個別機能訓練計画書|効率的な作成方法・おさえるべきポイントとは
介護保険法
2024/11/06
介護保険法
基本報酬
更新日:2024/09/12
介護記録とは、利用者の様子や提供したサービスの内容など、介護の詳細を書き留めたもののことです。介護記録をもとにコミュニケーションを図ったりケアプランを作成したりするため、記録の取り方や内容はとても重要です。この記事では、介護記録の上手な書き方について紹介します。
この記事の目次
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介護記録とは、介護者側が利用者に提供した介護サービス・利用者の健康状態・経過観察・活動状況など介護に関わる記録の総称です。
介護記録にはいくつも種類があり、必要に応じて作成し、保存しておく必要があります。厚生労働省が定めたフォーマットがないため、各事業所がそれぞれ作成して運用しています。
介護記録の作成と保存は介護保険法によって義務付けられており、書類業務は重要な仕事の一つです。
介護記録における記入項目の例を以下に示しますのでご参考ください。
【通所介護】
送迎の時間 | (事業所への到着時間と事業所からの出発時間) |
---|---|
バイタルサイン | (血圧、体温、脈拍など) |
入浴 | (入浴時間や入浴前後の様子、入浴に関する介護状況) |
食事 | (食事の時間や食形態、摂取した量、食事の様子) |
排泄 | (排尿と排便の回数、リハビリパンツやパッドなどの使用状況、排泄に関する介護状況) |
活動 | (体操や機能訓練、レクレーションなどへの参加状況と利用者様の様子) |
備考 | (普段の様子と違った点や転倒などのトラブルについて) |
【訪問介護】
日付と時間 | (訪問介護を実施した日付とサービス提供時間) |
---|---|
介護員の氏名 | (訪問した介護員の名前) |
身体介護 | (基本的な生活動作に関する介助状況や提供したサービス内容) |
生活支援 | (生活支援に関する提供したサービス内容) |
備考 | (利用者の訴えや要望、ご家族への連絡事項、普段と異なる点) |
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介護記録の重要性と目的について解説します。介護記録は、介護保険法でも必要な書類です。うまく利用することで現場の業務改善にも活かすことができます。
介護記録の目的は、以下の5つです。
介護記録は職場スタッフ間での情報共有を正確に行い、利用者への継続的な介護サービスを実施するために役立ちます。
介護の現場では、一人の利用者に対して介護士・看護師・理学療法士など多職種が連携しており、同じ職種でも複数人が関わる日にちや時間は同一ではありません。
誰が関わっても同じように効果的な介護サービスを提供するためには、以下の情報共有が重要になるでしょう。
また、多職種で介護記録を共有することで利用者の状態やケアの進捗状況を把握しやすくなるでしょう。
得られた情報はケアプランの目標や方針を検討する際に役立つため、質の高い介護サービスを提供しやすくなります。
多職種で多人数が関わる介護の現場において、介護記録は情報共有のツールとして重要な役割があるのです。
介護記録は、利用者やご家族とのコミュニケーションを深めるツールとしても役立ちます。
介護記録は利用者様の生活の証でもあります。施設等に大切な家族を預けている間は「安全に過ごせているか」「誠実に対応されているか」と、目の届かない介護サービスに不安感を持つことは少なくありません。
このような不安を軽減するためには、利用者の日常生活などを正しく詳細に記録し、伝えることが大切です。利用者が「日々をどのように過ごされているか」「どのようなサービスを受けているか」を伝えることで、ご家族も安心して介護サービスに任せることができるでしょう。
また、ご家族に対して利用者の状態を説明する際にも介護記録は有用です。介護記録を参照することで、過去の内容を含めて細かな状態変化を伝えやすくなり、適切なコミュニケーションが取りやすくなります。
利用者やご家族に正しく情報をお伝えすることは、信頼関係の構築に役立ち、コミュニケーションをより深めることにつながります。
介護記録は、介護の内容を正確に記述することで、サービス提供者の仕事内容の証明となります。
介護サービスは形の残らない仕事であり、口頭での説明に証拠能力がありません。介護記録がない場合は、サービス提供をしていないとみなされてしまう可能性があります。そのため、介護保険制度では「サービスの提供の記録」が義務とされています。
つまり、介護現場では自分たちがどのようなサービスを提供したかを証明するために、介護記録を作成する必要があると言えるでしょう。
事故や訴訟などトラブルが発生した場合には、介護記録が法的な証拠書類として重要になります。事故が発生した原因やスタッフの対応が適切であったことを証明するためには、介護記録が欠かせません。
事故などで記録開示を求められた際に、介護記録そのものが無かったり記録内容に誤りや不備があったりすると、行政処分が課される可能性があります。
適切な介護記録は、法的な証拠書類として介護行為を証明します。職員や事業所を守るためにも重要なのです。
質の高い介護サービスの提供のためにも介護記録は重要です。介護記録には、利用者の日々の状態や介護内容、活動状況などの細かな情報が記載されています。
これらは介護に関する重要な基礎情報であり、整理・分析することで日々の状態に合わせた適切なケアプランの作成に役立ちます。
また、利用者の状態変化や目標が達成されているかを分析することで、ケアプランの目標やサービス内容が本当に適切だったか判断する材料となることもあるでしょう。
介護記録をもとにサービス内容を共有し、他職種間で検討することで、より質の高い介護サービスの提供につながります。
介護記録の作成は職員の研鑽にも活用できます。介護記録を作成するためには、業務を振り返ることが必要です。詳細な介護記録は、提供したサービスを考え直す機会を与え、専門性の向上を図る基礎になり得ます。
また、他職員の介護記録を読むことで、工夫したポイントを学ぶことができます。新人教育にも用いることができるため、教育的な側面からも介護記録は重要です。
介護記録を上手に活用することで、職員の専門性や技術向上に役立ちます。
介護記録は複数の人が読むため、誰が読んでもわかりやすいことが重要です。ここでは、介護記録の基本的な書き方について解説します。
5W1Hとは、「when(いつ)」「where(どこで)」「who(誰が)」「what(何を)」「why(なぜ)」「how(どのように)」の頭文字をとった言葉です。
情報を5W1Hに沿って整理することで、状況や物事を明確かつ具体的に伝えることができます。
5W1Hを意識することで情報をわかりやすく、誤解なく伝えられます。その時の状況が具体的にイメージできるような書き方をすることが重要なポイントです。
【記載例】
14時ごろ、ドンという音がしたため訪室する。居室に入ると、Aさんが本人のベッドの右側の床に座り込んでいた。すぐに職員が「大丈夫ですか?」と声をかけるとAさんから「トイレに行こうとしたら、立ち上がれなくて倒れた」と返答があった。 Aさんは「痛みは無い」と答えた。内出血などは見られなかった。14時30分にリーダーとケアマネジャーへ申し送りをした。ぶつけた箇所は不明であり、頭部を打った可能性もあるため、当日中にご家族から主治医に連絡をしていただくことになった。
客観的な事実とは、利用者の行動や発言、職員がどのような対応をしたかなどを指します。介護記録を作成する際は主観的な表現を用いず、客観的な事実を記載することが重要です。
主観的な表現とは介護者の憶測や感想などのことを指します。
たとえば「レクリエーションを楽しんでいました」という表現は、介護者の主観であり本当に楽しんでいるかは本人でないとわかりません。
この場合は「笑顔で参加された」などの表現が事実を述べる形になります。主観的な表現があると、正しい情報が伝わらず、読んだ人に誤解を与える可能性があります。
客観的な事実のみを記載することで簡潔で短い文章となり、読みやすく正確な介護記録になります。
この場合は「『のどが渇いた』と利用者が訴える。お茶を用意したところ約200cc摂取した。」といった表現が客観的な事実をもとにした文章といえるでしょう。
介護現場では頻繁かつ定期的に利用者に関わる場面があります。ここでは、それぞれの介護場面ごとに介護記録の例文を紹介します。
12時20分の昼食時、Aさんはご飯を二口食べたが、その後は手が止まっていた。声をかけると「入れ歯が合わなくて、固いものを食べると痛い」と訴えた。本人の了承を得て、ご飯をおかゆに変更すると「食べやすい」と言われ、完食した。
14時、Aさんが車椅子から何度も立ち上がり、ソワソワする様子が見られた。「トイレに行きましょう」と声をかけ、トイレへの移動を促した。トイレでおむつを確認すると、パット内に排尿がみられたため、新しいパットに交換した。トイレ内での排尿は見られなかった。
2時頃、Aさんが何度も居室から出てこられ「息子はどこ?」と不安な様子であった。本日はお泊りであり、明日帰宅予定である旨を都度お伝えした。事務所で10分程お話すると落ち着かれ、笑顔も見られた。再度Aさんを居室に誘導し、ベッドで横になることを勧めた。その後、朝までベッドで休んでいた。
介護記録を作成することは重要な仕事の一つですが、利用者ごとに作成する必要があるため、負担感は大きくなりやすいでしょう。
そのため、準備や工夫によって効率化を図り、業務負担感を軽減することが大切になります。
効率的に介護記録を書く準備や工夫として、以下があります。
効率的に介護記録を書くため、業務中に起こったことをメモに残すことが大切です。
介護現場で業務に追われ、各利用者の状態や提供したサービスの詳細を忘れてしまう可能性は十分に考えられます。
まとめて介護記録を書こうとすると、思い出すための時間が必要となり、非効率的です。また、思い出せない事柄があるなど、介護記録が正確ではなくなります。
介護記録に記載すべき事柄や印象に残った出来事に関しては、その場でメモをするようにしましょう。
メモを見返すことで詳細がわかる状態にしておくと、思い出す過程がなくなり、負担感じの軽減や記載時間の短縮が図れます。
また、メモをとることで詳細に情報を思い出しやすくなるため、質の高い介護記録が書けます。
テンプレートの作成は介護記録をスムーズにし、負担感の軽減に役立ちます。
介護現場では、食事・入浴・排泄などは頻繁に関わる場面です。よくある場面ごとにテンプレートを作成しておくことで、記載時間の短縮が図れます。
しかし、利用者の状態や行動は環境などによって大きく変わることがあります。無理やりテンプレートに当てはめるのは避けましょう。
以下にテンプレートの例を紹介します。
文章を書くのが苦手な方は、どのように表現したらよいかわからず、記録する手が止まってしまうことがあるかもしれません。
そのような場合、介護記録に使いやすい表現をストックしておくことで、記録作成がスムーズに行えます。毎日実施する食事や排泄などに関しては、場面ごとに使用する表現を書き留めておきましょう。
また、上司や先輩など介護記録の作成が上手な人の表現や言葉を真似するのも良いでしょう。
介護記録で使える表現例を以下に紹介します。
介護記録は経験が異なるスタッフや多職種が情報共有のために用いるツールのため、わかりにくい表現や専門用語は避けたほうが望ましいです。
また、介護記録は利用者のご家族などを含めてさまざまな方が読む可能性があるため、利用者への配慮や思いやりを表現しつつ記録することも大切になります。
具体的には、以下の表現や用語は避ける必要があります。
また、以下のように避けるべき表現を言い換えると良いでしょう。
避ける表現 | 言い換え |
---|---|
しつこく | 何度も |
~させる | おススメする |
勝手に | 自発的に |
介護拒否 | 意思表示される |
徘徊 | 歩き回る |
傾眠 | ウトウトされる |
嚥下 | 飲み込む |
楽しまれている | 笑顔がみられた |
本記事では介護記録の重要性と書き方、効率的に書くコツについて解説しました。介護記録は法的に重要な書類というだけでなく、職員間での連携ツールとなります。利用者やご家族とのコミュニケーションを深めるためにも役立つでしょう。
ただし、介護記録は利用者ひとり一人に日々作成するため、時間がかかり負担が大きい仕事の一つであることは否めません。
介護記録を作成する負担を減らすためには、準備や工夫が重要になります。サービス提供の際に記録するべきことがあれば、すぐにメモ帳に残しましょう。また事前にテンプレートを準備することで、効率的に作業が行えます。
介護記録は正確さを求められる重要な業務の一つであり、時間がかかる業務ですので、職員の業務負担を改善するための効率化を考えることも大切です。
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記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。