介護現場のDX化は実際どう?デイサービス管理者の実体験
運営ノウハウ
2024/11/06
運営ノウハウ
リスクマネジメント
更新日:2024/10/21
介護事故の発生時には、迅速かつ適切な対応が求められます。介護現場での事故は重大な問題ですが、正しい対応と報告を行うことで、より安全な介護環境を実現することができます。この記事では、実際の事例を取り上げながら、事故発生時の適切な対応と報告について解説していきます。
この記事の目次
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介護事故とは、おもに介護サービス提供中に起こる「予期せぬ事故全般」のことを指す言葉です。
厚生労働省が示す資料の中では以下のように定義されています。
「事故」: 施設における福祉サービスの全過程において発生するすべての人身事故で身体的被害及び精神的被害が生じたもの。なお、事業者の過誤、過失の有無を問わない。
引用:「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針 ~利用者の笑顔と満足を求めて~」について(2023年9月16日確認)
利用者に対して実害あるいはその恐れがある場合は、介護事故とみなされます。具体的には、利用者の転倒や所有物の破損・紛失、誤嚥、誤薬などがあげられます。
介護事故を防ぐためには、頻発しやすい実例を把握して適切な対策を取ることが重要です。
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介護事故は職員・事業所側が原因の場合と、利用者側が原因の場合があります。ここではそれぞれの原因について詳しく解説します。
介護職員・事業所側を原因とした介護事故では、主にスタッフの人手不足や訓練不足が原因で介護事故が発生します。
たとえば、人手不足によって職員同士の連絡が疎かになり、本来は行ってはいけないサービスを提供してしまう、などが事故の例として考えられます。介助の技術に関する訓練不足が原因で、車いすの移乗をするときに失敗して利用者を転倒させてしまう、などという事例もあるでしょう。
それ以外にも、施設スタッフの疲労やストレスも介護事故の要因となりえます。疲労やストレスによって職員の判断が鈍る、あるいは身体がうまく動かなくなることで、先ほどあげたような事故が起こる可能性も考えられるでしょう。
また、介護スタッフの経験や勘に頼ったケアも介護事故につながりかねません。実体験に基づいた看護師コラムもぜひご一読ください。
利用者側を原因とした介護事故では、認知症や身体機能の障害などが原因で動作に何らかの制約がある場合に介護事故が発生します。
体の制約によって食事や移動などの動作がうまくできない利用者は、基本的に介助を必要としています。しかし、介助を頼みづらかったり自分でやりたい気持ちが勝っていたりする場合、介助なしで自分だけで行おうとすることもあります。そして無理な動作をした結果、転倒や誤嚥などを引き起こしてしまうのです。
介護事故にもさまざまな種類があり、それぞれ考えられる対処法や予防法が違っています。ここでは、介護事故の種類別に起きた具体的な事例についてご紹介していきましょう。
全身の筋力・バランス能力などは年齢によって次第に衰えるため、高齢者は若い方と比較すると転倒しやすい傾向にあります。
【転倒事故が起こった事例】
利用者のAさんは身体機能の衰えのせいか、歩行中によくふらつくようになっていた。お昼の食事のため、職員がAさんに後ろから声をかけた。
Aさんは後ろに振り向いたとき、その拍子にバランスを崩して転倒してしまった。
このような事例を防ぐには、「Aさんがふらつくようになった」という情報を事前に共有し、全員で注意できるような体制を作っておく必要があります。
また、高齢者に後ろから声をかけるのは転倒の危険性を高める原因です。できるだけ利用者に近づき、視野に入った位置で声をかけるようにすることが事故予防につながります。
高齢者は身体機能の衰えだけでなく、嚥下機能(飲み込みの機能)が低下しやすくなるため、誤嚥のリスクが高まります。
適切な方法で食事介助をしないと、誤嚥が起きやすくなり「誤嚥性肺炎」を発症する可能性が高まります。
【誤嚥事故が起こった事例】
利用者のBさんは嚥下機能が低下しており、誤嚥を引き起こしやすくなっていた。
昼食のとき、職員はBさんが嚥下機能が低下しているのを知らないまま食事介助をしたところ、誤嚥を引き起こしてしまった。
誤嚥が落ち着いた後に、食事介助を再開したら再びむせこんでしまった。
このような事例を防ぐには、Bさんの状態を十分に共有したうえで、以下のような適切な食事介助の方法を取る必要があります。
また、誤嚥によるむせ込みがみられた場合は、看護師や医師に相談して食形態の変更も検討してみましょう。
薬がこぼれて床に落ちる事例を「落薬」といい、介護事故の1つとして扱われます。薬が床から落ちると服用ができないため、利用者の病状や体調の悪化につながる恐れがあります。
落として使用できない薬を補填するために、利用者が負担しなければいけないケースもあるのです。
その場で落とした場合以外にも、落ちていた薬を発見することもありますが、こちらも同様に落薬の介護事故とみなされます。
落薬が起きた、あるいは見つかった場合はすぐに上司や看護師に報告し、どのような対応をすべきか相談することが大切です。
その他の介護事故の事例としては、以下のようなものが考えられます。
介護事故が起きた際は、何よりも速やかに対処することが大切です。ここでは介護事故が起きた後の対応の流れについて解説します。
最初にすべき行動としては、利用者の安全を確保をして、必要に応じた処置をとることです。事故状況を把握したうえで原因を特定し、対応が後手に回らないように注意しましょう。
1人ではうまく対処できないと判断した場合は、すぐに上司に連絡・報告して指示を仰ぎましょう。利用者の状態によっては119番に連絡して、救急車を手配する必要性もあります。
介護事故が発生して初期対応が終わった後は、利用者の家族に連絡して以下の内容を説明します。
これらの内容を、家族にわかるように丁寧に伝えましょう。
利用者の安全が確保された後、介護事故の内容に応じた関連機関に報告をします。たとえば、重大な事故の場合は自治体や警察、感染症の場合は保健所や自治体などが当てはまります。
いつ、どこで、誰が、どのようなときに事故が起こったのかを詳しく報告しましょう。
実際に介護事故が起こった場合や、今後の介護事故を防ぐためには、以下のようなリスクマネジメントが重要です。
ここではそれぞれのリスクマネジメントの詳細について解説します。
事故が起こった場合は介護事故の要因を分析し、その対策を考えましょう。
介護事故が起こる原因には、以下のような要因があげられます。
上記のように、職員だけでなく職場の設備や業務のシステムが原因で介護事故の確率が高まることも考えられます。
「安全に利用者にサービスを提供する」のような漠然とした対策をするのではなく、要因に応じた対策を考え、確実に実施することが大切です。
たとえば、職員による介護事故で介助方法が曖昧なまま介助しようとした場合は「介助方法に関する研修を開く」、口頭で聞いていた手順を忘れてしまった場合は「業務マニュアルを作成する」などの対策が有効となるでしょう。
設備による要因が多ければ、「定期的に設備の点検をする」「道具の使用方法の共有を徹底する」などが有効な対策として考えられます。
既存の対策をとっていても介護事故が起きた場合は、その内容が不十分な可能性があります。その場合は、これまでの介護事故の対策を見直しましょう。
対策の見直しの例としては、以下の通りです。
このように、既存の方法で安心するのではなく、常にPDCAを回しながら対策をブラッシュアップしていくことが重要です。
介護事故の内容にはさまざまな種類があり、前述したように職員側が原因で起きる場合もあれば、利用者がきっかけで発生するケースもあります。
介護事故が起きた際は、速やかに利用者の安全を確保しつつ、家族や関係機関に状況を説明することが大切です。
また、一度起きた介護事故を繰り返さないためにも、これまでの要因を分析して新しい対応策を考えることも重要です。
安全な介護サービスを提供できるように、今回の記事を参考にして介護事故の予防・迅速な対応に努めていきましょう。
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