個別機能訓練加算における運動プログラムの計画書の記入例

介護保険法

個別機能訓練加算

更新日:2024/07/30

【令和6年報酬改定対応】通所介護の個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定するためには、個別機能訓練計画書の作成と個別の機能訓練プログラムの立案・実施が必要です。この記事では個別機能訓練計画書の作成手順や機能訓練プログラムの具体例のほか、歩行の安定性を目指した実践プログラムまでご紹介します。

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個別機能訓練計画書とは

個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定する際は、配置時間の定めのない機能訓練指導員1名以上の配置と、生活状況やニーズの確認、計画作成、利用者の心身の状態に合わせた個別の機能訓練実施などが求められます。

機能訓練実施のために必要になるのが「個別機能訓練計画書」です。計画書には利用者の心身の状況に応じて、長期・短期の目標と機能訓練プログラムが設定されています。

この記事では、個別機能訓練計画書の具体的な作成方法やプログラム例を解説していきます。

個別機能訓練計画書の作成手順

個別機能訓練加算(Ⅰ)イまたはロを算定する場合、機能訓練指導員(看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師のいずれかの有資格者)が多職種と協働して個別機能訓練計画書を作成します。

一人ひとりに合わせた個別性のある計画が求められるため、最初に利用者のニーズを把握していきます。

ニーズ把握の際は、以下を利用し情報収集していきます。

  •  生活機能チェックシート
  •  興味・関心チェックシート
  •  医師又は歯科医師など外部との連携

居宅訪問と情報収集が完了したら、ケアプランをもとに居宅サービス計画、 通所介護計画・地域密着型通所介護計画などと連動した個別機能訓練計画書を作成します。

計画書内にある目標では、当該利用者の意欲の向上につながるよう、長期目標・短期目標のように段階的な目標設定をするなど、具体的でわかりやすい目標にするのが大切です。

生活機能チェックシートとは|記入例・個別機能訓練加算における使用方法・提出頻度
興味・関心チェックシートとは?活用方法と記入例【様式ダウンロードあり】

長期・短期目標の作成手順

目標設定では利用者の現状の心身機能に照らし、可能であること、困難であることを整理し、どのような訓練を行えば目標が達成できるのかを検討するのが大切です。

長期目標・短期目標それぞれの例は以下の通りです。

長期目標の例

居宅における生活行為や地域における社会的関係の維持など、具体的な生活上の行為の達成を含めた目標設定を行います。

  • 居宅における生活行為
    トイレに行く、自宅の風呂に一人で入る、料理を作る、掃除・洗濯をするなど
  • 地域における社会的関係の維持に関する行為
    商店街に買い物に行く、囲碁教室に行く、孫とメールの交換をする、インターネットで手続きをするなど

短期目標の例

長期目標を設定した後は、長期目標を達成するために必要な行為ごとに細分化し、短期目標として整理していきます。

例)長期目標が「スーパーマーケットに食材を買いに行く」の場合の必要な行為

  • スーパーマーケットまで歩いて行く
  • スーパーマーケットの入り口で買い物かごを持つ
  • スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける
  • 食材を買い物かごに入れる
  • レジで支払いをする
  • 買った品物を袋に入れる
  • 買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る

これらをもとに「個別機能訓練の目標・個別機能訓練項目の設定」の機能・活動・参加の3つの観点から短期目標を立てると以下のようになります。

(機能)下肢筋力・耐久性の向上

(活動)スーパーマーケットまで歩いて行ける

(参加)家族と家の周りの散歩を楽しめる

長期目標・短期目標の立案の方法、具体的な記入例についてより知りたい方は、以下の記事からチェックできますので、ぜひご一読ください。

▶︎個別機能訓練計画書の目標例|長期目標・短期目標の書き方と評価の記入例

機能訓練プログラムの記入例

長期目標・短期目標を設定したら、その目標に合わせて機能訓練プログラムを作成します。

具体的な例を紹介していきましょう。

【長期目標】

  • (機能) 下肢筋力・耐久性の向上、 認知機能低下に対する対応(メモ等の代償的手段の活用など)
  • (活動)  屋外歩行を見守りで1時間程度実施できる 
  • (参加) スーパーで買い物ができる・自分で買った食材を使って料理ができる

【短期目標】

  • (参加) 下肢筋力・耐久性の向上、 認知機能低下に対する対応(メモ等の代償的手段の活用など)
  • (活動) 屋外歩行が見守りで20分程度実施できる 
  • (機能) 家族と家の周りの散歩を楽しめる。

上記の目標設定の場合、以下のような機能訓練プログラムになります。

【機能訓練プログラム内容】

  • 下肢と体幹の筋力増強訓練 (歩行能力向上のため) 
  • 歩行訓練(屋内、屋外) (近所への買い物が出来るようになるため・歩行補助具もあわせて選定) 
  • 認知機能低下に対する対応訓練 (買い物や調理をメモを見ながら実施できるように・買い物リストの作成も) 
  • 買い物訓練 (模擬的にあるいは実際にスーパーなどへ買い物に行 く) 

(利用者本人・家族などがサービス利用時間以外に実施すること)

⇒ご家族に認知症の症状と対応方法を伝達するとともに共有(症状 や対応方法について) 

目標を達成するために必要な行為を遂行できるように、生活機能を向上させるための個別機能訓練項目を決定します。

機能訓練プログラムは利用者の生活機能の向上に資するよう複数の種類の訓練項目を準備し、利用者を援助することが大切です。

合わせて利用者の居宅などにおいても実施できるような訓練項目を検討し、提示することが望ましいでしょう。

一人ひとりに合わせた機能訓練プログラムを作成しよう

個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定する場合、一人ひとりに合った「個別機能訓練計画書の作成」や「機能訓練プログラム」を考えるのが大切といえます。

さまざまな病気や怪我を抱えている利用者に対し、個別のプログラムを作成するのは簡単ではありません。しかし、具体的で取り組みやすい目標や訓練を設定することで、利用者の機能向上に大いに貢献することができるでしょう。

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この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

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