ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
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更新日:2024/06/25
介護は基本的に人と接する仕事ですので、高いコミュニケーションスキルを求められます。利用者は一人ひとり個性があり、さまざまな体の不調を抱える方も少なくないため、その特徴や症状に合わせたコミュニケーションスキルが必要です。ここでは、介護現場で必要なコミュニケーションの形や技術、使える話題などを解説しています。
この記事の目次
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介護におけるコミュニケーションは、相手との良好な関係性を築くことだけが重要な要素ではありません。トラブル防止やサービスの質などにも影響を与えます。
介護を必要とする方の多くは、高齢者や障害を持つ方々です。病気や施設入所などの環境変化から、今後の生活に対して不安を抱いている方も少なくないでしょう。
たとえば、トイレや入浴などの介助を受ける必要がある場合は羞恥心を感じやすく、自尊心が傷つく可能性があります。相手の自尊心に配慮したコミュニケーションが信頼関係を築き、不安の解消につながる重要な要素になります。
また、トラブルやアクシデントを防ぐためにもコミュニケーションは欠かせません。個別の要望や健康状態について利用者と適切なコミュニケーションを取ることができれば、誤ったケアや誤解からくるトラブルを減少させることができます。
さらに、利用者や家族、スタッフとの円滑な情報共有においてもコミュニケーションが重要といえます。コミュニケーションスキルを高めることで、さまざまな情報を素早く的確に共有でき、利用者や家族の生活の質の向上が期待できるでしょう。
介護におけるコミュニケーションは、利用者の「身体的」「感情的」「認知的」な状態を理解し、自尊心を尊重した対応が求められます。適切な対応をすることで、質の高い介護を提供することができるでしょう。
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コミュニケーションには言葉や文字を用いる「言語的なコミュニケーション」と、表情やジェスチャーなどを用いる「非言語的なコミュニケーション」があります。
介護現場では、難聴で声が上手く聞こえない方や、上手く言葉が出ない方などが少なからずいます。各利用者に合わせ、それぞれのコミュニケーション方法の特徴を理解し、使い分けることが重要です。
言葉や文字を使ったコミュニケーション方法で、相手に思いや考えを直接伝えるのに有効的です。
たとえば、痛い時に顔をしかめるだけでは、どれぐらい痛いかわかりません。「すごく痛い」と言えば、痛みの程度が伝わりやすくなります。
以下に具体的な言語コミュニケーションの例を挙げます。
すべて、言葉を用いてコミュニケーションをする方法です。細かな言葉の表現を用いることで、痛みの程度などを正確に把握することに向いています。
しかし、細かく正確に伝えようとするほど、情報量が多くなりやすいというデメリットもあります。
言葉に頼らないコミュニケーション方法です。会話が上手くできない方や理解力が低下している方に対して情報を伝達するとき、非言語的コミュニケーションが有効的です。
たとえば「違う」という内容を難聴の方に伝える場合、会話で伝えるよりも手を横に振った方が伝わりやすいといったケースが考えられます。
以下に具体的な非言語コミュニケーションの例を挙げます。
言語的コミュニケーションのように細やかで正確な情報把握には向いていませんが、わかりやすく、直感的な理解がしやすい特徴を持ちます。
また、言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションを併せて使用するとより効果的に情報を伝えられるケースもあります。
たとえば、言葉だけで「悲しい」といっても、感情の深刻さは伝わりません。泣きそうになったり、声が小さくなったりすることで「悲しい」という感情がより繊細に伝わるでしょう。
言葉だけでなく「ジェスチャー」「表情」「声のトーン」などの非言語的コミュニケーションを併せて使用すると、より情報が伝わりやすくなります。
介護のコミュニケーションを円滑に行うには、信頼関係を築くことが大切です。相手が求めていることを理解し、寄り添う姿勢が求められます。また、相手によって求めていることは異なるため、それぞれ対応を変える必要があるでしょう。
以下に細かく解説しますのでご参考ください。
「話を聞いてほしい」「意見がほしい」など、求めていることによって対応が変わります。
たとえば、 話を聞いてほしい場合の対応は、できる限り相手の話を遮らないほうがよいでしょう。その上で、ひと通り話をしてもらいます。
適度に相槌をうちながら聞くと、相手もより話をしやすい状況を作り出せるでしょう。話をするだけでストレスが軽減する方もいます。
また、意見がほしい場合の対応は、まず相手が何に対して意見を求めているのかを明確にする必要があります。積極的に質問をし、相手が求めている内容を引き出すほうがよいでしょう。
悩みを明確にした上で意見を伝えると、相手の感じている疑問が解決できる場合があり、求めていることに応えられる可能性があるでしょう。
傾聴と共感は介護のコミュニケーションで重要な技術です。日常から介護記録で用いられやすい言葉ですが、改めてそれぞれの言葉の解釈を以下に解説します。
どちらも相手を中心にして自らの姿勢を示すことが大切です。
聞きたい内容を適切に引き出す質問は、コミュニケーションを図る上で重要です。しかし、高齢者や障がいを持つ方は、スムーズに質問に応えられない方もいます。
聞きたい内容に応じて、次のように質問の仕方を使い分けることが大切になるでしょう。
信頼関係を構築するためには、介護者側の配慮が必要になります。相手や状況に応じてどのように対応したほうがいいのかを考えながら、適切なコミュニケーションがとれるように意識しましょう。
介護現場は、さまざまな人が集まる場所です。病気の症状や後遺症でコミュニケーションが難しい方もいます。
認知機能が低下した人や介護を嫌がる人、興奮している人など、関わり方が難しいケースも少なくありません。
しかし、適切な対処法を身に着けておくことで、難しいケースでもコミュニケーションをとることは可能です。以下に関わり方のポイントを解説します。
認知機能が低下している方との関わりで大切なことは、否定しないことです。たとえ事実と違う内容を話していたとしても、否定せずに話を理解しようとする姿勢が重要です。
以下に、否定しない関わり方のポイントを挙げるのでご参考ください。
否定せずに、まずは理解を示しましょう。そうすることで相手の自尊心を傷つけることなく、安心感を与えることができます。
相手を肯定した上でコミュニケーションを図ることで、円滑に会話ができることもあるでしょう。少なくとも、否定によるストレスは軽減され、トラブルは減少すると予想されます。
介護を嫌がる人や興奮している人との関わりで大切なことは、適切な距離をとって見守ることです。
嫌がったり、興奮状態のときに無理に関わったりしようとすると、余計に相手の拒否感を強めてしまう場合が多いです。特に認知症の方は感情のコントロールが難しく、介護しようとすると急に怒ったり、攻撃的になってしまう方もいます。状況によってはケガを負うリスクも否定できません。
以下に、関わり方のポイントを挙げるのでご参考ください。
距離のとり方や沈黙の使い方も、コミュニケーションでは必要なスキルです。一定の距離を保ち、落ち着いてもらうことも大切な関わり方の1つです。
落ち着いたところで距離を縮めるようにしましょう。
コミュニケーションスキルは技術を学ぶことによって向上できます。以下の実践的な技術を意識することで、より円滑なコミュニケーションができるでしょう。
経験を重ねることで、より個別性の高い対応が可能になります。ぜひ、以下のポイントを実践してみてください。
相手に話の内容を理解してもらうために有効です。「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」の順序で話すと、情報を明確に伝えることができます。
ただし、認知機能低下のある方は、話の情報量が多くなると混乱しかねません。端的に「誰が」「何を」など、適切でわかりやすい情報量を順序立てて話すことが大切です。
順序や情報量を整理してから話すことで、相手も内容を十分に理解でき、話しやすくなります。
寄り添う気持ちを示すための有効な方法です。たとえば「家族が来ない」と訴えている方に対して「来られないですね、不安ですね」というように、相手の言葉を繰り返すことで、相手の感情に共感した姿勢を示せます。
相手が「不安」「喜び」「悲しみ」などの感情を表出しているときは、相手の言葉を繰り返し、気持ちへの共感を示すことで信頼関係を築きやすくなります。
相手との信頼関係を深めるために有効な方法です。本当は話したいことが多いのに、なかなか話せないという高齢者も少なくありません。
聞く姿勢を持ち、相手に示すことで、話を受け入れる雰囲気が作られます。また「そうですか」「それは大変でしたね」などの相槌を打ったり、適度に反応することで、理解や共感を適切に示すことが雰囲気作りのために大切になります。
本音を言い出せる関係性は、信頼関係を強めることでしょう。
介護職としての経験が浅かったり、初対面の利用者と会話したりする場合、話題がなく気まずい雰囲気になることがあるかもしれません。
コミュニケーションが上手く取れないと、なかなか信頼関係を築けません。ここでは、会話の切り口として使える話題を紹介しますのでご参考ください。
「桜がきれいに咲きましたね」「今日は青空で気持ちいいですね」など季節や天気の話題は、その場の状況を共有できるので話しやすいテーマです。
「桜」「青空」など、目で確認できるものは、わかりやすく伝わりやすいです。
職員間でも「おはようございます。今日は良い天気ですね」と挨拶の後に一言付け加えるだけで、会話が始まるきっかけを作りやすい便利な話題です。
目に見える環境に加えて、気温や湿度など、状況を共有できる内容を会話のきっかけに活かすのもよいでしょう。
「出身地はどこですか?」「趣味は何ですか?」など、利用者に関わる話題に触れると、会話の内容が広がります。
パーソナルな話題に共感を示すことで、利用者に「あなたのことを認識している」という安心感を与えられるでしょう。
ただし、パーソナルな話題に触れられることを嫌う方もいます。会話する方の性格や、お互いの関係性などに十分配慮する必要のあるテーマです。
ニュースで取り上げられている事件や世界情勢などの時事ネタも会話を広げるきっかけになります。
時事ネタやスポーツネタを通して利用者と意見を交わしあうと、自然とお互いの考え方を共有できます。
「流行っていること」は、利用者から話題を振られるケースもあるでしょう。あまり社会情勢などについて話せない場合、信頼関係を築きにくくなるかもしれません。
世間の情報に関心を持ち、自らの考えを示せるように準備しておくこともコミュニケーションにおいて重要です。
ただし、政治や宗教など、敏感なテーマについては踏み込みすぎないように気をつけたほうがよいでしょう。ふとした会話内容が相手を傷つける可能性があります。
コミュニケーションが上手くいかないと感じたら、以下の点を意識して軌道修正を図るとよいでしょう。
質問をした後に、返事を急かすことのないようにしましょう。余裕を持った対応は、安心感と考えをまとめる時間を相手に与えられます。対応できる時間が少ないときに話しかけられた場合は「今時間がないので、〇〇ごろ伺ってもよろしいですか?」と具体的な時間を伝え、焦って対応しないように注意し、余裕を持った対応を心がけましょう。
相手の興味のない内容の会話をした場合、なかなか話も弾みません。利用者に直接、趣味や関心事は何か質問して話題を見つけることもひとつの方法です。それ以外にも、自宅や部屋に飾られているものや身に着けているものなどについて質問をするのもよいでしょう。パーソナルな空間にあるものは、本人の興味のあるものである可能性が高いです。「これは何ですか?」と質問すると、利用者から色々な話が聞ける場合があります。共通の事柄を見つけることができれば話は弾み、よいコミュニケーションが図れます。
利用者と時間を共有しているとき、常に会話を続けなければいけないということはありません。何も話さずに一緒にいる場所を共有することも、相手に寄り添う方法のひとつです。沈黙の中、自然と利用者から話をしてくれることもあり得ます。沈黙もコミュニケーションのひとつの方法と捉えるとよいでしょう。
介護におけるコミュニケーションについて解説してきました。さまざまなコミュニケーションの技術やポイントがありますが、相手を理解しようとする姿勢が最も大切です。
会話や傾聴などのコミュニケーションは、相手を理解し、信頼関係を築いていくための手段にすぎません。
介護者が相手のことを理解し、不安や要望に寄り添う姿勢を見せることで、本当の信頼関係を築きやすくなります。
コミュニケーション技術を有効的に活用し、相手をよく理解しながら対応するようにしましょう。
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