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現場ノウハウ
2024/11/28
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評価
更新日:2024/11/28
高齢者の日常生活自立度とは、日常生活の自立度を簡易に判定する評価方法のことです。要介護度の認定調査や主治医意見書など介護保険サービスの利用に関する書類で審査判定に参考にされることが多いスケールです。通称「寝たきり度」ですが、障害老人の「日常生活自立度」とも呼ばれることがあります。この記事では、障害高齢者の日常生活自立度の評価項目や判定基準についてまとめてご紹介します。
この記事の目次
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障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)とは、その名の通りご高齢者の日常生活がどれくらい自立してできているかを簡単に判定する評価です。医療・介護現場のスタッフからは別名「障害老人の日常生活自立度」や「寝たきり度」とも呼ばれています。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)は、主に要介護認定を受ける際に「要介護認定調査」や「主治医意見書」などで活用されています。
また、病院などで作成されている「看護計画書」や「リハビリテーション計画書」などの患者様の基本情報としても記載されています。
さらに、介護現場においてはケアマネが作成する「ケアプラン」や介護サービス事業所の「通所介護計画書」や「個別機能訓練計画書」などの計画書でもご利用者様の基本情報として記載されていることがほとんどです。
▼要介護認定では、認知症高齢者の日常生活自立度もその指標となります。詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
【関連記事】 認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準【まとめ】 各ランクがどのような判定基準となっているのかわかりやすく解説します。 |
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の評価項目は、高齢者の現在の日常生活の状況について「生活自立=Jランク」「準寝たきり=Aランク」「寝たきり=BランクまたはCランク」を客観的に4段階で評価します。
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ランクJは生活自立であり自立度が高い状態を示し、ランクCの寝たきり状態に近づくにつれて自立度が低くなります。ランクJの「何らかの障害」とは、脳血管疾患の後遺症(軽度の麻痺など)、骨折やその治癒後の機能障害、加齢による筋力や体力の低下(老衰)、関節疾患(変形性膝関節症など)などが例としてあげられます。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の判定基準は、高齢者の日常生活を客観的に判断して、該当するものに○印をつけていきます。
ランク | 判定基準 |
---|---|
ランクJ(生活自立) | 身体に障害(病気の後遺症などによる)はあるが、日常生活はほぼ自立しており、一人で外出できる人 |
ランクA準寝たきり) | 屋内での日常生活は食事・トイレ・着替えなど自力ででき、近所への外出時には介護者の援助が必要な人 |
ランクB(寝たきり) | 一日の大半をベッドで過ごし、食事・トイレ・着替えのいずれかで介護者の援助が必要な人 |
ランクC(寝たきり) | ランクBより障害の程度が重く、食事・トイレ・着替えのいずれも介護者の援助が必要な人 |
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)を評価する場合の「3つのポイント」をご紹介します。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)は、高齢者の生活自立度を評価する重要な指標です。この評価を適切に行うためには、以下の点に注意が必要です。
高齢者の日常生活自立度は、「何らか」の障害を有する高齢者を対象としており、健常な高齢者は評価の対象外となります。したがって、障害や疾病による身体機能の低下が見られない高齢者には適用されません。
高齢者の状態は、パーキンソン病などの疾患では時間帯によって変動することがあります。そのため、評価時には調査日から概ね過去1週間の状況を総合的に観察し、より頻繁に見られる状態を基に判断することが推奨されます。これらの注意点を踏まえ、正確な評価を行うことが、高齢者に適切な介護サービスを提供するために重要です。
年齢別の障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)について、高齢者実態調査(平成19年度)によると、在宅の要介護認定者の障害高齢者の日常生活自立度は、加齢とともに「ランクJ」が増加していることがわかります。
また「Aランク」「Bランク」は減少しており、「Cランク」はほぼ横ばいの値となっていることがわかります。
なぜ、ランクJだけが増加傾向となっているのかと思われますが、これは元々介護認定を受けていなかった方が徐々に認定を受けていることが考えられます。
参照:鹿児島県公式HP「【図4-8】年齢別障害高齢者の日常生活自立度資料」
「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」と「認知症高齢者の日常生活自立度」の組み合わせによる要介護認定の分布はどのようになっているのでしょうか?
厚生労働省(平成20年度)のデータによる、「障害高齢者の日常生活自立度」×「認知症高齢者の日常生活自立度」が【自立】の場合と【Ⅲランク】の場合の要介護認定の分布を紹介します。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の要介護認定の分布
▶︎認知症高齢者の日常生活自立度「自立」× 寝たきり度の場合
▶︎認知症高齢者の日常生活自立度「Ⅲ」× 寝たきり度の場合
このことから「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」と「認知症高齢者の日常生活自立度」が双方にランクが高い(状態が悪い)ほど要介護度が高く認定されていることがわかります。
要介護認定の申請・更新をする場合の参考にしていただければと思います。
参照:—厚生労働省老健局老人保健課–介護保険最新情報「介護認定審査会における参考指標の取り扱いについて」
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高齢者の日常生活自立度の評価には、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の他に、認知症高齢者の日常生活自立度があります。これらの2つは介護保険の「要介護度認定調査」に活用され、医療・介護保険における高齢者の日常生活(ADL)の自立度の把握に用いられます。
認知症高齢者の日常生活自立度とは、認知症と診断された高齢者を対象に、日常生活の大まかな自立度を判断する指標で、判定基準は以下の9段階です。
▼認知症高齢者の日常生活自立度について、詳しく知りたい方はこちらの記事がオススメです。
【関連記事】 認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準【まとめ】 各ランクがどのような判定基準となっているのかわかりやすく解説します。 |
認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準は、こちらの項目を参考に該当するものに○印をつけます。
ランク | 判定基準 |
---|---|
ランクⅠ | 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 |
ランクⅡ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。 |
ランクⅡa | 家庭外で上記Ⅱの状態がみられる。 |
ランクⅡb | 家庭内でも上記Ⅱの状態が見られる。 |
ランクⅢ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られ、介護を必要とする。 |
ランクⅢa | 日中を中心として上記Ⅲの状態が見られる。 |
ランクⅢb | 夜間を中心として上記Ⅲの状態が見られる。 |
ランクⅣ | 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思の疎通 |
ランクM | 著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。 |
これまで障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の判定基準や評価のポイントについてご紹介しました。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)は、ご高齢者の日常生活能力がどの程度あるのかを「生活自立」「準寝たきり」「寝たきり」で把握することができる簡易な評価指標です。この評価は、病院から介護現場への申し送りや、ケアマネからデイサービスへの申し送りなど医療だけでなく介護現場においても活用されています。
そのため、介護スタッフもこの評価指標を理解しておくことで、日常生活にどの程度困っている利用者様が来られるのかを事前に把握することができます。
今回の記事が医療・介護現場で働く皆様の基礎知識として役立てれば幸いです。
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