個別機能訓練計画書|効率的な作成方法・おさえるべきポイントとは
介護保険法
2024/11/06
介護保険法
介護サービスの種類
更新日:2024/09/02
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)は、認知症の方を中心に入浴や排泄、食事などの身体介護を受けるだけでなく、一人ひとりの状態に合わせたレクリエーションや機能訓練、家事、買い物、散歩などの認知症に特化したサービスを受けることができる地域密着型デイサービスです。本稿では認知症対応型通所介護の特徴とサービス内容について解説します。
この記事の目次
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)とは、認知機能が低下した利用者が住み慣れた地域で生活を送れるように専門的なケアを提供するデイサービスのことです。
高齢者になると認知機能の低下に加え、身体機能の衰えや生活能力の低下が生じるケースは少なくありません。
認知症デイサービスでは、利用者一人ひとりの状態に合わせて機能訓練の提供や日常生活の介護に加えて閉じこもりや孤立の解消、介護者の負担軽減を目的とした支援も行われます。
認知症デイサービスについて、介護保険法では以下のように記載されています。
「認知症対応型通所介護」とは、居宅要介護者であって、認知症であるものについて、老人福祉法第五条の二第三項の厚生労働省令で定める施設又は同法第二十条の二の二に規定する老人デイサービスセンターに通わせ、当該施設において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うことをいう。
認知症の方々への理解が深いスタッフが在籍しており、一人ひとりの認知機能に合わせた個別性の高いサービスを受けられることが認知症デイサービスの特徴と言えるでしょう。
以下の章で認知症デイサービスの種類やサービス内容、一般的なデイサービスとの違いについて詳しく解説します。
認知症の疑いや認知機能の低下を早期に発見することができるスクリーニングテストについて知りたい方は、ぜひこちらの記事もご一読ください。
▶︎長谷川式認知症スケール(HDS-R)とは|MMSEとの違い・評価方法・診断基準
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)は、運営する事業所や規模によって「単独型」「併設型」「共用型」の3種類に分けられます。
それぞれの詳細は以下のとおりです。
単独型 | 医療施設や社会福祉施設(介護施設など)に併設されておらず、認知症デイサービスを単独で提供している施設民家などを改築・改装して利用している場合もある |
---|---|
併設型 | 医療施設や社会福祉施設(介護福祉施設など)に併設されている施設 |
共有型 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)など、地域密着型の高齢者福祉施設の食堂・居間といったスペースを共同で利用している施設共用している施設に入居している方たちと共にサービスを受ける |
認知症デイサービスは施設のタイプによって利用料金が異なります。
それぞれの利用料金については以下で解説しますのでご参考ください。
参考:通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護 厚生労働省
以下に通常のデイサービスと認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)を比較しながら、各項目の解説と説明をします。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
一般的なデイサービスとは異なり、認知症デイサービスでは「認知症」の診断を受けていることが求められる点が特徴となるでしょう。
要支援者においては認知症の症状が認められる場合に、介護予防を目的とした「介護予防認知症対応型通所介護」の利用ができます。
認知症デイサービスを利用する際には、「要介護」「要支援」ともに医師による診断書が必要となる場合もあります。
利用対象者については各自治体により若干異なる場合があるため、お住まいの自治体にご確認ください。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)は、利用定員が「サービス提供の単位ごとに12人以下」と定められています。
一般的なデイサービスと比較すると認知症デイサービスは職員数に対して利用人数が少なく設定されていますので、利用を希望する場合は空き状況を事前に確認することが望ましいでしょう。
参考:通所介護事業所にかかる利用定員の考え方について 宮城県
一般的なデイサービスと同様に認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)にも人員基準が定められています。
以下に認知症デイサービスと一般的なデイサービスの人員基準についてまとめましたのでご参考ください。
職種 | 認知症デイサービス | 一般的なデイサービス |
---|---|---|
生活相談員(社会福祉士など) |
提供時間に応じて専従1人以上 |
提供時間に応じて1人以上(専従) |
看護職員 |
2人以上 ※1人以上(専従)+提供時間に応じて1人以上 ※看護職員は必ずしも配置しなければならないものではない |
単位ごとに1人以上(専従) |
介護職員 |
利用者が15人以下:1人以上 利用者が15人以上:1人+利用者数が1人増えるごとに0.2を加算した数以上 |
|
機能訓練指導員 |
1人以上 |
1人以上 |
管理者 |
厚生労働大臣が規定する研修(認知症対応型サ ービス事業管理者研修)を修了したもの(常勤かつ専従) |
1人(常勤かつ専従) |
認知症デイサービスの強みは、認知症に関する知識や経験がある職員が在籍しているということです。
一般のデイサービスよりも利用者数に対する職員の割合が多いため、個別性のあるケアや支援を受けやすいでしょう。
参考:通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護 厚生労働省
デイサービスを利用する際には、介護保険を活用できます。
利用する場合はサービス利用料金が全額保障されるのではなく、利用者の自己負担分が発生します。
利用者の介護度に加え利用時間や地域、施設によっても自己負担分が変動しますので、自己負担分の詳細を知りたい場合は担当ケアマネジャーや事業所へ確認をしましょう。
下記表では「1回あたりのサービス提供時間が7時間以上8時間未満の場合の利用者負担額(自己負担1割・地域区分その他の場合)」について、認知症デイサービスと一般のデイサービスの比較を行いましたのでご参考ください。
認知症デイサービス | 通所介護(デイサービス) | |||
---|---|---|---|---|
単独 | 併設 | 共有 | ||
要支援1 | 859円 | 771円 | 483円 | – |
要支援2 | 959円 | 862円 | 512円 | – |
要介護1 | 992円 | 892円 | 522円 | 655円 |
要介護2 | 1,100円 | 987円 | 541円 | 787円 |
要介護3 | 1,208円 | 1,084円 | 559円 | 911円 |
要介護4 | 1,316円 | 1,181円 | 577円 | 1,036円 |
要介護5 | 1,424円 | 1,276円 | 597円 | 1,162円 |
一般的なデイサービスよりも、認知症デイサービスの方が、若干費用が高くなっていることがわかります。
また、デイサービスの利用料金は、食費やおむつ代は別途負担となりますのでご注意ください。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)の主なサービス内容は以下の通りです。
基本的なサービス内容は一般的なデイサービスと大きく変わりません。
認知症デイサービスの大きな特徴は「定員が少人数でサポートが手厚い」こと「認知症に対する専門的なケアを受けられる」ことにあります。
以下にそれぞれの内容について説明しますのでご参考ください。
認知症デイサービスの利用定員は「12名以下」と少人数で規定されているため、スタッフが利用者一人ひとりの状態やペースに合わせて関わることができます。
認知症の方は、人や環境の変化に困惑することも少なくありません。
定員が少人数であることで、スタッフが利用者の状態変化に細かく気を配ることができます。
また、利用者同士が顔見知りになることも期待でき、知らない人との交流が苦手な方でも安心して通えることにつながるでしょう。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)では、認知症に関する知識や経験がある職員が在籍しています。
人員基準において1人以上の配置が求められる機能訓練指導員は「利用者が日常生活を営むのに必要な機能の維持向上に向けた訓練を行う職種」です。
機能訓練指導員は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師もしくは准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ師の資格を有していなければなりません。
機能訓練指導員を中心に利用者の日常生活へ目を向けた訓練や支援を行う際には、身体機能面だけでなく認知症の症状や心理面へも配慮した関わりが行われます。
一般的なデイサービスよりも対応するスタッフの割合が多くなる認知症デイサービスでは、一人ひとりの症状に応じたケアがしやすい環境が整っているといえるでしょう。
認知症の方に対する関わりでは、それぞれ異なる本人と環境の要素に対して、個別に対応することが望ましいです。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)では、スタッフが少数の利用者に関われる時間を設けやすく、個別性のあるケアが期待できるでしょう。
以下に認知症のある方が認知症デイサービスを利用した際に期待される効果についてまとめましたのでご参考ください。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)での小集団での活動や機能訓練は、認知症の進行を抑えることに加え、一人ひとりの進行に合わせた支援が期待できます。
認知症のある方に出現する症状や行動は、誰しも同じではありません。進行の状況によって必要になる介護も変わります。
認知症の症状を緩和するためには、定期的な外出をとおして家族以外との関わりを持つことも大切です。
社会とのつながりや他者との交流をとおして、安心感や幸福感を得ることができます。
認知症デイサービスでの利用者同士の交流や顔馴染みとなったスタッフとの関わりは、認知症による焦りや不安感を軽減させ、認知症の方が穏やかに生活するためのきっかけになり得ます。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)では、スタッフが定期的に利用者の体調の変化を観察でき、必要に応じた支援や健康に関する助言を行えます。
家族も気付けない体調に関する変化に対して、スタッフがいち早く発見し対応することで利用者の健康を管理・促進することができます。
高齢者が元気でいるために必要と言われている水分補給、栄養摂取、適度な運動についても、サービス内容に組み込まれていることも健康管理という点で大きな強みとなるでしょう。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)での活動を通じて、身体的・心理的な面でのリフレッシュ効果が期待されます。
認知症デイサービスは、一般的なデイサービスよりも少人数であるため、スタッフや利用者同士も早い段階で顔見知りになることが期待されます。
人間関係の構築は、その場に対する安心感となり利用者の不安を取り除くことにつながるでしょう。
顔見知りの利用者同士で談笑したり、活動に参加したりすることで「楽しい」と思える。それが、ストレスの発散となり、心理的な面でのリフレッシュ効果が期待されます。
また、認知症デイサービスで行われる機能訓練では適度に身体を動かすメニューも実施されるため、運動不足の改善にもつながるでしょう。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)の利用を検討する際によくある疑問について、以下でお答えします。
認知症の方であっても通常のデイサービスは利用できます。
基本的には認知症の症状があるからといって、利用が制限されるということはありません。
しかし、それぞれのデイサービス事業所によって空き状況や対応できる支援も異なりますので、担当のケアマネジャーへご確認ください。
認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)は専門のスタッフが在籍しており、認知症の症状に合わせたケアが提供されるため、認知症の方にとっては理想的な選択肢となり得るでしょう。
しかし、認知症デイサービスは数が少ないため利用できる施設が限られており、希望通りに利用しにくい状況にあります。
そのため、通常のデイサービスの利用も視野に入れる必要があるでしょう。
最も望ましいのは、利用を検討しているデイサービスが利用者に合うかどうかを確認するために見学を行うことです。
利用するデイサービスを決める際には、ケアマネジャーとのコミュニケーションは欠かせません。
利用者の認知症の症状とケアマネジャーの意見を踏まえながら選択することが望ましいでしょう。
通常のデイサービス利用の流れと同様です。流れについては以下をご参考ください。
介護認定を受けていない場合(すでに介護認定を受けている場合は3もしくは4から)、以下のような流れになります。
認知症デイサービスの空き状況に応じて利用の可否が決定するため、ケアマネジャーを通して確認を行いましょう。
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。
記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。