介護現場のDX化は実際どう?デイサービス管理者の実体験
運営ノウハウ
2024/11/06
運営ノウハウ
経営
更新日:2024/01/09
コロナ感染をきっかけに、デイサービスの経営不振が問題視されています。しかし、本当にコロナだけが原因なのでしょうか。今回は、さまざまな介護事業所で経営マネジメント支援を手がけている株式会社ねこの手代表取締役の伊藤氏をお招きし、「デイサービスで稼働率や売り上げが上がらない原因」と、「選ばれる介護事業になるにはどうすれば良いのか」について解説いただきました。 2024年の介護報酬改定に向けて、デイサービスに何が求められているかについても詳しくお話いただきましたので、組織づくりを見直す機会としてご活用いただきたいと思います。
この記事の目次
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株式会社ねこの手 代表取締役
伊藤 亜記
1998年、介護福祉士を取得し、老人保険施設で介護職を経験し、ケアハウスで介護相談員兼施設長代行を務める。 その後、大手介護関連会社の支店長を経て、「ねこの手」を設立。 現在、旅行介助サービスや国内外の介護施設見学ツアーの企画、介護相談、介護冊子制作、介護雑誌の監修や本の出筆、セミナー講師、TVコメンテーター、介護事業所の運営・営業サポートなど、精力的に活躍中。
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こんにちは。株式会社ねこの手代表取締役の伊藤と申します。私自身も介護現場で26年間働いており、「選ばれる介護事業所とは何か」という問いに従い、大手介護企業での現場経験を積んだり、訪問介護管理責任者兼施設管理者、介護タクシーの事業を手掛けたりと、さまざまな介護現場の課題に直面してきました。
株式会社ねこの手は18年前に設立し、現在まで全国の介護事業所などの研修やさまざまな会社や地域立ち上げのアドバイスをしております。相談いただくなかで、コロナ禍において「稼働率が下がってしまった」、「お客様が休みがちになり困っている」などの声がよく挙げられます。コロナの影響が緩和した今でも、経営のモチベーションが上がりにくい状況も続いており、深刻な問題です。本セミナーでは、今後デイサービスがどのように経営していけばよいのか具体的な事例をあげてお話していきます。
東京商工リサーチの調査の結果、上記のような経営不振、休業、さらには倒産してしまった老人福祉・介護事業所が相次ぎました。デイサービスへの影響も大きく、利用控えによる稼働率や売り上げが上がらない状態が問題視されています。
しかし、稼働率や売り上げが上がらない原因はコロナだけの問題ではないのです。コロナ禍で浮き彫りになったBCP対策、介護人材の不足などが最たる例でしょう。この問題が発生している背景はなんなのか。私は、介護業界に長く浸透している組織体制が稼働率・売り上げが上がらない原因ではないかと、ここでお伝えしたいのです。
まずは、稼働率・売上が上がらない原因について、具体的によくある失敗例を用いて説明しましょう。
まず、ヒアリングが十分できておらず、お客様のニーズに沿ったサービスを提供ができていない可能性があります。よく言われるのが、歌を歌ったり、塗り絵をしたり、脳トレをしたりと、そうしたレクリエーションを「つまらない」と感じるケース。皆さまの施設ではお客様の「自分が求めるサービスを受けたい」「居場所を見つけたい」という声を聴取できているでしょうか?
もし、定員に対して顧客人数が到達していない場合は、サービス内容を見直す必要性を考慮してみましょう。
感染予防のためと、コロナ禍で営業や担当者会議の出席を差し控えていたケースがありますが、本当にコロナだけが不参加の原因なのでしょうか。私は、コロナを言い訳とし、担当者が本来の役割を果たしていないように思います。
では、想像してみてください。もしあなたがケアマネジャーの立場だったら、担当者が来ない状況をどう思うでしょうか?「きっとあの事業所はいつも人手不足で、サービスの質にも問題がありそうだな」と心配になりませんか?担当者会議へ参加や営業もせず、地域とのつながりを怠ってしまうと、いくら自社でよいサービスを提供していても、マイナスイメージが広まってしまうでしょう。
仮にサービス担当者が会議に参加できない状況であれば、介護職員が参加してもよいのです。コロナを言い訳にせず、適切なサービス提供のために、地域のつながりは大切にしましょう。
ケアマネジャーへ通所介護計画書やモニタリングの内容が共有できていないケースもよく目にします。そもそも、計画書の見直しができておらず、共有できる状態ではないのかもしれません。しかし、通所介護計画書更新の時期は短期目標の満了時、そして加算をとっているサービスにおいては3ヵ月に1回とルールが決められているはずです。ルールに則り、再アセスメント、書面の再作成、ケアマネジャーに提出するというプロセスは遵守しましょう。これは、サービスを提供する身として、当然の義務だと思います。
また、ケアマネジャー側にも通所介護契約書の共有を求められるというルールがあります。ですから、ケアマネジャー側が法令遵守違反にならないように、私たちは通所介護契約書などをきちんと共有していかなければなりません。地域の担当者と連携し、定期的に意見を求めながら、介護サービスの質を改善していきましょう。。。
最近では、ICT化に伴い、計画書やモニタリングなどの帳票が読みやすい書式に改善されています。今まで手書きだった部分が伝わりやすくなれば、ケアマネジャーからも「お客様にご紹介したいと事業所」だと、認められるきっかけになりますので、ぜひ、ICT導入をご検討ください。
ここまで、よくある失敗例についてご説明してきましたが、それらを踏まえて、デイサービスが成功するためのポイントを以下の5つの視点にまとめて紹介します。
人材獲得はやはり質の高いサービスを提供するために、必要不可欠。加えて、職員が長期間働きやすい職場環境を整える必要があります。サービス視点でも、担当者がコロコロ変わってしまうような環境ではお客様も安心できないですよね。
介護労働管理センターが公表している直近のアンケート結果では、「なぜ今の職場を選んだか」という質問に対して、「仕事の内容・やりがい」「雇用の安定性」「職場の人間関係、コミュニケーション」が上位に上っています。
例えば、人間関係について。誰かが自信のない表情をしていたとき、「大丈夫?」と声を掛け合える環境やわからないことがあった時にすぐ質問できる環境であれば、働きやすさにつながるのではないでしょうか。これはどのような仕事であっても大切なことですが、介護現場において、特にコミュニケーションが不足するような職場環境はお客様の苦情や事故に直結するため見逃せないポイントです。
つまり、人間関係やコミュニケーションの円滑さは、末長い定着率、働きやすい環境のために欠かせないポイントです。また、雇用が安定しないとお客様が増えない、稼働率が上がらない、ついには資金繰りが難しくなり、事業所が閉鎖してしまう可能性もあります。職員が働きやすさや、やりがいを感じる職場づくりに注力することは稼働率を上げるためにも重要です。
次に、地域の人材獲得の状況を知ることも大切です。今、介護サービスにおいて地域貢献を兼ねた勉強会やSNSの活用が人材獲得に求められています。最近ではInstagramやTikTokなどのさまざまな手法を用いて、自社サービスの個性を試行錯誤してPRされています。介護業界は人手不足で現場の仕事が忙しく、PRにかける時間はないと思うかもしれません。しかし、SNSを使った採用活動で成功している会社は増えているのが実情です。他の法人の取り組みの良い点を真似してみて、少しずつでも体制づくりに時間を当ててみてはいかがでしょうか?
自分たちと働きたいと思ってくれる人を集めるためには、自社が頑張っている姿を伝えられるプラットフォームを構築していくことも大切です。
さらに、今働いている職員にヒアリングすることもキーポイントの一つです。働いている職員が「職場を友人や家族に紹介したい」と思ってくれているのであれば、人材獲得だけでなく顧客獲得においても見込みがあると思います。
もし、「うちの職場は人間関係がギスギスしているし、紹介したくないな」「このデイサービスに親が入ったら嫌な思いをするかもしれないな」と思われているとしたら、人材も顧客の獲得にもつながりません。どうしたらお客様に選ばれるのか、どうしたら地域の人が気持ちよく働いていてくれる環境にできるのかを考える機会を作りましょう。。
続いて人材育成について。私が施設管理者さんから職員の様子についてよくお聞きするのが、「職員は何も言わないから、うちは大丈夫だよ」という言葉です。職員が何も言わなければ、本当に問題がないのでしょうか?私が直接、その施設の職員に尋ねてみると、実は心の中で我慢していたり、「どうせ言っても伝わらない」と諦めている現状が明らかになるケースが意外とあるのです。。
ここで、気をつけなければならないのは、相談がないから大丈夫だと慢心してはいけないという点です。管理職をはじめ、先輩職員の皆さんは、新入職員や後輩の様子を気にかけ、大きな不安へ発展しないように声かけを重ねるようにしましょう。。。職員が定着し、一生懸命働けるような人材育成には、そうした日々の気配りこそ大切です。
皆さんの職場では、定期的な研修会を通して、ケアに対する不安や悩みの共有、解決ができているでしょうか?コロナ禍においては、感染のリスクを懸念して研修を完全にストップしている法人もありました。しかし、研鑽を積む時間が全くなければ、職員の皆さんが自信を持ってお客様に対応できる環境とは言えないですよね。
事故や苦情がない体制を作るために、事例検討し、不安を解消することが必要です。最近では、ZoomなどのWebツールを活用した研修も多くありますので、うまく活用してお客様対応に磨きをかけましょう。
また、サービスの質を向上させるには、正職員、非正職員問わず情報共有し、全員が共通認識を持って業務にあたることが大切です。研修においても職場全員が視聴、学習できる仕組みを作るようにしましょう。
人材育成において、業務負担の偏りを見直すことも重要なポイントです。私がある法人へ体制改善のために介入した際、一人の相談員さんに全てのケースの負担がかかっているという問題がありました。日々の利用者様対応だけでなく、各担当者会議の参加も背負い込んでいて、職員同士で業務負担に偏りがあったのです。
その方が優秀だからとの理由で、上長は負担を考えず業務を割り当てていて、他の職員が育たない甘えた組織体制をとっていました。結局、優秀だったその方は業務を引き継いだ後、離職してしまいました。仮に突然辞職するような状況だったなら、組織として成り立たなくなっていたでしょうね。
この事例からもわかるように、誰か一人に負担がかかるような組織体制にならないよう業務負担を定期的に見直すようにしましょう。「あの人がやってくれるから大丈夫!」といった甘えは取り払い、思いやりの気持ちを持つことが大事だと思います。
顧客獲得において、まずは紹介者のニーズを把握することが大切です。お客様やご家族に直接聞くことはもちろん、ケアマネジャーを介したアセスメントやモニタリングで、どのようなデイサービスを利用したいのかをヒアリングする時間をしっかり取りましょう。また、アンケートを定期的にとり、サービスの質の改善に努めましょう。
介護保険法の基準として、年1回以上、質の改善に努めるよう求められています。私がアンケートでよく目にするのは、「同じ活動ばかりやらされてつまらない」「モニタリングの内容を共有してもらえない」とのご意見でした。
サービスの利用中、その活動時間をつまらないと感じている人は表情を見ればおわかりでしょう。しかし、「大半の利用者様が楽しんで過ごせているのなら、つまらないと感じている人がいても仕方がない」と、一意見を野放しにしてしまっていないでしょうか?そのような状況では、サービスの質の改善に向けて全く行動できていません。少数であっても意見を無視してしまっては、お客様のご紹介も減っていくばかりです。
また、モニタリングの共有に関しては、そもそも書類作成の負担により提出が難しいという事業所もあるようです。作業効率に問題があるのなら、ICT化を進め、組織体制を整えることも手段の一つです。
私が視察した二回転型のデイサービスでは、お客様数が膨大で、従来の手書きの書面だと月末処理が追いつかず、月初からモニタリングを作成するという望ましくない動きもありました。
適切なタイミングでアセスメントやモニタリングを行い、それらを基にケアマネジャーなどとコミュニケーションをし、双方に不満がない体制を作ること。そして、ご家族やご本人様が不満を感じているならば、小さな声のうちに不安を解決すること。この2点を念頭に置き、組織の改善点を洗い出しましょう。
続いて、ヒアリングやアンケートで聴取したニーズを基に、サービスの内容の見直しにも取り組んでください。定員数を満たしているから安心ではなく、「お客様の紹介や利用がなくなったらやばい!」と危機感を持ち、サービスの内容を見直す必要があります。
アンケート結果の内容は自分たちにとって耳の痛いことかもしれません。しかし、マイナスな意見に耳を傾けないのは、お客様へのおごりだと私は考えています。既存のお客様に「ずっと通いたいな」「自分の身体を改善できる施設だな」と、安心感を持っていただける組織に育てたいですね。
また、新規でご紹介いただくお客様に対しては、「あそこに行けば、身体が動かしやすくなるよね」と、言われるような選ばれる組織作りが必要です。デイサービスの最大の目的は、在宅の延長線上にあり、機能訓練を提供する場所であることだと思います。
そのためには、基本に忠実に、書面での報告・連絡・相談を惜しまない丁寧な対応が大切です。コンプライアンスやリスクマネジメントも重要視し、ケアマネジャーや関連施設などへ都度タイムリーに報告・連絡・相談できれば、信頼度は高くなります。
後ほど詳しく説明しますが、例えば、お客様から家族へコロナ感染したときの状況。すぐさま連携事業所へ情報共有すれば、訪問看護や訪問介護の職員への感染のリスクを防げます。自分たちのサービス以外のことも都度思いやり素早い対応ができれば、地域で選ばれる事業所へと成長するでしょう。
続いて、コンプライアンスについて。自己点検票をもとに、コンプライアンスの徹底ができているのか、定期的に確認していますか?自己点検票は、3年に1回の介護保険は改定に伴い、変更されます。実地指導、改め運営指導される直前になってチェックするのでは手遅れになるケースがあるので、年1回以上は徹底して実施しましょう。こちらは、各自治体のHPに記載がありますので確認してみてください。
▶︎東京都 指導検査要綱・実施方針・指導検査基準・自己点検票
さらに、コンプライアンスの知識や対応を一部の職員に任せず、職場全体で意識することも大切です。採用選考の際、「介護の経験がない人は一から教えるのが嫌だな」「あの人は無資格だから即戦力にならない」と、介護未経験者を敬遠しがちな声も聞きます。
しかし、さまざまな社会経験を得てコンプライアンスの高い職員が入ってくる可能性がありますし、将来的に管理職になってくれれば、チームとしてコンプライアンス体制を整えられるでしょう。資格や経験よりも人柄や誠実さ、コンプライアンスやリスクマネジメントの考えを持っている人材のほうが貴重です。
中途採用のスタッフに対しては、「経験があるから」「以前もデイサービスで働いていたから」との理由で本人任せにしていませんか?たとえ、以前デイサービスで働いていたとしても、前の職場がコンプライアンスの意識を植え付けているとは限りません。どうか、入職者にも「一から一緒に学び直そうね」という体制を整えてください。
そして、常勤・非常勤問わず、全ての職員にコンプライアンスの重要性を周知徹底してください。正職員だけに研修してもコンプライアンスの意識は浸透しません。
例えば、丁寧なお手伝いを率先して続けるサービスがあるとします。昔は「手間暇をかける介護」が認められていましたが、今では「職員に見張られている」と感じ、利用を控えてしまう現状があります。介護保険の見直しが重ねられ、重度化防止や自立支援という言葉が強調されてきています。
この方針に沿って、前回の改訂から新たにLIFEの導入も始まりました。正しい情報収集や記録をもとに重度化防止や自立支援を目的としたサービスを提供する動きが求められています。こうした法令をはじめ、職場の就業規則や倫理的な知識を、全職員に伝達しより良いサービスへと発展させていきましょう。
最後にリスクマネジメントについても言及しましょう。そもそも、ヒヤリハットとリスクとの区別ができているかも怪しい場合があります。。事故なのにヒヤリハットの報告書に記載し提出したり、その逆も然りです。まずは、職員一人ひとりがヒヤリハットとリスクの意義を理解しているのか確認してください。
前提として、リスクマネジメントは、それぞれの情報が煩雑にならないように気をつけることが重要です。「ヒヤッとしたりハッとしたケースを適切に報告し、事故につながらないようにする」というヒヤリハットを本来の役割を定着させなければなりません。
現場でよく聞かれるのが、「ヒヤリハットを報告すると怒られそうで嫌だな」という声です。私ならむしろ、ヒヤリハットをたくさんしてくれるほうが気づきを与えてくれるので、法人にとってはプラスのイメージを持てます。どうか、ヒヤリハットが月に一件以上必ず報告に上がるような組織体制を目指してみてください。
また、職場環境だけでなく、デイサービスでは送迎時の天候にも配慮が必要です。自然情報なども細かくキャッチしながら、事前にどのような準備をするのか、事故にならないように送迎するにはどうすれば良いのか。以前のヒヤリハットをもとにシミュレーションを重ね、どうか事故を起こさないように、お客様も職員にもに安心安全な職場を目指しましょう。
また、組織全体として過去のリスクが適切に報告・連絡・相談・対応がされていたのか洗い出しにも注力してみてください。過去の事例からどのような対応をすれば良いのか学ぶ機会はたくさんあります。
しかし、過去のヒヤリハットや事故が報告されていなかったり、間違って報告されている可能性もあるかもしれません。介護記録がきっちり記載されていれば、適切なプロセスを踏めるでしょうが、意外とできていない事業所は多くあります。
私が監査に入った際、介護記録を拝見すると、機能訓練の内容しか書かれていないケースを非常に多く目にします。大事なのはケアプランや目標に沿って、どんな関わりをし、その訓練によってどんな効果があったのか、そして自立支援に導けたのか、という内容です。
また、体調の変化、事故などがあった場合の報告はどのよう対処したのか具体的に記しておけば、誤解を招かずに済みます。上長やケアマネジャー、ご家族などへの連絡、その後の支援経過を5W1Hを意識して、不足なく記載するよう徹底してください。
書き残しておけば、事故が起こったとき、適切なプロセスを踏む手掛かりになりますので、リスクの報告書だけでなく、日々の介護記録も丁寧に経過を記載することをおすすめします。さらに、報告書面を共有、承認されたタイミングも時系列に沿って記して置きましょう。きちんと報告したという証明になりますので、経営上の信頼を損なわないためにも欠かせません。
例えば、問題にあがりやすいのが、転倒が起こったときです。「ご本人があまり痛がる様子や庇う雰囲気もない。外傷も目立たない」との理由で受診しないケースが多々見受けられます。しかし、私たちデイサービスの看護師は診断できません。あくまで診断は医師のみです。こうしたリスクが生じた際、ご家族に相談の上、早急に受診するなど、適切な判断ができることは質の高いサービスとして重要だと思います。
繰り返しますが、以上のような、認識を常勤・非常勤問わず、全ての職員に周知させてください。事故につながる可能性をしっかりと教育研修し、リスク管理の精度を高めてくださいね。リスク管理は当たり前のことだと思うかもしれませんが、職場が研修に注力していなければ、個人の裁量に委ねられてしまいます。
また、非常勤職員だと会議等に参加する機会がなく、リスク管理の体制のほか組織としての経営方針が浸透しないことも多々見受けられます。選ばれる事業所とは、良い事例も悪い事例も全ての職員に共有・意見交換し、安心安全のサービスを提供できることに他なりません。
どうか、日頃から組織全体を巻き込んだ経営を意識してみてください。
最後に、将来的に私たちデイサービスの事業所が何に取り組まなければならないのかについてご説明します。
社会保障、財務省から2022年4月に発表された資料によると、今後、デイサービスに関わる介護サービス体制の効率性をアップさせることが求められていることが分かります。その背景には、介護需要の増加に伴い、介護人材の必要数も増大することが挙げられます。しかし、介護人材の獲得には、現場の効率性の向上がとても重要なのです。つまり、これから高齢者が増えていく中で、デイサービスがICTを活用した効率性を図っていかないと、お客様と介護職員の定着にはつながらないと分かっています。
そして、介護給付費の支給は効率的な人員配置と同時に、基本報酬に加えて、高い加算を取得できる体制かどうかにかかっています。もし、基本報酬だけに止まっていれば、職員の給料は増えていきませんし、質の高い介護サービスをお客様に届けるのも困難になっていくでしょう。
加算の取得は、限られた財源で組織を運営するためにも、職員の処遇改善を実現するためにも不可欠です。さらに、業務の効率化と経営の大規模化・協同化においては、ロボット・AI・ICTのような実用性の推進、タスクシフティング、シニア人材の活用推進や文章削減、組織マネジメント改革などを積極的に進めていく必要があると言われています。
そして、経営の大規模化・協同化について。感染症は予防対策していても起こりうる可能性がありますし、通年、自然災害のリスクもあります。その際に、いかに自施設を増やしていくか、または他施設とどう連携していくかが、生き残りにつながってきます。
経営の大規模化・協同化における介護業界の課題は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、前述の失敗例で紹介したようなさまざまな問題が浮き彫りになりました。法人内の一事業所でクラスタが生じ、他の事業所も経営をストップするというケースも見受けられました。
介護事業所は、お客様がサービスを利用できなくなるような状況を防ぎ、お困りにならないように運営することが、地域の中で末長く生き残るために大切です。そして、複合的な介護のニーズが増している高齢化社会においては、感染症やBCP対策に取り組み、持続可能な医療介護サービス体制を構築していくことが不可欠です。
皆さんが、これから考えていかなければならないのは、ロボット、AI、ICT化、多様な人材の活用、そして経営の大規模化・協同化という点です。介護人材が不足する中、こうした効率性を高めながら、少数精鋭の組織づくりが生き残りのキーポイントです。皆さんも肌身で感じているとおり、コロナ感染の拡大を契機に、小規模法人がダメージを受けた背景から、効率化は急務です。組織の仕組み作りを進めれば、結果として稼働率や売り上げがアップし、職員の処遇改善やモチベーションアップにもつながります。
高品質のサービスと少数精鋭で軌道に乗るには、自社内のサービスの見直しと、質の高い介護の追求、さらにはBCP対策などを近隣施設で助け合って取り組めるかどうかが分かれ目になります。お客様が困らないように、そしてニーズに沿ったサービスを提供できるように、地域一体となった組織運営を進めていきましょう。
今回の研修会(セミナー)を図解でわかりやすくまとめた無料のお役立ち資料をRehab Cloud(リハブクラウド)で制作しています。こちらからダウンロードし、ぜひご活用ください。
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。
記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。
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