実地指導から運営指導へ|変更点と事前の対応策とは?行政処分事例を踏まえて小濱氏が解説【セミナーレポート】

介護保険法

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更新日:2024/01/09

令和4年度より「実地指導」は「運営指導」に変わりました。コロナ禍を経て、急増している運営指導ではその内容や指導方法に変化が生じています。しかし、実際に指導ではどのように指摘されるかわからず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。本セミナーでは、年間250本以上の講演実績を有する、介護事業経営指導の第一人者である小濱道博氏をお招きし、実地指導から運営指導への変更内容と実施方法、実際の行政処分事例を踏まえて指摘されやすいポイントの対策についてお話いただきました。改定後の「運営指導」をまだ経験していない、少しでも不安や懸念がある方は、ご参考になさってください。

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小濱介護経営事務所 代表
小濱道博

◎小濱介護経営事務所 代表
◎C-MAS介護事業経営研究会 最高顧問
◎C-SR一般社団法人医療介護経営会 専務理事。

日本全国対応で介護経営支援を手がける。
介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。昨年も延20,000人以上の介護事業者を動員。全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等の主催講演会での講師実績は多数。介護経営の支援実績は全国に多数。
著書、連載多数。著書は「これならわかる!LIFE」「これならわかる!BCP」「これならわかる!運営指導」「算定要件シリーズ」等。

実施指導から運営指導へ

こんにちは、小濱です。本日は運営指導に関する概要やチェックポイントについてご説明します。少しでも事業所運営の一助となれば幸いです。

昨年、令和4年4月から実地指導が運営指導に変更され、その指導内容が大きく変更となりました。まずは、これまで運営指導によって指定取消・効力の停止処分となった介護保険施設・事業所等数の内訳についてご覧ください。

今年3月に厚生労働省から公表された資料によると、コロナ前後を比較して総数に大きな差が出ています。これはコンプライアンスが改善した結果ではなく、コロナの感染者数の増加により、運営指導が見送られ、指導件数が減ったことが影響しているだけなのです。

しかし、今年度5月にコロナが第5類に変更されたことで、運営指導は再開され、指導件数が大幅に増えることが予想されます。さらに介護保険施設等指導指針の改定により、行政の担当者が介護事業所等に赴いて指導する実地指導からオンライン会議も含む運営指導に変更となりました。指導方法も変更され、より事業所運営の改善やコンプライアンスの問題に取り組む措置へと見直されたのです。 

運営指導の概要や実施頻度

この改定では、施設許認可の有効期限である6年毎を基本ベースに、標準確認項目つまりチェックリストと標準確認文書に則った指導が行われることを通達しています。例えば、専門職が必要な資格を持っているかチェックされる場合、その標準確認文書は資格証に当たります。詳しくは、「介護保険標準確認項目」と検索し、通所介護の分類内で、運営指導に必要な書類項目を確認してください。

運営指導について身構えている事業所様は多いかもしれませんが、原則として指導の1ヵ月前までに通知され担当者の勤務シフトを調整できるよう、可能な限り配慮されます。普段から、指導要件に準じ、必要な帳票類を取りそろえておけば、心配することはありません。

しかし、指導対象となる介護保険施設等において高齢者の虐待が疑われるケースは別です。抜き打ち調査が入る可能性があるため、いつ運営指導されてもいいように準備しておく必要があります。

また、運営指導の実際の規模を知っておくと安心できるかもしれません。実地指導のときはとても大掛かりで、1日かけてチェックされていましたが、運営指導では、短時間でポイントを絞ってチェックされます。

約3人分の個人ファイルから直近の1年分の記録を調査し、その事業所が制度を理解し、適切な文書がそろえられているか、記録内容が適切かどうかをチェックするのです。もし、適切でないと判断されると、隅々まで何人もの個人ファイルがチェックされる可能性があります。

指定取消になってしまうケースとは

指導を受ける程度なら、経営上の負担はそれほど大きくありませんが、残念ながら指定取消処分を受けるケースもあります。そうならないよう、具体的な行政処分の事例について紹介しましょう。

こちらは、加算要件や人員要件を満たしていないのに、満額で介護給付費等を受領していたケースです。この事業所は、この不正請求をきっかけに、過去に遡り指定取消処分を受けました。また、同様の不正が行われていないか、福岡市は市内全ての介護事業所に対して抜き打ちチェックしました。

こちらは、実際のサービス提供内容と加算内容が合っておらず、指定取消を受けた事例です。医療機関の受診があったのに所要時間をサービス提供時間として算定しており、区分変更がされなかったこと。入浴ではなく清拭の実施だったにもかかわらず入浴介助加算を取っていたことが指摘されました。さらに指導に対し、誤りを認めなかったことが原因で指定取消処分となりました。

大変なのは、先ほどの事例のように過去に遡って返還請求を求められるケースです。介護保険法が3年毎に改定されているので、場合によっては過去の規則に則って内容を見直す必要も出てきます。また、利用者様によっては亡くなられていて相続人に事務手続きをお願いししなければならず、膨大な事務負担が発生します。

また、報酬返還はとなってしまった場合、スタッフの給与よりも優先度が高く、経営として大打撃を受けるでしょう。

サービス提供場所や定員数も要チェック

また、介護サービスの提供場所においても厳しくチェックされます。

例えば、介護事業所ではお花見に利用者様をお連れすることもあると思います。しかし、サービスの提供場所は、施設内が原則です。外出の時間はサービス内容として申請してはいけないのです。

また、定員超過減算についても理解を深めておく必要があります。その日の利用者数が定員数を超えてしまうケースがあると思います。運営規定上、指摘されますが、数日ほど利用者数が多くなったからといって指定取消の対象にはなりません。重要なのは、毎月繰り返し定員数を超過しており、悪質な継続があったかどうか。

介護記録に基づき、厳しく指摘されますのでご注意ください。

※詳しい算定のポイントやチェック項目についてはセミナー参加者のみへの共有になります

介護業界は記録が全て

ここまで具体的な指定取消処分等の例を挙げて、運営指導の内容を説明してきました。運営指導を無事に乗り越えるには、制度をしっかり理解し、法規則に則った整合性ある記録ができているかどうかにかかっています。つまり、介護業界は記録主義。確認ができないものは認められないとご理解ください。

例えば、アセスメントをした後は、アセスメントシートや目標シートが必要です。

プランニング後は計画書、カンファレンス後は議事録をとっておくなど、ケアマネジメントプロセスを踏み、記録に必ず残しておく必要があります。通所介護計画書の更新手続きが3回あったなら、アセスメントシートも必ず3枚あるはずです。

また、ケアプランに位置付けたサービスを介護計画に含め、実施記録に残す。整合性のある記録ができていれば、運営指導で指摘を受けることはありません。ぜひ、今一度、法規制やマネジメントプロセスを意識した記録ができているか見直してみてください。

〜〜ここから先の話はセミナー参加者限定になります。〜〜

その他、セミナーではLIFE関連加算やハラスメント、BCP対策などの運営指導要件について説明がありました。詳しい内容については、セミナー参加者限定となりますので、今回は全てはお見せ出来ませんが、さまざまなテーマのセミナーをご用意していますので、ぜひご参加ください。直近開催分はこちらで確認できます。また、メルマガ登録していただけると、告知を送りますのでおすすめです。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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