今、介護現場で求められている「運動」を事業所の強みに。
エルケア株式会社
藤本菜央さん(管理者,介護福祉士)
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- 初めての算定業務を正確にこなせるか不安だった
- 自立支援のため「運動」に力を入れたかった
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- 初めての個別機能訓練加算も無事に算定できた
- 利用者の運動に対するニーズを引き出せた
- 社名・事業所名:エルケア株式会社 デイサービス若江岩田
- 所在地:大阪府東大阪市
- 定員数:30名
- 専門職:看護師在籍
大阪府東大阪市にある「デイサービス若江岩田」は、定員30名の通所介護事業所です。11名の職員のうち、機能訓練指導員を兼ねた看護職員が2名在籍しています。デイサービス若江岩田では、介護を「究極のサービス事業」と捉え、施設の環境やサービスの質にこだわった事業展開をしています。炭酸水の個浴や夏祭りなど季節ごとに開催するイベント、目の前で揚げる串カツの出張サービスなど、非日常を体験していただける仕掛けづくりに力をいれています。
2022年5月から「リハプラン」を導入し、新たに運動やリハビリを通して利用者の身体的な健康づくりに寄与できるよう取り組みを開始しました。「心が動けば体が動く」をモットーに、利用者の心の機微を感じ取りながら、より楽しく豊かな時間が提供できるように工夫をこらしながら活動しています。
今回はデイサービス若江岩田の管理者を務める介護福祉士の藤本菜央さんに、算定開始時の不安をどう乗り越えたのか、そして導入後の現場の様子についてお話を伺いました。
今の体制でどうやって機能訓練を実施するのか不安だった
最近では、リハビリ特化型デイサービスが新設されるのをよく見かけます。当事業所でも「機能訓練はできますか」と問い合わせをもらうことも増えてきました。身体を動かしたい高齢者が多く、運動の需要が高まってきていることを実感します。そんな中、本部から機能訓練加算の算定開始指示をうけました。ケアマネさんから「地域の他事業所では既に個別機能訓練加算をとっている」という話を聞いていたこともあり、お客様にとっても、事業所の強みを増やしていくにあたっても、取り組むべきだと思いました。
算定開始の悩みは尽きない
積極的に取り組んでいきたいと思う一方で、たくさんの不安がありました。実際の運動プログラムの運営やそれに伴う現場の調整、書類業務などです。
当事業所にはリハビリスタッフなど運動の専門家がいないため、プログラム作成にはかなり不安がありました。加えて、算定の同意をスケジュール通りに得られるのか、書類業務におわれるのではないかという不安も募っていきます。COVID-19感染拡大による人材不足等で私自身も現場に入る時間が長くなっていたことから、事務作業はどうしても後回しになっていたのです。
現場のスタッフからも、プログラム作成はもちろんのこと、それをいつ・どこで・誰が実施するのか、運動を担当する人の仕事はどうするのか、今のタイムスケジュールにどう組み込んでいくのかなど、不安の声が続々とあがりました。
運動の重要性を伝えることで算定同意を得る
導入に向けて動くなかで、まずは「お客様に同意を得る」というプロセスが必要でした。電話や対面にて、本人や家族、ケアマネへ確認をとっていきました。
当事業所に通われているお客様の約9割は女性です。これまで創作活動などをメインに行ってきたことから、運動を始めることに対する同意が得られるかどうか不安はありましたが、「運動は必要だよね」と、お客様のほとんどが運動の必要性について理解を示して下さいました。
ご自身の過去の経験から「リハビリ」や「運動」というワードに少し抵抗のある方や、運動することに難色を示された方も数名いらっしゃいましたが、筋力や歩行状況のデータをもとに運動の必要性について丁寧に説明したことで、同意を得ることができました。全体を通して比較的スムーズに進めることができたのは非常に良かったです。
加算開始を機にチーム力が向上
加算算定に取り組むことが決まった当初、現場スタッフからは「いつ、どこで、誰が、どのように運動を提供するのか」という不安の声が上がっていたことから、算定時の1日のタイムスケジュール案を作成し、事前にイメージの共有とディスカッションを行いました。また、機能訓練を担当する看護師の一部業務を他のスタッフにタスクシフトするなどして業務量の調整をおこないました。
算定時のイメージを膨らませながら丁寧に進めていったことで、スタッフの不安は解消されていったように感じます。
算定開始直後、現場は一時的に慌ただしくなりました。しかし、お客様に移動をお願いする際は早めにご案内をするなど、次第に全スタッフがタイムスケジュールや時間を気にしながら機敏に動けるようになり、1ヶ月もたたないうちに現場はスムーズにまわるようになりました。
運動するお客様の笑顔がスタッフのモチベーションに
スタッフの運動に対する意識にも少しずつ変化が見られました。
運動プログラムは、リハプランにあるたくさんの運動マニュアルを見ながら「これがいいのではないか」「あれがいいのではないか」などと相談しながら、スタッフみんなで作成しています。写真付きで分かりやすいので、大変助かっています。
また、「脳トレと組み合わせたような運動メニューも良いのではないか」と、自ら運動をアレンジして提案してくれるような人まででてきました。
お客様の喜ぶ顔や笑い声が増えることが、スタッフの働くモチベーションに繋がっているのだと感じます。
書類作成や書類管理はリハプランがあるから安心して取り組める
当初から不安を感じていた書類作成業務は、リハプランの機能や操作性に助けられながら滞りなく遂行できるようになりました。
個別機能訓練加算の算定を開始して3ヶ月が経過しましたが、リハプランなしでの算定は考えられません。充実したサポート体制で、初めてでも安心して加算を算定することができています。
計画書作成の不安はない
計画書の作成には、初めての加算算定に加えて運動の専門家がいなかったことからかなり不安を感じていました。しかし、リハプランを使うと簡単に計画書を作成することができるので、本当に助かっています。
初回の作成には少し時間を要しましたが、2回目は初回の1/2の時間で作成することができました。慣れていけば、さらに時間短縮できるのではないかと思っています。
期限管理機能で漏れなく作成
さらに、リハプランの「期限管理機能」にも大変助けられています。帳票作成では、お客様の人数が多いことから管理するのにかなり苦労していました。しかし、リハプランを見れば、いつまでに何を作る必要があるのかいつでも確認できるので、漏れなく書類を作成することができます。この機能は、本当にありがたいです。
「運動」を事業所の長所に。デイサービス若江岩田が描く未来
加算の算定開始後、スタッフ一同とても驚いたことがあります。それは、お客様の予想外な反応です。運動嫌いだと思っていた方が、毎回、とても張り切って取り組まれるのです。
「身体動かさなあかんな〜」と積極的に取り組む方々からは、「足の動きがよくなった」「足のむくみが改善した」などの身体の変化を感じられる良い声が聞かれています。また、ご家族にも「日中、積極的に体操に取り組んでいただきました」と報告することで、喜ばれる方がたくさんいます。
ケアマネからも「体操をしてほしいと思っていたから嬉しい」とコメントいただくなど、多方面から喜んでもらえている状況です。
「心が動けば身体も動く」というモットーのもと、楽しく身体を動かしながら自立を支援し、皆さんから選んで頂けるようなデイサービスにしていきたいと考えています。
今後は、運動を強みとして打ち出していけるよう、さらに力を入れていきたいと思います。