ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
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更新日:2024/08/02
介護における「不穏」とは、落ち着きがなく興奮状態になったり、急に攻撃的になったりする状態のことです。認知症の方に多く見られる状態ですが、介護記録に「不穏」だけ書いてしまうと状態が不明瞭なうえ、利用者に失礼に当たると感じられてしまうこともあります。ここでは、不穏の言い換え方や表現方法に加え、介護で使える表現について解説していきます。
この記事の目次
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一般的に介護の現場で使われる不穏とは、対象者が落ち着きなく興奮状態になったり、不安定になる状態を指します。
しかし、医療や介護現場ではよく用いられる不穏という用語に明確な定義はありません。
不穏という用語の概念について行われた研究では、用いられる場面や解釈が多岐に渡ることが指摘されており、正確に状態を把握することができません。
認知症の進行とともに問題となりやすい不穏の症状ですが、不穏という表現はあいまいであり、人によって判断や解釈が異なることもおおいに考えられるでしょう。
不穏という言葉が対象になる方に対して失礼な表現になると考える人も少なくないため、具体的に言い換えるのが望ましいでしょう。
認知症の疑いや認知機能の低下を早期に発見することができるスクリーニングテストについて知りたい方は、ぜひこちらの記事もご一読ください。
▶︎長谷川式認知症スケール(HDS-R)とは|MMSEとの違い・評価方法・診断基準
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不穏状態の背景には、それぞれに原因となる感情や理由があります。
介護現場では不穏という言葉でまとめずに、その方に起きている状態を細かく観察して表現するほうが良いでしょう。
多くの表現方法が身につくことで、利用者の状態をより客観的かつ具体的に他者へ伝えることができます。
下記に不穏の言い換え表現を紹介しますのでご参考ください。
介護現場においては不穏のように、避けたほうが良い用語が多く存在します。
特に、相手の人格を尊重しない侮辱表現は使ってはいけません。また「〇〇させた」のような、指示や命令を連想させる指示用語も避けたほうが良いでしょう。
人によって受け取り方が変わってしまうような表現を避け、相応しい表現を心がけましょう。
状況をわかりやすく、敬意を持って表現できる言い換えの例を以下に紹介します。
【侮辱表現】
不適切な表現 | 言い換え表現 |
---|---|
ボケ症状がみられる。 | 午前中に行ったことを忘れている様子であった。 |
同じ話をしつこく繰り返す。 | 短い時間に数回ほど、同じ内容の話を笑顔でスタッフに話されていた。 |
勝手に立ち歩きトイレや散策に行く。 | 誰かに伝えることなく、自発的にトイレや散歩に行く。 |
【指示用語】
不適切な表現 | 言い換え表現 |
---|---|
食事を摂らせた。 | 食事介助を行った。食事を食べてもよいことを伝えた。 |
薬を飲ませた。 | 服薬介助を行った。内服の時間であることを伝えた。 |
場所を移動させた。 | 安全な場所へ移動して頂いた。違う席へ移って頂いた。 |
服を着替えるように指示した。 | 服を着替えることをおすすめした。 |
歩行の練習をするように言った。 | 歩行の練習をすることをおすすめした。歩行練習が行えるかどうか声をかけた。 |
不穏行動はさまざまな要因によって引き起こされますが、代表的な原因として認知症や特定の疾患によるもの、薬の副作用などが挙げられます。
また、強い痛みや呼吸困難などの身体的苦痛がある場合に不穏状態になる可能性も考えられるでしょう。
強い不安感や焦り、ストレスなどの精神的な負荷が重なることで不穏行動を引き起こすこともあり得ます。
上記のようなさまざまな要因を理解することで、不穏に対する正しい対処法へとつなげられます。
下記にそれぞれの不穏の原因を解説しますので、ご参考ください。
特定の疾患や病状が不穏行動を引き起こすことがあります。たとえば、脳卒中や認知症などの脳に関する疾患は、不穏行動の原因として関与します。
介護の現場で最も多いのは認知症の症状による不穏ですが、うつ病や統合失調症などの精神疾患や循環器疾患、内分泌疾患など、様々な疾患の治療経過の中で不穏状態が起こり得ます。
補足すると、不穏と似た「せん妄」という言葉は「ある種の意識・認知機能障害を呈する状態」につけられる診断名であり、不穏と同じ意味の言葉ではありません。
せん妄の症状は「見当識や注意力、記憶力の障害」や「時間帯による覚醒度のムラ」などが挙げられ、せん妄の状態は結果的に不穏を呈することが多いです。
「特定の疾患」と「せん妄」は、不穏状態と密接な関連性があります。 それらが原因となって不穏行動に結びつくと捉えられるでしょう。
参考:【日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン】 日本集中治療医学会J-PADガイドライン作成委員会
特定の疾患の影響以外に、身体的・精神的なストレスにより不穏行動が引き起こされることもあります。
身体的なストレスを原因とした不穏行動の例としては、慢性的な疼痛や不快感があることで正常な判断ができず、落ち着かない行動へとつながるケースなどが考えられます。
精神的なストレスを原因とした不穏行動の例としては、家庭内の問題や人間関係のトラブルが重なり、これらのストレスが適切に処理されない場合に不穏行動へつながるケースなどが考えられるでしょう。
「疼痛」「不快感」「苦しさ」などの身体へ及ぼす負担や生活の変化による環境のストレスなどが不穏行動の原因となり得ます。
これらの不穏行動の背後にある原因を理解し、適切なサポートや支援方法を検討することも重要になるでしょう。
不穏行動が生じてからの対応も重要ですが、できる限り不穏にならないよう、安心して過ごせる環境を整えることも大切です。
不穏行動を未然に防ぐ対応策を3つ挙げましたので、以下をご参考ください。
利用者に対して威圧的な態度をとらず、穏やかでリラックスした雰囲気を保ち、過度な刺激を与えないことが大切です。
コミュニケーションを含め、対象者への刺激が過剰になると不穏行動を誘発する可能性が高まります。
利用者の対応をする職員も環境に含まれます。利用者にとって静かで落ち着いた環境になるよう整えましょう。
利用者が安心できる状態を理解し、それに合わせた環境を整えます。
たとえば、親しい人の近くで過ごしたり、視覚的に安心できるアイテムを配置したりするなど、安心できる環境や雰囲気づくりを検討しましょう。
認知機能が低下すると環境の変化にとまどい、不安を感じることも少なくありません。
利用者が慣れ親しんでいた環境からできるだけ変化しないように注意し、個々の状態に応じた環境調整をすることが大切です。
利用者の体調変化を継続的に注意深く観察することで、不穏行動の兆候を捉えやすくなります。
身体的な不快感や疼痛、精神的な不安が原因で不穏行動が起こる可能性があるため、早めに変化の兆候を捉えて早期に対処することが大切です。
また、観察した情報を丁寧に記録しておくと、状況の把握や支援内容の改善につなげられます。
これらの対応策は、不穏行動を予防し、利用者の生活の質を向上させるために必要なケアの1つです。
認知症を呈されている方への対応は、支援者が未然に変化に気づき、きめ細かなサポートを提供することが重要になります。
今回は、介護現場でよく用いられる不穏の理解や避けたほうが良い表現について説明しました。
不穏という言葉はあいまいな表現であり、人によって捉え方が大きく分かれます。また、不穏と表現することが失礼と感じる方もいます。
利用者の状態を表現するときは、不適切だと感じられるような表現を避け、できる限り客観的で具体的な表現を心がけましょう。
日々の会話、介護記録などのさまざまな場面で利用者や家族へ配慮し、言葉遣いに注意することが大切です。
適切な表現が身に付くと、サービスの質も自然と向上することでしょう。
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