認知症加算の算定要件・単位数|職員・利用者の計算方法

介護保険法

その他の加算

更新日:2024/04/26

【令和3年報酬改定対応】認知症加算とは、認知症患者を積極的に受け入れるため体制を整えたことを評価する加算です。令和3年の介護報酬改定では人員配置で改定があり、配置対象となる人材の範囲が見直されています。この記事では、人員配置を含めた具体的な算定要件を紹介しています。

認知症加算とは

認知症加算とは、認知症の利用者に対して介護サービスを提供する際に算定できる加算のことです。

令和3年度の介護報酬改定では、算定要件の1つである「認知症ケアに関する研修の修了者の配置」についての内容が見直され、新たに「認知症ケアに関する専門性の高い看護師」が、配置の対象として追加されました。

この人員配置の変更から、「認知症専門のケア」をより重視する傾向になったといえるでしょう。

参考:令和3年度介護報酬改定における 改定事項について(2023年6月21日確認)

算定対象となる事業所

算定対象となる事業者は以下の通りです。

  • 通所介護
  • 地域密着型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

参考:認知症対応型共同生活介護(2023年6月21日確認)

算定要件・単位数

デイサービス

単位数60単位/日
対象者日常生活に支障をきたす恐れのある症状や行動によって介護を必要とする認知症の利用者(認知症高齢者の日常生活自立度のランクⅢ、ⅣまたはMに該当)
算定要件人員基準に規定している人数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算方法で2以上確保している前年度または算定日の月の前3ヵ月間の利用者の総数のうち、介護を必要とする認知症の利用者が占める割合が20%以上サービス提供時間を通して、認知症介護に関する研修を修了した職員あるいは、認知症ケアに関する専門性の高い看護師を1名以上配置

地域密着型通所介護

認知症加算 60単位/月

  • 人員基準に規定している人数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算方法で2以上確保している
  • 前年度または算定日の月の前3ヵ月間の利用者の総数のうち、介護を必要とする認知症の利用者が占める割合が20%以上
  • サービス提供時間を通して、認知症介護に関する研修を修了した職員あるいは、認知症ケアに関する専門性の高い看護師を1名以上配置

小規模多機能型居宅介護

認知症加算(Ⅰ) 800単位/月

認知症加算(Ⅱ) 500単位/月

  • 認知症高齢者の日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ、またはMに該当する利用者にサービスを提供する

看護小規模多機能型居宅介護

認知症加算(Ⅰ) 800単位/月

認知症加算(Ⅱ) 500単位/月

  • 要介護2であり、認知症高齢者の日常生活自立度のランクⅡに該当する利用者にサービスを提供する

参考:認知症対応型共同生活介護(2023年6月21日確認)

職員の配置数の計算方法

職員の配置数を計算する方法をみていきましょう。

今回の条件と事業所の状況は以下の通りです。

【条件】

  • 定員20人の通所介護サービス
  • 提供時間は7時間
  • 常勤の勤務すべき時間数が週40時間
  • 営業日が月曜日から土曜日

① 指定基準を満たす確保すべき勤務延時間数

(例:月曜日の場合)

確保すべき勤務時間数=((利用者数-15)÷5+1)×平均提供時間数=11.2 時間

①では、指定基準を満たすために確保すべき勤務時間を計算します。

『((利用者数-15)÷5+1)』を計算すると必要な職員数がわかるので、そこから提供時間数である7時間をかけると、11.2時間になります。

② 指定基準に加えて確保されたものと扱われる勤務時間数

(例:月曜日の場合)

指定基準に加えて確保された勤務時間数=(8+7+8)-11.2=11.8 時間

②では、指定基準に加えて確保されたものと扱われる勤務時間数を計算します。

また、この時間を「加配時間」といいます。

計算式はその曜日の職員ごとの勤務時間数を足して、①の確保すべき勤務時間数を引いたものになり、上記では「11.8時間」となります。

以上より、上記の体制で実施した場合では、週全体で 84 時間の加配時間となり、

84 時間÷40 時間=2.1 となることから、常勤換算方法で2以上確保したことになる。

人員配置の注意点

認知症加算の算定対象者の利用がない日は、認知症介護に関する研修を修了した職員の配置は不要です。

一方で、対象者が利用している日に、認知症介護に関する研修を修了した職員を配置していないと認知症加算は算定することができませんので注意が必要です。

参考:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)  (2023年6月21日確認)

日常生活自立度Ⅲ以上の利用者の割合計算方法

次に、日常生活自立度Ⅲ以上の利用者の割合計算方法についてみていきましょう。

利用者の要介護度と利用実績については以下の表の通りです。

今回は要介護度3以上を「日常生活自立度Ⅲ」と想定して計算します。

① 利用実人員数による計算(要支援者を除く) 

・利用者の総数=9 人(1 月)+9 人(2 月)+9 人(3 月)=27 人 

・日常生活自立度Ⅲ以上=4 人(1 月)+4 人(2 月)+4 人(3 月)=12 人

したがって、割合は 12 人÷27 人≒44.4%(小数点第二位以下切り捨て)≧30% 

①では、利用者の総数は1月から3月までの3ヵ月間ともに9人だったので、27人です。

そのうち、日常生活自立度Ⅲ以上の利用者は4人なので、3ヵ月分で12人。

総数のうち、日常生活自立度Ⅲ以上の利用者の割合は44.4%なので、認知症加算の基準を満たしたことになります。

② 利用延人員数による計算(要支援者を除く)

 ・利用者の総数=82 人(1 月)+81 人(2 月)+88 人(3 月)=251 人

 ・日常生活自立度Ⅲ=46 人(1 月)+50 人(2 月)+52 人(3 月)=148 人 

したがって、割合は 148 人÷251 人≒58.9%(小数点第二位以下切り捨て)≧30% 

②では1ヵ月ごとの利用実績を参照します。

3ヵ月分の利用者は251人で、そのうち日常生活自立度Ⅲ以上の利用者は148人です。

総数のうち、日常生活自立度Ⅲ以上の利用者の割合は58.9%なので、こちらも認知症加算の基準を満たしています。

上記の例は、利用実人員数、利用延人員数ともに要件を満たす場合であるが、①又は ②のいずれかで要件を満たせば加算は算定可能である。

これらの計算によって認知症の利用者を占める割合が20%未満ですと、算定が取り下げられますので、注意してください。

また、自治体によってはエクセルシートがある場合もあるので、各自治体に問い合わせて活用してみましょう。

参考:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)  (2023年6月21日確認)

認知症加算のQ&A

問1 サテライト事業所において加算を算定するにあたり、認知症加算又は中重度者ケア体制加算の算定要件の一つである専従の認知症介護実践者研修等修了者又は看護職員は、通所介護を行う時間帯を通じて本体事業所に1名以上配置されていればよいか。

(答)

認知症加算・中重度者ケア体制加算は、認知症高齢者や重度要介護者に在宅生活の継続に資するサービスを提供している事業所を評価する加算であることから、通所介護を行う時間帯を通じてサテライト事業所に1名以上の配置がなければ、加算を算定することはできない。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) 

問26 指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人を、指定通所介護を行う時間帯を通じて配置すれば、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人の配置でそれぞれの加算を算定できるのか。

(答) 中重度者ケア体制加算の算定対象となる看護職員は他の職務と兼務することはできない。このため、認知症加算を併算定する場合は、認知症介護に係る研修を修了している者を別に配置する必要がある。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) 

問27  認知症加算及び中重度者ケア体制加算の利用者割合の計算方法は、届出日の属す

る月の前3月の1月当たりの実績の平均が要件を満たせば、例えば、4月 15 日以前に届

出がなされた場合には、5月から加算の算定が可能か。

(答)

前3月の実績により届出を行う場合においては可能である。なお、届出を行った月以

降においても、直近3月間の利用者割合については、毎月継続的に所定の割合を維持し

しなければならない。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) 

問28 指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、指定居宅

サービス等基準第 93 条に規定する看護職員又は介護職員に加え、看護職員又は介護職員

を常勤換算方法で4以上確保する必要があるか。

(答)

事業所として、指定居宅サービス等基準第 93 条に規定する看護職員又は介護職員に加

え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していれば、認知症加算及び中

重度者ケア体制加算における「指定基準に規定する看護職員又は介護職員の員数に加え、

看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保する」という要件をそれぞれの加算

で満たすことになる。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) 

問29 認知症加算又は中重度者ケア体制加算の算定要件の一つである専従の認知症介護

実践者研修等修了者又は看護職員は、通所介護を行う時間帯を通じて事業所に1名以上

配置されていれば、複数単位におけるサービス提供を行っている場合でも、それぞれの

単位の利用者が加算の算定対象になるのか。

(答)

サービスの提供時間を通じて1名以上配置されていれば、加算の算定対象となる。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) 

問30  通所介護を行う時間帯を通じて1名以上の配置が求められる看護職員(中重度者ケア体制加算)、認知症介護実践者研修等の修了者(認知症加算)は、日ごと又は1日の時間帯によって人員が変わっても、通所介護を行う時間帯を通じて配置されていれば、加算の要件を満たすと考えてよいか。

(答)

日ごと又は1日の時間帯によって人員が変わっても、加算の要件の一つである「指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員(認知症介護実践者研修等の修了者)を1名以上配置していること」を満たすこととなる。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) 

問33 認知症加算について、認知症介護実践者研修等の修了者の配置が求められているが、当該研修修了者は、介護職員以外の職種(管理者、生活相談員、看護職員等)でもよいのか。

(答)

介護職員以外の職種の者でも認められるが、その場合、通所介護を行う時間帯を通じて指定通所介護事業所に従事している必要がある。

なお、他の加算の要件の職員として配置する場合、兼務は認められない。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)

 問34 認知症加算について、通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる認知症介護実践者研修等の修了者の配置が要件となっているが、当該加算の算定対象者の利用がない日についても、配置しなければならないのか。

(答)

認知症加算の算定対象者の利用がない日については、認知症介護実践者研修等の修了者の配置は不要である。なお、認知症の算定対象者が利用している日に認知症介護実践者研修等の修了者を配置していない場合は、認知症加算は算定できない。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)

 問35 旧痴呆介護実務者研修の基礎課程及び専門課程の修了者は、認知症介護に係る実践的又は専門的な研修を修了した者に該当するのか。

(答)

該当する。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日)

 問36 認知症加算の要件に「認知症の症状の進行の緩和に資するケアを計画的に実施するプログラムを作成すること」とあるが、事業所として一つのプログラムを作成するのか、利用者ごとの個別プログラムを作成するのか。

(答)

利用者の認知症の症状の進行の緩和に資するケアを行うなどの目標を通所介護計画又は別途作成する計画に設定し、通所介護の提供を行うことが必要である。

引用:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成 27 年4月1日) 

認知症加算は認知症の利用者に適切なケアを提供するための重要な加算

認知症加算は、認知症の利用者を受け入れ、適切なケアを提供するための重要な加算です。今後も高齢化にともない、認知症となる方の割合が増加していくと考えられますから、介護サービスでも認知症の利用者の対応を向上させる必要があるでしょう。

また、認知症加算の算定時は、職員の配置や該当する認知症の利用者の割合に注意が必要です。算定前に職員配置と認知症の利用者について、計算方法をしっかり確認しておきましょう。。

令和3年度の介護報酬改定による内容を踏まえつつ、認知症加算によって適切なサービスを提供できるように準備を進めていきましょう。

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この記事の著者

naitou  内藤 かいせい

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