千葉県市川市のデイサービス「フィットネス笑楽」|「通わされる場所」から「会いに行きたくなる場所」へ。祖母の一言から始まった“居場所”の再設計

運営ノウハウ

経営

更新日:2026/03/26

地域の介護を、みんなで豊かに。「地域共創プロジェクト」への想い

本プロジェクトは、地域のデイサービスが持つ素晴らしい「現場での工夫や知恵」を事業所内だけに閉ざすのではなく、地域全体で分かち合うための取り組みです 。

現在、介護業界は人手不足や物価高騰といった厳しい経営環境に直面しています 。しかし、そんな中でも「利用者様をもっと元気にしたい」「職員が輝ける職場を作りたい」と、日々試行錯誤を続けている現場が、私たちの街にはたくさんあります 。

個々の事業所が「孤立」して悩むのではなく、その知恵を「バトン」として繋いでいくこと 。それこそが、地域の介護の質を高め、高齢者の皆様が安心して暮らせるインフラを守ることになると私たちは信じています 。

今回のイベントレポートでは、地域を支える先行事例として登壇いただいた法人の、熱い想いとリアルな舞台裏をお届けします 。


「つまんない。ただ座っているだけだし、プログラム通りに指示されるだけだから、もう行きたくない」

千葉県市川市で「フィットネス笑楽(らら)」を運営する小西健太さんが、この事業を始めるきっかけとなったのは、祖母がこぼしたこの一言でした 。 

「必要だと分かっていても、楽しくなければ続かない」 。 今回、小西さんのお話を伺って深く感銘を受けたのは、この切実な「利用者の本音」を運営の原点に据え、デイサービスを「訓練の場」から、誰もが自然と足が向く「地域の居場所」へと見事に再定義されている姿でした。

施設感を消し、会話が主役になる「カフェ風」の空間

フィットネス笑楽が掲げるコンセプトは、『外に出るきっかけ作り』と『会話を中心としたカフェのような明るい居場所』です 。 定員14名のこの施設に一歩足を踏み入れると、まず驚かされるのは、いわゆる「介護施設」らしさがどこにもないことです。

明るい木目調のインテリアに、吹き抜けの高い天井 。大きな机を囲んで、利用者様とスタッフが「親戚と話すような距離感」で雑談に花を咲かせています 。 「デイサービスに行くというより、あそこにいるみんなに会いに行こう、と思ってもらいたいんです」 。

小西さんはあえて、運動を「メイン」ではなく「来たついでにできる位置づけ」に置いています 。 フロアには本格的なカラオケやリハビリ用ゲーム機が並び、創作活動やレクリエーションが活発に行われています 。 「まず来て、楽しんでいただく。その付随として運動がある」という優先順位の転換が、かつてデイサービスを拒んでいた方々が「自ら前のめりに通う」という驚きの変化を生んでいました 。

「あえて人を増やす」という逆転の経営判断

この温かな居場所を支えているのは、小西さんの「あえて人員配置を厚くする」という、今の介護業界では異例とも言える経営判断でした 。定員14名に対し、多いときで6〜7名のスタッフが現場に立ちます 。

「余裕がないと、どうしても他人より自分のことを優先してしまい、失敗しないことや怒られないことに意識が向いてしまいます。余裕を持てる配置にすることで、自然と利用者様や仲間を思いやる『他者貢献』に集中できる環境を作りたかったんです」 。さらに驚くべきは、この施設には細かな業務マニュアルが存在しないことです 。

「感染対策などの最低限のルールはありますが、それ以外はスタッフ自身の『良いと思う判断』に任せています。マニュアルで縛ると、利用者様のニーズに対して『今できないから待っててください』という形式的な対応になってしまうからです」 。スタッフ一人ひとりの「やりたい」という主体性を尊重するこの姿勢は、職場の空気を劇的に変えました 。
「資格を取りたい」と自ら学ぶスタッフが増え、休日でも事業所のことを考えて動くような、強い絆が生まれています 。

「人は管理だけでは動かない。居場所と余裕があることで、自然と動き出す」という小西さんの言葉は、福祉の現場に最も必要な真理を突いているように感じました 。

デジタルを「対話」と「未来」のための余白に変える

こうした手厚い関わりとスタッフの余裕を支えるために、小西さんはデジタル技術の活用にも積極的です。

かつては膨大な手書き書類や二度手間の事務作業が、スタッフの「利用者様と向き合う時間」を奪っていました。 デジタルシステムを導入することで、計画書作成や記録業務を効率化。デジタル技術によって事務負担を最小限に抑え、そこで創出された「心のゆとり」を、利用者様の困りごとに一歩踏み込んで寄り添うための新しい挑戦へと繋げていく。

現時点でも、帰宅後の食事が負担になっている利用者様のために、親族が経営する和食店と連携した「お弁当・お惣菜の提供サービス」を準備中だといいます。 「介護保険のサービス内だけで完結するのではなく、利用者様が本当に困っていることに寄り添い、満足度を上げていきたい」。 事務を賢く完結させることで生まれた「余白」を、次なるおもてなしの形へと昇華させる。そんな前向きな循環が、ここにはありました。

地域社会の「止まり木」を目指して

今回の発表会を通じて伝わってきたのは、小西さんの「デイサービスは、地域の公民館のような存在でありたい」という真っ直ぐな願いでした 。

その想いは、直近1年の成約率73.0%、稼働率84.1%という高い数字となって現れています 。 しかし、小西さんは「数字はあくまで結果としてついてきたもの」と笑います 。 「利用者様には通いたくなる場所を、スタッフには安心して働ける余裕を」。

祖母の寂しそうな横顔から始まったこの挑戦は、今、市川の街で多くの高齢者とスタッフに笑顔を届ける「最高の居場所」として花開いています。

▼ 株式会社健実 フィットネス笑楽~らら~(千葉県市川市)について
 詳しくはHPをご確認ください
 https://kenmi-gp.com/

加算算定、書類業務でお困りならリハブクラウドがおすすめ

日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「リハブクラウド」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。

例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。

記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。

⇒資料のダウンロードはこちらから

この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

関連記事