介護保険の主治医意見書をわかりやすく解説!様式や項目の内容

介護保険法

基本報酬

更新日:2024/07/29

主治医意見書とは、区市町村が介護保険の要介護・要支援など介護度の認定審査を行う時に、被保険者の主治医から、項目として病気・怪我・後遺症などの既往歴や医療機関の受診の状況、症状の変化の見通し、投薬、生活機能が低下している原因や予後予測、特別な医療の必要性、日常生活の自立度と今後の介護保険サービスの必要性などについて記載するものです。介護の手間がどの程度になるのか(介護の手間に係る審査判定)、状態の維持・改善可能性の評価などに使用されます。

⇒「職員の業務過多・残業の改善方法」解説資料のダウンロードはこちらから

主治医意見書とは

主治医意見書とは、区市町村が介護保険の要介護・要支援などの認定審査を行う時に、被保険者の主治医から、病気・怪我・後遺症などの既往歴や医療機関の受診の状況、症状の変化の見通し、投薬、生活機能が低下している原因や予後予測、特別な医療の必要性、日常生活の自立度と今後の介護保険サービスの必要性などについて意見を求めるもので、主治医意見書の様式に沿って医師に記入してもらうものです。
 

⇒「職員の業務過多・残業の改善方法」解説資料のダウンロードはこちらから

主治医意見書の様式に記載する項目

主治医意見書は、第2号被保険者の場合、生活機能低下の直接の原因となっている疾病が特定疾病に該当するかどうかの確認や、介護の手間がどの程度になるのかの確認(介護の手間に係る審査判定)状態の維持・改善可能性の評価(状態の維持・改善に係る審査判定)認定調査による調査結果の確認・修正、介護サービス計画作成時の利用に用いられることを想定した項目が設けられています。

自治体によっては、区市町村の介護保険課などの窓口で、介護保険の認定申請を行う際に、申請者や家族が事前に状態等を書き込む「問診票」のようなものが配布されることもあります。主治医の方も在宅での状態などを把握するには情報収集が大変なため、事前に必要な情報をまとめておくことで主治医意見書の作成がスムーズになり、齟齬が少ない情報となります。

令和3年8月16日に厚労省から発出されている要介護認定における「認定調査票記入の手引き」、「主治医意見書記入の手引き」及び「特定疾病にかかる診断基準」についてが最新の情報ですので、一度確認することをおすすめします。

傷病に関する意見

  • 診断名(特定疾病または生活機能低下の直接の原因となっている傷病名)と発症年月日を記入
  • 症状としての安定性
  • 生活機能低下の直接の原因となっている傷病・特定疾病の経過や投薬内容を含む治療内容

特別な医療 (過去14日間以内に受けた医療のすべてにチェック)

  • 処置内容
  • 点滴の管理
  • 中心静脈栄養
  • 透析
  • ストーマの処置
  • 酸素療法
  • レスピレーター
  • 気管切開の処置
  • 疼痛の看護
  • 経管栄養
  • 特別な対応
  • モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和度 など)
  • 褥瘡の処置

失禁への対応

  • カテーテル(コンドームカテーテル、留置カテーテル など)

心身の状態に関する意見

日常生活の自立度等について

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)は、自立、J1、J2、A1、A2、B1、B2、C1、C2でランク付けします。内容やランクづけについて詳しくは「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の判定基準」の記事で。

認知症高齢者の日常生活自立度

認知症高齢者の日常生活自立度は、自立、Ⅰ 、Ⅱa、Ⅱb、Ⅲa、Ⅲb、Ⅳ、Mでランク付けします。内容について詳しくは「認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準、9段階のランク分けを詳しく知ろう!」の記事で。

認知症の中核症状(認知症以外の疾患で同様の症状を認める場合を含む) 

  • 短期記憶
  • 日常の意思決定を行うための認知能力
  • 自分の意思の伝達能力

認知症の症状や評価については「HDS-Rとは?長谷川式認知症スケールの評価と採点について」、「MMSEとは? 評価と認知症疑いのカットオフ値、各項目の点数採点方法について解説!」の記事もご参考にどうぞ。

認知症の周辺症状

  • 幻視・幻聴
  • 妄想
  • 昼夜逆転
  • 暴言
  • 暴行
  • 介護への抵抗
  • 徘徊
  • 火の不始末
  • 不潔行為
  • 異食行動
  • 性的問題行動
  • その他


認知症の中核症状や周辺症状などの知識は、「認知症の対応のコツとは|介護スタッフが知っておきたい認知症の基礎知識」の記事をご参考にどうぞ。

その他の精神・神経症状

その他の精神疾患や認知症の症状がある場合、症状名と専門医受診の有無。
 

身体の状態

  • 利き腕、身長、体重(過去6ヶ月の体重の変化)
  • 四肢欠損
  • 麻痺
  • 筋力の低下
  • 関節の拘縮
  • 関節の痛み
  • 失調・不随意運動
  • 褥瘡
  • その他の皮膚疾患

生活機能とサービスに関する意見

移動

  • 屋外歩行の自立度
  • 車いすの使用と操作の自立度
  • 屋内・屋外での歩行補助具・装具の使用

栄養・食生活

  • 食事行為の自立・介助の必要性
  • 現在の栄養状態
  • 栄養・食生活上の留意点

現在あるかまたは今後発生の可能性の高い状態とその対処方針

  • 尿失
  • 転倒・骨折
  • 移動能力の低下
  • 褥瘡
  • 心肺機能の低下
  • 閉じこもり
  • 意欲低下
  • 徘徊
  • 低栄養
  • 摂食・嚥下機能低下
  • 脱水
  • 易感染性
  • がん等による疼痛
  • その他

サービス利用による生活機能の維持・改善の見通し

サービス利用による生活機能の維持・改善が、期待できる・期待できない・不明か。

医学的管理の必要性

医学的管理の必要性の項目では、主治医の意見として医学的管理が必要だという意見の場合には、具体的にどの医療的サービスを導入するとよいかの意見を述べることができます。

  • 訪問診療
  • 訪問看護
  • 訪問歯科診療
  • 訪問薬剤管理指導
  • 訪問リハビリテーション
  • 短期入所療養介護
  • 訪問歯科衛生指導
  • 訪問栄養食事指導
  • 通所リハビリテーション
  • その他の医療系サービス

サービス提供時における医学的観点からの留意事項

血圧・摂食・嚥下・移動・運動・その他から、サービス提供時における医学的観点からの留意事項があればその旨記入。

感染症の有無

感染症があれば具体的に記入

特記すべき事項

要介護認定及び介護サービス計画作成時に必要な医学的なご意見等を記載。なお、専門医等に別途意見を求めた場合はその内容、結果も記載。(情報提供書や身体障害者申請診断書の写し等を添付して可能。) 

主治医意見書の特記すべき事項は、コンピューターによる一時判定では把握しきれない個々の申請者が抱える介護の手間、改善や悪化の可能性、介護環境や困難さなどについて具体的に記入することで二次判定の参考となります。

要介護認定の仕組みについては、「要介護認定とは 認定調査から一次判定・二次判定の方法と認定区分の目安となる基準」の記事で詳しく紹介しています。

主治医意見書のまとめ

区市町村が介護保険の要介護・要支援など介護度の認定審査を行う時に、被保険者の主治医に書いていただく主治医意見書について紹介させていただきました。

介護施設側では主治医意見書に触れる機会は少ないですが、もし必要な情報がある時には、ご利用者や主治医の同意を得た上で情報を共有してもらうこともできます。主治医意見書にはどんな内容が書かれているのか知っておくと役立つかもしれません。

加算算定、書類業務でお困りならRehab Cloudがおすすめ

日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。

例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。

記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。

⇒資料のダウンロードはこちらから

この記事の著者

作業療法士  藤本 卓

作業療法士として大手救急病院に入職。救急医療や訪問リハビリ、回復期リハビリテーション病院の管理職として従事後、株式会社Rehab for JAPANに参画。作業療法士、呼吸療法認定士、住環境福祉コーディネーター1級、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種、生活習慣病アドバイザーの資格を有し、専門的な知識と現場での知見を元に、事業所の支援を行う。機能特化型デイサービスでは、2ヶ月で「稼働率72%から95%に」アップさせるなどの実績をもつ。

関連記事