介護現場のDX化は実際どう?デイサービス管理者の実体験
運営ノウハウ
2024/11/06
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更新日:2024/10/17
介護業界では介護職の離職率が高いのが特徴で、離職を防止するために離職理由について考えていろいろな対策をしても離職率が高い施設は高止まりの傾向があります。厚生労働省のデータをもとに離職率割合から離職の理由や対策を考えます。介護という仕事は働きがいややりがいがあり、世のため人のための仕事であることに間違いありません。この現状を打破するために、私たちの職場はどのような対策を行えば働きやすい職場になるのか、まとめました。
この記事の目次
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厚生労働省(2013)の雇用動向調査によると、医療・福祉関連の離職者は年間91万人にも及びます。これだけの介護士が離職する理由にはどういったものがあるのでしょうか?
テレビや雑誌などで介護のイメージは、3K=「きつい・きたない・給料安い」を彷彿させ、間違ったイメージが展開されているようにも思えます。しかしながら、本当にそれが理由で介護現場から離職しているのでしょうか?
以下に、事業所別介護職の離職率割合、考えられる介護職員の離職理由についてご紹介します。
訪問介護員は非常勤職員、介護職員(施設等)は常勤職員主体。訪問介護員は常勤職員の、介護職員(施設等)は非常勤職員の離職率が高くなっている。
引用元:介護人材の確保について
この厚生労働省の介護職の離職率割合(事業所別)データは、非常に興味深いデータとなっていますが、訪問介護に従事する職員では常勤職員、施設での介護業務に従事する職員では非常勤職員の離職率が高い傾向となっています。この背景の詳しい離職理由のデータは存在しませんが、考えられることとして、訪問介護職員では「リスク管理」・「移動の労力が大きい」ということが1つの理由に挙げられるかもしれません。
訪問介護では、私も訪問リハビリに従事していたのでよく分かるのですが、ケア中に万が一利用者さんが意識を失ったらどうするのか。訪問時に体調を崩した場合にどうしたら良いのか。こういったリスクは少なからず存在します。
訪問の場合、その場にいるのは自分だけですので、そういった精神的なストレスが関与していることが示唆されます。
また、移動の労力についてですが、多くの場合「自転車移動」になると思います。車移動というケースもあると思いますが、雨の日も風の日もお休みになるわけではありません。そういった場合でも訪問しないといけないので、肉体的な労働が離職に拍車をかけていることも考えられます。
こういった理由から訪問介護では常勤職員の離職が多いのかもしれません。
一方で施設の介護職員では、訪問介護のようなデメリットはないにしても、施設の人手不足により過労になる傾向にあります。報酬に見合った労働ではないということも原因の1つなのかもしれません。
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介護職員は男性よりも女性が多いです。女性においては、結婚による離職が25~29歳で最も高くなっています。また、出産・育児による離職は30~34歳で最も高くなります。介護度の高い方が多く、身体介護が多く介護職員の肉体的負担や不規則な勤務などが多い労働環境ではこのような理由による離職の傾向が強くなります。
仕事が介護だとしても、自分の両親などの介護を理由に離職をした介護士は、年間10万人以上にのぼるといわれています。いわゆる「介護離職」です。
介護職の介護離職について、年齢別にみてみると35〜49歳で最も多くの方が離職しており、特に夫婦間で収入を考えた場合に、給料の安い場合が多い女性が離職することが多くなっていると考えられます。
介護職は給料が安いことが原因で離職すると思われがちですが、実は給料が安いが理由になっていることよりも多いと言われているのが、人間関係や上下関係が原因の離職です。経営者や施設長などの意見や方針の相違ということもありますが、同僚やスタッフ間での人間関係に悩むことが多くなるようです。給料については「介護職員処遇改善加算と処遇改善手当」などの国家主導の対策で、多くの介護事業所で給与ベースは向上傾向があります。
人間関係が本当の離職理由であったとしても、実際に退職時の面談や退職書類などで離職理由として伝えることは少ないです。
医療や介護業界では、経験がある人が先輩職員という風潮があり、年上の職員に若いスタッフがタメ口を聞いていたりすることもチラホラとみられます。また、医療や介護施設では、看護師やケアマネジャー、理学療法士(PT)などの様々な専門職種が混在しているために意見の相違することは致し方ないことですが、どちらかが偉いなどと勘違いしている言動をする方も多くいらっしゃいます。医療行為ができるスタッフが偉いわけではありませんが、そのような発言から他職種のスタッフとの人間関係に悩み、離職する方も多くいらっしゃいます。
また、介護職の人事担当やリーダー的な役職の方からの不公平な評価やえこひいきなども離職の原因として大きいです。
介護職員の離職の理由として、結婚や出産・育児、両親の介護などに関しては、勤務体系を時短給にすることはできますが、その多くは家庭の問題で、仕方ないことかもしれません。
しかしながら、介護職員を大切にしていきたい。できることなら永年勤めて欲しいと思うのが経営者です。介護離職を少しでも減らす対策方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
介護離職の対策方法として参考になるのが、介護労働安定センター(2014)による介護職員が「働く上での悩み、不安、不満の解消役立つと思う取り組み」のアンケート結果です。
Q.働く上での悩み、不安、不満の解消役立つと思う取り組みとは!?
第1位:39.1%「定期的な健康診断の実施」
第2位:39.0%「介護能力に向けた研修」
第3位:34.9%「勤務体制を決める際の職員の要望を聞く機会の設定」
第4位:34.3%「事故やトラブルへの対応マニュアル作成等の体制づくり」
第5位:33.7%「働き方や仕事内容、キャリアについて上司と相談する機会の設定」
第6位:33.3%「実務の中で、上司や先輩から指導や助言を受ける機会の設定」
この結果から介護職員の想いとして、「知識・技術的な教育支援」が上位にランクインしていることがわかります。
スタッフの幸せを考える経営者であれば、給与面も考えていると思います。一方、介護士の皆さんの教育支援にどれだけコミットできているかここが介護離職の対策のカギを握るのではないでしょうか?
介護職員の方々が自分の仕事に自信やプライドを持って働けるよう「スタッフ価値」の最大化にコミットすることが重要です。コミットは必ずスタッフの満足度につながります。満足度は帰属意識を生み、離職率や事業所内の雰囲気改善にもつながるでしょう。
参照:公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働の現状について(平成26年度介護労働実態調査)」
介護職の離職を防止するもう一つの対策に「職員の満足度を高める」ことがあります。
例えば、美容業界では初めのうちは給与が安く、賃金が上がりません。若いうちに結婚したいと思っても家族を養うには給与が低く、夢を諦めて、サラリーマンになる方も多い業界です。しかし、中には必死に頑張って技術やコミュニケーション能力を磨き、自分のお店を持ち大成する。辞める方も多い業界ですが、夢ある美容師を目指す若者は数多くいます。
介護士はどうでしょうか?
介護業界には夢がないのでしょうか?
それは決して違います。介護士の方で介護技術やコミュニケーション能力を磨き大成する方も多くいます。それでも、介護士を目指す若者は美容業界と比較すれば圧倒的に少ないのは事実でしょう。なぜなのでしょうか?
その答えは、やはり「介護士に対するマイナスイメージ」です。
介護のイメージが、3Kなどという「きつい・きたない・給料安い」を彷彿させ、間違ったイメージが展開されているように思えます。介護職に就いたはいいものの「やっぱりイメージ通りだった」と思わせない、介護現場のイメージを打破していくことが重要です。
私たちは介護に携わる多くの方のイメージを破壊し、介護という素晴らしい仕事の魅力を伝え、そして若い子たちを中心に技術と知識という武器を持たせることが介護離職の対策となるのではないでしょうか。
そのためには、働き方や仕事内容、キャリアデザインについてマネージャーと従業員が相談する機会を設ける。そして、終礼やミーティングなどに介護職員からの意見を尊重する、つまりコミュニケーションをとる機会を増やすことが重要です。
コミュニケーションとは、スタッフの意見を聴くことが全てではありません。コミュニケーションとはマネージャの想いや思考、スタッフの想いや意思を相互に伝えあい、お互いに理解しあうことです。これだけではありませんが介護士の満足度を高める取り組みを行うことが介護士の離職を防止することにつながることでしょう。
それでは、介護士の離職を防止する3つの対策方法をご紹介します。
介護士の離職を防止する対策の1つ目は「知識の獲得」です。
介護現場では、未経験のパートタイムで仕事をする方が数多くいらっしゃいます。入職した動機を尋ねると「人の役に立つ仕事がしたくて介護士になりました。」という方も多いのです。
しかし日々の業務に追われ、余裕がなくなり、日に日にその内なる情熱は消えていきます。だからこそ、経営陣は定期的に介護のノウハウや自分たちのミッションについて勉強会を開催し、そのメッセージを伝えましょう。そこに講師陣のお金がかかったとしても、職員獲得のための採用費用よりもはるかにお得なもの。
私たち介護に携わる者にとって「介護とは何か」について徹底的に伝えましょう。それが個人の感性を通し、働くことの意味を理解を促すことにつながります。働くことの意味は存在意義につながり、「きついけど楽しい。やりがいがある。」このようにつながっていくのです。
上述したように「教育」を行うだけでは不十分です。というのも、教育は度が過ぎると洗脳であり、個人の感性を通じてどうかが必要です。「評価」は職員一人一人のバリュー(価値)が施設にとってどのような意味があるのかを体系的に表現したものです。
テクニカルな部分ではありますが、介護職員処遇改善加算や介護福祉士等の資格はこれらを促進する一つのきっかけにつながります。
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介護職員の離職を防止する対策の一つに「業務効率化」があります。
介護保険下で施設運営をしている事業所であれば、コンプライアンスを重視しなければならないもの。そのため、利用者状況やサービス提供情報をアウトプットすることは説明責任を果たす上でも必ず行わなければなりません。
そのため、計画書や報告書作成などの事務作業に忙殺される介護職員も多いのです。このように介護職員の業務を効率的にする仕組み造りやサービスの導入も介護離職を防止する1つです。
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介護士の離職を防止する対策の一つに「つながり」があります。
若い世代は、LINEやTwitter,InstagramなどのITツールを活用し、自分の意見をスマホを通じて発信し、受信します。みなさんの介護現場ではどれくらいの頻度で、どのようにコミュニケーションをとっていますか?
上司や先輩と相談する時間を設けることも重要ですが、日頃の業務の中で高頻度にスタッフ間のコミュニケーションが取れることが重要です。スタッフ間の繋がりを強めて介護離職を予防していきましょう。
介護士の離職対策として、介護職員の教育に力を入れる場合でも日々の業務が忙しくて勉強会の資料作りの時間がない、開催する時間がないことも多いでしょう(頻回であればあるほど、スタッフも正直きついです)。
また、著名な先生をお呼びして研修会を開催してもスタッフの勤務体制が異なることも多く、伝達も大変です。知識を現場レベルで落とし込むためには、繰り返し学習していくことが重要です。
これらの問題解決する方法の一つとしてIT活用が挙げられます。
ITは根拠のある情報を選択すれば、教育ツールとして活用でき、第3者とのコミュニケーションを行うことのできるツールである。
介護士の離職対策として、業務効率化があります。介護現場では、介護の人手不足だけでなく業務日誌や各種計画書の作成など書類業務が多くなります。その中で業務効率化に取り組むことは必須事項ではないでしょうか?
これらの問題解決するITの活用法をご紹介します。近年では「IT導入助成金」もあり、介護現場でのIT推進は国家レベルで行われていますので注目です。
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業務効率化を考える上でIT導入はした方が良いのは間違いありません。中高年のスタッフでは、使用方法がわからないこともあるかとは思いますが、ITを使って得られる利益の方が大きく、継続的な運営を考えるのであれば、ITツールを使用することは時代の流れでしょう。
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介護士の離職対策として、「情報共有」があります。介護現場では、ご利用者様の送迎や入浴、リハビリ、介助。そしてミーティング。すべてにおいてスタッフ間の情報共有が必要です。情報共有ができていないと、家族やケアマネにも適切な情報を伝えることができませんし、ご利用者様に良いサービスを届けることができません。このコミュニケーションは、スタッフ間の繋がりを強めることになり介護離職を予防する対策としても有効です。
では、介護現場で情報共有を促すためのIT活用法について一緒に考えていきましょう。
現場で働いていると「声が大きい人の発言」や「責任者の発言」ばかりが尊重され、発言力のないスタッフの声が反映されないことが多いです。これでは職員間の人間関係がよくなるはずがありません。終礼で話しているじゃないかという人がいるかもしれません。
しかし、言葉を発することは得意不得意があります。勇気が必要なことだってあります。どのようにすれば、コミュニケーションが生まれやすくなるか。
その解の一つが「IT」なのです。若い方を中心にスマホは日常的に使う道具であり、ほとんどの方が ITを通じて、コミュニケーションをとっています。メールもITですし、フェイスブックやツイッターもITです。
フェイスtoフェイスで言いにくいこともITを使えば言いやすいことだってあるかもしれません。若い方が何を考えて、何に悩んでいるか。これは管理者の役割の一つであり、ITは情報共有ツールとして非常に便利なものに変わるでしょう。
今回は「介護職員の離職理由・離職率|働きやすい職場になるための対策方法」についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。介護職員が「やりがい」や「役割」をもって仕事に取り組めるようにサポート体制を整えていきまましょう!
デイサービスの経営や運営は様々な視点から行っていくことが重要だといえます。これまでのやり方に加えて、稼働率アップさせるための営業戦略や、より業務効率化・生産性向上に貢献するITツールの導入などを検討していってもよろしいのではないでしょうか。 これら経営や運営に関する記事を一挙にまとめていますので、該当する記事を読んでいただき少しでも参考にしていただけたらと思います。 →→ 【完全保存版】デイサービス経営改善・運営・営業戦略・ITツール・実地指導・接遇に関する記事まとめ|随時更新 |
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