身体機能評価の実施と解釈に係る時間が削減

医療法人 燦生会
清水陽平さん(管理者、機能訓練指導員)
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- 評価実施に時間がかかり、他の業務に支障が出ていた
- 評価結果の解釈が難しく、適切なフィードバックが困難だった
- 数値データだけでは利用者のモチベーションアップに繋がらなかった
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- 動画を撮るだけで評価ができ、現場と向き合う時間が増えた
- 身体機能の変化がひと目でわかるので適切な助言ができる
- 視覚的に変化がわかるので利用者のモチベーションがアップ
- 社名・事業所名:医療法人 燦生会 デイサービスさんさん
- 所在地:山梨県北杜市
- 定員数:15名
- 専門職:理学療法士、鍼灸師、看護師、介護福祉士
山梨県北杜市にある医療法人 燦生会 フルリールグループ「デイサービスさんさん」は、定員15名のデイサービスです。「一日でも長く家で生活できるように」をモットーに掲げ、山梨県では初導入となる最先端のリハ機器を導入するなど、時代の先を行くサービスを提供しています。また、多くの方にグループのサービスを知ってもらうために、YouTubeやSNSを活用した広報活動にも積極的です。
しかし、身体機能評価に多くの時間を取られ、その結果を踏まえた十分なフィードバックが行えないという課題がありました。そこで、業務の効率化と利用者へのわかりやすいフィードバックを実現するために、AI動作分析ソフト「Rehab Cloud モーションAI」を2024年7月に導入いただきました。今回は、導入前の課題、導入後の変化について管理者兼機能訓練指導員である清水陽平さんにお話を伺いました。

評価の数値を出すことが精一杯だった
モーションAIの導入前、機能訓練指導員は身体機能評価に時間がかかり、十分なフィードバックを行えないことに課題を感じていました。
バランステスト、歩行テスト、立ち座りテストなど、複数の評価バッテリーを用いて身体機能評価は行い、評価は3ヵ月に1回実施していました。利用者様1人にかかる時間は平均20分程度で、例えば3人を評価する場合、1時間程度を要し、他の業務に支障をきたすこともあったのです。

評価の解釈にも時間がかかり、フィードバックも困難だった
評価後の結果の解釈にも時間がかかり、利用者様へのフィードバックは数値を伝えるだけになっていました。
そのため、評価結果を活用し、訓練にどう繋げるかという本質的な活用がなされていなかったのです。数値だけでは、利用者様にご自身の身体状態を理解してもらうことが難しく、フィードバックが不十分だと感じていました。
「モーションAIを使えば評価は簡便にできる」と即導入を決めた
モーションAIを使えば、今まで時間がかかっていた評価を簡便にできると考えて導入を決めました。もともとRehab Cloudは開設当初から導入していたので、ホームページ上でモーションAIがリリースされたことを知りました。
また、新しいシステムへの感度が高い統括マネージャーもサービスに関心を持っており、「これ使ってみる?」と提案していただいたので導入はすぐに決まりました。既に他のAI解析システムの導入経験があり、AIによる評価の有用性を理解していたので精度に対する不安はなかったです。
モーションAIを見た瞬間、「これは使える!」と感じ、特に立ち座りや片脚立位の評価ができる点に魅力を感じました。従来の評価方法では時間がかかりすぎていたため、簡便に評価でき、わかりやすいフィードバックを提供できるツールを導入すれば、業務の効率化が図れると確信しました。
モーションAIによって、視覚的で直感的な評価レポートが作成できるため、利用者様やケアマネジャーにそのまま提示でき、効率的に運用できます。

評価の簡素化で大幅な時短を実現、現場により向き合える
モーションAIを導入したことで、評価業務の簡便化が実現でき、利用者様と向き合える時間が劇的に増えました。評価は1人あたり20分から10分と、半分の時間で実施可能となっています。
操作も非常に簡単で、スマホを使える程度のスキルがあれば誰でも扱えます。撮影場所を用意し、立ち座りの場合は立って座る動作を5回撮影するだけで評価は完了。この評価の簡素化によって、業務の時間を大幅に短縮し、現場での作業や利用者様との接点に多くの時間を割くことができるようになりました。

評価結果の解釈ができるようになり、フィードバックの質が向上
職員によるフィードバックの質も大きく向上しました。以前は数値だけを伝えていたため、職員も評価結果をどのように解釈すればよいか迷うことが多かったのですが、今ではレポートを基に自分なりに解釈し、具体的なフィードバックができるようになっています。
レポートは専門用語を避け、誰でも理解しやすくなっており、視覚的に結果が示されるため、利用者様にとっても状態の変化がわかりやすい点がとてもありがたいです。
また、レポートに含まれるにこちゃんマークなど、視覚的に理解しやすい要素も、利用者様に対するフィードバックを行いやすくしています。
利用者様との雑談などのコミュニケーション機会も増え、背景情報をもとにしたケアも可能になりました。ポジティブな結果は具体的に伝えられるため、利用者様のモチベーションアップにつながります。一方、ネガティブな結果が出た場合でも、その背景を理解し寄り添うことができるので、利用者様を落ち込ませることなく前向きに次に取り組めるようなサポートが可能です。
例えば、評価前に訓練を頑張った場合には、その努力を認める声掛けをし、シビアな結果でも前向きな気持ちを引き出すことができます。

車椅子の利用者が歩行器で移動可能になった
利用者様の身体機能にもポジティブな変化が現れました。例えば、車椅子を利用していた利用者様が、歩行器を使って施設内を移動できるようになっておられます。
この方は脊柱管狭窄症のため、最初は歩行を嫌がっていましたが、評価結果をフィードバックすることで意欲が向上したのです。今では、施設に着いたら椅子に座って横に歩行器を置き、自主的に歩こうとされています。
その他に、70代の利用者様で2年ぶりに友人に電車に乗って会いに行ったという方もいます。モーションAIのレポートを見て自分の改善を実感し、自信につながったようです。

ご家族へのわかりやすい報告ができるのも嬉しい
モーションAIによるレポートを見れば、どのような成果が出ているかご理解いただけるので、利用者様のご家族にもとても喜んでもらえます。
以前は、個別機能訓練計画書をお渡しし、言葉と数値のみで説明を行っていたので、正直わかりにくいと感じておられたと思います。今は、レポートを印刷してお渡ししています。それにより、利用者様の身体の変化についてご家族に、わかりやすくお伝えしやすくなりました。
できることを維持・増やすことで1日でも長く家で生活できる支援を行いたい
モーションAIを導入すると、職員も利用者もハッピーになれると実感しています。まず、職員は業務効率化の実現により、利用者様に関わる時間を今まで以上に確保できています。そして、利用者様はわかりやすいフィードバックによって、自分の身体の状態がわかりやすくなっています。変化が理解できると、機能訓練に対しても積極的になる方が多いです。そのような、みんながハッピーになれるツールだと思います。
今後は「一日でも長く家で生活できるように」というモットーのもと、収集したデータを活用した機能訓練を提供し、利用者様の身体機能やADLの維持向上を図っていきたいです。利用者様が自分でできることを維持する、あるいは増やすことが家での生活を支援することになると考えています。そのような利用者様の自立支援のために、エビデンスに基づいた機能訓練の提供やICT活用による業務効率化のさらなる推進に取り組んでいきます。
