ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
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評価
更新日:2024/09/02
認知症高齢者の日常生活自立度の評価項目や判定基準の覚え方がわからない方はいませんか?日常生活自立度要は介護認定などにも用いられ、高齢者の認知機能と症状の状態を日常生活の自立度で簡単に判断する評価方法です。「Ⅰランク」「Ⅱランク」「Ⅱaランク」「Ⅱbランク」「Ⅲランク」「Ⅲaランク」「Ⅲbランク」「Ⅳランク」「Mランク」の9段階に分けられています。この記事では、認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準に基づいて、各ランクがどのような状態になっているかを紹介します。
この記事の目次
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認知症高齢者の日常生活自立度とは、ご高齢者の認知症の状態について日常生活の自立度で簡単に判断する評価です。医療・介護の現場のスタッフからは、「認知症老人の日常生活自立度」と呼ばれることもあります。
認知症高齢者の日常生活自立度は、高齢者の認知症と日常生活の自立レベルを簡易に評価できるため「障害高齢者の日常生活自立度」とともに、介護保険の要介護認定などの認定調査や主治医意見書などに活用されています。
また、病院現場では、「看護計画書」や「リハビリテーション計画書」などに患者様の基本情報として記載されています。
介護現場においては、「ケアプラン」や「通所介護計画書」「個別機能訓練計画書」において基本情報として記載されています。
認知症高齢者の日常生活自立度の評価項目は、高齢者の現在の認知症の状態について日常生活の自立度を「Ⅰランク」「Ⅱランク」「Ⅱaランク」「Ⅱbランク」「Ⅲランク」「Ⅲaランク」「Ⅲbランク」「Ⅳランク」「Mランク」の9段階で評価します。
▼障害高齢者の日常生活自立度とは、ご高齢者の日常生活の自立度を簡単に判定する評価です。詳しくはこちらをご覧ください。
【関連記事】 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは 認知症高齢者の日常生活自立度と合わせて要介護認定等で活用される「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」の判定基準について簡単にご紹介します。 |
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認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準は、以下の基準表の項目を参考に、該当するものを選択します。要介護認定に関わる主治医意見書などの書類上は、ランクの文字だけが書かれていることが多いため、○印をつけるなどの記入方法になっています。
[出典]厚生労働省 老人保健福祉局長通知を改変
認知症高齢者の日常生活自立度Ⅰとは、何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立しているレベル。
例えば、軽い物忘れの症状がありますが、身近に家族などの見守ってくれる人がいれば、ひとりでも日常生活に困ることはほとんどない状態。
日常生活自立度Ⅱとは、日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できるレベル。
軽い物忘れなどが多少あっても、家族や身近な人が注意していれば在宅での生活に問題がない状態。
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅱa とは
日常生活自立度Ⅱaとは、家庭外で上記Ⅱの状態がみられるレベル。
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅱbとは
日常生活自立度Ⅱbとは、家庭内でも上記Ⅱの状態が見られるレベル。
日常生活自立度Ⅲとは、日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られ、介護を必要とするレベル。
(例)食事や排泄といった日常生活において重要な行動が自力ではできず、日常的に介護があっても在宅での生活が難しくなってきている状態
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅲaとは
日常生活自立度Ⅲaとは、日中を中心として上記Ⅲの状態が見られるレベル。
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅲbとは
日常生活自立度Ⅲbとは、夜間を中心として上記Ⅲの状態が見られるレベル。
日常生活自立度Ⅳとは、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思の疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする状態。
ランクⅢの状態が昼夜の別なく続き、目が離せない状態。
認知症高齢者の日常生活自立度ランクMとは、著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態。
(例)せん妄や興奮、自傷・他害など、一時的に精神状態が悪化したことによって専門医を受診する必要がある状態
認知症高齢者の日常生活自立度には、1〜4のレベルで9区分あり、覚え方が難しいです。認知症高齢者の日常生活自立度を用いる目的は、ご利用者の認知症の程度と生活状況について介護職員などの関わる人たちが大まかに把握することであり、そのためにはランクを見て認知症がどの程度なのかがわかる必要があります。
認知症高齢者の日常生活自立度の簡単な覚え方を紹介しますので、まずは大雑把に把握して、細かなランクはフローチャートのようにして考えていくと良いと思います。
ランクⅠ 自立
ランクⅡ 要見守り → Ⅱa 家庭外で → Ⅱb 家庭内でも
ランクⅢ 要介助 → Ⅲa 昼中心 → Ⅲb 夜中心
ランクⅣ 全般的に介護
ランクM 専門的介入が必要
ランクについてこのように簡単に分ける覚え方をして、2には家庭内外、3には昼夜をabで区分するというフローチャートのような考え方で本来の認知症高齢者の日常生活自立度のランク分けとなります。主治医や行政提出書類作成など、厳密に判断する必要がある時には判断基準に従って当てはまるものを判断しましょう。
[出典]厚生労働省老健局老人保健課より
認知症高齢者の日常生活自立度は、障害高齢者の日常生活自立度とともに「要介護認定」をする際の指標になっています。
厚労省より報告されている日常生活自立度の組み合わせによる介護度別分布を調べてみると以下のように「認知症高齢者の日常生活自立度」と「障害高齢者の日常生活自立度」のランクが高い(状態が悪い)ほど要介護度が高く認定されていることがわかります。
これから要介護認定をされる方、更新をされる方は参考にしてください。
▶︎ランクⅡ × ランクAの場合
▶︎ランクⅢ × ランクAの場合
▶︎要介護認定についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。
【関連記事】 要介護認定の区分とは 要介護認定の区分から認定期間、申請方法までをまとめてご紹介します。 |
平成22年度の全国の65歳以上の高齢者において、認知症の方は有病者数約439万人と推計しています。 また、全国のMCI(正常と認知症の中間の状態)の方は有病者数約380万人と推計しています。
そのうち、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上は約280万人、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅰ又は要介護認定を受けていない人は約160万人とされています。
これらのことから軽い物忘れがある認知症の方が、これだけ多く自宅で生活を送っていることがわかります。
さらに、今後の65歳以上の高齢者数は、2025年には3,657万人となり、そのうち認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の高齢者は470万人と高齢者人口の12,8%にも増加すると予想されています。
高齢者の8人に1人が認知症を抱えていることになります!
今後、高齢者数は2042年には3,878万人とピークを迎えます。
そのため、適切な認知症高齢者の日常生活自立度の評価を行い「早期診断」「早期対応」 をすることで、家族や地域からの「認知症の生活支援」「サービスの充実」を図り、住み慣れた地域での継続的に生活できるように支援していく必要があるのではないでしょうか。
認知症高齢者の日常生活自立度は、ご高齢者の認知症の状態を日常生活の自立度で簡単に判断する評価です。その他にもご高齢者の認知症のテストにはさまざまなものがあります。
テスト名 | 詳細 |
---|---|
長谷川式認知症スケール(HDS-R) | 長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、認知症のスクリーニングテストとして日本で主流の見当識や記憶など9項目の検査です。※所要時間は約5〜10分程度。※カットオフ値は、30点満点中で20点以下の方を認知症の疑いが判定される。詳しくは「長谷川式認知症スケール(HDS-R)の評価方法と採点」の記事で。 |
ミニメンタルステート検査(MMSE) | ミニメンタルステート検査(MMSE)とは、日本語では「精神状態短時間検査」と呼ばれる認知症のスクリーニングテストです。評価項目は11問です。※所要時間は10〜15分程度。※カットオフ値は、30点満点中21点以下の方を認知症の疑いが判定される。詳しくは「ミニメンタルステート検査とは(MMSE, Mini Mental State Examination)」の記事で。 |
Mini-Cog | Mini-Cogは、3語の即時再生と遅延再生と時計描画を組み合わせたスクリーニング検査です。※所要時間は2分程度です。※カットオフ値は、2点以下で認知症疑いが判定されます。 |
MoCA | MoCAまたはMoCA-J(Japanese version of MoCA)は、視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識を組み合わせたスクリーニング検査です。※所要時間は10分程度です。※カットオフ値は、25点以下がMCI(軽度認知症)と判定されます。MoCAはMMSEよりも糖尿病患者の認知機能障害を見出すことができるのが特徴です。 |
DASC-21(地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート) | DASC-21は、認知機能障害と生活機能障害(社会生活の障害)に関連する行動の変化を評価する尺度で、21項目の質問の検査です。※所要時間は5〜10分程度です。 |
MMSEとは、Mini Mental State Examination(ミニメンタルステート検査)の略語で、日本語では精神状態短時間検査といわれる認知症のスクリーニングテストです。所要時間は10〜15分程度とされています。
MMSEの検査では、時間の見当識、場所の見当識、即時想起、注意と計算能力、遅延再生(短期記憶)、言語的能力、図形的能力(空間認知)を含めた11項目の認知機能を検査することができます。
【MMSEのカットオフ値】
21点以下/30点:認知症の疑いがあると判断
22〜26点/30点:軽度認知障害(MCI)の疑いがあると判断
【MMSEの評価項目】
▼認知症テストであるMMSEについて、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメ。
【関連記事】 MMSEとは?MMSEの評価とカットオフ値、採点の基礎知識【総論】 認知症のテストとして世界的に活用されているMMSEの評価方法やカットオフ値、採点ポイントについてまとめてご紹介します。 |
HDS-R(長谷川式認知症スケール)は、認知症の疑い(認知機能の低下)を早期に発見することができるスクリーニングテストで、所要時間は5分〜10分程度です。見当識や記憶など9項目の質問形式の検査で、それぞれの項目に見当識や記憶、計算など認知機能を評価するために重要な要素が含まれています。
【長谷川式認知症スケール(HDS-R)のカットオフ値】
20点以下/30点:認知症の疑いがあると判断
【長谷川式認知症スケール(HDS-R)の評価項目】
▼認知症の評価方法の1つ「HDS-R」についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。
【関連記事】 HDS-Rとは?長谷川式認知症スケールの評価と採点の基礎知識【総論】 HDS-Rの評価方法や採点ポイントについてまとめてご紹介します。 |
これまで、認知症高齢者の日常生活自立度の評価方法や日本の高齢者の現状についてご紹介しました。
日本の高齢化率は2025年に向かって増え続け、それに伴って認知症の数もどんどん増えていきます。
このような日本の認知症の方の増加に先駆け、最近では、認知症の方が住みやすい「街づくり」や「認知症カフェ」などの取り組みも増えてきていますが、このような活動は街全体を動かす時間と労力がかかる大変な取り組みです。
そのため、まずは私たちスタッフが「認知症高齢者の日常生活自立度」について知り、認知症の早期診断・早期対応を促すことことが重要になるのではないでしょうか
今回の記事が医療・介護現場で働くスタッフの皆さんの参考になれば幸いです。
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