個別機能訓練計画書|効率的な作成方法・おさえるべきポイントとは
介護保険法
2024/11/06
介護保険法
その他の加算
更新日:2024/10/30
【令和6年報酬改定対応】認知症加算とは、認知症患者を積極的に受け入れるため体制を整えたことを評価する加算です。令和6年の介護報酬改定では利用者割合の変更や会議の定期開催が新設されました。この記事では、人員配置を含めた具体的な算定要件を紹介しています。
この記事の目次
⇒「令和6年度介護報酬改定の決定事項」解説資料のダウンロードはこちらから
認知症加算とは、認知症の利用者に対して介護サービスを提供する際に算定できる加算のことです。
令和3年度の介護報酬改定では、算定要件の1つである「認知症ケアに関する研修の修了者の配置」についての内容が見直され、新たに「認知症ケアに関する専門性の高い看護師」が、配置の対象として追加されました。
この人員配置の変更から、「認知症専門のケア」をより重視する傾向になったといえるでしょう。
また、令和6年度の介護報酬改定では、介護を必要とする認知症の者の占める割合が100分の15以上であることと割合が緩和されました。一方、事業所の従業者に対する認知症ケアに関する事例の検討や技術的指導に係る会議の定期的な開催が必要になりました。
参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(2024年5月7日確認)
算定対象となる事業者は以下の通りです。
参考:認知症対応型共同生活介護
厚生労働省のデータによると、認知症加算の算定率は事業所ベースで7.4%、回数ベースで2.6%(令和4年3月時点)と非常に低い水準にとどまっています。認知症高齢者の増加に伴い、認知症ケアの重要性は高まっているにもかかわらず、多くの事業所がこの加算を取得できていない現状があります。
この低い算定率の背景には、以下のような課題が存在します。
加算を取得するためには、基本的な人員基準を満たすことに加え、看護師または介護職員を常勤換算で2名以上配置する必要があります。さらに、サービス提供時間中に「認知症介護実践者研修等修了者」を1名以上配置しなければならず、この職員は他の職務と兼務することが認められていません。特に小規模な事業所では、この人員要件を満たすことが難しく、加算取得のハードルが高くなっている状況です。
また、加算を取得するための手続きや書類作成が非常に煩雑であることも、算定率が低い要因の一つです。事業所は加算を申請する際に、複雑な基準や細かい要件を正確に満たす必要がありますが、こうした手続きの負担が特に小規模な事業所では大きく、結果として加算申請を行わないケースがあるようです。
⇒「令和6年度介護報酬改定の決定事項」解説資料のダウンロードはこちらから
単位数 | 60単位/日 |
---|---|
対象者 | 日常生活に支障をきたす恐れのある症状や行動によって介護を必要とする認知症の利用者(認知症高齢者の日常生活自立度のランクⅢ、ⅣまたはMに該当) |
算定要件 | ・人員基準に規定している人数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算方法で2以上確保している ・前年度または算定日の月の前3ヵ月間の利用者の総数のうち、介護を必要とする認知症の利用者が占める割合が15%以上 ・サービス提供時間を通して、認知症介護に関する研修を修了した職員あるいは、認知症ケアに関する専門性の高い看護師を1名以上配置 ・従業者に対する認知症ケアに関する個別事例の検討や技術的指導に係る会議等を定期的に開催すること |
認知症加算 60単位/月
認知症加算(Ⅰ) 800単位/月
認知症加算(Ⅱ) 500単位/月
認知症加算(Ⅰ) 800単位/月
認知症加算(Ⅱ) 500単位/月
参考:認知症対応型共同生活介護
職員の配置数を計算する方法をみていきましょう。
今回の条件と事業所の状況は以下の通りです。
【条件】
① 指定基準を満たす確保すべき勤務延時間数
(例:月曜日の場合)
確保すべき勤務時間数=((利用者数-15)÷5+1)×平均提供時間数=11.2 時間
①では、指定基準を満たすために確保すべき勤務時間を計算します。
『((利用者数-15)÷5+1)』を計算すると必要な職員数がわかるので、そこから提供時間数である7時間をかけると、11.2時間になります。
② 指定基準に加えて確保されたものと扱われる勤務時間数
(例:月曜日の場合)
指定基準に加えて確保された勤務時間数=(8+7+8)-11.2=11.8 時間
②では、指定基準に加えて確保されたものと扱われる勤務時間数を計算します。
また、この時間を「加配時間」といいます。
計算式はその曜日の職員ごとの勤務時間数を足して、①の確保すべき勤務時間数を引いたものになり、上記では「11.8時間」となります。
以上より、上記の体制で実施した場合では、週全体で 84 時間の加配時間となり、
84 時間÷40 時間=2.1 となることから、常勤換算方法で2以上確保したことになる。
認知症加算の算定対象者の利用がない日は、認知症介護に関する研修を修了した職員の配置は不要です。
一方で、対象者が利用している日に、認知症介護に関する研修を修了した職員を配置していないと認知症加算は算定することができませんので注意が必要です。
参考:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)
次に、日常生活自立度Ⅲ以上の利用者の割合計算方法についてみていきましょう。
利用者の要介護度と利用実績については以下の表の通りです。
今回は要介護度3以上を「日常生活自立度Ⅲ」と想定して計算します。
① 利用実人員数による計算(要支援者を除く)
・利用者の総数=9 人(1 月)+9 人(2 月)+9 人(3 月)=27 人
・日常生活自立度Ⅲ以上=4 人(1 月)+4 人(2 月)+4 人(3 月)=12 人
したがって、割合は 12 人÷27 人≒44.4%(小数点第二位以下切り捨て)≧30%
①では、利用者の総数は1月から3月までの3ヵ月間ともに9人だったので、27人です。
そのうち、日常生活自立度Ⅲ以上の利用者は4人なので、3ヵ月分で12人。
総数のうち、日常生活自立度Ⅲ以上の利用者の割合は44.4%なので、認知症加算の基準を満たしたことになります。
② 利用延人員数による計算(要支援者を除く)
・利用者の総数=82 人(1 月)+81 人(2 月)+88 人(3 月)=251 人
・日常生活自立度Ⅲ=46 人(1 月)+50 人(2 月)+52 人(3 月)=148 人
したがって、割合は 148 人÷251 人≒58.9%(小数点第二位以下切り捨て)≧30%
②では1ヵ月ごとの利用実績を参照します。
3ヵ月分の利用者は251人で、そのうち日常生活自立度Ⅲ以上の利用者は148人です。
総数のうち、日常生活自立度Ⅲ以上の利用者の割合は58.9%なので、こちらも認知症加算の基準を満たしています。
上記の例は、利用実人員数、利用延人員数ともに要件を満たす場合であるが、①又は ②のいずれかで要件を満たせば加算は算定可能である。
これらの計算によって認知症の利用者を占める割合が20%未満ですと、算定が取り下げられますので、注意してください。
また、自治体によってはエクセルシートがある場合もあるので、各自治体に問い合わせて活用してみましょう。
参考:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)
中重度者ケア体制加算との同時算定は可能ですが、若年性認知症利用者受入加算との同時算定はできません。
認知症介護研修修了者と認められるためには以下の研修を修了することが必要です。
問 17 認知症専門ケア加算及び通所介護、地域密着型通所介護における認知症加算並びに(看護)小規模多機能型居宅介護における認知症加算(Ⅰ)・(Ⅱ)の算定要件について、「認知症介護に係る専門的な研修」や「認知症介護の指導に係る専門的な研修」 のうち、認知症看護に係る適切な研修とは、どのようなものがあるか。
(答)
・ 現時点では、以下のいずれかの研修である。 ① 日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修 ② 日本看護協会が認定している看護系大学院の「老人看護」及び「精神看護」の専門看 護師教育課程 ③ 日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」
・ ただし、③については認定証が発行されている者に限る。
※ 令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和3年3月 29 日)問 29 は削除 する。
問 18 認知症高齢者の日常生活自立度の確認方法如何。
(答)
・ 認知症高齢者の日常生活自立度の決定に当たっては、医師の判定結果又は主治医意見書を用いて、居宅サービス計画又は各サービスの計画に記載することとなる。なお、複数の判定結果がある場合には、最も新しい判定を用いる。
・ 医師の判定が無い場合は、「要介護認定等の実施について」に基づき、認定調査員が記入した同通知中「2(4)認定調査員」に規定する「認定調査票」の「認定調査票(基本調 査)」7の「認知症高齢者の日常生活自立度」欄の記載を用いるものとする。
・ これらについて、介護支援専門員はサービス担当者会議などを通じて、認知症高齢者の 日常生活自立度も含めて情報を共有することとなる。
問 19 認知症介護に係る専門的な研修を修了した者を配置するとあるが、「配置」の考え方如何。常勤要件等はあるか。
(答)
・ 専門的な研修を修了した者の配置については、常勤等の条件は無いが、認知症チームケアや認知症介護に関する研修の実施など、本加算制度の要件を満たすためには事業所内での業務を実施する必要があることから、加算対象事業所の職員であることが必要である。
・ なお、本加算制度の対象となる事業所は、専門的な研修を修了した者の勤務する主たる事業所1か所のみである。
問 20 認知症専門ケア加算(Ⅱ)及び(看護)小規模多機能型居宅介護における認知症加算(Ⅰ)の認知症介護指導者は、研修修了者であれば管理者でもかまわないか。
(答)認知症介護指導者研修修了者であり、適切に事業所全体の認知症ケアの実施等を行っている場合であれば、その者の職務や資格等については問わない。
問 21 認知症介護実践リーダー研修を修了していないが、都道府県等が当該研修修了者 と同等の能力を有すると認めた者であって、認知症介護指導者養成研修を修了した者について、認知症専門ケア加算及び通所介護、地域密着型通所介護における認知症加算並びに(看護)小規模多機能型居宅介護における認知症加算(Ⅰ)・(Ⅱ)における 認知症介護実践リーダー研修修了者としてみなすことはできないか。
(答)
・ 認知症介護指導者養成研修については認知症介護実践研修(認知症介護実践者研修及び 認知症介護実践リーダー研修)の企画・立案に参加し、又は講師として従事することが予定されている者であることがその受講要件にあり、平成 20 年度までに行われたカリキュ ラムにおいては認知症介護実践リーダー研修の内容が全て含まれていたこと等の経過を 踏まえ、認知症介護実践リーダー研修が未受講であっても当該研修を修了したものとみなすこととする。
・ 従って、認知症専門ケア加算(Ⅱ)及び(看護)小規模多機能型居宅介護における認知 症加算(Ⅱ)については、加算対象となる者が 20 名未満の場合にあっては、平成 20 年度 以前の認知症介護指導者養成研修を修了した者(認知症介護実践リーダー研修の未受講 者)1 名の配置で算定できることとし、通所介護、地域密着型通所介護における認知症加算については、当該者を指定通所介護を行う時間帯を通じて1名の配置で算定できるこ ととなる。
問 22 例えば、平成 18 年度より全国社会福祉協議会が認定し、日本介護福祉士会等が 実施する「介護福祉士ファーストステップ研修」については、認知症介護実践リーダ ー研修相当として認められるか。
(答)本加算制度の対象となる認知症介護実践リーダー研修については、自治体が実施又は 指定する研修としており、研修カリキュラム、講師等を審査し、適当と判断された場合には認められる。
問 23 認知症介護実践リーダー研修修了者は、「痴呆介護研修事業の実施について」(平 成 12 年9月5日老発第 623 号)及び「痴呆介護研修事業の円滑な運営について」(平 成 12 年 10 月 25 日老計第 43 号)において規定する専門課程を修了した者も含むの か。
(答)含むものとする。
問1 サテライト事業所において加算を算定するにあたり、認知症加算又は中重度者ケア体制加算の算定要件の一つである専従の認知症介護実践者研修等修了者又は看護職員は、通所介護を行う時間帯を通じて本体事業所に1名以上配置されていればよいか。
(答)認知症加算・中重度者ケア体制加算は、認知症高齢者や重度要介護者に在宅生活の継続に資するサービスを提供している事業所を評価する加算であることから、通所介護を行う時間帯を通じてサテライト事業所に1名以上の配置がなければ、加算を算定することはできない。
問26 指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人を、指定通所介護を行う時間帯を通じて配置すれば、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人の配置でそれぞれの加算を算定できるのか。
(答) 中重度者ケア体制加算の算定対象となる看護職員は他の職務と兼務することはできない。このため、認知症加算を併算定する場合は、認知症介護に係る研修を修了している者を別に配置する必要がある。
問27 認知症加算及び中重度者ケア体制加算の利用者割合の計算方法は、届出日の属す
る月の前3月の1月当たりの実績の平均が要件を満たせば、例えば、4月 15 日以前に届
出がなされた場合には、5月から加算の算定が可能か。
(答)前3月の実績により届出を行う場合においては可能である。なお、届出を行った月以
降においても、直近3月間の利用者割合については、毎月継続的に所定の割合を維持し
しなければならない。
問28 指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、指定居宅
サービス等基準第 93 条に規定する看護職員又は介護職員に加え、看護職員又は介護職員
を常勤換算方法で4以上確保する必要があるか。
(答)事業所として、指定居宅サービス等基準第 93 条に規定する看護職員又は介護職員に加
え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していれば、認知症加算及び中
重度者ケア体制加算における「指定基準に規定する看護職員又は介護職員の員数に加え、
看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保する」という要件をそれぞれの加算
で満たすことになる。
問30 通所介護を行う時間帯を通じて1名以上の配置が求められる看護職員(中重度者ケア体制加算)、認知症介護実践者研修等の修了者(認知症加算)は、日ごと又は1日の時間帯によって人員が変わっても、通所介護を行う時間帯を通じて配置されていれば、加算の要件を満たすと考えてよいか。
(答)日ごと又は1日の時間帯によって人員が変わっても、加算の要件の一つである「指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員(認知症介護実践者研修等の修了者)を1名以上配置していること」を満たすこととなる。
問33 認知症加算について、認知症介護実践者研修等の修了者の配置が求められているが、当該研修修了者は、介護職員以外の職種(管理者、生活相談員、看護職員等)でもよいのか。
(答)介護職員以外の職種の者でも認められるが、その場合、通所介護を行う時間帯を通じて指定通所介護事業所に従事している必要がある。
なお、他の加算の要件の職員として配置する場合、兼務は認められない。
問34 認知症加算について、通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる認知症介護実践者研修等の修了者の配置が要件となっているが、当該加算の算定対象者の利用がない日についても、配置しなければならないのか。
(答)認知症加算の算定対象者の利用がない日については、認知症介護実践者研修等の修了者の配置は不要である。なお、認知症の算定対象者が利用している日に認知症介護実践者研修等の修了者を配置していない場合は、認知症加算は算定できない。
問36 認知症加算の要件に「認知症の症状の進行の緩和に資するケアを計画的に実施するプログラムを作成すること」とあるが、事業所として一つのプログラムを作成するのか、利用者ごとの個別プログラムを作成するのか。
(答)利用者の認知症の症状の進行の緩和に資するケアを行うなどの目標を通所介護計画又は別途作成する計画に設定し、通所介護の提供を行うことが必要である。
認知症加算は、認知症の利用者を受け入れ、適切なケアを提供するための重要な加算です。今後も高齢化にともない、認知症となる方の割合が増加していくと考えられますから、介護サービスでも認知症の利用者の対応を向上させる必要があるでしょう。
また、認知症加算の算定時は、職員の配置や該当する認知症の利用者の割合に注意が必要です。算定前に職員配置と認知症の利用者について、計算方法をしっかり確認しておきましょう。。
令和6年度の介護報酬改定による内容を踏まえつつ、認知症加算によって適切なサービスを提供できるように準備を進めていきましょう。
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