ効率的なサービス体制とするべく、もともと全事業所で常勤していたPT・OTなどの専門職をエリアマネジャーとして配置し、複数の事業所を兼務してもらいました。しかし、リハビリ職が奮闘したとしても解決できない課題が浮き彫りになったのです。

当時、計画書はエクセルで作成していたのですが、全デイサービスの利用者数は1,700名以上にのぼり、1人のリハビリ職員が百数十人分もの書類を作成しなければならない状態でした。3ヵ月に一度は、モニタリングシートの作成も必要で、書類業務が逼迫していました。

随時運動プログラムを策定するとなれば、時間的にも物理的にも追いつきません。書類業務を看護師や介護職に引き継ごうとするも、エクセルの画面をいちいち開いてゆっくり説明する時間的余裕はありませんでした。

サービスを維持するために組織を整え、人員の配置転換をしたことが仇となったのです。その結果、リハ職を中心に多くの退職者が出てしまい、会社全体として年間の離職率が30%となる事態を招いてしまいました。この深刻な経営状況を立て直すための手立てを模索していました。

ーーなかなか深刻な状況だったのですね。そこからRehab Cloud リハプランを導入されるわけですが、きっかけを教えていただけますか。

北村さん:リハプランの広告が目に止まり、資料請求したことがきっかけです。PT・OTなどのリハビリ専門職がサービスを作っていることに関心を持ち、話を聞いてみました。計画書の作成をラクにしてくれる機能性に魅力を感じ、これなら看護師や介護職に書類業務を引き継ぐことができるだろうと、導入を決めました。介護報酬改定への対応や自主練習の補助ツールとしての活用も期待できると考えたのです。

ーー主に書類業務の改善を目指して導入されたのですね。

北村さん:はい。2018年にシステム導入による現場の変化を検証しました。まずは1事業所から始め、3ヵ月で5事業所まで拡大させた結果、2つの成果を実証できました。

一つ目は、リハビリ職のエリアマネジャーの管理負担を軽減してくれたことです。エクセルでの作業量と比較して時間的制約を大幅に改善してくれました。

二つ目は、書類業務を看護師と介護職にスムーズに引き継ぐことができたこと。

また、介護現場で利用者様と向き合いつつも、残業せずに計画書を作成できる点や毎月抜け漏れなく完了できるシステムだという実感もできたため、本格的に各事業所での活用に乗り出しました。

リハプランは現場を知るPT・OTが作っているという安心感

ーー当時、リハプランはリリースしたばかりです。どのように現場で推進してきたのでしょうか。

北村さん:リハプラン側から、「現場からあがっている不満や課題、要望もどんどん伝えてほしい」と言われていました。リハプランは介護現場を熟知したPTやOTが関わっているので、現場をよりよくしたいという共通認識があり、安心して提案できたのです。私たちも一緒によいサービスを作っていきたいという気持ちでした。

迅速かつ丁寧に対応してもらえ、現場の要望や不満のほとんどは改善されたと思います。スタッフのフレキシブルさには驚きましたね。

木村さん:私もリハプランのスタッフのフットワークの軽さにびっくりしました。対応が速いばかりに、こちらはついていくのが正直大変でした(笑)。ただ、現場をアップデートさせていく難しさはありつつも、一緒にサービスを作っているような感覚はありましたね。

ーー導入直後、社内からあがった声(ネガティブ・ポジティブ)があればお聞かせください。

木村さん:当初、新しいことへの抵抗感がなかったわけではないけれど、システムを使い始めてしまえば、エクセルと比べて明らかに効率的だと、職員も納得してくれました。普段からスマホをいじっている人が多いので、タブレットの操作も慣れれば心配ありません。

タップして「選ぶ」だけなので、ゼロから全部自分で作成する必要がなく、便利だと思います。目標設定に関しては、提案文の言葉をもらいながら、利用者様ごとに個別性がある部分を書き換えるような使い方をしています。今では、リハプランはなくてはならない存在です。

自社システムではLIFE対応ができない。全事業所での利用を決断

ーーちなみに自社システムはあったのでしょうか。

北村さん:もともと、口腔機能向上加算の算定に関しては自社システム、個別機能訓練加算に関してはリハプランを使う併用での運用でした。

しかし、2021年度の法改正で口腔機能向上加算(Ⅱ)が告示され、LIFE提出が必要になったのです。

改修はそもそも自社のリソース(人材面)では困難でしたし、今後の保守点検、改正ごとの対応になると、費用対効果が悪いと考えました。そこで、口腔ケアに関する算定もリハプランに切り替えることに決めました。

すでに、計画書の作成のために、社内の全20事業所に導入していたので、その使いやすさはわかっていましたし、法改正の度、アップデートしてくれるならば、安心です。

自社システム、エクセル、介護ソフト、リハプラン、と事業所で扱うシステムが複数となる弊害もあったため、一本化していきたかったということも背景にあります。

▼導入後の結果

LIFE関連加算で年間約3,000万円の増収、稼働率も10%アップ

ーーリハプラン導入後の稼働率や売上の変化について教えてください。

北村さん:2018年は、全事業所の平均稼働率が70%前半でしたが、現在は80%を超えるようになってきました。

売上ですが、リハプランの成果を数値化すると、月240万円、年間3,000万円の売上アップに相当するでしょうね。個別機能訓練加算(Ⅱ)、口腔機能向上加算(Ⅱ)、科学的介護推進体制加算などのLIFE関連加算は、リハプランがなければ算定できなかったので、その効果を実感しています。

ーーものすごい増収ですね!稼働率がアップしたことにもリハプランは寄与していますか。

木村さん:業務の効率化にリハプランは大きく貢献してくれ、結果として稼働率のアップにもつながっていると思います。私が所属しているトータルリハセンター富士見台では、他の業務と並行しながら、90名分の計画書全てを1人の看護師が担当しています。残業も抜け漏れもなく、1日の書類作成時間は以前と比べて1時間程度削減しました。

そのおかげで、以前にまして個別機能訓練を集中して提供できる環境になっています。利用者様一人ひとりに向き合える時間が増え、職員がさらに日々の関わりを大事にしてくれるようになりました。利用者様の笑顔も多く、「また、来たいな」と、思ってくださっているようです。以前は、休みがちだった方も出席してくれるようになり、嬉しい成果ですね。

離職率28%→14%まで改善。利用者とのコミュニケーションも増えた

ーー以前、課題だった離職率はどうなりましたか。

北村さん:離職率も大幅に改善しています。2016年は社内全体の離職率が28%でしたが、2021年には14%にまで軽減しました。親会社からの分社時に、エリアマネジャーとして複数の事業所を兼務していたリハビリ専門職員には大変な苦労をかけましたが、ワークライフバランスを整えるためにさまざまな手段を講じ、彼らの負担も減らすことができてよかったです。

今では、適材適所での人員配置が可能となったので、エリアマネジャーの人数も15名から5名に減らし、人件費の削減につながりました。リハプランは、組織改革のなかでもDXに寄与してくれ、働きやすい環境の整備に一役買ってくれました。

木村さん:現場視点では、職員と利用者様とのコミュニケーションが活発になり、やりがいを持って働いてくれている様子に変化を感じています。リハプランで作成した評価表やアウトカムレポートは、誰が見てもわかりやすく、利用者様やご家族に情報共有しやすいことが魅力です。

数値や改善した項目を可視化してくれるので、フィードバックがしやすくなり、自然に会話量が増えるのです。サービス担当者会議においてもアウトカムレポートを見ながら、一緒に理解を進めてもらえるので、信頼関係の構築にもつながっています。

画像はイメージです。

一方で、計画書などの書類作成にどうしても苦手意識のある職員はまだいるのが現実です。エクセルで作業していた時は、書類作成が苦手な職員にとって、かなりのストレスになっていたかもしれません。しかし、リハプランなら、「測定結果を入れるだけ」など、作業分担が可能だと思います。今後、部分的にでも、「できることが増えた」と実感できれば、職員にとって仕事の満足感につながるでしょう。

介護DX推進は利用者のモチベーション向上にも寄与できる

ーーもともと書類業務の改善のために介護DXを推進されたと思うのですが、そのほかに実現したかったことなどありますか。

北村さん:リハビリで元気になったことが数値でわかるようになるということは実現したかったことの一つです。

木村が先ほど効果を可視化して、利用者様にお伝えすることが大事だと話したとおり、改善度合いが数値でわかることは、利用者様にとって日々デイサービスに通う動機にもなるはずです。

リハプランは、日々のデータベースの構築を可能とし、ADLなどの改善も数値として積み上げることができます。そして、データを用いて利用者様一人ひとりに丁寧にフィードバックすれば、リハビリの効果を実感でき、日々のモチベーションにつながると考えています。

実際に、年に一度実施している顧客満足度アンケート調査では、各項目において年々満足度が上昇しています。介護DX推進をはじめ、サービスの質の追求に努めてきたことが、利用者様に還元できているとわかると嬉しいですね。

ーー利用者様の具体的な変化についても教えてください。

木村さん:以前から、アウトカムレポートを作成し、丁寧な説明はしていましたが、リハプランの書面に変わってからは、改善点がニコちゃんマークの表示などで明確にわかるため、「嬉しい」と思ってくださっているようです。現場目線でも、モチベーションアップにつながっていると実感しています。

また、介護度の変化においては、直近で5名の利用者様が要介護から要支援に区分変更となりました。ADLにおいては、歩行器歩行から独歩が可能になるなど、大幅な変化を得られた人もいるほどです。データに基づき、サービスの質を追求してきたことが、この成果の一因だと思うと、私たちにとってもモチベーションになりますね。

質の高いサービスを提供している職員、データ可視化で自信を持って欲しかった

ーー介護DXの狙いとして職員が働きやすい職場づくりをするという想いもあると思いますが、その点はどのようにお考えだったのでしょうか。

北村さん:職員それぞれが自分達の仕事をすばらしいと感じ、誇りを持てる瞬間をたくさん経験するべきだと思ったからです。

たとえば、弊社の強みである口腔ケアや口腔機能訓練は、歯科衛生士を中心に行なっています。デイサービスで専従の歯科衛生士が担当しているケースは珍しく、他にはない質の高いサービスを提供していると自負しています。しかし、日々の仕事としてそれが当たり前になってくると、職員自身は自分達がすばらしい仕事をしているとは思わないのです。

利用者様の介護度の維持向上に貢献し、在宅生活を支えられていることがデータとして現れると、職員にとっても自信につながりますし、働きやすい職場づくりが一層進みます。

木村さん:職場づくりに関していえば、介護DXが進むことで、業務を効率化し、残業しなくてよい環境に変化します。職員は仕事と家庭を両立しているので、ワークライフバランスへの配慮が大切で介護DXはその課題を助けてくれるのです。また、1日の大半を仕事時間に費やすなか、いかに気持ちよく、心に余裕を持って働けているかを考える必要があります。

そのためには、人間関係の円滑化はもちろん、効率よく業務に当たれること、そして、その状態を持続できることがよりよい職場環境につながるでしょう。リハプランに助けられながら、利用者様、職員どちらにとっても過ごしやすい場所にしていきたいですね。

▼今後の展望

「今できても10年後は大丈夫?」介護業界には変化が必要

ーー介護業界では科学的介護への対応がまだまだ進んでいないという印象です。科学的介護の観点からリハプランの魅力についてお聞かせください。

北村さん:リハプランの一番の魅力は、運動プログラムや目標設定の自動提案機能です。看護師が機能訓練を担当する場合、リハビリは門外漢のため「適切な内容を提供できているのか?」と不安になりがちです。それは、看護師としての専門性を持って働いてくれているからこそ、生じる悩みだと思います。

リハプランは、PT・OTなどのリハビリ専門職がエビデンスに基づき構築しているサービスです。そのため、リハビリに自信がなくても、しっかりとした運動プログラムや目標設定を立案できるのです。

しかし、科学的介護を推進するには、システムに頼るだけでなく、人の力もさらに求められていくでしょう。つまり、今まで勘や経験に頼っていた部分をシステムによる客観的データで裏付けし、それを基によりよいサービスを「人が考える」ことこそ大切なのです。

人とシステムの両方で足りないところを補い合えば、良循環が生まれ、デイサービスの介護の価値は高まっていくと信じています。

ーーリハプラン導入を検討している方(経営層)向けにメッセージをお願いします。

北村さん:私は、介護現場の生産性を高めていくことが経営者としての至上命題だと自分に課しています。労働生産性を上げる努力はもちろんのこと、成果を高め、今後の事業継続を見据えた経営を考え続けなければなりません。

私たちは、法改正がきっかけとなり、大きく組織改革しました。そして、自社でどれだけシステム開発を頑張っても、口腔機能向上加算(Ⅱ)をとれないという現状を理解し、リハプランを取り入れたのです。

経営者の皆さんは、今後、LIFE提出が必須になっていくなかで、「今できていても10年後は大丈夫なのか?継続できるのか?」と自らに問いかけてみてください。弊社と同じように、これまでとは違うツールの導入が必要だと検討しているのならば、リハプランを自信を持っておすすめします。本気で介護の未来を変えていくんだという意欲を実感できるサービスです。

ーー御社がリハプランを活用しながら今後注力していきたいことは何ですか。

木村さん:これまで、リハプランを使ってスムーズにLIFE提出できています。作業効率も安定しているので、今後も利用者様と向き合う時間を増やし、よりよい介護の提供を目指していきます。

北村さん:数値化したデータを基に、サービスの質の向上に一層まい進し、利用者様へ還元し続けます。例えば、システムの発達に伴い付随しているモーションAIなどのツールを活用し、サービスに活かせる仕組みづくりにチャレンジしていきたいですね。

オンラインサービスや買い物支援など、利用者様の自己実現を達成するために、デイサービスとしての役割を果たしながら、在宅支援にも力を注ぎたいと思います。デイサービスが今後求められていくものに柔軟に対応できるよう、リハプランをはじめとした、Rehab Cloudのシステムを全面的に活用していきたいです。

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