介護職のための身だしなみチェック!NG例も解説【接遇マナー】

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更新日:2024/10/30

介護分野は仕草や対応をよく見ている高齢者と接することが多く、接遇(マナー)を重要視しており、身だしなみ(外見)を整えて第一印象をアップが効果的です。身だしなみを整えることは、その仕事に対するプライドであり、介護の仕事に対する責任感です。清潔感、健康的、安全で機能的、TPOなどの接遇向上のチェック表を参考に接遇マニュアルを作成したり研修したりしてみてください。

介護での接遇 職員の第一印象はご利用者にとっては施設のイメージ

介護での接遇 職員の第一印象をみんなでアップしているイラスト

接遇というと個人の問題だと思われがちですが、スタッフ一人の印象は施設の印象にもなり得ます。特に施設に関わるのが初めてだったり、病気や怪我、加齢、容姿の衰えなど、不安がいっぱいのご利用者にとっての第一印象のインパクトは大きく、その後の関係性にも影響を及ぼします。

不安を取り除き、安心して関わっていただくためにも、第一印象をアップさせるポイントを意識して見ましょう!

介護分野の接遇(マナー)の重要性

介護分野の接遇(マナー)の重要性

接遇やマナーは、飲食やホテルなどのサービス業で知られている言葉でしたが、最近では病院や介護現場での研修としても取り組まれることが多くなりました。「接遇」という言葉には、「人と接する」+「もてなす」という意味が含まれています。また「マナー」とは、自分以外の誰かと共通の空間を過ごす時に必要になる「振る舞い」のことを意味します。つまり、お互いが心地よく過ごすための「想いやりの気持ち」と「行動」といえます。接遇マナー

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介護での接遇向上のため第一印象をアップさせるための身だしなみ(外見)

介護での接遇向上のため第一印象をアップさせるための身だしなみ(外見)

接遇や第一印象を考える時、身だしなみは大切な要素です。施設によっては、頭髪基準や服装基準などを定めているところもあると思います。接遇の研修などを開いて各自に意識してもらうことも大切ですが、施設としてのふさわしい身だしなみをチェック表などにして示すことも効果的かもしれません。

接遇マナーにおける身だしなみとは

身だしなみとはどういう意味でしょうか?
身だしなみとは、職業人としてふさわしい外見のことです。プライベートでは流行のファッションや髪型をしても、職業人としてはおしゃれや個性ではなく、清潔感があり、安全に仕事ができ、その場面にあっている服装をしていないと、初めてお会いする方の第一印象は心配や不信感が強くなり、気持ちよく接することができません。

介護の場合には、多くの施設で接遇や衛生的観点からユニフォームや制服を導入していますが、その着こなしや清潔感なども含めて身だしなみです。

身だしなみを整えることは、その仕事に対するプライドであり、介護の仕事に対する責任感です。
 

身だしなみで第一印象をアップさせる方法

身だしなみは職業人としてふさわしい外見のことですが、職業によりふさわしい外見は異なります。介護の仕事でも事務系の仕事と、入浴介助などの直接介護を行う仕事ではふさわしい身だしなみは異なります。

そこで、ふさわしい身だしなみを考える時のポイントをご紹介します。バランスよく取り入れて身だしなみを整えてみてください!

接遇で大切な 清潔感のある服装や頭髪などの身だしなみ

接遇的にも衛生的にも介護分野での身だしなみでは清潔感が大切です。

清潔感には髪の毛の長さやヒゲや鼻毛など顔に関わることや、服装・服のシワ・汚れ、手の衛生、靴の汚れ、臭いなどがポイントになります。

誰でも不潔なものからは離れたい気持ちになります。近年は個性が尊重されて頭髪や髪型などは昔に比べると強制力はなくなってきていますが、仕事をする上では「清潔感」は意識した方が良いです。髪が長い=不潔という訳ではありませんが、手入れをしていない髪、寝癖やベタつき、介助を行う時に相手に髪の毛が当たってしまうほどの長さ、目が隠れてしまうほどの長さなどは避けましょう。

接遇で大切な 健康的でしっかりとしてそうな身だしなみ

相手に良い印象を与えるために、健康的であることは重要です。特に介護の仕事では、元気がないご高齢者や、病気で辛い方などをお相手することが多くなります。

健康的な印象を与える身だしなみが大切な理由は、相手が不健康そうだと

例えば、髪がベタベタしてそうだったり、シワシワでよれよれの服を着ていたりすると、「生活習慣が乱れてそう」「いいかげんな人だろうな」という人物像を想起してしまい、スムーズなコミュニケーションがしにくくなります。人間の中身は第一印象だけではわかりませんが、誰でも第一印象から「この人はきっとこんな感じの人だ」というイメージをして探っていきます。健康でしっかりしてそうな身だしなみだと、頼りになりそうというイメージが湧き、好意的に接してもらいやすくなります。

接遇で大切な 安全で機能的な服装・装飾

体を使う仕事、お金を扱う仕事、医療的なケアをする仕事など、介護の仕事にも色々な仕事あり、その仕事ごとに服装や装飾品に求められる機能は異なります。

お金を扱う人がいかにも看護師という印象の白衣を着ていると相手は違和感を感じますし、小綺麗なブラウスにスカート姿で介護をしていても妙な印象を与えます。

スカート姿では、機能的にスムーズな介護や介助ができないことは容易に想像ができます。介護の仕事では、基本的にはみんなユニフォームを着用していると思うので、服装の第一印象は施設全体の印象として認識されます。こんな服装で仕事するのか…という違和感がなく、働くスタッフも働きやすい服装を設定していきましょう。仕事ごとに機能的に適した身だしなみがあるため、接遇的にも相手が自然に受け入れやすい服装をすることを推奨します。

接遇で大切な 状況に応じた身だしなみ(TPO)

接遇のマニュアルなどでは、身だしなみとして化粧や口紅、香水などをTPOに合わせて気をつけることが指導されています。時と場合に応じて仕事に適した身だしなみに整えましょう。

TPOとは少し異なる例ですが、介護をするスタッフがネームプレート(名札)は施設でどのようなルールにしているでしょうか?身だしなみを考える時、施設全体で名札の形や名札の位置を決めていると思います。例えば首からブラブラとぶら下げていることがあります。接遇的な観点で言えば、スタッフが名札をつけていることは相手に安心感を与えますが、実際に排泄や移乗などの介護・介助をする時には名札は邪魔にならないようにしないと相手の方に不快感を与えるかもしれません。このように場面に応じた配慮も接遇では大切です。

介護では入浴介助の時の服装についても接遇やマナーとしてどう考えるか話題になります。入浴介助の時にはハーフパンフなどを着用するケースが多いですが、その時の色やルールなどは基準を設けても良いかもしれませんね。

TPOとは

TPOとは、Time(時間)、Place(場所)、Opportunity(場合)の頭文字をとって略したものです。もともとアパレルブランドのVANが考案した概念で、時間・場所・場合に適した服装をしましょうという意味合いで使われます。服装だけでなく、態度やマナーなどについてもTPOをわきまえましょうという使われ方になってきました。

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介護の仕事での接遇向上のための身だしなみチェック表

接遇で気をつけたい身だしなみのチェックリストをまとめました。

項目内容
清潔髪型、ヒゲ、鼻毛、眉毛、服装・服のシワ・汚れ、手の衛生、靴の汚れ、汗など
健康的爪、寝癖、化粧、フケ、タバコの匂いなど
安全で機能的メガネ、ポケット中身、ペンの数、靴、指輪、ピアス、バッグなど
TPOユニフォームの着こなし、名札、ボタン、カーディガンなどの上着など

接遇向上のために、身だしなみマニュアルなどを作る時には、今回紹介した4点を意識してバランスよく作成すると良いと思います。

具体的な身だしなみ例

介護職員は利用者に直接触れることがある職業であり、清潔感と適切な身だしなみが重要です。ここでは、介護職員に求められる具体的な身だしなみについて説明します。

髪型

  • 清潔で整っていること
  • 長い髪はまとめる(ポニーテールやお団子)
  • 前髪が顔にかからないようにする
  • 髪染めは派手な色を避ける

  • メイクはナチュラルで清潔感を保つ
  • 無精ひげは剃る
  • 強い香りの香水や化粧品は避ける

服装・靴

  • 施設指定の制服を着用し着崩さない
  • 動きやすく、汚れに強い素材の服装
  • 靴は滑りにくく、つま先が隠れる安全なもの(スニーカーやナースシューズ)
  • 制服は毎日清潔に保つ

装飾品

  • 指輪、ネックレスなどの装飾品は基本的に外す
  • 長い爪やネイルアートは避ける
  • 時計はシンプルで作業に邪魔にならないもの

その他

  • 必要に応じてマスクを着用し、口元の清潔を保つ
  • 常に笑顔で丁寧な言葉遣いを心がける

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こちらの記事もご覧いただき、デイサービスなどの介護施設、看護師、病院などで、接遇マナーについて研修したりマニュアルを作成していくときにご参考にしていただけますと幸いです。

 ▶︎【完全保存版】デイサービス経営改善・運営・営業戦略・ITツール・実地指導・接遇に関する記事まとめ|随時更新
経営や運営に関する記事を一挙にまとめていますので、該当する記事を読んでいただき少しでも参考にしていただけたらと思います。

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この記事の著者

作業療法士  大久保 亮

リハビリ養成校を卒業後、作業療法士として、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。その後、要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。また、日本介護協会関東支部局副支部長を務める。

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