一体的サービス提供加算とは?単位数と算定要件などを解説【2024年介護報酬改定で新設】

介護保険法

その他の加算

更新日:2024/09/13

【令和6年報酬改定対応】一体的サービス提供加算とは、総合事業の通所型サービスにおいて所定の算定要件を満たした場合に算定できる加算で令和6年度の報酬改定で新設されました。新設の背景には、令和6年度の介護報酬改定で運動器機能向上加算と選択的サービス複数実施加算が廃止されたことがあります。この記事では新加算の概要と、その他廃止になった加算への対応策について解説します。

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一体的サービス提供加算とは

一体的サービス提供加算とはどのような加算なのか、その目的と概要についてまずは解説します。

新加算の目的と背景

「一体的サービス提供加算」とは、運動器機能向上サービス、栄養改善サービス及び口腔機能向上サービスを一体的に実施することで、要支援者等の心身機能の改善効果を高めることを目的とした加算です。

選択的サービス複数実施加算の廃止に伴って新設

令和6年度介護報酬改定で、身体機能評価を更に推進し、報酬体系の簡素化を行う観点から、運動器機能向上加算の基本報酬への包括化と選択的サービス複数実施加算の廃止が決定しました。以前は運動器機能向上サービス・栄養改善サービス・口腔機能向上サービスのうち2〜3種類を実施することで選択的サービス複数実施加算を算定することができました。

今回の報酬改定による運動器機能向上加算の廃止に伴い、栄養改善・口腔機能向上のいずれも実施した場合に「一体的サービス複数実施加算(新設)」を算定出来るようになりました。

運動器機能向上加算の基本報酬への包括化

令和4年時点で運動器機能向上加算の算定率は90%近い状態でした。そういった状況もあり、令和6年度介護報酬改定で運動器機能向上加算が基本報酬に包括化されることになりました。

令和6年度以降の基本報酬の変更は以下の通りです。

  • 要支援1:1,798単位(令和6年度介護報酬改定前と比較し、126単位増加)
  • 要支援2:3,621単位(令和6年度介護報酬改定前と比較し、193単位増加)

基本報酬の単位数は増加しておりますが、廃止された運動器機能向上加算は225単位/月だったので、基本報酬への包括化を行うことで事業所の総取得単位は下がることになりました。

廃止による影響とその理由

今回廃止となった選択的サービス複数実施加算は、運動器機能・栄養・口腔機能を向上させる複数のサービスを提供することで算定できる加算です。この加算は、事業所に対して、選択的サービス(運動器機能向上加算・口腔機能向上加算・栄養改善加算)の実施頻度の向上を目指すのが狙いでした。

運動器機能向上加算の算定率が高くなったこともあり、令和6年度の介護報酬改定で選択的サービス複数実施加算は廃止され、一体的サービス提供加算に変更となりました。

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選択的サービス複数実施加算との違い

運動器機能向上加算の廃止に伴い、今までの選択的サービス複数実施加算は「一体的サービス提供加算」に変更になりました。

「一体的サービス提供加算」は、栄養改善サービス及び口腔機能向上サービスをいずれも実施した場合、算定が可能になります。

一体的サービス提供加算の単位数と算定要件

単位数

単位数は480単位/月

算定要件

算定するには以下の要件を全て満たす必要があります。

  1. 栄養改善サービス及び口腔機能向上サービスを実施していること。
  2. 利用者がデイサービスを利用した日に、当該利用者に対し、栄養改善サービス又は口腔機能向上サービスのうちいずれかのサービスを行う日を1月につき2回以上設けていること。
  3. 栄養改善加算、口腔機能向上加算を算定していないこと。

介護事業所への影響は

令和6年度の報酬改定による加算の新設や廃止が事業所に与える影響として以下のことが考えられます。

前述したように、運動器機能向上加算が基本報酬に包括化され、一体的サービス提供加算が新設されました。しかし、基本報酬の増加分よりも、運動機能向上加算廃止による減少分の方が単位数が多く、介護事業所の取得単位は減少することになってしまいます。

事業所が取るべき対応策と実践例

基本報酬と運動器機能向上加算を算定していた事業を想定すると

  • 要支援1の利用者1人あたり:99単位/月の減収
  • 要支援2の利用者1人あたり:32単位/月の減収

となります。

その減収を補填するための候補として、以下の3つの加算が挙げられます。

一体的サービス複数実施加算

もともと、運動器機能・栄養・口腔機能を向上させる複数のサービスを提供することで算定できる選択的サービス複数実施加算がありました。2024年度の介護報酬改定で、運動器機能向上加算が廃止されたことにより、栄養改善サービスと口腔機能向上サービスを行うことで、一体的サービス加算(月480単位)が算定できるようになりました。

口腔機能向上加算

口腔機能向上加算は、口腔機能が低下している、または低下するおそれのある利用者を対象にした加算です。口腔機能の改善のための取り組みを評価することで算定可能となります。

口腔機能向上加算(Ⅰ)は、

  • 要支援者:150単位(1回/月あたり)
  • 要介護者:150単位(2回/月まで)

と算定することができます。

また、LIFEへの情報提供をすることで算定できる口腔機能向上加算(Ⅱ)は、

  • 要支援者:160単位(1回/月あたり)
  • 要介護者:160単位(2回/月まで)

となっています。

口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定要件などについて詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎口腔機能向上加算とは|(Ⅰ)(Ⅱ)の違い・算定要件・計画書について

科学的介護推進体制加算

科学的介護推進体制加算は、自立支援・重度化防止を目的とした、科学的に裏付けられた介護サービスを推進するための加算です。必要な利用者情報をLIFEに入力することが必要となります。科学的介護推進体制加算は、月40単位算定することが可能です。

科学的介護推進体制加算の算定要件などについて詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事をご一読ください。
▶︎科学的介護推進体制加算の算定要件とは?LIFEへの提出頻度や記入例

一体的サービス提供加算の算定で利用者の心身機能の改善を実現

「一体的サービス提供加算」は、令和6年の介護報酬改定で新設された加算で、運動器機能向上、栄養改善、口腔機能向上のサービスを提供することで、利用者の心身機能の改善を目的としています。従来の「運動器機能向上加算」や「選択的サービス複数実施加算」が廃止されたことにより、介護事業所の総取得単位が減少する可能性があります。

減収を補う対策として、一体的サービス提供加算、口腔機能向上加算、科学的介護推進体制加算などの加算の取得が挙げられます。事業所は新たな介護報酬のルールに対応しつつ、サービスの質を維持・向上させていきましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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