介護現場のDX化は実際どう?デイサービス管理者の実体験
運営ノウハウ
2024/11/06
運営ノウハウ
ICT活用
更新日:2024/08/28
AIの発達が目覚ましい昨今、介護業界でもAIの活用について注目を集めています。利用者・従業者ともによりよい生活やサービス提供ができるよう、AIの最新情報に触れておくのがベストです。この記事では、現在のAIの動向や具体的事例、期待される効果について解説しています。
この記事の目次
AIとは、アーティフィシャル・インテリジェンス(Airtificial Intelligence)の略称です。
上記2つの意味を掛け合わせた言葉であり、日本語では「人工知能」と訳されることが多いです。
現時点では、AIや人工知能に明確な定義は存在していません。
一般的には、人間の言葉の理解や認識、推論などの知的行動をコンピュータに行わせる技術を指します。
AIは機械でありながら、学習する能力が備わっているため、人間が指示を送らなくても情報を分析し、自動で判断することが可能です。
AIは業務の効率化を図るためにも、様々な分野において活躍が期待されています。
介護の現場においては、介護職の人材不足や高齢化に伴う介護難民などの課題が多く存在します。
介護業界でうまくAIを活用できた場合、業務の効率化や利用者への質の高いケアの提供が期待できるでしょう。
以下では、介護業界の課題を振り返りながら、実際にAIを活用した際に得られるメリットについて解説していきます。
まずは、介護業界の抱える課題を振り返ってみましょう。
介護業界は少子高齢化や医療技術の進歩に伴い、介護を必要とする方が増えたことにより、多くの課題に直面しています。
その中でも大きな課題は、介護職の人材不足です。
介護需要は増加する一方で、十分な人員を確保できていない介護施設も少なくありません。
さらに介護難民と呼ばれるケースも増加しており、介護を必要とする人が適切なケアを受けることが難しいケースも増えつつあります。
また、平均寿命の延伸に伴い高齢者の介護需要が増大し、求められる介護ニーズが多様化・高度化していることも課題としてあげられます。
今後、これらの課題に対し適切な対策が取られなければ、将来的に介護サービスの質の確保や十分なケアの提供が難しくなる可能性があるでしょう。
そのため、介護業界では効果的な人材確保策やAIの活用を含むサービスの多様化など、様々なアプローチが求められています。
介護業界の人材不足に関しては、以下でも詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
▶介護業界の人手不足の原因|5つの手段と採用対策・定着成功事例・解消方法
介護業界におけるAIの活用は多くのメリットをもたらします。
特にメリットとしてあげられるのは以下の5つです。
介護業界では、高齢者の介護需要が増加し、介護職の人材不足が深刻化しています。そのため十分とは言えないスタッフ数で介護サービスを提供している施設も少なくありません。
介護サービスに関する数多くの書類作成業務は、スタッフの負担となり利用者へ適切なサービスが行き届かない要因となり得ます。
AIシステムを活用することで書類作成をはじめとする事務作業が軽減され、スタッフと利用者が関わることができる時間を増やすことができるでしょう。
また、AIが搭載されたロボットを活用することにより、身体的な介護業務負担を軽減することも可能です。
人材不足が深刻な介護業界でのAI活用は、介護職員一人ひとりの負担を減らし、より質の高いケアに専念できる可能性を秘めています。
厚生労働省は2013年よりロボット介護機器の開発・導入促進に戦略的に取り組んでおり、開発の早い段階から現場のニーズの伝達や試作機器の実証などを行ってきました。
介護施設において利用者の観察や見守りができるAI機器に関しては、令和3年度介護報酬改定にて「見守り機器を導入した場合の夜間における人員配置を緩和すること」が認められています。
見守り機器とは、内蔵されているカメラが人工知能を搭載したセンサーと連動し入居者の動きを迅速に察知できるツールです。
見守り機器を導入することで、利用者の動向や健康状態(体温や心拍数など)を24時間把握できます。
こういった機器の適切な使用は、スタッフの負担軽減や危機管理強化へとつながるでしょう。
また、AIを使ったデータ管理システムは、利用者の健康状態や行動情報などを客観的に分析しスタッフ間で共有することで、的確な介護計画の立案につながるといったメリットがあります。
このようにAI活用は、介護業界の課題解決に向けた効果的な手段として期待されています。
以下に実際の介護現場で導入されているAI機器を紹介します。
AIが搭載されたツールで動画撮影をすることで、誰でも専門的かつ適切に利用者の動作分析が行えます。
測定方法は利用者が片脚立位を行っている動画をカメラで撮影するだけで完了します。
高齢者の転倒予防にはバランス評価が推奨されています。なかでも片脚立位での評価は省スペースかつ短時間で測定できるため、AIが搭載された機器を用いることで利用者の身体機能をより簡易的に把握できるでしょう。
片脚立位をAI搭載ツールで動画撮影することで、利用者のバランス機能を簡単かつ適切に評価できます。
動作分析の結果を元に、機能訓練目標や運動プログラムの立案に活用することで、利用者の自立支援にも役立ちます。
▶AI動作分析ソフト「Rehab Cloud モーションAI」について知りたい方はこちら
AIを搭載したコミュニケーションロボットは、利用者との直接的なコミュニケーションや利用者同士の会話のきっかけ作りにも活用されています。
ロボットの種類によっては、100人以上の顔や声を識別し、情報を記憶することができます。
会話をする介護ロボットを導入することで、現場のスタッフ以外でも利用者が会話を楽しむ環境を提供できるなど、職員にとってもメリットがあるでしょう。
AIが搭載されたコミュニケーションロボットは、絶妙な受け答えで利用者の心を和ませたり、予想を超える応対や動きを見せて驚きや笑いをもたらします。
ケアマネジャーが行う業務の中でも、ケアプランの作成は個別性が重要視されており、時間がかかる傾向があります。
ケアプラン作成補助システムは、時間のかかるケアプランの作成を支援するシステムです。
ケアマネジャーの業務負担が軽減されることで、利用者のフォローアップがきめ細かくできるきっかけとなるでしょう。
また、ケアマネジャーが一人でケアプランを作成する場合は、内容が主観的になってしまうことも少なくありません。
AIによるデータの分析が行われるケアプラン補助システムを活用することで、過去のデータから適切なプランを判別することができます。
送迎補助システムは、施設利用者の情報を考慮した送迎ルートの作成支援を行います。
介護施設の送迎は、施設からの距離や車いす利用の有無、利用者が乗車可能な車種など様々な条件を考慮した送迎計画が求められます。
中規模〜大規模な施設では、スタッフが送迎計画を立てる場合、複数の利用者の送迎ルートを決定するまでに時間を要するでしょう。
送迎補助システムを活用することで、事前に入力した情報を元にAIがルート予測を代行してくれるため、スタッフの負担軽減につながります。
介護ロボットの活用が介護業界の人材不足に対して役立つと期待されています。以下に介護ロボットの活用事例を紹介しますのでご参考ください。
移動介助をアシストするロボットを紹介します。
移動介助ロボットは様々なメーカーで開発が進められていますが、現時点では以下の2つの性能や用途に分けられます。
その名の通り、利用者の自立歩行をアシストする目的の歩行器型ロボットです。
搭載されているセンサーが利用者自身の力や推進力を判断し、必要に応じてパワーアシストが得られます。また、坂道や傾斜などの路面状況を感知し利用者の体勢が不安定にならないように制動できる点も大きな特徴です。
歩行アシストロボットを活用することで、歩行能力が低下した高齢者の方でも、安全な歩行の継続が期待できるでしょう。
高齢者においては転倒が生活上の大きなリスクとなります。
介護現場においても、利用者が安全に歩くことができるように見守りを行っていますが、そこに人員が割かれてしまうため全体的な業務の負担に直結しかねません。
AI搭載の巡回型ロボットは、3Dビジョンを搭載しており、AIを活用して顔や姿勢を検知することができます。
また、ロボットにアームが搭載されていることでドアの開閉やエレベーターボタンを押すことができ、ロボット単体で施設を巡回することも可能です。
搭載されたAIによって、周囲環境などを学習できるため、介護現場における環境の変化にも対応することができます。
介護現場においてAI搭載の巡回型ロボットは、利用者の見守りや転倒した方への迅速な対応、物品(日用品や食事)の運搬などでの活躍が期待されるでしょう。
介護スタッフが行う移乗介助をサポートするロボットもあります。
介護現場では、移乗介助が必要となる場面も多く、介護スタッフの身体的な負担になります。
以下に移乗支援を行うロボットについて、体に装着するタイプとそうでないタイプの2種類をご紹介します。
介護スタッフが装着することで、介助の際に機器からパワーアシストを得るタイプのものです。
スタッフの体に装着するため、スペースの限られた場所でも使用することができ、従来の介助方法でありながら、より少ない力で移乗介助ができるというメリットがあります。
非装着型は、設置工事などが不要です。
機器を使用することで利用者の移乗介助の一部または全ての動作を行うことができます。
介助者が1人で使用できるように設計されているため、人員を割かなくても安全に移乗介助が行えることがメリットとなるでしょう。
しかし、装着型と比較して大きく場所をとることがデメリットになります。たとえば、富士機械製造株式会社の移乗サポートロボットHugT1は、タイヤが付いており移動できるものの、要介護者の上半身を支える部分の付いた大きな歩行器のような形をしており、スペースが必要です。
様々な人工知能が搭載されたシステムや介護ロボットの開発が進んでいる一方で、介護業界の介護ロボットの導入率は未だ少ないのが現状です。
介護業界の介護ロボット導入における課題について、以下で詳細を解説します。
介護ロボットの単価が高額であるため、コスト面が課題となり、導入に踏み切れないケースが多くあります。
総務省の調査では、介護現場で介護ロボットを活用することへの前向きな回答が半数を超える結果となっていますが、現状では多くの施設で導入には至っていません。
一方で、国は介護ロボットの普及事業として、各都道府県に設置される地域医療介護総合確保基金を活用した介護施設等に対する介護ロボットの導入支援も行っています。
介護ロボットや、AIが実際の介護現場にどのような変化をもたらすのか、をイメージできていない介護職員や経営者が多いことも課題としてあげられます。
介護ロボットの開発や販売に関わる会社は、情報の発信だけでなく介護施設への営業も行っていますが、現状では介護ロボットやAI技術への認知度は低いです。
介護ロボット普及事業として、厚生労働省は介護現場でのニーズの把握を行い、その情報をもとに開発業者と連携を強化しています。
導入を検討している施設は、可能であれば実際の現場で試行的に活用していくことで職員の理解を深められるでしょう。
介護ロボットが介護の現場で普及しない要因の1つに、介護ロボットが臨機応変な動きができないことがあげられます。
利用者への身体的な介護は一人ひとりに求められる動作が異なります。
移乗介助を例にあげると、車いすの位置を調整する・利用者へ介助をするタイミングで声がけを行う・移乗後に衣服を整えるなど、いくつか配慮するべきポイントが存在します。
まだ単独の介護ロボットが人間と同じようなパフォーマンスで、さまざまなポイントを抑えながら移乗介助を行うことはできません。
補助的に介護ロボットの活用が期待される場面は多く存在しますが、人の手と同様の介護はできないため必要性を感じないという方も少なからずいるでしょう。
今回は介護業界におけるAIの活用について、活用した際のメリットや導入事例について解説しました。
介護は人を相手にする仕事であるため、ロボットや人工知能では十分な支援ができないと考える方も少なくありません。
しかし、AIができることを理解し補助的に活用することで、介護業務の負担軽減や利用者の満足度向上につなげられます。
特に、ケアプラン作成補助や見守り機器、送迎補助システムは、実際に活用している施設も多く存在します。
今後より高齢化が進む日本では、AIの可能性を見出しうまく活用していくことが求められるでしょう。
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。
記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。
運営ノウハウ
2024/11/06
運営ノウハウ
2024/11/06
運営ノウハウ
2024/11/05
運営ノウハウ
2024/11/05
運営ノウハウ
2024/10/31
運営ノウハウ
2024/10/31