介護現場のDX化は実際どう?デイサービス管理者の実体験
運営ノウハウ
2024/11/06
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更新日:2024/04/11
デイサービスの運営を安定させるためには、ケアマネジャーから利用者を安定的に紹介してもらうことが必要になります。とはいえ、どのような基準でケアマネジャーがデイサービスを選ぶのかを把握するのは難しいですよね。あるいは、どのような営業や営業トークが効果的かや、見学にきてもらう際にどういった点に配慮したら良いかを理解するのは困難だと思います。そこで、今回は現役ケアマネジャー3名に利用者を紹介したいデイサービスについて本音で話し合ってもらいました。ぜひ、今後の利用者獲得の際の参考にしてください。
この記事の目次
有限会社プロビジョン 居宅介護支援事業所ainote
小川正俊様(主任ケアマネジャー)
ケアマネジャーの資格取得後は、グループホーム管理者兼ケアマネジャーとして従事した。居宅での支援に興味を持ち、事業所の開設をサポートする形で居宅での支援に関わるようになった。相談支援専門という形で障害者関連のマネジメントにも関わっており、福祉全般を幅広く経験している。
社会福祉法人筑南会新つくばホーム指定居宅介護支援事業所
髙宮朋美様(主任ケアマネジャー)
大学で栄養学を専攻し管理栄養士を取得。食品会社、研究機関などを経て病院、老人保健施設の管理栄養士となる。介護保険開始初期にケアマネジャーの資格取得。デイサービス、グループホームの責任者や、小規模多機能型居宅介護の立ち上げなどを経験。現在はケアマネジャーとして従事する一方でケアマネ向けの食事アセスメントのセミナーや、メディアへの出演などマルチに活躍する。
株式会社Gourd ケアプランひさご
加島恵美様(主任ケアマネジャー)
20代から、10年間デイサービスの介護職、相談員、管理者を経験する。ケアマネジャーの資格取得後は幅広く福祉を学ぶため特別養護老人ホームのケアマネジャーとして従事。現在は居宅介護支援事業所で在宅の高齢者と関わっている。
ーー今までの経験から「このデイサービスは紹介しやすかった!」「あのデイサービスはよく利用者を紹介した」など、魅力あるデイサービスの特徴を教えてください。
髙宮様(以下敬称略):欲しい情報を的確に知らせてくれて、連携がスムーズにとれるデイサービスです。たとえば、利用者の状態報告も「変わりありません」ではなく、「その日はどんな風にすごしていた」「何をしていた」など、些細な変化でも情報をくれると助かります。
どんな利用者でも、生活のなかで微妙な変化があります。家族が知らせて欲しいのはそういう何気ない情報なんです。
加島様(以下敬称略):たしかにこまめに情報提供をしてくれると助かりますよね。私の場合は、事業所の特徴がわかりやすいデイサービスは紹介しやすいと感じています。
利用者は「食事が美味しいところがいい」「運動がしたい」など、当然ですがさまざまなニーズを持っています。事業所によって「外出に力を入れている」「週末も営業している」など、特徴がわかっていると利用者のニーズにも応えやすいです。
また、「突出した特徴がない」のもひとつの特徴だと思っています。家族のニーズとして「日中のお世話をお願いしたい」「この時間だけ見ておいてもらいたい」と思っている方もいます。地域のなかで飛び抜けた特徴がなくても、バランスよく「ただ安心して過ごせる場所を提供する」というのも売りになりますよね。
小川様(以下敬称略):確かに特徴がないのも売りになりますね。とはいえ、やはり特徴がわかりやすいデイサービスは紹介しやすいですよね。
職員が家族や利用者のニーズをしっかりと把握してくれるデイサービスもありがたいと感じます。
デイサービスによっては、契約時から利用者の細かいニーズを引き出して、「どのような形で利用するか」を本人や家族へ提案をしてくれるところもあります。そういったデイサービスは、利用者からも好評で「利用回数を増やしたい」といった要望もあるほどです。
あとは、デイサービスの体験や見学を実施してくれる事業所は、利用につながりやすいですよね。
高宮:ニーズは大切ですね。デイサービスは在宅生活の一部ではありますが、自宅ではありません。家にいるときにはわからない利用者の思いや、細かい動作などを上手にキャッチしてくれる事業所は素敵だなと思いますね。
ーーケアマネジャー視点で、人気のあるデイサービスにはどのような理由があると思いますか?
高宮:ケアマネジャーからの提案、デイサービス側の提案も含めて「スムーズな対応力」は、大切だと思います。
事業所によっては、利用者や家族の訴えに対して各事業所の裁量で判断できることであっても「ケアマネの許可がないと判断できません」と、対応するところもあります。
もちろん、事業所からすれば難しいケースもあるかもしれません。ただ、「次に来たときはこのように対応してみます」といった感じで、積極的に利用者へのサービスを提案してくれるとケアマネ側としては大変助かりますね。
加島:対応がスムーズなのは嬉しいですね。あとは、本人の要望をその日のうちに報告してくれる事業所はありがたいです。
「買い物にいきたい」「外出したい」など、ちょっとした本人の要望は、ケアマネジャーのアセスメントやサービスの調整につながります。方法は報告書や電話でもかまいません。
小川:間違いないですね。追加すると、家族・本人としっかりコミュニケーションをとってくれている事業所もありがたいと感じますね。
特に、サービス提供にあたる支払いに関しては、ご家族にもしっかり理解しておいて欲しい事柄です。
当然、こちら側も説明はしていますが、「金銭面も考慮して利用回数が増えても大丈夫か」を直接やり取りしてもらえているとケアマネジャーとしても助かります。
ーーデイサービスをケアマネジャーに見学してもらい理解を深めてもらうことは可能ですか?また見学する際のポイントがあれば教えてください。
高宮:基本的に、利用者へのサービス提供前、サービス利用時、私はどちらの場合でもデイサービスを見学したいと思っています。ただ、昨今は感染症の影響もあり難しいのが現状です。
新規事業所の場合、内覧会には参加していますね。そのなかで特に注意しているのは「動線」です。席の配置、トイレ、お風呂への移動はどうするかなど利用者の立場になり確認しています。
また「入口で靴はどうやって履き替えるのか」「イスに座った目線でスタッフの動きは気にならないか」など、実際の利用を想定しながら見るようにしています。
加島:私も内覧会にいくときは設備を見ますね。
あとは、スタッフの人柄も気にしています。特に相談員の方は密にやり取りするので、コミュニケーションが取りやすいかどうかが大切です。事業所のルールを最優先して、利用者のニーズに歩み寄りがない方だと紹介しても大丈夫だろうかと不安に感じてしまいます。
介護保険を遵守するのは当然で、事業所の決まりごとも大切です。ただ、利用者のなかにはルールにしたがって動かない方もいます。
決まりごとと、利用者ニーズの折り合いのなかで、柔軟に歩み寄りがあると嬉しいですね。
小川:すごくわかります。補足すると、私は食事も大切だと思っています。利用者のなかには食事のコスト、栄養バランスを気にされている方も多いんですよ。
実際に食事が原因でデイサービスを変える方もいるので、質に対してコストはどうかを見るようにしています。ただ「値段に対して質が良ければいい」という話ではありません。
利用者のニーズにどこまで応えてくれるか、どのような提供体制かなど、ケアマネジャーとして、食事の情報を知っておきたいという意味です。
ーー見学をしていない施設を勧める場合は、どういったことを判断材料にされますか?SNSやホームページをはじめとしたWebサイトはみていますか。
高宮:ケアマネジャーからの情報や、利用者からの評判は判断材料として大きいですね。パンフレットから情報を得る場合もあります。ホームページについてはいただいたパンフレットの写真が古いものがあるので、私は確認的な意味でチェックしています。
加島:私はホームページよりブログを見ています。レクリエーションや日々の取り組みなど、温度感がわかりやすいからです。イメージを共有するために利用者と一緒に見ることもありますね。
ーーここまでを踏まえて、担当する利用者からデイサービスを利用したいと依頼をされたとき、事業所を選定するポイントがあれば教えてください。
高宮:これまでの話に加えて、まずは利用者が何を求めているか、利用者ニーズが大切ですよね。そのうえで事業所によって規模や雰囲気が異なりますので、本人に合うかどうかを考えます。ただ、原則としてあくまでも選択するのは利用者ご本人であることを忘れてはいけません。
加島:私も同じ意見です。利用者のニーズをしっかり聞いてくれて、個人を大切にしてくれる事業所なら嬉しいですかね。
ただ、ニーズを聞いたうえで事業所内だけで対応できないこともあると思います。「ここまではうちのデイサービスでできる」「ここから先はホームヘルパーにお願いしたい」とか、多職種連携も踏まえて一緒に考えてくれる事業所だと嬉しいです。
ーーデイサービスがケアマネジャーに挨拶や営業に伺うのに適した頻度、一番いいタイミング・来てほしくない忙しい時期があれば教えてください。
高宮:難しいタイミングでいうと、私は朝と夕方は忙しいことが多いですね。時期的にいうと、月初はレセプトがあるため対応が難しい場合もあります。
逆に月の中旬は時間の調整がしやすいです。ただ、日中は離席していることも多いですし、営業する側もわざわざ挨拶のためにアポイントを取る方もいないですよね。そこはタイミングを気にせず、ダメ元で来てもらえればいいかなとは思います。
加島:私は完全にテレワークで事務所にはいません。営業といっても、電話かパンフレットを事務所に預けてもらうぐらいになりますかね。
実際、テレワークをしているケアマネジャーも増えているので営業方法もそれに合わせていただくしかないでしょうか。
小川:私は、少し違って夕方頃に来てもらえると嬉しいですかね。サ高住などのケアマネジメントもしているので、日中は外出しているためです。おふたりが仰ったとおり「都合のいい時間」は事業所によって異なりますかね。
タイミングよりは、営業の雰囲気や、要点をわかりやすくコンパクトに伝えることを重視してもらえばと思います。
ーーケアマネジャーと関係構築のため、営業のコツなどがあれば教えてください。
小川:私は、営業に来られた方の「人柄」「雰囲気」を見ています。具体的には仕事以外のこと、雑談に近い内容を話しやすい方だと信頼関係が築きやすいです。
逆に、仕事のために機械的に営業に来ている方は苦手ですかね。私もデイサービスの管理者のときに営業を経験しているので、無理に営業している方は雰囲気でわかってしまいます。
また、ご挨拶のときに「そこのデイサービスで働いていて楽しいですか?」を聞いていますね。そこで、営業に来られた方が楽しんでいない場合、その事業所が楽しいはずはないと思っています。
高宮:人柄はありますよね。私はコンパクトに必要な内容を伝えてもらえるとありがたいです。時間的に対応が難しいこともありますし、すべてを伝えようとしても要点が理解しづらいこともありますので。
また、事業所に特別なアピールポイントがない場合でも「利用者の年齢層」や「のんびり過ごせる」など、事業所の雰囲気、利用者の傾向だけでも伝えてくれるとわかりやすいですかね。
ーーデイサービスがケアマネジャーに営業するときに持って行ったほうがいい情報やツール、逆に不要なものはありますか?
加島:空き情報は必要ない情報ですかね。事業所の利用状況は変わりますし、必要に応じてケアマネジャー側も確認します。
あとは、細かな部分で送迎範囲は知りたいと思っています。以前、同じ事業所内でショートステイとデイサービスの送迎範囲が異なり、サービスを調整するのに困ったことがありました。事前にどこまでいけるのかわかるようにしてもらえると助かりますね。
高宮:送迎範囲ですか。すごくわかります。それと、資料についてですが、料金表は家族へ説明するときに絶対に必要なため、いただきたいですね。
ケアマネ視点でいうと、単位数とあわせて「どのような加算なのか」加算体制を記載している資料も欲しいです。提供表を作成するとき必要になるため、あると嬉しいです。
利用者に説明するときは、数字が必要なのだと思いますが、ケアマネに渡す資料にはそちらも書いてあると親切だと思います。
小川:私もおふたりとほぼ同じ意見です。あとは「どの介助レベルまで対応してくれるか」ですね。
「介護度1〜5まで対応する」と資料に記載している事業所でも、家庭環境、介助レベルなどによっては断られることもあります。
必要に応じて事業所に問い合わせていますが「寝たきりの方の受け入れは難しい」とか事前にわかればサービスを調整しやすいですかね。
高宮:わかります。「お風呂は一般浴しかない」「リフト付きの送迎車がない」など、インフラ部分にはなりますが、どこまで対応してもらえるかは大切ですよね。
あとは、医療的な部分でどこまでできるかは知っておきたいです。たとえば、デイサービスでも経管栄養でもできるという事業所もあります。
できないことが悪いわけではありません。ケアマネジャーとしては、できないことを事前に知らせてくれるとサービス調整のときに助かります。
ーー今までのお話から「されて嬉しい営業活動(方法)」と「されたくない営業活動(方法)」「紹介しづらいデイサービス」を教えてください。
高宮:事業所の特徴をしっかり教えて欲しいです。そのうえで、お互いに時間的に余裕がない場面もあると思うのでコンパクトに伝えてもらいたいと思います。
加島:営業に来たときに端的に伝えてくれるのは嬉しいですね。すでに利用者を紹介しているところなら、利用者の情報をこまめに共有していくれるところはありがたいです。
営業に関しては、「関係性を構築できる人かどうか」は大切ですね。なかには押しの強い方もいますが、雰囲気や人柄はこちらも見ています。最低限の節度は守っていただけると、こちらも信頼関係を築きやすいと思っています。
小川:紹介しやすいのは、利用者のニーズに対して一緒に対応を考えてくれる事業所ですね。ケアマネジャーとしても利用者の個別性にあった事業所を紹介したいと思っています。
売上だけを考えて「うちはここまでしかやりません。」というだけではなく、制度のなかで利用者の細かなニーズに配慮してもらえると嬉しいです。
ケアマネジャーも社会資源を探すなかで制度の壁を感じることもあります。そこを一緒に考えてくれる事業者がいるとすごくありがたいですよね。
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