ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
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資格・職種
更新日:2024/07/31
作業療法士とは、病院や介護福祉、発達、精神などで病気やケガをされた方々の身体機能面や精神面、日常生活のリハビリテーションを行う専門職です。作業療法士になるには、養成校に入学した後に作業療法士の国家試験に合格しなければなりません。そこで今回は、作業療法士になるまでの流れや合格率、その後の教育制度についてまとめてご紹介します。
この記事の目次
作業療法士とは、病気やケガによって身体や精神に障害や不自由さを抱える方々に対して、医師の指示の下で治療(作業療法)を行うリハビリテーションの専門家です。
作業療法士は、一般的にリハビリテーションスタッフとして活躍しますが、介護領域では、機能訓練指導員と呼ばれています。
作業療法士になるには、国家資格である「作業療法士免許」が必要です。
作業療法士の国家試験を受験するためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成校で3年以上学ばなくてはなりません。養成校には、4年制大学や3年制の短大、3年制または4年制の専門学校が全国に約182校(平成24年度)あります。
Step1 | 作業療法士の養成校に入学 (最低でも3年以上) |
Step2 | 必須の単位を取得 |
Step3 | 卒業試験に合格する(各校で異なる) |
Step4 | 各校で模擬試験を受ける (養成校によっては模擬試験の内容が悪いと国家試験を受けさせてもらえない場合があります) |
Step5 | 作業療法士の国家試験を受ける |
Step6 | 合格発表後、作業療法士の国家資格を取得 |
日本の養成校の中には、世界作業療法士連盟(WFOT)と呼ばれる認定校があります。 世界作業療法士連盟(WFOT)とは、カリキュラムや教員数、臨床実習の時間が一定水準以上に達している学校に対してのみ与えられます。この認定校を卒業することで、世界で作業療法士として働くことができます。
作業療法士になるためには、養成校で学ぶカリキュラムは多岐にわたります。その中でも大きく分けて「基礎分野(教養科目)」「専門基礎分野」「専門分野」があります。
基礎分野 | ・知識と人間 ・環境と社会 ・社会心理学 ・コミュニケーション科目 ・保健体育科目など |
---|---|
専門基礎分野 | ・人体構造、機能、発達の理解 ・疾患、障害の理解 ・回復過程の理解 ・医療福祉制度と法律の理解 ・救急医学実践論 ・カウンセリング実践論 ・ターミナルケア論など |
専門分野 | ・基礎作業療法学 ・作業療法評価学 ・作業療法治療学 ・地域作業療法学 ・臨床実習 ・研究科目など |
科目のほんの一部をご紹介していますが、養成校を卒業するためには、専門基礎分野・専門分野のうち必修科目の98単位を含めて105単位以上を修得することが必要になります。また、卒業に必要な修得単位数は、合計124単位以上となります。
理学療法士の養成校では、この必須の単位を取得し、所定の課程を修了する必要があります。必修の単位や各校で指定されている卒業試験を落としてしまうと、その年に国家試験を受けれなくなってしまうので注意してください。
【関連記事】 関連職種である認定理学療法士の人数と種類を知りたい方はこちら♬ 理学療法士になる方法について解説しています。 |
平成29年 | 出願者 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
理学療法士 | 14,379人 | 13,719人 | 12,388人 | 90.3% |
(うち新卒者) | 11,300人 | 10,721人 | 10,319人 | 96.3% |
作業療法士 | 6,150人 | 5,983人 | 5,007人 | 83.7% |
(うち新卒者) | 5,432人 | 5,303人 | 4,800人 | 90.5% |
作業療法士になるには、養成校で学んだ後に、作業療法士の国家試験を受験することが必須です。2016年(平成28年)の国家試験の結果を見ると、作業療法士の合格率は「87.6%」となっています。決して低い数字ではないものの、71%に落ち込んだ年もあるので気が抜ける試験ではありません。
【過去の国家試験の合格率】
参照:厚生労働省「第52回理学療法士国家試験及び第52回作業療法士国家試験の合格発表について」
作業療法士の教育制度として、日本作業療法士協会では「新人教育プログラム」「認定作業療法士」と「専門作業療法士」などの制度を設けています。これらは作業療法士に必要な基礎知識から教育・研究・管理運営など、作業療法士としてのスキルアップが望めます。
【作業療法士のキャリアアップ】
認定作業療法士とは、「臨床実践能力」、「教育能力」、「研究能力」、「管理運営能力」が一定の水準以上であるものとされています。2017年9月現在、認定作業療法士は全国で述べ「906名」が取得しています。認定作業療法士になるためには、以下の条件を満たした作業療法士協会の会員が、定められた研修や課題をクリアした上で申請書を出す必要があります。その上で認定作業療法士の資格試験を受けて合格したものが晴れて認定作業療法士になることができます。
step1 | 書類審査申請された書類一式を審査し、受験資格を満たすものに受験票を発行する。 |
step2 | 筆記試験※120分・40問(四肢択一)・100点満点 一般問題(30問 60点) ・教育法(10問) ・研究法(10問) ・管理運営(10問)状況設定問題(10問 40点) ・各領域における作業療法実践能力を問う内容(5問) ・一般問題などに関する内容(5問) |
step3 | 合否判定60%以上の得点を得たものを合格とする。 |
結果は理事会承認後、合格者には認定作業療法士の認定証が再交付される。また、台帳へ登録され、その氏名等が公開される。
専門作業療法士とは、作業療法に関する8項目の中から取得したいものを選択し、専門作業療法士試験を受講します。2017年9月現在で延べ「96名」が取得しています。
専門作業療法士になるためには、以下の取得要件を満たすことが必要となります。その上で認定作業療法士と同様に資格試験を受けて合格しなければなりません。
参照:一般社団法人 日本作業療法士協会 「専門作業療法士とは?」
作業療法の仕事は、身体に障害がある方のリハビリテーション、精神に障害がある方のリハビリテーション、子どものリハビリテーション、高齢者のリハビリテーションなどがあります。
そのため作業療法士の職域は、主に「身体領域」「精神領域」「発達領域」「高齢者領域」の4つに分類されます。それぞれの領域の作業療法士の仕事内容についてご紹介します。
身体障害分野の作業療法士は、脳血管障害や脊髄損傷、骨折、神経難病、慢性関節リウマチ、糖尿病、呼吸器疾患などの疾患を対象とし、医療機関やデイケア施設などで活躍します。 医療機関ではベッドサイドから作業療法を開始し、自宅または施設等に退院まで身体機能を回復を目指し、また身体機能の回復に合わせて、自分自身の身の回りのことが自分で出来るように、自立支援を行います。
精神障害分野の作業療法士は、統合失調症や気分障害(うつ病など)、ストレス関連の障害などの疾患を対象とし、主に病院や施設等で活躍します。作業療法では患者さんの生活リズムや対人関係の改善などを専門的に行い、退院に向けた支援(復職なども含む)を行います。退院した方については、精神保健福祉士と連携して就労支援や当事者や家族からの精神保健や社会保障に関する相談を受けたり適切なサービスを紹介したりします。
発達分野の作業療法士は、脳性麻痺や筋ジストロフィー、自閉症やアスペルガーなどの発達障害を対象とし、主に医療機関や施設で活躍します。生まれた直後のICUから就学前、小学校や中学校おける就学時、職業や余暇活動の支援を行います。
高齢者分野の作業療法士は、身体障害や精神障害の分野、認知症などの症状もあるため、総合的な分野を対象とし、医療機関や訪問リハビリ、通所介護(通所介護施設では機能訓練指導員として)、入所施設など介護保険領域で活躍します。高齢者の方がその人らしい生活を送るための支援を行います。
ここまで、作業療法士になるまでの流れや合格率、その後の教育制度についてまとめてご紹介しました。
作業療法士は、ケガや病気によって障害を持った方に対して本人が望む生活・動きができるようにサポートする素晴らしい職種です。作業療法士になって様々な領域で一緒に働いてみませんか?
【最後に筆者より】
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