介護現場のDX化は実際どう?デイサービス管理者の実体験
運営ノウハウ
2024/11/06
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ICT活用
更新日:2024/04/26
高齢化率が世界でダントツ一位の日本。医療技術の進歩や健康意識の向上により、今後ますます人々の寿命は延びていくでしょう。同時に介護サービスの需要も増えていくことが予測されます。しかし、厚生労働省の試算では2040年度には69万人もの介護人材が不足するそうです。現状では、解決する目処は立っていません。果たして介護の現場は今後どのようになっていくのでしょうか。今回は、有限会社リハビリの風にて施設部門の管理責任者として勤務する阿部洋輔さんに介護業界の将来予測と未来のデイサービスの在り方についてコラムを寄稿してもらいました。
この記事の目次
【今回の話者】
有限会社リハビリの風・施設部門管理責任者:阿部洋輔
脳性麻痺という障害を抱えた弟がきっかけで医療介護業界の道に進む。一般病院、訪問リハビリ、デイサービスなどでの勤務を経て、現在は有限会社リハビリの風で施設部門の管理責任者として勤務。
現在、日本の高齢化は加速度的に進行していますが、今後もその傾向は続く見込みです。「令和2年版高齢者白書(内閣府)」によれば、2042年には高齢者人口がピークに達し、その後も一定の数を維持すると予想されています。高齢者の増加は、医療技術の進歩や健康意識の向上により、人々の寿命が延びることが主な要因です。高齢者人口の増加に伴って、ケアと支援の需要はさらに拡大するでしょう。
高齢者人口の増加が進む中で、介護人材不足が深刻な課題となっています。長寿化と低出生率の影響により、高齢者のケアと支援の需要は伸び続けています。それにも関わらず、介護サービスを提供するために必要な人材の供給は追いついていません。2040年度には69万人もの介護人材が不足するという予測もあります。
政府や介護業界は、介護人材不足の解消に向けた取り組みを行っています。介護職員の待遇改善や資格取得の支援、外国人労働者の受け入れ拡大や介護ロボットの導入など、人材不足を解消するための新たな手段も模索されています。しかし、介護人材不足が解決するような状態に至っていないのが現状です。ではこの状況を変えうる革命的な技術はないのでしょうか?
2014年、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らによって発表された『雇用の未来ーコンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文の存在は多くの人が記憶しているのではないでしょうか?その内容は20年後までに人類の仕事の約50%が人工知能ないしは機械によって代替され消滅すると予測したものでした。当時、人間の仕事が奪われるというネガティブな面が注目されていたように記憶しています。
それから10年近く経過しましたが、介護業界においては、AIやロボットの導入に対して依然として懸念や抵抗感が存在します。技術に対する不信感や過度な自動化によるサービスの低下を心配する声は今も挙がっています。これは、介護の重要な要素としての「人とのつながり」や「思いやり」が技術によって置き換えられてしまうという不安が背景にあると感じます。
しかし、介護の現場においてもAIやロボットの活用は進んでおり、その効果も実証されつつあります。介護において人間の温かさは重要な要素だと思いますが、技術が提供できるサポートや効率化の面にも目を向けていく必要があるでしょう。人と技術が共存することで、より質の高いケアが提供できる可能性があることを忘れてはなりません。
日本はロボット文化やテクノロジーへの関心が非常に高い国ではないでしょうか?ロボットアニメやロボット工学の研究など、日本には長い歴史を持つロボット関連の産業や文化が存在しています。
「ガンダム」
「鉄腕アトム」
「ドラえもん」
これらを日本人で嫌いな人はいるのでしょうか?
私はドラえもんが仕事を奪ってくれるなら、喜んで渡したいと思っていますし、人間とAIやロボットが全面対決をするというような悲観的な未来は想像したくありません。
現在の日本の介護業界では、ロボット導入による成功事例が増えています。例えば、高齢者の運動補助や認知機能の刺激を行うロボットの活用が試みられています。また、介護施設におけるロボットの受け入れや、高齢者の自宅でのロボット利用の普及も進んでいます。これは、介護業界が新たなテクノロジーを積極的に取り入れている証拠だと思います。
将来の介護業界では、さらなる技術の進化が予想されます。AIの進歩により、高齢者の声を理解し、感情に寄り添うことができるコミュニケーションロボットが登場するかもしれません。また、ホームセンサーやウェアラブルデバイスを活用したモニタリングシステムが一般的になり、高齢者の健康状態をリアルタイムに把握することも可能になるでしょう。
介護業界におけるAIやロボットの活用は、様々な形で介護サービスの向上と効率化に寄与します。例えば、高齢者の移動や排せつのサポートを行うロボット、食事の配膳や服薬管理を行うAIシステムなどが開発されています。これらの技術は、介護者の負担を軽減し、高齢者の生活の質を向上させることが期待されます。
人とAIが共存する介護業界では、介護者の役割が変化し、きっと新たなチャンスが生まれるでしょう。介護者は高度な技術の活用によって、より専門的なケアや人間らしいコミュニケーションに注力することができます。また、AIの開発や運用に関わるエキスパートや技術者の需要も増えることで、介護業界への新たなキャリアパスが開拓されるかもしれません。
高齢者増加時代において、介護人材不足の解消と高品質なケアの提供には、人とAI、ロボットの共存が必要不可欠です。もう新しい技術の導入に対して拒否感を持つような段階ではありません。AIやロボットを積極的に導入し人と共存することによって、介護業界は効率化と質の向上を実現できる一方で、人間の温かさと思いやりは重要な要素として保たれます。日本のロボット文化や技術への関心が背景にあることもあり、介護業界も更にうまく変化していけると信じています。将来のデイサービスでは、人とAI、ロボットが協力し合い、高齢者の生活の質を向上させる「共存」モデルが当たり前になることでしょう!
デイサービスを含めた介護業界の課題に対して「介護職員の人数を充足させることで解決する」ということを諦めるところから人とロボットの共存時代が始まるのかもしれません。
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