【2026年最新】特別養護老人ホーム(特養)の個別機能訓練加算とは?単位数・算定要件をわかりやすく解説

介護保険法

個別機能訓練加算

更新日:2026/08/03

特養(介護老人福祉施設)の個別機能訓練加算は、令和6年度の改定を経て(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の3区分になりました。算定率は(Ⅰ)56.0%、(Ⅱ)35.8%、(Ⅲ)6.3%(令和7年11月審査分)。この記事では、それぞれの単位数と算定要件、機能訓練指導員の配置基準、個別機能訓練計画書の作成手順、厚生労働省のQ&Aまでをわかりやすく解説します。

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特養における個別機能訓練加算とは

特養における個別機能訓練加算とは

個別機能訓練加算とは、特別養護老人ホーム(以下、特養)において所定の要件を満たし、入居者様の身体状況に応じた機能訓練を行った場合に算定される加算のことを言います。なお、特別養護老人ホームは、厚生労働省などの資料では「介護老人福祉施設」と表記されていることが多いですが、法律上の呼び名の違いであるだけなので同じ意味として捉えて差し支えありません。

特養の個別機能訓練加算の単位数について

特養の個別機能訓練加算には、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の3種類があります。もともとは「個別機能訓練加算 12単位/日」の1種類だけでしたが、令和3年度の介護報酬改定でLIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出を評価する(Ⅱ)が新設され、さらに令和6年度の介護報酬改定で機能訓練・口腔管理・栄養管理の一体的な取り組みを評価する(Ⅲ)が新設されて、現在の3区分になりました。

3種類の関係を整理すると、(Ⅰ)が機能訓練の実施そのものを評価する基本の区分で、1日につき算定します。(Ⅱ)(Ⅲ)は(Ⅰ)に上乗せする区分で、こちらは1月につき算定します。3つは併算定できるため、要件をすべて満たす場合は(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)を合わせて算定できます。ただし(Ⅱ)は(Ⅰ)の算定、(Ⅲ)は(Ⅱ)の算定が前提となるため、(Ⅰ)から段階的に取得していく流れになります。

それぞれの単位数と主な要件は、次のとおりです。

区分単位数主な要件
個別機能訓練加算(Ⅰ)12単位/日常勤専従の機能訓練指導員を1名以上配置し、多職種が共同して個別機能訓練計画を作成、計画に基づいて計画的に機能訓練を実施
個別機能訓練加算(Ⅱ)20単位/月(Ⅰ)を算定する入居者様について、個別機能訓練計画書の内容等の情報をLIFEに提出し、フィードバック情報を活用
個別機能訓練加算(Ⅲ)20単位/月(Ⅱ)を算定し、口腔衛生管理加算(Ⅱ)・栄養マネジメント強化加算を算定した上で、機能訓練・口腔・栄養の情報を関係職種間で共有して計画を見直す

参考:指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)注14(2026年7月31日アクセス)

特養の機能訓練指導員の人員配置について

特養で個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定するためには、次の基準をすべて満たすことが条件です。

  • 専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師またはきゅう師(以下、機能訓練指導員)を1名以上配置していること
  • 入所者の数が100を超える場合は、上記に加えて、機能訓練指導員として常勤換算方法で入所者の数を100で除した数以上を配置していること
  • 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、入所者ごとに個別機能訓練計画を作成していること
  • 当該計画に基づき、計画的に機能訓練を行っていること
  • 電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対して加算の算定に係る届出を行っていること

参考:厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)八十六の三の二「介護福祉施設サービスにおける個別機能訓練加算の基準」(2026年7月31日アクセス)

たとえば入所者が120名の施設であれば、常勤専従の機能訓練指導員1名に加えて、常勤換算方法で1.2名以上(120÷100)の機能訓練指導員を配置する必要があります。

特養の個別機能訓練加算の特徴について

厚生労働省の集計(令和7年11月審査分)によると、介護老人福祉施設における個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定率は56.0%(請求事業所ベース。件数ベースでは59.7%)で、半数を超える施設が機能訓練を提供して加算を算定しています。

一方で、LIFEへのデータ提出が要件となる(Ⅱ)の算定率は35.8%、口腔・栄養との一体的な取り組みを評価する(Ⅲ)は6.3%にとどまっており、新しい区分の取得は途上にあります。なお地域密着型介護老人福祉施設では(Ⅰ)28.2%、(Ⅱ)17.7%、(Ⅲ)4.6%と、広域型より低い水準です。

同じように個別機能訓練加算の算定が可能な通所介護(デイサービス)に比べ、特養の入居者様は比較的介護度の高い方(要介護3〜5)が対象となります。そのため、積極的に運動を提供するというよりも着替えやトイレなどの個々の生活に即した訓練を提供していることがその特徴です。

参考:厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第260回)資料1 介護老人福祉施設」p.7(令和8年7月9日)(2026年7月31日アクセス)

特養の機能訓練指導員について

特養における個別機能訓練加算を取得する場合は、機能訓練指導員の配置が必須となります。

機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の6職種、およびはり師・きゅう師を合わせた職種を指します。はり師・きゅう師は平成30年度の介護報酬改定で追加された職種ですが、他の6職種の資格を持つ機能訓練指導員を配置した事業所で6か月以上機能訓練指導に従事した経験が必要という条件が付きます(この経験は、従事した事業所の管理者による書面での証明で確認できます)。

機能訓練指導員は、本人やご家族のニーズを聞いたりケアマネジャーから提供されるケアプランに従ってご利用者様が求めている目標を達成するために必要な訓練を提案します。特に、特養の機能訓練指導員は、積極的な運動を行うというよりも、着替えやトイレ、お風呂など生活に即した訓練(通称:生活リハビリ)を行っていることが特徴です。

参考:厚生労働省「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問32・問33(2026年7月31日アクセス)

特養における個別機能訓練加算の業務内容について

特養の個別機能訓練加算の個別機能訓練計画書

特養においても、個別機能訓練加算の算定するためには、個別機能訓練計画書を記載することが必要です。

個別機能訓練計画書とは、機能訓練指導員が中心となって作成する書類のことで、利用者様の身体状況や希望、自宅環境などを考慮した目標設定・プログラムの立案をするものです。また、本人や家族への説明、同意書としても活用する大切な書類です。その内容については、機能訓練指導員や看護職員、介護職員、生活相談員、その他のスタッフがカンファレンスやミーティングを行い、協働して目標設定や実施時間、実施方法などの個別機能訓練計画を立案していきます。

個別機能訓練計画書を作成する6つの手順について

  1. 生活の情報収集(ケアプランからの情報収集を含む)
  2. 評価(アセスメント)
  3. 個別機能訓練計画書の作成
  4. 利用者様またはご家族への説明と同意
  5. 個別機能訓練の実施
  6. 評価、目標の見直し、変化の記載(3ヶ月ごとに1回以上)

個別機能訓練計画書の作成方法として、厚生労働省から通達されている指針があります。これらは個別機能訓練加算を算定する上で必須の項目です。計画書を作成する際には必ず目を通しておきましょう。

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個別機能訓練計画書の作成と評価について

個別機能訓練を行うにあたり、機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種の者が協働して利用者様ごとにその目標・実施時間・実施方法などを内容とする個別機能訓練計画を作成し、これに基づいて行った個別機能訓練の効果・実施時間・実施方法について評価などを行います。

個別機能訓練を行う場合は、開始時及びその後3か月ごとに1回以上、利用者様またはそのご家族に対して個別機能訓練計画の内容(評価を含む)を説明し、記録します。この説明はテレビ電話装置等を活用して行うことも可能です(活用にあたっては利用者様の同意が必要です)。また、評価内容や目標の達成度合いについて、当該利用者を担当する介護支援専門員(ケアマネジャー)らに適宜報告、相談し、必要に応じてご利用者様またはご家族の意向を確認の上、当該利用者のADL及びIADLの改善状況を踏まえた目標の見直しや訓練内容の変更など適切な対応を行ってください。

個別機能訓練計画書の長期目標・短期目標などの目標設定については、適切な事後アセスメントを経て利用者様の身体機能及びADL、IADLの状況を把握し、日常生活における生活機能の維持・向上に関する目標を利用者様ごとに適切に設定する必要があります。

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個別機能訓練の実施記録について

個別機能訓練に関する実施記録(実施時間・訓練内容・担当者など)は、ご利用者様ごとに保管され、常に当該事業所の個別機能訓練の従事者により閲覧が可能であるようにしましょう。

個別機能訓練加算(Ⅱ)とLIFEへのデータ提出

個別機能訓練加算(Ⅱ)は、(Ⅰ)を算定している入居者様について、個別機能訓練計画書の内容等の情報をLIFE(科学的介護情報システム)で厚生労働省に提出し、返ってくるフィードバック情報を機能訓練に活用することで算定できる区分です(20単位/月)。

ここで求められているのは、単にデータを提出することではありません。フィードバック情報を活用して、入居者様の状態に応じた個別機能訓練計画の作成(Plan)、計画に基づく機能訓練の実施(Do)、実施内容の評価(Check)、評価結果を踏まえた計画の見直し・改善(Action)という一連のPDCAサイクルを回し、サービスの質を管理することが要件とされています。提出する情報の種類や提出頻度は、厚生労働省の「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」で定められています。

個別機能訓練加算(Ⅲ)|機能訓練・口腔・栄養の一体的な取り組み

個別機能訓練加算(Ⅲ)は令和6年度の介護報酬改定で新設された区分で、機能訓練・口腔管理・栄養管理を一体的に進める取り組みを評価するものです(20単位/月)。算定するには、次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定していること
  • 口腔衛生管理加算(Ⅱ)および栄養マネジメント強化加算を算定していること
  • 入所者ごとに、理学療法士等が、個別機能訓練計画の内容等の情報、入所者の口腔の健康状態に関する情報、栄養状態に関する情報を相互に共有していること
  • 共有した情報を踏まえて必要に応じ個別機能訓練計画を見直し、見直しの内容を関係職種間で共有していること

口腔機能や栄養状態が低下している状態では、機能訓練の効果も現れにくくなります。(Ⅲ)は、機能訓練指導員・歯科衛生士・管理栄養士などがそれぞれ別に動くのではなく、同じ情報を見て計画を見直す体制を求めているものといえます。関係職種間で共有すべき情報については、厚生労働省の通知に示された様式1-4(リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理、口腔管理に係る実施計画書)を参考にし、常に関係職種が閲覧できるようにしておく必要があります。

なお(Ⅲ)は、口腔衛生管理加算(Ⅱ)と栄養マネジメント強化加算をあわせて算定していることが前提となるため、(Ⅰ)(Ⅱ)よりも算定のハードルは高くなります。算定率も6.3%(令和7年11月審査分・請求事業所ベース)にとどまっており、(Ⅲ)を目指す場合は口腔・栄養の両加算の体制づくりから着手することになります。

参考:厚生労働省「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」(介護保険最新情報Vol.1217/令和6年3月15日)(2026年7月31日アクセス)

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特養の個別機能訓練加算のQ&Aについて

特養の個別機能訓練加算Q&A|計画書の作成方法について

計画書の作成方法について

ここまで個別機能訓練計画書の書き方についてご紹介しましたが、ここで1つ疑問が浮かびます。それは「特養で個別機能訓練加算の算定する場合、施設サービス計画とは別の計画書を作成する必要があるか?」ということ。その答えはNOです。特養での「施設サービス計画」に個別の機能訓練計画が記載されていれば、別の計画書を作成する必要はありません。

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併設事業所・ユニット型施設での機能訓練指導員の兼務の考え方

短期入所生活介護(ショートステイ)を併設している場合や、ユニット型とユニット型以外が併設されている場合の機能訓練指導員の取り扱いについて、厚生労働省の考え方をご紹介します。いずれも平成27年度の介護報酬改定時に示され、現在の留意事項通知にも引き継がれている内容です。

【質問】短期入所生活介護事業所を併設している特別養護老人ホームにおいて、個別機能訓練加算を特別養護老人ホームで算定し、併設の短期入所生活介護事業所では機能訓練指導員の加算を算定し、新設の個別機能訓練加算を短期入所生活介護事業所で算定しようとする場合、特別養護老人ホームと短期入所生活介護事業所を兼務する常勤専従の機能訓練指導員を1名配置し、それとは別に専従の機能訓練指導員を短期入所生活介護事業所に1名配置すれば、短期入所生活介護においては、機能訓練指導員の加算と新設の個別機能訓練加算の両方が算定できるということでよいか。
【回答】短期入所生活介護の「機能訓練指導員の加算」は、常勤・専従の機能訓練指導員を配置した場合に評価されるものであるが、「個別機能訓練加算」は利用者の生活機能の維持・向上を目的として、専従の機能訓練指導員が利用者に対して直接訓練を実施するものである。

このため、常勤・専従の機能訓練指導員とは別に専従の機能訓練指導員を短期入所生活介護事業所に1名配置すれば、いずれの加算も算定することができる。

参考:厚生労働省「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問75(2026年7月31日アクセス)

【質問】一部ユニット型施設・事業所が、ユニット型部分とユニット型以外の部分それぞれ別施設・事業所として指定されることとなった場合について、専従要件や利用者の数などの加算の算定条件についてどのように考えればよいか。
【回答】従来、「一部ユニット型」として指定を受けていた施設が、指定更新により、ユニット型施設とユニット型以外の施設とで別の指定を受けている場合を含め、同一建物内にユニット型及びユニット型以外の介護老人福祉施設(又は地域密着型介護老人福祉施設)が併設されている場合については、「個別機能訓練加算」や「常勤医師配置加算」など常勤職員の専従が要件となっている加算について、双方の施設を兼務する常勤職員の配置をもって双方の施設で当該加算を算定することは認められないものとしてきたところである。

しかしながら、個別機能訓練加算については、「専ら機能訓練指導員の職務に従事する」 ことが理学療法士等に求められているものであり、一体的な運営が行われていると認められる当該併設施設において、双方の入所者に対する機能訓練が適切に実施されている場合で、常勤の理学療法士等が、双方の施設において、専ら機能訓練指導員としての職務に従事しているのであれば、今後、当該加算の算定要件を双方の施設で満たすものとして取り扱うこととする。

参考:厚生労働省「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A」(平成27年4月1日)(2026年7月31日アクセス)/現行の取り扱いは「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号)の改正(介護保険最新情報Vol.1213/令和6年3月15日)に引き継がれています

個別機能訓練加算が算定できる介護サービスについて

個別機能訓練加算は他の事業所でも算定ができるのか?

個別機能訓練加算は、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)でも算定が可能です。

通所介護の個別機能訓練加算には、「個別機能訓練加算(Ⅰ)イ:56単位/日」と「個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ:76単位/日」「個別機能訓練加算(Ⅱ):20単位/月」の3種類があります。

ショートステイの個別機能訓練加算には、「機能訓練体制加算:12単位/日」と「個別機能訓練加算:56単位/日」の2種類があります。

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まとめ

これまで特養は、高齢者が最後を迎える場所として考えられがちでしたが、現在の特養では機能訓練を提供することで「高齢者がいつまでの元気で生活できるように」「現状の生活能力を維持できるように」といった考えも増えてきています。

2018年の介護報酬改定2021年の介護報酬改定で厚生労働省は「自立支援」の指針を示し、2024年(令和6年)の介護報酬改定では個別機能訓練加算(Ⅲ)が新設され、機能訓練・口腔管理・栄養管理を一体的に進める方向が示されました。益々個別機能訓練加算のニーズは高くなります。今回の記事を参考に、皆さまの特養でも個別機能訓練加算が算定できるようになると幸いです。

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