個別機能訓練計画書|効率的な作成方法・おさえるべきポイントとは
介護保険法
2024/11/06
介護保険法
処遇改善加算
更新日:2024/09/10
介護職員処遇改善加算とは、利用者に介護サービスを提供する介護職員の安定的な処遇改善を図るため、環境整備と賃金改善を目的に創設された加算です。これまでの複数の処遇改善加算の制度が「介護職員等処遇改善加算」という名称で一本化され、廃止になりました。この加算は給与を上げるためのお金が報酬という形で支給されるため、事業所にも職員にも大きなメリットがある加算でした。この記事では、廃止になった介護職員処遇改善加算の算定要件や計算式などを解説します。
この記事の目次
⇒「稼働率・売上が上がらない事業所のよくある失敗と対処法」解説資料のダウンロードはこちらから
令和6年6月から、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算の旧処遇改善3加算は、新設される「介護職員等処遇改善加算」に一本化されることとなりました。令和7年度以降に新加算Ⅰ〜Ⅳに完全移行するとされており、令和6年度中は経過措置として、新加算Ⅴ(1)~ Ⅴ(14)を設けられました。経過措置中は加算率は下がることはないですが、令和7年度以降の完全移行に向けて事業所としてどう対応するか検討が必要です。
介護職員等処遇改善加算については、知りたい方はこちらの記事をご一読ください
▶︎介護職員等処遇改善加算とは?算定要件や単位数などを解説【2024年介護報酬改定で新設】
※介護職員処遇改善加算は令和6年の介護報酬改定で廃止になりました。記事は記録としてそのまま残しています。
⇒「稼働率・売上が上がらない事業所のよくある失敗と対処法」解説資料のダウンロードはこちらから
介護職員処遇改善加算とは介護職員が安定した業務ができるように、環境を整えたり賃金を改善したりすることを目的とした加算です。
処遇改善加算は過去に算定要件や単位数について何度も見直されており、令和3年度の介護報酬改定でも職場環境等要件の内容が変更されました。
処遇改善加算を算定した場合、その算定額に相当する賃金改善を実施します。
さらに、取得する加算の区分に応じたキャリアパス要件と職場環境等要件を満たす必要があります。
これらの要件を満たすための費用は、賃金改善の実施にかかる費用には含まれません。
介護職員処遇改善加算を取得する事業所は、介護職員研修の確保や雇用管理の改善などとともに、加算の算定額に相当する賃金改善を実施する必要があります。
また、加算を取得する月の2ヵ月前の末日までに、介護サービス事業所等ごとに、当該介護サービス事業所等の所在する「都道府県知事等」に届出を提出する必要があります。
ただし、介護職員処遇改善計画書を複数作成する場合は、一括して都道府県知事等に届け出ることができます。また、年度の途中で加算を取得しようとする介護サービス事業者は、加算を取得しようとする月の前々月の末日までに、都道府県知事等に提出するものとされています。
介護職員処遇改善加算を取得する事業所は、介護職員研修の確保や雇用管理の改善などとともに、加算の算定額に相当する賃金改善を実施する必要があります。
また、加算を取得する年度の前年度の2月末日までに、介護サービス事業所等ごとに、当該介護サービス事業所等の所在する「都道府県知事等」に届出を提出する必要があります。
ただし、介護職員処遇改善計画書を一括して作成する場合は、一括して都道府県知事等に届け出ることができます。また、年度の途中で加算を取得しようとする介護サービス事業者は、加算を取得しようとする月の前々月の末日までに、都道府県知事等に提出するものとされています。
参考:介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算及び介護職員等ベースアップ等支援加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について (2023年5月19日確認)
デイサービスにおける介護職員処遇改善加算の算定要件と単位数を以下の表にまとめました。
介護職員処遇改善加算(Ⅰ) | |
---|---|
算定要件 | ・以下の「キャリアパス要件」を満たす ①職位・職責・職務内容に応じた要件と賃金体系を整備する ②資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修の機会を確保する ③経験・資格に応じて昇給する仕組み、または一定の基準にもとづいて定期的に昇給を判定する仕組みを設ける ・「職場環境等要件」である、賃金改善を除いた職場環境の改善に努める |
単位数 | 介護職員1人につき月額37,000円相当の加算 |
介護職員処遇改善加算(Ⅱ) | |
---|---|
算定要件 | ・以下の「キャリアパス要件」を満たす ①職位・職責・職務内容に応じた要件と賃金体系を整備する ②資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修の機会を確保する ・「職場環境等要件」である、賃金改善を除いた職場環境の改善に努める |
単位数 | 介護職員1人につき月額27,000円相当の加算 |
介護職員処遇改善加算(Ⅲ) | |
---|---|
算定要件 | ・以下の「キャリアパス要件」のどちらか1つを満たす ①職位・職責・職務内容に応じた要件と賃金体系を整備する ②資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修の機会を確保する ・「職場環境等要件」である、賃金改善を除いた職場環境の改善に努める |
単位数 | 介護職員1人につき月額15,000円相当の加算 |
介護職員処遇改善加算(Ⅳ) | |
---|---|
算定要件 | ・以下の要件のどちらかを満たす 1)以下の「キャリアパス要件」のどちらか1つを満たす ①職位・職責・職務内容に応じた要件と賃金体系を整備する ②資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修の機会を確保する 2)「職場環境等要件」である、賃金改善を除いた職場環境の改善に努める |
単位数 | 介護職員1人につき月額13,500円相当の加算 |
介護職員処遇改善加算(Ⅴ) | |
---|---|
算定要件 | 「キャリアパス要件」と「職場環境要件」のいずれも満たさない |
単位数 | 介護職員1人につき月額12,000円相当の加算 |
処遇改善加算の「Ⅳ」と「Ⅴ」は、令和3年度で廃止。ただし令和3年度末時点で算定をしていた場合は、令和4年度末まで算定可能。
参考:令和3年度介護報酬改定の主な事項について (2023年5月19日確認)
介護職員処遇改善加算は、1ヵ月の基本報酬と各種加算・減算を合計した単位数に加算率を掛けることで算定されます。
ここでは以下の条件を例にしながら、処遇改善加算を計算するためのステップを3つに分けて解説します。
提供サービス | 通常規模型通所介護 |
---|---|
サービス提供時間 | 7時間以上8時間未満 |
要介護度 | 要介護1(上記の時間の場合、655単位/回) |
取得加算 | サービス提供体制強化加算Ⅰ(22単位/回) |
介護職員処遇改善加算の区分 | 加算Ⅰ(加算率5.9%) |
地域区分 | 5級地(10.45円) |
1ヵ月の利用回数 | 6回 |
各単位数については「介護給付費単位数等サービスコード表」を参照
地域区分については「地域区分について」を参照
1つ目のステップとして、1ヵ月あたりの総単位数を計算してみましょう。
総単位数を導くための計算式は、以下の通りです。
【1ヵ月あたりの総単位数の計算式】
基本サービス単位数 + 加算と減算の合計 = 総単位数
655(単位) × 6(回)= 3,930(基本サービス単位数)
22(加算)× 6(回)= 132(加算と減算の合計)
3,930 + 132 =4,062(総単位数)
この計算式の結果、1ヵ月あたりの総単位数は「4,062」となります。
2つ目のステップでは、1つ目でわかった総単位数に加算率を乗算します。
このときに算出された数値が「介護職員処遇改善加算」の総単位数です。
また、計算結果に端数が生じた場合は、単位未満の数字を四捨五入します。
このときの計算式をみていきましょう。
【加算率を乗算するときの計算式】
4,062(総単位数)×5.9%(加算率)= 239.658
乗算したときに出た数値を四捨五入すると、処遇改善加算の総単位数が「240」となります。
最後のステップでは、処遇改善加算の総単位数を金額へと換算します。
このときの計算式は以下の通りです。
【総単位数を金額に換算する計算式】
処遇改善加算の総単位数 × 地域区分 = 処遇改善加算の総額
240(総単位数)× 10.45(地域区分)= 2,508(処遇改善加算の総額)
この計算の結果、処遇改善加算を金額に換算すると「2,508」となります。
ここで注意したいのが、上記の計算では「小数点以下は切り捨て」となる点です。
ステップ2と同じように、四捨五入しないように気をつけましょう。
介護職員処遇改善加算の職場環境等要件では、キャリアアップのための取り組みやネットワークの活用による生産性の向上が求められています。
要件は以下の6つの区分に分けられており、それぞれを満たすための具体的な内容が定められています。
処遇改善加算を算定するには、上記のうちから1つ以上取り組むことが必要です。
詳しい内容に関しては各論の「介護職員処遇改善加算のキャリアパス要件・職場環境等要件」を参考にしてみてください。
参考:処遇改善に関する加算の職場環境等要件 (2023年5月19日確認)
キャリアパス要件とは、介護職員のキャリアアップを促すために必要な賃金体系や労働環境の条件のことです。
キャリアパスには「Ⅰ」から「Ⅲ」までの3種類に分けられています。
ここではそれぞれの要件について解説します。
キャリアパス要件Ⅰでは、以下を満たす必要があります。
キャリアパス要件Ⅱでは、以下を満たす必要があります。
キャリアパス要件Ⅲでは、以下の項目を満たす必要があります。
参考:介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算及び介護職員等ベースアップ等支援加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について (2023年5月19日確認)
介護職員処遇改善加算は、職員のキャリアや介護の質の担保につながる重要な加算です。
加算の算定には計算が必要なので、わかりにくい点も多いと思いますが、ポイントを押さえればスムーズに算出できるでしょう。
十分な介護サービスを提供しつつ職員の定着化を図るためにも、処遇改善加算を積極的に算定できるような体制を整えておくと良いでしょう。
※介護職員処遇改善加算は令和6年の介護報酬改定で廃止になりました。記事は記録としてそのまま残しています。
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。
記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。