介護の研修の種類は?|認知症基礎研修・初任者研修・eラーニングや資格の内容

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更新日:2024/03/27

介護には様々な資格・研修があり、施設によっては資格取得が義務になっている場合もあります。ここでは、介護施設に勤務するスタッフのスキルアップ・キャリアアップに役立つ研修や資格の種類をピックアップし、紹介しています。

介護現場で必要な研修の種類とは

介護現場では技術や知識などのさまざまなスキルが求められるため、いくつか受けておきたい研修があります。

施設の種類によっておすすめの内容は異なりますが、おもに以下は介護関係の仕事であれば受けておきたい研修です。

  • 介護職員初任者研修
  • 介護福祉士実務研修
  • 認知症介護実践者研修

ここではそれぞれの研修内容について詳しく解説します。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)

介護職員初任者研修とは、介護の仕事に求められる基礎的な知識や技術を身につけられる研修です。介護現場で働いてすぐの新人だけでなく、経験がない方でもこの研修を受講できます。

介護職員初任者研修は、介護の基本的な知識・スキルや認知症への理解など、計130時間分のカリキュラムが組まれています。

これらのカリキュラムを修了したのち、修了試験に合格すると資格の取得が可能です。

介護職員初任者研修を取得しておくと、介護現場でできる仕事が増える、就職・転職の際に優遇されやすくなるなどのメリットが得られます。

介護職員初任者研修を受けるには、各地域にあるスクールへの通学、あるいは通信講座の2種類があります。

介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)

介護福祉実務者研修とは、さらに幅広い知識・技術を身につけ、介護士が質の高いサービスを提供できるようにするための研修です。

介護職員初任者研修と比較すると、医療的ケアをはじめとした実践的なスキルを身につけられるのが特徴です。さらに研修科目も大幅に増え、計450時間の受講によって修了となります。

介護福祉実務研修を取得することで、収入のアップや転職時の優遇、勤め先の信頼獲得などのメリットがあります。

そして「介護福祉士」の受験資格を得られるため、さらなるキャリアアップを目指す方にはおすすめの資格といえるでしょう。

介護福祉実務者研修を受ける方法も、スクールによる通学講座か通信講座の2種類あります。

認知症介護実践者研修

認知症介護実践者研修とは、認知症に関する基礎的な知識・スキルを学ぶための研修です。介護現場では認知症の方と関わる機会が多いため、こちらの資格も取得しておくと良いでしょう。

認知症介護実践者研修の受講資格と受けるための場所は、各都道府県によって異なります。

場合によっては2年以上の認知症の方に対する介護実務経験が必要になることもあるので、事前に確認しておきましょう。

認知症の基礎的な知識や技術の実践などのカリキュラムを受講し、報告書を提出すれば修了です。

認知症介護実践者研修を取得しておくことで、認知症の利用者へ適切なサービスを提供しやすくなり、家族や職場からの信頼性向上につながります。

介護に関連する主な資格

資格がなくても介護施設で勤務できる場合があります。しかし、キャリアアップ・スキルアップしたい方は介護に関する資格の取得がおすすめです。

ここでは、介護に関する代表的な資格について解説します。

介護福祉士

介護福祉士とは、介護に関する資格のなかで唯一の国家資格です。

介護に関する専門的な知識を保有し、身体や精神の障害を持った方に対して適切なサービスを提供できる証でもあります。

介護福祉士を取得することで、通常の介護士よりもできる仕事の幅が広がり、待遇や信頼も獲得しやすいメリットがあります。

介護福祉士を取得する方法は以下のいずれかの通りです。

  • 3年以上の実務経験を積む
  • 養成施設を卒業する
  • 福祉系の高等学校を卒業する
  • 経済連携協定(EPA)コースを選択する

EPAコースとは、介護福祉士を目指すインドネシア人やベトナム人などの方のためのコースです。これらの方法を選択したのちに、筆記試験・実技試験に合格すれば取得ができます。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

ケアマネジャーとは、要介護認定のある利用者の相談やケアプランの作成などのマネジメントを行う資格です。

ケアマネジャーは居宅介護支援事業所・特別養護老人ホームなどの介護施設・地域包括ケアセンターなどで働くことができるのが大きなメリットです。

ケアマネジャーは、年に1度定期的に開催される介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を受けることで資格を取得できます。

受験資格を得るには、介護福祉士や社会福祉士などの介護に関する国家資格を持ったうえで、5年以上の業務経験が求められます。

そのため、国家資格を持っていない方は、まずは介護福祉士をはじめとした資格の取得が必要です。

レクリエーション介護士

レクリエーション介護士とは、利用者に対するレクリエーションの企画力や実行力を身につけるための資格です。この資格を取得することでレクリエーションの質向上、バリエーションの増加などのメリットがあります。

また施設やほかの介護職員にとっても、レクリエーションのノウハウを得られるきっかけにもなるでしょう。レクリエーション介護士は「1級」と「2級」の2種類に分かれており、受験の条件や取得方法が異なります。

それぞれの資格の取得方法は以下の通りです。

【2級】

  • 受験要件:誰でも受験可能
  • 取得方法:通信講座または通学講座を受講したのちに、筆記試験と添削課題に合格する

【1級】

  • 受験要件:レクリエーション介護士の2級を取得している
  • 取得方法:通信講座または通学講座を受講したのちに、実技試験と筆記試験に合格する

通学する場合、日本アクティブコミュニティ協会が認定している施設・機関に行く必要があります。

参考:レクリエーション介護士2級 通学講座 開講一覧(2023年10月23日確認)

その他介護の現場を支える資格

先ほど紹介した資格以外にも、以下のような直接的・間接的に介護現場を支える資格もあります。

  • ケアクラーク
  • 介護予防運動指導員養成講座
  • ガイドヘルパー
  • 福祉用具専門相談員
  • 福祉住環境コーディネーター
  • 重度訪問介護従業者
  • 難病患者等ホームヘルパー

こちらの資格に関しては、自分のキャリア像にあわせて取得を検討するのが理想的です。

ここではそれぞれの資格について詳しく解説します。

ケアクラーク

ケアクラークとは、介護事務を行ううえで必要な基礎知識やレセプト業務などのスキルを保有していることを認める資格です。

おもに介護の事務処理や介護サービス関連の書類作成、レセプト業務など、裏側から介護施設を支える仕事に役立ちます。

そのため、ケアクラークは介護サービスに関係のあるさまざまな職場で活躍が期待できます。

ケアクラークを取得するには技能認定試験の合格が必要です。特別な受講資格はないため、誰でも受けられるのが特徴です。

介護予防運動指導員

介護予防運動指導員とは、介護予防のためのプログラムを作成し、運動指導することで高齢者の生活をサポートする専門家です。

体操や筋力・体力をつけるためのトレーニングを指導するのがおもな仕事です。

介護予防運動指導員の取得によって、デイサービスや病院だけでなく、スポーツセンターやジムなどでも活躍の場が広がることもあります。

この資格を取得するには、「介護予防運動指導養成講座」の受講が必要です。全3日間のカリキュラムを修了し、試験に合格すれば取得が可能です。

ガイドヘルパー(移動介護従事者)

ガイドヘルパーとは、加齢や病気・ケガによって1人で外出するのが難しい方に付き添って、移動をサポートする仕事です。

ガイドヘルパーとして活躍できる職場には、訪問介護や福祉施設、公的機関などがあげられます。

ガイドヘルパーの資格は以下の3種類に分かれており、それぞれサポートする対象が異なります。

  • 同行援護従業者養成研修:視覚障害の方が対象
  • 全身性障害者ガイドヘルパー養成研修:車イスの方が対象
  • 行動援護従業者養成研修:知的・精神障害者が対象

共通して、ガイドヘルパーの資格の取得には決められた講座を受講する必要があります。受講資格は各市区町村によって異なるので、取得を検討する方はあらかじめ確認しておきましょう。

福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員とは、利用者が介護保険サービスで福祉用具を検討する際に、適切なものを選定できるようにアドバイスする資格です。

福祉用具専門相談員の資格を活かし働ける職場は、福祉用具貸与・販売事業所や介護福祉用品売り場などがあげられます。

福祉用具専門相談員の資格を取得するには、「福祉用具専門相談員指定講習」を受講して、その後の修了評価試験に合格する必要があります。

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や身体に不自由のある方に対して生活しやすい家屋環境を提案する専門家です。

資格の取得によって、利用者のニーズに対して、適切な福祉用具や生活方法の提案ができるようになります。

介護現場の多くの場面で活躍できるだけでなく、自治体や行政の立場からでも住環境についてのアドバイスができるようになります。

福祉住環境コーディネーターの資格を取得するには、検定試験の合格が必要です。

また1級から3級までの3種類に分かれており、1級に近づくほど信頼性が高まり、仕事で優遇されやすくなるでしょう。

重度訪問介護従業者

重度訪問介護従業者とは、重度の障害を抱えている方に対する介護の知識や適切なサービスを提供するための資格です。

この資格の取得によって、重度の介助レベルの利用者に対して対応しやすくなるため、訪問介護としてできる仕事の幅が広がります。

重度訪問介護の取得には「重度訪問介護従業者養成研修」を終了する必要があり、受講資格に制限はありません。

難病患者等ホームヘルパー

難病患者等ホームヘルパーとは、難病を抱える方に対して自立した生活を送れるようなサポートができる資格です。この資格を取得することで難病に対する理解が深まるだけでなく、就職の有利になるメリットがあります。

難病患者等ホームヘルパーが活躍できる職場は、訪問介護事業所や介護施設など、難病に関わる機会が多い場所があげられます。

段階に応じた難病患者等ホームヘルパー養成研修を修了することで取得ができ、その内容は以下の通りです。

  • 入門講座
  • 基礎課程Ⅰ
  • 基礎課程Ⅱ

「基礎課程Ⅰ」では、介護福祉士や介護職員初任者研修、「基礎課程Ⅱ」では実務者研修などの資格が求められます。

デイサービスで活かせる研修・資格の種類

デイサービスで必要になる、または活かせる研修・資格の種類は以下の通りです。

介護場面で活かせる資格

介護場面で活かせる資格は、以下の通りです。

  • 介護職員初任者研修
  • 介護福祉士実務者研修
  • 介護福祉士
  • 認知症介護実践者研修
  • 認知症介護基礎研修

これらの資格は介護を行ううえでの基礎的、あるいは実践的な知識・技術を習得できます。

また、令和3年度の介護報酬改定により3年間は経過措置期間でしたが、無資格者がデイサービスで働く際には「認知症介護基礎研修」が必修となります。

受講が義務付けられる対象者は、すべての介護サービス事業所で直接介護に携わる無資格の従業員です。認知症介護基礎研修は「eラーニング」でも受講ができるので、事業所内でも簡単に資格の取得が可能です。

参考:認知症介護基礎研修 eラーニングシステム(2023年10月23日確認)

機能訓練・レクリエーションを行う場面で活かせる資格

機能訓練やレクリエーションの場面で活かせる資格は以下の通りです。

  • レクリエーション介護士
  • 介護予防運動指導員

デイサービスでは、入浴や食事、体調管理だけでなく、機能訓練やレクリエーションの実施も重要な要素の1つです。それぞれの資格を取得することで、利用者に対してより質の高い運動が行えるようになるでしょう。

介護現場で求められるスキルとは?

資格や研修によって知識・技術を得る機会は多い一方で、コミュニケーションと接遇マナーについて勉強することは少ないでしょう。

介護現場では以下のようなスキルも求められます。

  • 感情のコントロールとコミュニケーション
  • 他職種連携コミュニケーション
  • 接遇マナー・クレーム対応

このように、介護スキルだけでなく、コミュニケーションスキルも並行して勉強する必要があります。

これらのスキルは個人での勉強に任せるのではなく、民間の研修を開催している機関に委託して、継続的に学習してもらうことがおすすめです。

段階に応じて行うべき研修の種類

研修は一律で行うのではなく、キャリアにあわせたものを選択することが大切です。ここでは段階に応じて行うべき研修の種類を解説します。

キャリア別研修

習得している知識や技術、キャリアにあわせて研修内容を分けていきます。ほとんどの場合は施設ごとにオリジナルの研修内容を用意していますが、自治体で行っているケースもあります。

また、施設内だけで十分な学習ができない場合は、民間の研修を活用する方法もおすすめです。

キャリア別研修では、おもに以下の段階にあわせて内容を変更します。

  • 新入職員研修(新卒・中途)
  • 中堅職員研修
  • リーダー研修
  • 管理者研修

このように、キャリアによってどのような内容を勉強すべきなのかをよく検討したうえで研修を開催しましょう。

ケア・ハラスメント研修

近年の社会問題や意識向上にあわせて、以下のような研修の重要性も高まってきています。

  • セルフケア研修(全職員向け)
  • ラインケア研修(管理者向け)
  • ハラスメント研修

これらは他の研修と同じように、仕事をするうえで重要な内容なので、定期的に実施することが理想的です。ケア・ハラスメント研修を施設内で作成するのが難しい場合は、外部の機関を活用しましょう。

資格の取得・研修の実施でスキルアップを図ろう

介護に関する資格の取得、研修の実施は自身のスキルアップにつながり、サービス提供の質が向上するきっかけとなります。

民間のものも含めて、デイサービスにも活かせる資格はたくさんあります。

スキル・キャリアアップしたい方は、どの資格が今の仕事に活きるのかを考えたうえで、受講を検討してみましょう。

また、資格は仕事に活かすためのものであり、取得することだけを目的としないように注意してください。今回の記事を参考にして、どのような資格・研修があるのかをチェックしてみましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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