介護現場のDX化は実際どう?デイサービス管理者の実体験
運営ノウハウ
2024/11/06
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経営
更新日:2024/05/11
今回は、全国74カ所で自立支援特化型デイサービスを運営している株式会社ポラリス代表で、一般社団法人日本デイサービス協会理事長の森剛士さんに、これまでのご経験を踏まえて機能訓練の必要性に関するコラムを寄稿してもらいました。森さんは自立支援介護の可能性に挑んでおり、要介護者の介護保険からの卒業を目指して日々奮闘されておられます。デイサービスは全国に4万3000事業所もありますが、閉鎖数も増えています。そのような状況下で、森さんは機能訓練の課題とあるべき姿をどのように考えておられるのでしょうか。
株式会社ポラリス代表の森剛士です。
機能訓練とは「高齢者の身体的機能の維持・改善を目的とした訓練」です。通所介護(デイサービス)をはじめとした介護サービスで提供するトレーニングになります。 「自宅や地域で安全に生活ができるように、個々の身体状況や目標に合わせてメニューを作成します」と定義されています。
しかし、ほとんどのデイサービスでは決められた人員基準のもと、機能訓練指導員と呼ばれる専門職が1人あたり10分程度の個別機能訓練を行っているだけとなっています。さらに、その訓練メニューは、身体機能の維持改善につながるものではないことが多いです。セラピストのマッサージだけだったり、個々の目標に合っていない訓練を提供していたり、正直なところ人員基準に基づいた形式だけのものばかりが見受けられます。
セラピストを配置しているだけで、「リハビリ特化型」「機能訓練特化型」とうたっている事業者も数多くあり、ご利用者様の目標達成や身体機能改善への取組ではなく、ただの表面的な満足度を向上させるためのものになってしまっているのが実際です。
本来のデイサービスにおける機能訓練とは、現状の身体・生活状況のアセスメントを詳細まで行い、明確な目標設定をご本人様、ご家族様、ケアマネジャーと握ったうえで、課題改善に向けたプログラムを行わなければなりません。さらに、多くのデイサービスの問題点は、その機能訓練を機能訓練指導員のみが行っていることにあります。つまり、週2回10分程度の機能訓練しか行っていないということです。もし明確な目標設定のもと課題改善に向けての適切なプログラムが設定されていたとしても、果たしてその頻度、時間でご利用者様の身体機能は改善するでしょうか?
改善しないでしょう。ほとんどのデイサービスでは、介護職はケアとレクリエーションのみに従事するなどという線引きがされています。
ポラリスでは、機能訓練指導員のみならず介護職が中心となり全スタッフで徹底的な機能訓練を実施し、「質」だけでなく「量」の確保にも最大限取り組みます。
例えば、目標が「自宅からスーパーまで往復2㎞を歩けるようになる」という方に対しては、実際にデイサービス内において2㎞歩けるための歩行訓練を行います。
それは機能訓練指導員だけでは物理的に難しく、介護職が中心とならなければ不可能です。
限られた時間で全ご利用者様に実施するのは難易度は非常に高いことは確かです。そしてそれを実施するためにはいかに生産性を向上させるかも不可欠であり、質の高いサービスと生産性の両立に全デイサービスが取り組むことができれば、本来の機能訓練をデイサービスで提供することができると考えています。
それを私は創業以来常に追及し構築するに至りました。
ただし、それもあくまでデイサービスに通われている週2、3日しか実施することができません。さらにご利用者様の改善へのスピードを加速させるためには、デイサービスに通われていない日の継続が必要になります。そこも大きな課題で、現在はデイサービス利用日以外の改善に向けたケアや活動量確保の習慣化に全社をあげて取り組んでいます。
そちらについてはまたの機会にお話させていただきたいと思います。
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