口腔機能向上加算とは|(Ⅰ)(Ⅱ)の違い・算定要件・計画書について
介護保険法
2024/10/09
介護保険法
口腔機能向上加算
更新日:2024/10/02
【令和6年報酬改定対応】通所介護(デイサービス)における加算の1つに「口腔機能向上加算」があります。算定率が低いため、算定をためらっている事業者様もいるのではないでしょうか。この記事では、人員基準や算定要件、実際に算定をする上でのサービス提供手順などについて解説します。
この記事の目次
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口腔機能向上加算の目的は、名前の通り口腔機能の向上にあります。口腔機能向上加算で実施されるものの定義は以下です。
"口腔機能が低下している利用者の口腔機能の向上を目的として、個別的に実施される口腔清掃の指導若しくは実施又は摂食・嚥下機能に関する訓練の指導若しくは実施であって、利用者の心身の状態の維持又は向上に資すると認められるもの"
つまり、
上記が口腔機能向上加算で実施される主な内容となります。これに加え、この2点を実施することで利用者の心身状態が維持される、向上すると考えられる方が対象となります。
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口腔機能向上加算には(Ⅰ)(Ⅱ)があります。(Ⅰ)は従来通り、利用者への口腔サービスを提供することで算定が可能です。人員配置や、利用者又はその家族への説明、計画書の作成、モニタリングの実施などの算定要件があります。単位数は1回につき150単位です。要支援者は月1回まで、要介護者は月2回まで算定できます。
(Ⅱ)は2021年度の介護報酬改定で新設されました。(Ⅰ)の算定要件を満たし、さらにLIFEに利用者の口腔機能の情報を提供する必要があります。その上で、LIFEからのフィードバックを活かしてケアを改善するというサイクルを構築することで1回につき160単位が算定可能です。
口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)の併算定はできませんので、注意してください。
この記事では主に(Ⅰ)の手順について解説します。(Ⅰ)(Ⅱ)の詳しい算定要件については以下の記事からチェックできますので、ぜひチェックしてみてください。
▶︎口腔機能向上加算とは|(Ⅰ)(Ⅱ)の違い・算定要件・計画書について
口腔機能向上加算を算定できる具体的な利用者は、厚生労働省の「介護保険最新情報Vol.69」によると以下となっています。
(問14)口腔機能向上加算を算定できる利用者として、「ハ その他口腔機 能の低下している者又はそのおそれのある者」が挙げられているが、 具体例としてはどのような者が対象となるか。
(答) 例えば、認定調査票のいずれの口腔関連項目も「1」に該当する者、基本 チェックリストの口腔関連項目の1項目のみが「1」に該当する又はいずれ の口腔関連項目も「0」に該当する者であっても、介護予防ケアマネジメン ト又はケアマネジメントにおける課題分析に当たって、認定調査票の特記事 項における記載内容(不足の判断根拠、介助方法の選択理由等)から、口腔 機能の低下している又はそのおそれがあると判断される者については算定で きる利用者として差し支えない。 同様に、主治医意見書の摂食・嚥下機能に関する記載内容や特記すべき事 項の記載内容等から口腔機能の低下している又はそのおそれがあると判断さ れる者、視認により口腔内の衛生状態に問題があると判断される者、医師、 歯科医師、介護支援専門員、サービス提供事業所等からの情報提供により口 腔機能の低下している又はそのおそれがあると判断される者等についても算 定して差し支えない。 なお、口腔機能の課題分析に有用な参考資料(口腔機能チェックシート等) は、「口腔機能向上マニュアル」確定版(平成21年3月)に収載されている ので対象者を把握する際の判断の参考にされたい。
ここでは、口腔機能向上加算のサービス提供の手順について紹介いたします。
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口腔機能向上加算は算定できる利用者に定めがあるので、それぞれの利用者が算定対象かどうかをまずは把握しましょう。把握する際は、認定調査票、基本チェックリスト、口腔機能チェックシートなどを活用します。
体制としては、言語聴覚士、歯科衛生士または看護職員を1名以上配置しなければなりません。さらに介護職員や生活相談員、その他の職種が共同でサービスを提供する必要があります。
算定する利用者一人ひとりに対して「スクリーニング・アセスメント・モニタリング・評価」を実施し、「口腔機能改善管理指導計画」を作成します。
その上で、利用者、ケアマネジャーに口腔機能向上加算の必要性を伝え、算定の同意を得ます。
サービス提供者は計画に基づいて口腔清掃と口腔清掃や、摂食・嚥下などに関する指導を実施します。
実施日とサービス提供者の名前、職種、実施内容について記録してください。1ヵ月ごとに行う業務としては利用者の口腔衛生、摂食・嚥下機能などの改善状況をモニタリングします。
なお、ここで言うサービス提供者とは、言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員のことを指します。
第8 口腔機能向上加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について
イ 事業所は、言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員(以下「サービス担当者」という。)と介護職員、生活相談員その他の職種の者等(以下「関 連職種」という。)が共同した口腔機能向上サービスを行う体制を整備 する。
引用:厚生労働省「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する 基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(P50)」
3カ月ごとに行う業務として、口腔衛生、摂食・嚥下機能などの解決するべき課題の把握があります。
また、サービス提供者は総合的に評価を行い、口腔機能向上サービスの提供の継続あるいは終了を判断しなければなりません。その結果を利用者または家族に説明します。利用者を担当する介護支援専門員または介護予防支援事業者などに継続の継続、終了についての情報を提供します。継続、あるいは終了する際は家族へきちんと説明し、同意を得てください。
なお、令和6年度の介護報酬改定で口腔機能向上サービスの帳票に変更がありましたので、ご注意ください。赤字部分が変更になっています。
厚生労働省のホームページで介護サービスごとの自己点検シートを確認することができますので、運営(実地)指導前にぜひ確認することをおすすめします。
自己点検シートは定期的に更新されていますので、適宜見直す必要があるでしょう。自主点検表を活用してコンプライアンスを遵守するようにしてください。
・言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員を1名以上配置
・言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して口腔機能改善管理指導計画の作成
・口腔機能改善管理指導計画に基づく言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員による口腔機能向上サービスの提供、定期的な記録作成
・利用者毎の口腔機能改善管理指導計画の進捗状況を定期的に評価、3月ごとに口腔機能のの状態の評価を行い、介護支援専門員、主治の医師・歯科医師への情報提供
・定員、人員基準に適合
・医療における対応の必要性
・利用者等に対する計画の説明及び同意
・月の算定回数2回以下引用:厚生労働省「自己点検シート」(2023年2月14日に確認)
通所介護事業における「口腔機能向上加算」のサービス手順について、自主点検表を用いてご紹介させていただきました。少しはご理解いただけましたでしょうか。
自己点検シートは運営(実地)指導や監査対策として、非常に有用なものです。定期的にブラッシュアップされていたりするので、定期的にチェックをしておくことをおすすめします。
それでは、少しでも参考になれば幸いです。
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