誰でもわかる!通所介護の生活機能向上連携加算とは【2024年改定対応】
介護保険法
2024/11/28
介護保険法
処遇改善加算
更新日:2024/11/05
【令和6年報酬改定対応】介護職員処遇改善加算とは、利用者に介護サービスを提供する介護職員の処遇改善を図るため、賃金改善や職場環境改善を目的に創設された加算です。令和6年の報酬改定によってこれまでの複数の処遇改善加算の制度が「介護職員等処遇改善加算」という名称で一本化されました。ここでは、最新の報酬改定に合わせた算定要件や加算額などを解説します。
この記事の目次
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令和6年度介護報酬改定にて「介護職員等処遇改善加算」が新設されました。
新加算は、これまでの処遇改善制度の主な算定要件を引き継ぎ、区分(Ⅰ)~(Ⅳ)に統合され、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%の介護現場の職員のベースアップへつながるよう職員への加算率が引き上げられました。
賃金改善の配分対象は「介護職員を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分すること」とされ、事業所内での柔軟な配分が認められました。以前の処遇改善加算のデメリットにも対応した変更となっています。
令和7年度からは
が必要となり、それまでの移行期間は既存の処遇改善加算を算定している事業所、2024年度中は必ず加算率が上がるよう、経過措置期間(激変緩和措置)が設けられました。
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令和6年度介護報酬改定において、
①事業者の賃金改善や申請に係る事務負担を軽減する
②利用者にとって分かりやすい制度とし、利用者負担の理解を得やすくする
③事業所全体として、柔軟な事業運営を可能とする
以上の3つの視点から、処遇改善に係る加算の一本化が行われることになりました。
具体的には、
の各区分の要件及び加算率を組み合わせる形で、令和6年6月から「介護職員等処遇改善加算」への一本化が行われます。
現行の「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」と「介護職員等処遇改善加算」には、それぞれ目的や対象、計算方法などに違いがあります。
目的:介護職員の賃金改善を図るため
対象:介護職員の処遇を改善するための取り組みを行っている事業所
計算・支給方法:介護報酬の一部として、一定の基準に基づき支給する
目的:介護職員の中でも特に経験や資格を持つ職員の賃金改善を図るため。
対象:介護福祉士や経験のある介護職員が対象。
計算・支給方法:処遇改善加算よりも高い水準の支給が行われ、具体的な基準は事業所ごとに異なるが、高度な技能を持つ職員に重点的に配分される。
目的:介護職員のベースアップ(基本給の引き上げ)や処遇の改善を支援するため。
対象:すべての介護職員が対象となるが、特にベースアップに重点が置かれる。
計算・支給方法:事業所が基本給の引き上げを行う場合、そのコストの一部を補填する形で支給される。
目的:全般的な介護職員の処遇改善を図るため。
対象:以前の処遇改善加算と比較し広範な介護職員が対象となる。
計算・支給方法:一定の基準と条件を満たした事業所に対して支給され、加算率は以前の処遇改善加算と比較し増加。
新しい「介護職員等処遇改善加算」は、サービス類型ごとに加算率が決まっています。算定する単位数は、介護職員等処遇改善加算を除いた後の総報酬単位数に、加算率を掛けて算出されます。
通所介護・地域密着型通所介護の加算率は、新加算Ⅰ:9.2% 新加算Ⅱ:9.0% 新加算Ⅲ:8.0% 新加算Ⅳ:6.4%となっています。
算定するために必要な3つの要件の詳細について解説します。
キャリアパス要件は、賃金体系や研修実施、昇給の仕組みなど、職員のキャリア設計を目的とした取組の要件です。
キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)
以下の1.2.3.を満たすこと。
1. 介護職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。
2. 1.に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
3. 1.及び2.の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。
キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
以下の1.2.を満たすこと。
1.介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及びa又はbに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。
a.資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等(OJT、OFF-JT 等)を実施するとともに、介護職員の能力評価を行うこと。
b.資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
2.1.について、全ての介護職員に周知していること。
キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組み)
以下の1.2.を満たすこと。
1.介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次のaからcまでのいずれかに該当する仕組みであること。
a.経験に応じて昇給する仕組み
「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること。
b.資格等に応じて昇給する仕組み
介護福祉士等の資格の取得や実務者研修等の修了状況に応じて昇給する仕組みであること。ただし、別法人等で介護福祉士資格を取得した上で当該事業者や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。
c.一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。
2.1.の内容について、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。
キャリアパス要件Ⅳ(改善後の賃金額)
経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金の見込額(新加算等を算定し実施される賃金改善の見込額を含む。)が年額440万円以上であること。
キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置)
サービス類型ごとに一定以上の介護福祉士等を配置していること。具体的には、新加算等を算定する事業所においてサービス提供体制強化加算ⅠまたはⅡを算定していること。
次に、賃金改善要件は、介護職員等処遇改善加算として算定した金額のうち従業員の賃金改善に充てなければならない金額・割合についての要件が定められています。
月額賃金改善要件Ⅰ
新加算Ⅳの加算額の2分の1以上を基本給又は決まって毎月支払われる手当で賃金改善に充てること。
月額賃金改善要件Ⅱ
令和6年5月31日時点で現に旧処遇改善加算を算定しており、かつ、旧ベースアップ等加算を算定していない事業所が、令和8年3月31日までの間において、新規に介護職員等処遇改善加算(新加算)ⅠからⅣまでのいずれかを算定する場合
初めて新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定し、旧ベースアップ等加算相当の加算額が新たに増加する事業年度において、当該事業所が仮に旧ベースアップ等加算を算定する場合に見込まれる加算額の3分の2以上の基本給等の引上げを新規に実施すること。
その際、基本的には当該基本給等の引上げは、ベースアップにより行うこと。
※令和6年5月以前に旧3加算を算定していなかった事業所及び令和6年6月以降に開設された事業所が、新加算ⅠからⅣまでのいずれかを新規に算定する場合には、月額賃金改善要件Ⅱの適用を受けないこととされています。
最後に職場環境等要件は、介護職員が安心して働きやすい職場環境を整えて、長期的な人材確保を目指すための要件です。令和6年度中と令和7年度以降の要件に違いがあるので注意が必要です。
令和7年度以降
出典:介護職員の処遇改善
令和6年度中
区分 |
内容 |
---|---|
入職促進に向けた取組 | ●法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 ●事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築 ●他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築 ●職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施 |
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 | ●働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等 ●研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動 ●エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入 ●上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保 |
両立支援・多様な働き方の推進 | 等の充実、事業所内託児施設の整備 ●職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備 ●有給休暇が取得しやすい環境の整備 ●業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 |
腰痛を含む心身の健康管理 | ●介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等導入及び研修等による腰痛対策の実施 ●短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 ●雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施 ●事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 |
生産性向上のための業務改善の取組 | ●タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減 ●高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳・下膳などのほか、経理や労務、広報なども含めた介護業務以外の業務の提供)等による役割分担の明確化 ●5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備 ●業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減 |
やりがい・働きがいの醸成 | ●ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善 ●地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 ●利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 ●ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供 |
2024年の介護報酬改定で新設された「介護職員等処遇改善加算」は、介護職員の賃金や職場環境の改善を目的に、複数の既存加算を統合した制度です。令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%の給与改善を目的にしており、以前の加算と比較すると職員に対して柔軟に配分することが可能になりました。また暫定期間として令和6度中は移行期間が設けられ、介護事業所が新制度に対応しやすいように配慮されています。介護職員の処遇改善を図るためにも、この記事を参考に加算算定に取り組んでみてはいかがでしょうか。
キャリアパス要件・月額賃金改善要件・職場環境等要件という3つの要件について詳しく知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
▶︎介護職員等処遇改善加算のキャリアパス要件・月額賃金改善要件・職場環境等要件
厚生労働省から出されているQ&Aについて知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
▶︎介護職員等処遇改善加算に関するQ&A全まとめ【厚働省の資料から抜粋】
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