個別機能訓練計画書|効率的な作成方法・おさえるべきポイントとは
介護保険法
2024/11/06
介護保険法
ADL維持等加算
更新日:2024/04/10
ADL維持等加算は、ADL(日常生活動作)の維持もしくは改善に応じて算定を行うアウトカム評価です。今後の介護報酬改定では、介護サービスの質の評価と科学的介護を目指す上で、今後さらに重要度が高まる加算のひとつです。2021年の介護報酬改定に向けて、ADL維持等加算の見直しが議論されています。本内容は2021年2月時点の厚生労働省の発表を元に作成しております。
この記事の目次
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最新のADL維持等加算の算定要件については「よくわかる!ADL維持等加算の算定要件【2021年介護報酬改定】」をご覧ください。
通所介護・地域密着型通所介護に対して導入されたADL維持等加算は、介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組みの一環であり、ADL(日常生活動作)の維持や一定の改善に応じて加算の算定を行うアウトカム評価です。
これまでの介護保険制度は、利用者の要支援・要介護度の改善によって、介護報酬が減ってしまい、利用者のための改善が事業者の収益にとってはマイナスになってしまうという構造でした。これを是正するために、平成30年度の介護報酬改定で導入されたインセンティブ加算がADL維持等加算です。
ADLはActivities of Daily Livingの頭文字をとったもので、日常生活を送るための必要最低限の動作という意味になります。
ADLはバーセルインデックス(Barthel Index)という指標で評価し、食事や歩行、トイレ、階段昇降、着替えの自立度合いを図ります。
平成30年度の介護報酬改定で新設されたADL維持等加算はこれまでの算定状況と結果を受けて、要件緩和と単位の増加を行い、算定を拡充させていき、介護サービスの質の評価を更に進めたい意向があります。
ただ、クリームスキミング(改善の確度が高い利用者だけを受け入れる、選別する等の意味)への防止策やCHASEとの連携を踏まえて、今回見直しが行われます。
①クリームスキミングを防止する観点や、現状の同加算の取得状況や課題を踏まえ、算定要件について、以下の見直しを行う。
②より自立支援等に効果的な取組を行い、利用者の ADL を良好に維持・改善する事業者を高く評価する新たな区分を設ける。
③通所介護に加えて、機能訓練等に従事する者を十分に配置し、ADL の維持等を目的とする認知症対応型通所介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を同加算の対象とする。
通所介護のADL維持等加算の単位数の変更点
<現行>
ADL維持等加算(Ⅰ) 3単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ) 6単位/月
<改定後>
ADL維持等加算(Ⅰ) 30単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ) 60単位/月
2021年の介護報酬改定で見直しが図られる通所介護のADL維持等加算の算定要件をご説明します。
改定前 | 改定後 | |
単位 | ADL維持等加算(Ⅰ)3単位(1月につき) ・・・1年目 ADL維持等加算(Ⅱ)6単位(1月につき) ・・・2年目 | ADL維持等加算(Ⅰ)30単位(1月につき) ADL維持等加算(Ⅱ)60単位(1月につき) |
報告方法 | 評価月に利用者個々のレセプトの摘要欄に「BI値〇点」と記載して国保連に報告 | 評価月に厚生労働省(CHASE)にBI値を報告 |
評価方法 | 事業所の機能訓練指導員がBarthel Indexを測定 | 変更なし |
評価対象 期間 | 加算を算定しようとする月の年度の初日(4月1日)が属する年の前年の1月から12月までの期間 | 変更なし |
算定期間 | 当該評価対象期間の翌年の4月から始まる年度における通所介護等サービスの提供につき加算を行う | 評価対象期間の満了日の属する月の翌月から12月 |
条件1 | 利用者(当該指定通所介護事業所又は当該指定地域密着型通所介護事業所を連続して6月以上利用し、かつ、評価対象利用期間において、5時間以上の通所介護費の算定回数が5時間未満の通所介護費の算定回数を上回る者に限る。以下同じ。)の総数が 20 人以上。 | 5時間以上の利用者条件は廃止 利用者の総数の要件は10人以上に |
条件2 | 利用者の総数のうち、評価対象利用期間の初月に、要介護状態区分が要介護3、要介護4及び要介護5である者の占める割合が15%以上 | 廃止 |
条件3 | 利用者の総数のうち、評価対象利用開始月において、要支援認定があった月から起算して12 月以内である者の占める割合が15%以下 | 廃止 |
条件4 | 利用者の総数のうち、評価対象利用開始月と、当該月から起算して6月目において、機能訓練指導員がADLを評価し、その評価に基づく値(以下「ADL値」という。)を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に当該測定が提出されている者の占める割合が90%以上 | 評価可能な者について原則全員のADL利得を提出 |
計算方法 | 評価対象利用開始月から起算して6月目の月に測定したADL値から評価対象利用開始月に測定したADL値を控除して得た値(以下「ADL利得」という。)が多い順に、提出者の総数の上位 100 分の 85 に相当する数(その数に1未満の端数が生じたときは、これを切り上げるものとする。)の利用者について、次の①から③までに掲げる利用者の区分に応じ、当該①から③までに定める値を合計して得た値が0以上 ① ADL利得が0より大きい利用者 1 ② ADL利得が0の利用者 0 ③ ADL利得が0未満の利用者 マイナス1 | 利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、 初月のADL値や要介護認定の状況等に応じた値を加えて得た値(調整済ADL利得)について、利用者等から 調整済ADL利得の上位及び下位それぞれ1割の者を除いた者を評価対象利用者等とし、評価対象利用者等の 調整済ADL利得を平均して得た値が1以上であること。 |
平成30年度介護報酬改定で導入されたADL維持等加算の算定率は2.6%とかなり低い結果となっています。
単位の低さ、ADL評価の煩雑さを事前申請制により、算定はかなり消極的な結果となっています。
参照:介護保険制度におけるサービスの質の 評価に関する調査研究事業 (結果概要)
平成30年度介護報酬改定での通所介護の要件をすべて満たす事業所は実際どれくらいあるのでしょうか?
厚生労働省の調査によると、通所介護事業所は63.9%、地域密着型通所介護では12.4%という結果が明らかになり、地域密着型通所介護については、「利用者の総数が20名以上である」という要件が算定への制約になっていることが分かっています。
参照:令和3年度介護報酬改定に向けて (自立支援・重度化防止の推進)
要件を満たす事業所は多いものの、ADLの評価が複雑にも関わらず、月の単位が3単位or6単位と低く、さらに事前の申し出が必要なため、工数と勘案したときに算定を行わない事業所が多かったものと思われます。
ただ、令和3年の介護報酬改定では、事前の申請は引き続き必要ではあるものの、単位数が十倍に増加したことと、BI評価の報告後に計算を行い、ADLが改善していれば月間で数万円の介護報酬の上乗せが見込めるため、今一度検討をしてみても良いかもしれません。
最新のADL維持等加算の算定要件については「よくわかる!ADL維持等加算の算定要件【2021年介護報酬改定】」をご覧ください。
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