介護保険における過誤請求の仕組みと防止策
介護保険法
2025/04/11
介護保険法
個別機能訓練加算
更新日:2025/04/09
【令和6年報酬改定対応】令和3年度の介護報酬改定で、科学的介護情報システム「LIFE」の運用開始とともに新たにできた「個別機能訓練加算(Ⅱ)」。 個別機能訓練加算(Ⅱ)は、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロを算定している利用者で、なおかつLIFEを用いて情報提出を行うことで算定できる加算です。 本記事では通所介護における個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件や内容などをまとめてご紹介します。
この記事の目次
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個別機能訓練加算は、通所介護をはじめとした各事業所が機能訓練指導員を配置し、個別機能訓練を行うための計画書の作成や、それに基づいた機能訓練の実施などの算定要件を満たした際に算定される加算です。
令和3年度介護報酬改定では、令和3年3月までの個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)が変更されて個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・個別機能訓練加算(Ⅰ)ロと変化し、さらにLIFEへ情報提出が要件となる「個別機能訓練加算(Ⅱ)」が新設されました。
個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)を同時算定することが可能で、事業所にとっては収益増につなげられる重要な加算になっています。
次章からは個別機能訓練加算(Ⅱ)の具体的な算定要件や必要な書類などについて解説していきましょう。
まず、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロと個別機能訓練加算(Ⅱ)の違いについて抑えておきましょう。
個別機能訓練加算(Ⅰ)はイ・ロともに専従の機能訓練指導員の配置や個別の機能訓練などを要件とした加算です。それに対し新しい個別機能訓練加算(Ⅱ)には人員配置や訓練内容に関する算定要件はなく、LIFEへの情報提出が要件になっている加算になります。
個別機能訓練加算(Ⅰ)で実施した内容を(Ⅱ)で提出する、という関係性です。また、個別機能訓練加算(Ⅱ)のLIFE提出後、LIFEからのフィードバックを(Ⅰ)で活かす必要があります。
単位数を比較してみると、(Ⅰ)イが56単位/日、(Ⅰ)ロが76単位/日なのに対し(Ⅱ)は20単位/月と単位数は少なめですが、LIFEへの情報提出で算定できるため、それほど大きな負荷はかかりません。
(Ⅰ)・(Ⅱ)を同時算定できることを考えれば、かなりメリットの多い加算といえます。
個別機能訓練加算 (Ⅰ)イ・ロ に関しては、以下の記事に詳しく解説しています。算定について知りたい場合はぜひ参考にしてください。
▶個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロの算定要件【2021年介護報酬改定】
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個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件と単位数は以下の通りです。
人員配置や訓練内容に関する算定要件は全くなく、ほぼLIFE導入と活用のみが要件となっています。
個別機能訓練加算(Ⅱ) | ||
---|---|---|
単位数 | 20単位/月 (個別機能訓練加算(Ⅰ)算定に加えて算定する) | |
対象者 | 要介護、個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定している者 | |
算定要件 |
|
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LIFEへ情報提出する際は、必須項目として「生活機能チェックシート」が定められています。
LIFEの記入画面に従ってより必須項目を挙げると以下のような項目になります。
生活機能チェックシートの書き方は、以下の記事を参考にしてください。
▶個別機能訓練加算に必要な生活機能チェックシートの書き方
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個別機能訓練計画書の書き方や記入例は、以下の記事を参考にしてください。
▶個別機能訓練計画書とは?記入例や目標の立て方を徹底解説
興味・関心チェックシートの書き方や記入例は、以下の記事を参考にしてください。
▶興味・関心チェックシートとは?活用方法と記入例【様式ダウンロードあり】
LIFEへの情報提出は、利用者ごとに以下3つに定める月の翌月10日までに提出することがあります。
継続して機能訓練を実施している利用者の場合も、最低3か月に1回の提出は必須になります。
個別機能訓練加算(Ⅱ)はLIFE利用が前提ですので、LIFEの利用登録や管理・操作職員の設定など事前準備が必要です。
まだLIFEの利用登録をしていない場合は、算定前にLIFEの新規利用登録から済ませておきましょう。
具体的な入力方法は以下の2種類です。
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操作職員でログインし、様式ごとに算定要件に即したルールで入力していきます。
LIFEに直接入力する場合の入力画面は、システムに情報を入力するためのものであり、算定要件に即した必須項目や評価の基準などは、事業所が判断する必要があります。
さらに、LIFEの入力画面では、生活機能チェックや個別機能訓練計画書の内容を、そのままアップロードできるわけではなく、各項目を手作業で一人ひとり転記する必要があり、大きな手間となります。
また、目標やプログラム内容の入力は、自由記載ではなく選択式となっており、それぞれ「目標」は75項目、「プログラム内容」は17項目の中から該当するものを選ぶ必要があります。この作業は、日々の業務の合間に行うには非常に負担が大きく、「どのコードが適切か」を判断しながらの入力となるため、作業時間が長くなりやすく、入力ミスや項目漏れのリスクも高まります。
LIFEでは、事業所で実施した「生活機能チェックシート」の内容を、一人ひとり手作業で転記する必要があります。登録画面にはすべての項目が表示され、必須項目以外も入力可能な状態のため、どの項目を入力すべきかを判断しながら進める必要があり、非常に手間がかかります。
個別機能訓練計画書に記載された目標をそのまま入力するのではなく、LIFE上で定められた75項目の選択肢の中から該当するコードを選んで登録します。記載した目標がどのコードに当てはまるかを照らし合わせる作業が必要で、適切な選択に時間を要する上、判断ミスが生じる可能性もあります。
目標と同様に、プログラム内容についても自由記載ではなく、17項目の中から該当する内容を選択します。個別性のある内容をシステム上の定型化されたコードに当てはめる作業となるため、実際の訓練内容との整合性をとりながら登録するのが難しく、業務負担の一因となっています。
LIFEは、介護記録ソフトから書き出したCSVファイルを取り込むことができます。
様式ごとにデータ項目・入力ルールが定義されたCSVのみ取り込むことが可能です。
取り込みエラーは様式ごとのデータ項目・データの入力ルールから外れているものに対してのエラーですので、算定要件から外れているかを確認するものではありません。
算定要件は事前にチェックしておきましょう。
Q1. 要支援から要介護への区分変更中で、まだ認定結果が出ていません。暫定ケアプランも届いていないのですが、LIFEへの提出は必要ですか?
A:要介護となる可能性がある場合は、LIFEへの提出を行ってください。
介護度が確定していない状況でも、要介護で個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定していく予定がある場合には、訪問して機能訓練を提供する前に計画書を作成し、利用者から同意を得る必要があります。そのうえで、計画書を作成した月にLIFEへ情報を提出します。
万が一、結果として要支援となった場合は、加算(Ⅰ)・(Ⅱ)ともに算定できないため、加算請求は行わない対応となります。
Q2. LIFEへの提出が「できている」か「できていない」かを確認する方法はありますか?
A:LIFEの「様式情報」画面で確認できます。
LIFEのトップ画面から「様式情報」を選び、左上の「サービス種類」を選択してください。該当の利用者の【個別機能訓練計画】【生活機能チェック】【興味関心チェック】の欄に「確定」と表示されていれば、取り込みは完了しています。ただしこれは提出状況の確認であり、内容の不備までは確認できませんので注意が必要です。
Q3. LIFEに提出した書類に不備がなかったか確認するにはどうすればいいですか?
A:LIFE上では不備があっても「確定」と表示されます。
LIFEシステムでは、入力内容に不備があっても登録(確定)されてしまう仕様です。そのため、提出前に自分自身で内容を確認・判断する必要があります。不備に気づいた場合は再提出が可能ですが、提出期限(月末締め翌月10日)までに再提出できない場合は加算算定不可となる可能性がありますので注意が必要です。
個別機能訓練加算(Ⅱ)は、(Ⅰ)のイまたはロのどちらかと併用して算定する加算です。
個別機能訓練加算(Ⅰ)は機能訓練指導員の調整が必要ですが、(Ⅱ)に限ってはLIFEへの提出などで算定できるので、それほど大きな負担はかかりません。
個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定する場合は、合わせて(Ⅱ)を算定したほうが良いでしょう。算定すれば単位数アップが見込めるので、事業者にとってメリットが大きい加算といえます。
LIFEへの情報提出をまだ行っていない場合は 、 LIFE利用申請など事前準備が必要ですが、継続してかかる手間ではないため、LIFEへの情報提出作業に慣れれば、それほど負担なく継続できそうというお声も多いです。
これからも科学的介護とLIFEの活用に向けて、介護全体が大きく舵を切ることは間違いないでしょう。そのためにも、増収が見込める個別機能訓練加算を利用し、LIFEを活用する体制を整えておくと良いのではないでしょうか。
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記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。