介護報酬の計算方法|単位・地域区分・仕組みを解説

介護保険法

介護報酬請求

更新日:2024/10/21

介護報酬を計算する際は単位(点数)が必要です。そのほかにもさまざまな数字を掛け合わせて計算されるため、介護報酬の仕組みを知らない人は計算を難しいと感じるかもしれません。この記事では、介護報酬の点数計算に慣れていない方に、基本的な仕組みから言葉の定義、実際の計算例まで詳しく解説しています。

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介護点数計算の基礎知識

介護単位(点数)とは、介護サービスに対する報酬(介護報酬)を指します。介護報酬を計算する上で知っておきたい介護報酬の特徴は下記の通りです。

  • 介護サービスごとに定められている
  • 介護サービスの提供体制や状況に応じて「加算」「減算」される
  • 3年ごとに介護報酬改定が行われる

介護報酬は、サービスごとに設定されており基本的なサービス提供にかかる費用に応じて事業者に支払われるものです。事業者に支払われる介護報酬は、各事業者のサービス提供の体制、利用者の状況に合わせて加算・減算されます。

また、介護報酬は厚生労働大臣が定めた基準によって金額が定められており、基本的に3年に1度介護報酬改定があり、料金が見直されます。

参考:介護報酬の仕組みについて|厚生労働省

介護報酬の仕組みとは何か

介護報酬は「被保険者」「保険者(市町村)」「サービス事業者」が関わっています。三者の関係は下記の通りです。

出典:介護報酬の仕組みについて

サービス事業者は被保険者にサービスを提供して、保険者(市町村)に介護給付を請求し、利用者の自己負担割合に応じて7〜9割の介護報酬を受け取ります。

介護保険の原則として、被保険者の負担割合は全体にかかる金額の1〜3割(※所得によって負担額がかわる)です。これを自己負担してサービス事業者へ支払います。

なお、介護報酬の額は、同じサービス種別でもサービス提供状況によって加算・減算されるため事業所ごとに異なります。

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介護報酬の計算方法

では、介護報酬はどのように計算されるのでしょうか。介護報酬は下記の要素によって算出されます。

サービスごとの算定した単位数×1単位の単価=介護報酬の請求額

「サービスごとに算定した単位数」を構成するのは2つの要素です。

  • 算定報酬
  • 各種加算(減算)

介護保険ではサービスごとに基本となる「単位数」が定められています。この単位数は介護度や、施設種別、サービス提供時間などによって細かく定められています。

たとえば、通常規模の事業所において、7時間から8時間未満の通所介護を提供した場合は下記の通りです。

介護度 基本部分となる単位数
要介護1 655単位
要介護2 773単位
要介護3 896単位
要介護4 1018単位
要介護5 1142単位

参考:介護報酬の算定構造|厚生労働省

また、従来のサービスより専門的な知識・スキルや多くの人員が必要なサービスを提供するときにプラスして算定される「加算」や、従来通りのサービスを提供できない場合の「減算」が定められています。

こうした単位数に、1単位あたりの単価をかけた数字が介護報酬としての請求額となるのです。

介護報酬に使われる「単位(点数)」とは

介護報酬による単位数には「地域区分」が設定されています。

介護保険による単位は、1単位あたり「10円」が基本です。しかし、全国で1単価あたりの金額を一律にすると、サービスごとの人件費の違いや、地域による物価の違いから格差が生じる可能性があります。

たとえば、「人件費の高い地域・サービスは利益率が低いため介護サービス事業者が増えず、被保険者へサービスがいきわたらない」といったことが想定されるでしょう。

こうした、人件費におけるサービスの地域差を調整するため「地域区分」が設定されています。1単位の単価は「地域区分の上乗せ割合」と「サービス別の人件費割合」によって計算され、10円〜11.40円の幅が設けられているのです。

地域区分とサービス別の人件費割合による単価について

介護報酬における1単位ごとの単価は下記のように設定されています。

サービス別人件費の割合×地域区分の上乗せ割合=1単位の単価

1単位あたりの単価は、「サービス別の人件費割合」と「地域区分による上乗せ割合」によって算出されます。

それぞれの内容を分かりやすいよう詳しくみていきましょう。

参考:地域区分について|厚生労働省

人件費割合ごとの各種介護保険サービス内容

介護サービス事業にかかる人件費はサービスの種類によって異なります。

地域ごとに人件費で差が出ないように、サービス種別ごとに介護報酬の単価にかける割合は「70%」「55%」「45%」の3種類に分けられています。それぞれの介護サービス種別は下記の通りです。

人件費割合 介護サービス種別
①70% 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、在宅介護支援、定期巡回・臨時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護
②55% 訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、短期入所生活介護
③45% 通所介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、地域密着型通所介護

地域別とサービス別に設定された1単位当たりの単価

前述した通り、「地域区分」はサービス事業者が所在する地域ごとに差がでないよう、平均的な費用額を勘案して設定される基準を指します。

介護報酬の1単位における単価が一律の場合、都市部など人件費が高い地域の利益率が低く、人件費が安い地域の利益率が高い不公平な状況が生じます。これを防ぐために8段階に設定されているのが地域区分です。

  • 1級地(20%)
  • 2級地(16%)
  • 3級地(15%)
  • 4級地(12%)
  • 5級地(10%)
  • 6級地(6%)
  • 7級地(3%)
  • その他(0%)

これに先ほどの「サービス別の人件費割合」をかけて、1単位あたりの介護報酬が計算されます。具体的な内容は下記の通りです。

地域区分(上乗せ割合) 人件費割合①70% 人件費割合②55% 人件費割合③45%
1級地(20%) 11.40円 11.10円 10.90円
2級地(16%) 11.12円 10.88円 10.72円
3級地(15%) 11.05円 10.83円 10.68円
4級地(12%) 10.84円 10.66円 10.54円
5級地(10%) 10.70円 10.55円 10.45円
6級地(6%) 10.42円 10.33円 10.27円
7級地(3%) 10.21円 10.17円 10.14円
その他(0%) 10円 10円 10円

介護報酬に関する基礎知識は以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
介護報酬の請求方法とは?仕組みや流れをわかりやすく解説

最新の地域区分(令和3年対応)に合わせた計算例

では、最新の介護保険における基準をもとに1単位における介護報酬の計算例をご紹介します。

下記は、「地域区分1級地」にて、介護3の方が通常規模型の通所介護7時間以上8時間未満(655単位)を利用する場合の介護報酬を計算した例です。

【1単位あたりの金額】45%(人件費割合)×20%(地域区分)=10.90円
【サービスにかかる金額】655単位×10.90円=7139円

1単位あたりの金額は10.90円で、端数を切り捨てて7139円となります。なお、実際はこれに加算や減算が考慮されて最終的な介護報酬が計算されます。

介護報酬における「地域区分」の最新の基準は下記の記事で詳しく解説しています。詳細を知りたい方はそちらも参考にしてください。
▶︎介護の「地域区分」とは|介護報酬の仕組みと単価・計算方法

介護報酬を理解して苦手意識を克服しよう

本記事は、介護点数計算について下記を解説しました。

  • 介護報酬の基礎知識
  • 介護報酬の計算方法
  • 最新の地域区分(令和3年対応)に合わせた計算例

介護報酬は「基本部分となる単位数」「介護度」「加算・減算」などによって左右されています。また、介護報酬における単位数(点数)は公平になるように「地域」「サービス」が加味され計算されます。

難しい仕組みですが事業者はこうした内容は理解しておきたいところです。介護報酬の計算や、仕組みについて苦手意識がある方は本記事を読み返して少しずつ慣れていってください。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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