認知症の高齢者の方向けの『レクリエーション』10選!

現場ノウハウ

レクリエーション

更新日:2024/10/22

本記事では認知症の高齢者向けに簡単にできるレクリエーションを10種類紹介します。認知機能の維持・改善、コミュニケーション能力の向上、情緒の安定など、様々なメリットが期待できるレクリエーションの特徴と重要性を解説します。利用者や施設職員の視点から、具体的なシチュエーションに応じた活動を提案しますので、日常生活に取り入れやすいレクリエーションをお探しの方に役立つ内容です。

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認知症の高齢者向けの『レクリエーション』

認知症の高齢者にとってレクリエーションは、日常生活の中で楽しみや達成感を感じる機会を提供し、精神的な健康をサポートする重要な活動です。また、身体を動かすレクリエーションをすることで身体機能の維持にも役立ちます。

レクリエーションには以下のようなさまざまなメリットがあります。

  • 認知機能の刺激
  • 身体機能の維持
  • コミュニケーションの促進

利用者にとってレクリエーションは楽しみながら参加できる活動であり、日々の生活に彩りを加えます。また、施設従事者にとっては利用者との関係を深める機会となり、ケアの質を向上させる手段になります。

サービス形態で行える質や量は異なりますが、レクリエーションは日常生活に新鮮さをもたらす大切な要素になるため、可能であれば毎日取り入れると良いでしょう。

主に通所系や入所系サービスにて、複数人が集まる環境でレクリエーションを行う機会が設けられます。普段から、利用者のさまざまな身体的、精神的な健康のニーズに対し、良い影響を与える活動としてレクリエーションは役立つでしょう。

また、特別なイベントや季節の行事としてレクリエーションを実施することで、特別感を演出することもできます。

認知症のある方を対象とする場合、症状の進行具合に応じて、難易度や内容を調整することが大切です。利用者の特徴に合わせたレクリエーションが行えるようにすると良いでしょう。

認知症の高齢者の方にレクリエーションが重要な理由

レクリエーションによって新しい情報や体験に触れることで、脳の働きを刺激し、認知機能の維持・改善を促すことができるでしょう。認知症の高齢者にとって、認知機能低下予防や転倒リスクの軽減に関わるレクリエーションは、重要な役割を担います。

【認知症高齢者の特徴】
代表的な認知症には4種類ありますが、全てにおいて進行する可能性があり、一般的に時間とともに認知機能が低下します。

たとえば、アルツハイマー型認知症であれば短期記憶の障害から始まり、徐々に判断力や問題解決能力の低下を含む幅広い認知機能の衰えに進行します。認知症の進行により、日常生活の基本的な活動や意思決定が徐々に困難になるでしょう。

さらに、認知症が進行すると身体機能も低下します。たとえば、歩行やバランスの維持が難しくなり、転倒のリスクが高まります。また、認知機能の低下と身体機能の低下は相互に関連しており、認知症高齢者は筋力低下や細かな動作の困難さがみられるようになります。

認知機能と身体機能の低下は密接に関連しているため、認知症高齢者には、これらの機能を維持・改善するためのアプローチが求められるでしょう。レクリエーションはその一環として、認知機能の刺激や身体機能の維持に役立ちます。

【レクリエーションの重要性と効果】
たとえば、クイズや歌唱活動などは過去の記憶を呼び起こし、認知的機能を改善する効果があります。さらに、体を動かすレクリエーションは身体機能の維持にも貢献します。体を積極的に動かすことで筋力や関節の柔軟性を保つことができ、転倒予防にもつながります。

運動系のレクリエーションは、身体を動かす楽しさを感じながら、健康を維持することができるでしょう。また、レクリエーションは精神的な健康にも良い影響を与えます。仲の良い方と一緒に楽しむことで、孤独感や不安感が軽減され、精神的な健康に良い影響を与えられることでしょう。思い出話や伝言ゲームなどのコミュニケーション活動は、他者との交流を深め、社会的なつながりを強化するきっかけになる可能性もあります。

さらに、レクリエーションに参加することによって楽しみや達成感を感じられることは、日々の生活に活力をもたらします。塗り絵や折り紙などの創造的な活動は、自分自身の作品を作り上げる喜びを感じることができ、自己肯定感の向上につながることもあるでしょう。

よって、レクリエーションは以下のような効果をもたらすと考えられます。

  • 認知機能の維持・改善
  • 身体機能の維持・改善
  • 精神的な健康の向上
  • 日常生活の意欲向上

上記のような効果が期待され、認知症高齢者において非常に重要な役割を果たします。

参考:認知症高齢者に対する回想法の意義と有効性ー海外文献を通してー

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簡単にできる認知症の方向けレクリエーション10選

ここでは、簡単なレクリエーションの内容についてご紹介します。認知機能、コミュニケーション能力、精神的健康、身体機能などの維持・向上を目的とした運動を解説するので、ご参考ください。

1.集団体操

  • レクの種類:簡単な体操
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(進行役)
  • 用意するもの:椅子
  • 内容・進め方

①進行役を確認しやすい位置で椅子に座ります。
②体操を開始する前に深呼吸を行います。
③準備体操のストレッチを行います(首回し、肩回し、膝を抱えるなど)。
④筋力強化体操を行います(手を握って開く、体を捻る、もも上げなど)。
⑤バランス体操を行います(立位で左右へのステップ、立位で重心の移動運動など)。
⑥最後に全員で深呼吸を行います。

認知機能が低下していても、簡単な動作の模倣ができる方は少なくありません。集団体操による一体感の中で動作を模倣し、自発的に動作を行うことで、筋力や身体の柔軟性を高められます。

2.連想ゲーム

  • レクの種類:コミュニケーションゲーム
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(進行役)
  • 用意するもの:特になし
  • 内容・進め方

①進行役を確認しやすい位置で椅子に座ります。
②テーマを決めます。たとえば「動物」や「食べ物」など、誰でも簡単に思いつくテーマが良いでしょう。
③進行役や最初のプレイヤーがテーマに関連する言葉を言います。たとえば、テーマが「動物」の場合は「犬」など。
④次のプレイヤーは、前の言葉に関連する新しい言葉を言います。これを参加者に対して順番に繰り返し行います。
⑤ある程度の回数や制限時間を決めておき、それが来たらゲームを終了します。

認知機能の程度によりますが、たとえば「赤い物」など簡単なテーマでゲームを行うことで認知症の方も無理なく参加でき、言葉のやり取りを通じて精神的健康の促進にも役立ちます。言葉だけでなくジェスチャーで回答するルールにするのも良いでしょう。

3.歌唱活動

  • レクの種類:音楽活動
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(進行役)
  • 用意するもの:歌詞カードや音楽プレーヤー、CD、テレビなど(必要に応じて)
  • 内容・進め方

①参加者と好みの歌を選びます。
②歌詞カードを配布し、一緒に歌います。
③簡単な振り付けを取り入れるとより楽しめます。

懐かしい歌を歌うことで記憶を刺激し、情緒を安定させる効果があります。また、歌をきっかけに昔の経験や思い出を語り、回想法を用いるのも良いでしょう。

4.塗り絵

  • レクの種類:アート活動
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(進行役)
  • 用意するもの:塗り絵の本、色鉛筆やクレヨン
  • 内容・進め方

①参加者に塗り絵の本を配布します。
②各自好きなページを選んで絵柄に色を塗ります。
③完成した作品を参加者同士で見せ合います。

塗り絵は、集中力を要し、手先を使う活動になります。難易度を調整することで、細かな動作の練習にもなるでしょう。また、完成した作品を共有することで、達成感などを感じることができます。

5.折り紙

  • レクの種類:アート活動
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(進行役)
  • 用意するもの:折り紙
  • 内容・進め方

①参加者と相談して作る作品を決めます。初めての場合や難易度が心配な場合は、簡単な「折り鶴」や「風車(かざぐるま)」などから始めると良いです。
②完成形の見本を参加者に見せ、何を作るかを説明します。
③折り方を丁寧に、ゆっくりと説明します。説明の際は、一緒に手を動かして見本を見せながら進めましょう。
④完成した折り紙を鑑賞し、可能であればその場で展示します。作品が飾られ、認められることで、達成感や満足感を得られます。

折り紙も集中力を要し、手先を使う活動になります。塗り絵とは違い、立体的な形を作るために両手を同時に動かす必要があるため、塗り絵とは違う筋肉が鍛えられます。

新しい折り方が覚えられなくても、昔に覚えた折り方を覚えているケースもあるでしょう。また、塗り絵と同様に、完成品を飾ると達成感が得られやすくなります。

6.絵描き歌

  • レクの種類:音楽とアート活動
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(進行役)
  • 用意するもの:テーブル、椅子、紙、ペン、絵描き歌の歌詞、マイク(必要に応じて)
  • 内容・進め方

①進行役の声が聞こえる位置で、参加者はペンを持って待機します。
②覚えやすくて簡単な絵描き歌を選びます。たとえば、「豚のお顔の歌」や「お花の歌」など、シンプルなものが良いです。
③絵描き歌が何であるかを説明し、これから一緒に歌いながら絵を描くことを伝えます。
④ゆっくりと歌い始めます。歌詞に合わせて、紙に描いていく様子を見せながら進めます。
⑤歌詞の内容に合わせて絵を描きます。
⑥各自が描いた絵を見せ合い、それぞれの作品について話す時間を設けます。

絵描き歌は、それぞれの作品の違いを楽しむことができ、想像力を刺激します。また、リズムに合わせながら描くことは、二つの異なる課題を同時に行う二重課題運動になり、認知機能を向上させる効果が期待できます。

また、完成品を共有することで、コミュニケーションが生まれやすくなるでしょう。

7.簡単なクイズ

  • レクの種類:知識ゲーム
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(進行役)
  • 用意するもの:クイズカードやホワイトボード
  • 内容・進め方

①クイズのテーマを決めます。たとえば「夏」や「動物」など親しみやすいテーマが良いでしょう。
②簡単で答えやすい問題を用意します。たとえば、「夏に食べる冷たい果物は何でしょう?」や「猫の鳴き声は?」など、シンプルで日常的な内容が良いです。
③クイズゲームのルールを簡単に説明します。たとえば、「質問に答えるだけで良いので、分かったら手を挙げてください」などと伝えます。
④1つずつクイズを出題します。
⑤参加者が手を挙げたり、口頭で答えたりするのを待ちます。答えられない場合は、ヒントを出して手助けしましょう。
⑥参加者が正解したら、大いに褒めましょう。また、間違った答えでも参加したことを評価し、皆で楽しく笑える雰囲気を作ります。
⑦ある程度の問題を出したら、クイズゲームを終了します。最後に、全員で結果を振り返り、楽しい時間を共有したことを確認します。

ゲームにポイント制を導入して、正解ごとにポイントを加えるのも良いです。ポイントが多い人に小さなご褒美を用意すると、さらに盛り上がります。

8.編み物

  • レクの種類:アート活動
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(進行役)
  • 用意するもの:毛糸、編み棒、ハサミ
  • 内容・進め方

①必要な材料を準備します。毛糸、編み棒(棒針またはかぎ針)、ハサミが必要です。初心者には太めの毛糸と編み棒が使いやすいです。
②何を作りたいか決めます。初心者の場合は、シンプルなマフラーなど、簡単な編み方で作れるものがおすすめです。
③作品を編みます。スタッフが手本を見せながら進められると良いでしょう。
④途中経過や完成品について話題を共有します。

利用者によっては、針と糸を使った手芸が得意な方もいるでしょう。生活背景に合わせて、利用者が達成感を得られる支援方法が選択できると良いでしょう。

9.思い出話サイコロゲーム

  • レクの種類:コミュニケーション活動
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(進行役)
  • 用意するもの:サイコロ
  • 内容・進め方

①サイコロの出た目に応じたテーマを設定します。たとえば「1.趣味や遊びの思い出」「2.仕事や学校の思い出」など、それぞれ話題のテーマを決めます。
②各参加者が順番にサイコロを振り、出た目に対応するテーマについて話をしてもらうことを説明します。
③最初の参加者がサイコロを振ります。出た目に対応するテーマを発表し、そのテーマに基づいて思い出話を始めます。
④全員が一巡したら、それぞれの話を振り返り、感想を共有します。

話が難しい利用者の場合は、他の参加者やスタッフがサポートし、質問を投げかける形で話を引き出しましょう。「あの話が懐かしかった」「その時代は楽しかったですね」などの共感を引き出しつつ回想し、参加者同士の交流を深めます。もう一度行う場合は、別のテーマや、新しいサイコロの設定をして、再度ゲームを行いましょう。

10.散歩

  • レクの種類:運動
  • 参加人数:何人でも可
  • 必要なスタッフ数:1人以上(見守り役)
  • 用意するもの:散歩に適した靴と服装、帽子、水筒など
  • 内容・進め方

①施設の周囲や公園など安全なルートを選びます。
②参加者が天候に適した服装と歩きやすい靴を履いているか確認します。必要に応じて、帽子を用意するなどします。
③参加者のペースに合わせて一緒にゆっくり歩きます。適宜休憩を挟みながら進みます。

歩くことは、ストレス解消や生活習慣予防など、心身にさまざまな効果をもたらします。脳の血行を良くする効果もあります。

話しながら歩くことで、二重課題運動にもなるため、参加者の様子を確認しながら難易度を調整すると良いでしょう。

認知症高齢者の生活を彩るレクリエーション

レクリエーションは、認知症高齢者の日常生活を豊かにするための重要な活動になります。レクリエーションを通じて、認知機能の維持・改善、身体機能の向上、情緒の安定、そしてコミュニケーションの促進などが期待できます。

今回紹介した10のレクリエーションは、家庭でも施設でも取り入れやすい内容となっており、楽しみながら活動できます。

これらの活動を継続的に行うことで、認知症の高齢者が充実した生活を送るサポートができるでしょう。ぜひ、積極的に取り入れてみてください。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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