月260時間の残業が全店舗で大幅に減少!業務簡素化でコスト半減

株式会社バイタルケア(5事業所運営)
今野さえ子さん(介護事業部ユニット統括課 通所介護統括)
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- 全事業所で月260時間の残業が発生していた
- 残業代として年500万円以上のコストがかかっていた
- PT・OTがいない事業所では機能訓練に不安があった
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- 全事業所で残業時間削減ができた
- 年間の残業代が大幅削減し、収益向上に貢献
- 訓練プログラムの事業所間共有で均一サービスを実現
- 社名・事業所名:株式会社バイタルケア(5事業所運営)
- 所在地:宮城県・秋田県
- 定員数:
- 専門職:理学療法士、作業療法士、看護師在籍
宮城県名取市にある「株式会社バイタルケア」は、宮城県と秋田県に5事業所を展開し、通所介護をはじめとする介護保険サービスを提供しています。バイタルケアは、地域の方々の「なんでも相談窓口」を目指し、医療と介護の架け橋となり、地域社会や住民に貢献することを方針として運営しています。
バイタルケアでは、月260時間を超える残業の恒常化と、年間500万円以上の残業代が発生しているという課題に直面していました。「Rehab Cloud」の導入により、現在は業務の簡素化が進み、全事業所で残業の大幅軽減を実現されています。今回は、Rehab Cloud導入前後の変化について、介護事業部ユニット統括課通所介護統括の今野さえ子さんにお話を伺いました。

全事業所で月260時間の残業、年500万円以上の残業代が発生
ーーもともと会社として抱えていた課題は何ですか?
今野さん:全事業所を合わせると、月に約260時間の残業が発生していました。残業代に換算すると500万円以上になり、どれだけ加算を取っても利益を得るのは非常に難しかったです。
ーー残業の内訳について教えていただけますか?
今野さん:残業の内訳としては、計画書作成が6割、LIFE提出関連の業務が3割、モニタリングが1割です。日中の現場業務が終わった後に、これらの業務を行わなければならないため、必然的に残業が発生していました。
統一したマニュアルを作成するなど、残業を軽減するための取り組みも行いましたが、書類作業の簡素化には限界があり、実際に残業を減らすことはできませんでした。
ーー500万円以上の残業代を削ろうにも難しい現状があったのですね。残業時間の半分以上を占めていた計画書の作成について聞かせてください。
今野さん:計画書作成は、表計算ソフトを使用していたため、利用者様1人の計画書作成に30分から40分ほどかかっていました。
特に負担が大きかったのは、個別機能訓練計画書の作成です。1事業所で100名程度の利用者様分を作成しなければならなかったのですが、スタッフは作成方法を熟知していないため、手探りで進めるという状態でした。この計画書作成がそのまま残業につながり、体力的にも精神的にも非常に疲弊していきました。

特に残業の原因になっていたのは個別機能訓練計画書の管理面だった
ーー個別機能訓練計画書において一番苦労されたことは何でしょうか。
今野さん:一番の苦労は、実は作成そのものではなく、管理面でした。表計算ソフトを使っていると、利用者様が増えるにつれてデータ量も膨大になり、必要なデータを探すだけで大変です。
さらに計画書の更新も頻繁に発生し、手作業で行っていると、更新の抜け漏れやケアレスミスが発生してしまいました。この管理面が、残業削減の大きなネックとなっていました。
ーー更新の抜け漏れはヒヤッとしますね。そのほか計画書作成で大変だったことがあれば聞かせてください。
今野さん:そのほかには、利用者様一人ひとりに合った目標やプログラムを作成することが難しかったです。例えば、独歩できる方と歩行器を使う方では、ニーズが異なります。しかし、時間が限られている中で計画書を作成していると、同じような方向性の目標になってしまうことがありました。
現場業務が忙しく、利用者様に向き合う時間が十分に取れないため、計画書作成が作業の一環になってしまっていることに問題を感じていました。実は、運営指導の際に「目標とプログラムの整合性が取れていないのでは?」と口頭で指摘されたこともあります。
ーーLIFEは2021年の改定後から対応されているのですよね。具体的に何に苦労されたのでしょうか。
今野さん:まず、LIFEに送信するための情報の入力に時間がかかりました。以前使っていた介護ソフトは、LIFEに入力が必須の項目と任意の項目を明示してくれませんでした。そのため、全ての情報を入力する必要があったのです。
また、エラーが発生した際の対応も負担が大きかったです。エラーの原因がわからないまま1から見直しを行うことが多かったので、さらに時間がかかっていました。このような問題が全事業所で発生していたため、LIFE対応開始後は残業がさらに増加しました。

Rehab Cloudの導入を検討するも、最初の検討では見送りに
ーーRehab Cloud導入のきっかけを教えていただけますか?
今野さん:以前使っていた介護ソフトでは、これ以上の業務の簡素化は見込めないと考えていました。どうすればよいか悩み、「計画書 作成」などのキーワードで検索したところ、Rehab Cloudに辿り着いたのです。私たちの課題を解決できそうな機能があり、2021年に半年間のトライアル導入を行いました。実際に触った際の私の感想は「めっちゃいいじゃん!」でした。現場の相談員や看護師にも意見を聞くと、同様に好評でした。
残業の削減が期待できると考え、社長に導入を提案しましたが、他のソフトの導入が既に決まっていたため、見送りとなりました。2つのソフトを導入するのはコストがかかり、使い方を覚えるためのスタッフの負担も大きくなるからです。
ーータイミングが悪かったのですね。ちなみに半年間使ってみたときの率直な感想はいかがでしたか。
今野さん:率直な感想として「これで残業が減らせる」と思いました。課題となっていた計画書が1人あたり5分程度で作成できたからです。実際にソフトに不慣れな状況でも、スタッフ一人当たりの1ヵ月の残業を3、4時間減らせました。
ーー残業時間の削減のほかに、よいと感じた点はありますか?
今野さん:私は「ソフトに慣れていけば、さらに業務が変わる」と感じ、将来的にはRehab Cloudの導入を進めるための準備をしようと考えました。具体的には、事業所のスタッフへのヒアリングに加え、ケアマネジャー約20名にもアンケートを実施しました。その結果、書式がシンプルで見やすいという意見が多く、非常に好評でした。
試験導入で定量的な効果を示し、全店舗導入が決定
ーーそれから2年後の2023年に導入をされたのですね。導入の経緯を聞かせてください。
今野さん:Rehab Cloudを導入する際、まずはその効果を予測したデータを提出し、残業削減を目的とした導入を再度提案しました。社長に決裁をもらうためには、1年間でどれだけのコストダウンが可能かを示すデータが必要だったのです。
秋田の事業所での半年間の実証結果では、残業時間を減らすことができたことが確認されていたので、まずその実績を伝えました。そのうえで、残業時間が減少すれば、利用者様と向き合う時間が増え、満足度の向上も期待できること、そしてそれに伴って利用者様の増加も見込める点を強調しました。
社長だけでなく、全店舗の管理者が集まる会議でも提案を行い、私が導入後のサポートを行うことも伝えて納得を得たのです。その結果、秋田に加えて、デイサービスセンター名取の事業所でも導入が決まりました。全店舗への導入を見極めるための実証実験的な形でスタートすることになりました。
ーー実証実験の2店舗はどのようにして決めたのですか。
今野さん:秋田の事業所は、以前からRehab Cloudをトライアルで使用していた経緯があり、スタッフも操作に慣れていたため、すぐに決まりました。
一方、名取の事業所は、Rehab Cloudへの理解がある統括スタッフがいたことが決め手です。システムへの理解がある事業所であれば、導入もスムーズに進むと考えたためです。
ーー2店舗で試験導入して、すぐに結果は出せましたか?
今野さん:はい、秋田では1ヵ月目で残業時間が70時間に減り、2ヵ月目で35時間に減らすことができました。新たに導入した名取でも近い結果が出たので、まさにシミュレーション通りでした。
これだけの成果が出たのですから社長に「Rehab Cloudを入れます」と伝えて、全店舗での導入が決まったのです。残業時間が明確に減ったので、社長からの反対はありませんでした。

全店舗活用推進のために推進者が率先して操作方法を共有
ーーしかし、結果を出すまではなかなか苦労も多かったのではないでしょうか。
今野さん:Rehab Cloudについては事前にスタッフへ紹介しており、「業務が楽になるなら、ぜひ導入してほしい」という前向きな雰囲気を作れていました。そのため、大きな苦労はなかったです。あえて挙げるとすれば、基本データの入力です。利用者100人分の基本情報を入力する必要があり、それは現場にとって大きな作業量になります。そこで、私を含めた統括スタッフがその部分を担当し、負担を分担しました。
その結果、スムーズにRehab Cloudの運用が開始でき、名取でも秋田と同様に初月から残業時間を大幅に削減することができました。
ーー導入に際して、反対の声はなかったのですか。
今野さん:もちろん、新しいソフトの導入に対して反対の声もありました。ただし、Rehab Cloudの導入に反対していたわけではありません。2021年に導入したソフトにやっと慣れてきたタイミングで、再び新しいソフトを覚えなければならないことに対する不満です。
ーーなるほど。反対するスタッフに納得してもらうために、どのようなサポートをしましたか。
今野さん:反対の声があったスタッフに対しては、私が徹底的にサポートすることを最初に伝えました。まず、統括スタッフで全店舗分の基本情報を入力し、現場の負担を軽減しました。さらに、操作などで不明な点があった場合には、いつでも相談を受け付ける体制を整えたのです。「今は忙しいから後で」という対応は絶対にせず、どんなときも寄り添う姿勢を貫くよう意識していました。導入を成功させるには、それが最も大切だと思っています。
実際に使い始めると、業務が明らかに楽になることを実感してもらえ、自然と納得が得られました。説明の際には「ね、楽でしょ?」と刷り込みのように伝えることも多く、それも少しは効果があったのかもしれません。

Rehab Cloudの導入後も年々コストダウンを継続
ーー全店舗導入してから残業時間や残業代にはどのような変化がありましたか?
今野さん:全事業所で残業時間が大幅に軽減されるという大きな変化がありました。残業があったとしても、月に1〜2時間程度です。これにより、大きなコストダウンを実現できました。導入後も年々コストダウンが続いています。計画書などの業務を軽減することで新たに取り組むことができる業務も増えており、一概には言えませんが、残業代はこれまでの半分に減らすことができています。通所介護における残業代の削減については、Rehab Cloudの導入効果だと社長も高く評価してくれています。
ーー大変だった計画書の管理はどうなりましたか。
今野さん:Rehab Cloudでは、すべてのデータがクラウド上に保存されるため、計画書の管理が不要になりました。従来は表計算ソフトで膨大な量のファイルを管理しており、USBメモリがいくつあっても足りなかったです。
さらに、更新時期も自動で通知されるため、抜け漏れが発生しなくなりました。むしろ、こちらからケアマネジャーに「更新をお忘れではないですか?」とお声がけすることもあるほどです。本来であれば、こちらが口を出すべきではないのですが、結果的には感謝されることもあります。
プログラムのパターン設定で、均一の機能訓練提供を実現
ーー利用者ごとの目標設定やプログラム作成についてはどうでしょうか。
今野さん:自動提案機能を活用することで、利用者様一人ひとりに合わせたプログラムを短時間で作成できています。さらに、機能訓練のパターンをあらかじめ作成しておける点も非常に有用です。
理学療法士や作業療法士と連携し、利用者様の症状や生活環境に応じた約30種類の訓練パターンを作成し、全事業所で共有・活用しています。
その結果、オペレーションが統一され、どの事業所でも均一な質の機能訓練を提供できるようになりました。プログラム作成に迷った際にも、パターンを検索することでスムーズに対応できます。
また、理学療法士や作業療法士が不在の場合でも、業務が滞ることなく進められるようになり、パターン作成機能の有用性をあらためて実感しています。
ーー機能訓練のパターン設定については素晴らしい運用方法ですね。導入後、運営指導は入りましたか。
今野さん:はい、導入後に一度運営指導がありましたが、口頭での指摘は一切なかったです。むしろ、「ケアプランとの整合性がしっかり取れている」と高い評価をいただきました。
以前は、計画書の作成に関わるのは限られたスタッフだけでしたが、現在では誰でも計画書をはじめとする各種書類を作成できるようになっています。Rehab Cloudが全職種に浸透したことで、多職種による連携や協働も進んでいます。
最近では、介護スタッフから逆提案が上がるなど、現場内でのコミュニケーションも活発になってきました。これは大きな変化であり、組織としての成長を実感しています。
ーー業務がフラットになり、サービスの提供にもよい影響が出たのですね。
今野さん:そうですね。そして導入してから気づいたことですが、Rehab Cloudには学習ツールとしての側面もあると感じています。自動提案機能を活用することで、「どのようなプログラムを提供すべきか」が視覚的に理解できるため、作業療法士や理学療法士以外の職種のスタッフにとっても、専門職の考え方や視点を学ぶ機会になっているのです。
ーーLIFEの提出やモニタリングの作成も苦労されていました。現在の変化について教えてください。
今野さん:現在では、全事業所で月初の段階でLIFEの提出が完了できるようになっています。以前は締切の10日ぎりぎりまで作業が続くことも多く、夜遅くまで残業してデータ入力やエラー対応に追われていました。
Rehab Cloudでは、エラーがある場合には事前に通知があり、提出対象の利用者様も自動で表示されるため、抜け漏れなく、スピーディーに作業が進められるようになりました。

残業・コスト削減を実現し、職員に寄り添った環境へ
ーーRehab Cloud導入を検討している方向けにメッセージをお願いします。
今野さん:Rehab Cloudは、介護現場の業務負担を大幅に軽減し、残業ゼロを実現できるソフトです。導入を検討している方には、まず「なぜ残業が発生しているのか」「その改善策として何が必要か」を真剣に見つめ直してほしいと思います。残業が常態化すると職員の負担が増し、結果的に現場全体のサービスの質も低下してしまいます。
当事業所では、Rehab Cloudの導入によって業務の効率化が進み、残業がほぼなくなりました。その結果、時間外労働にかかるコストが大きく削減されただけでなく、スタッフ同士が余裕をもって支え合える環境が整いました。
また、定着率が向上したことで、採用や教育にかかるコストも抑えられています。Rehab Cloudは、単なる業務支援ツールではなく、介護の現場全体を持続可能にするための基盤だと感じています。コスト削減に悩んでいる事業者には、スタッフの働きやすさを通じて経営改善につなげるこのソフトを強くおすすめします。
ーー御社がRehab Cloudを活用しながら今後注力していきたいことは何ですか。
今野さん:利用者の皆様が、できるだけ長くご自宅で安心して生活を続けられるよう、質の高いサービスを提供していきたいと考えています。そのためには、訓練・食事・気分転換など、日々のサポートを丁寧に行うことが不可欠です。
こうした支援の質を保つには、スタッフが本来のケアに集中できる環境が重要です。今後もRehab Cloudを活用し、業務の簡素化と利用者様との関わりの時間確保を両立しながら、地域に根ざした支援を広げていきたいと思います。
