介護のアセスメントシート23項目とは?|記入例と書き方・効率的な作成方法

介護保険法

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更新日:2024/06/25

デイサービスのアセスメントシートとは、介護サービスの利用者がサービスを利用することになった背景や心身の状態、必要な支援の内容など基本情報をわかりやすくまとめたシートです。 ケアプラン作成や利用者の課題把握のために欠かせない書類です。ここでは、アセスメントシートの役割や目的、様式などをご紹介していきます。  

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アセスメントシートを作成するタイミング

アセスメントシートは、通所介護計画書を作成するために必要なものです。利用者の性格や身体機能などをアセスメントで把握したうえで通所介護計画書を作成することが義務付けられているためです。

アセスメントは通所介護を利用開始する際はもちろん、通所介護計画書を作り直すタイミングでも必ず行う必要があります。利用者の健康状態やADLは利用中にも変わっていく可能性があり、最初に作成したアセスメントシートだけでは利用者の課題をつかみきれないためです。

アセスメントと通所介護計画書はセットであり、通所介護計画書を作成・更新するタイミングで、その時々の利用者について把握したアセスメントシートが必要になる、と考えておきましょう。

通所介護計画書については、以下の記事が参考になります。役割や書き方の違いなどを知っておくとよいでしょう。

通所介護計画書の作り方とは?手順や記入例・様式・更新期間などを解説

アセスメントシートの作成手順

利用者やこれから介護サービスを利用しようとしている人に調査を行い、健康状態や歩行状態、趣味やADLの状態などをうかがって記載していきます。心身の課題や通所介護に求めていることを把握しながら、アセスメントシートにしっかり記載しましょう。

アセスメントシートには決められた様式はなく、多くはExcelで自作するか、介護ソフトで作成し、各事業所で管理するのが一般的です。

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アセスメントシートの23項目・記入例とポイント

通所介護におけるアセスメントシートを作成するにあたり、よく見受けられる23項目と記入例を紹介します。アセスメントシート作成時は、利用者や家族が何を聞かれているのかすぐ理解できるような言葉を選んで聞き取りすることも重要なポイントです。

聞きたいことが理解できないと、実際の身体機能から乖離した内容を話されたり、「難しい話だ」と心を閉ざされてしまうことがありますので、細心の注意を払いながら聞き取りしていきましょう。

項目 アセスメント記入時の例文
基本情報(受付、利用者等基本情報) 利用者から聞き取りの上、シートに記入
生活状況 独居。三年前に夫が他界。子供は2人いるが、遠方に住んでいるため協力が得られない。
利用者の被保険者情報 利用者から聞き取りの上、シートに記入
現在利用しているサービスの状況 宅食サービスを週2回利用している。月に2回ほどショートステイを利用。
障害老人の日常生活自立度 歩行は安定している。買い物も自立。
認知症である老人の日常生活自立度 ほぼ自立。低血圧がひどい場合は、朝の離床が困難になり、そのまま夕方まで寝込んでしまうこともある。
主訴 家での生活は自立しているが、人との交流が少なく、寂しい気持ちになることがある。このまま毎日同じ生活をしていては、体力が衰えるのではと心配している。どこか安心して日中を過ごせるところを希望。
認定情報 利用者から聞き取りの上、シートに記入
課題分析(アセスメント)理由  ご本人がショートステイ以外にも、日中に活動できるところを希望されたため。
健康状態 風邪をひきやすい。気管支炎になりやすく、過去に咳き込みで肋骨が折れたことがある。その他、低血圧や糖尿病を患われている。
ADL 自立
IADL 年相応の物忘れはあるものの、ほぼ自立。
認知 季節やお孫さんの年齢などをよく覚えている。宅食サービスの献立を見て、自分も参考にしながら次週の料理に反映するなど、思考クリアな様子。
コミュニケーション能力 友達が足腰を悪くするまでは月に2回ほどよく旅行に出向いていたそう。現在は会えないそうだが、「自分は社交的」と話すくらい、明るく相手を思い遣った会話もできる。
社会との関わり 自治会の催しに出ることがある。お孫さんとテレビ電話で話すことはあるが、友達に会えなくなり最近は人とのコミュニケーションが減った。
排尿・排便 自立
じょく瘡・皮膚の問題 入浴は週に4回ほど自立して入られている。近頃は「めんどくさい」と感じることも多いようで、冬場なこともあり週に2回ほど。億劫に感じる理由は「着替えや、伴う洗濯が負担」とのこと。
口腔衛生 歯医者に月に一度出向き、義歯の調整を行う。総入れ歯。
食事摂取 自立。食べるのが好き。
問題行動 特になし。
介護力 近場にご家族はいない。これまで近所の人が差し入れやゴミ捨て、家具の移動などを手伝ってくれていたが、その人が介護施設に入所して以来、すぐに頼れる人がいなくて心細く感じている。またその話も「娘にはしづらい」とのことで、何気なく話せる相手がほしいと思うようになった。地域包括支援センターの方には、定期的に電話している。
居住環境 階段の昇降がやや億劫。家事のためにやっているが、洗濯カゴなどを持っているとたまにつまづく。離床時に低血圧なこともあり「つかまる棒なんかがあると良いのだけど」と話される。一軒家。
特別な状況 娘さんが2人いるが、両方のご主人に気を使うとのこと。嫁に出してからは、あまり電話をかけないようにしているが、本当は「寂しい」と話す。貯蓄への不安があり「認知症になるのではないか」と感じて鬱っぽくなることもある。そのために予防介護としてデイサービスに通いたいと思ったそう。

本人や家族から聞き取り調査したことを簡易的にまとめるとわかりやすいアセスメントシートになります。利用者が話された内容や不満をなるべくそのまま書くことや、ふらついた時のシチュエーションがわかるようなエピソードも入れて書くと、職員間で認識の差が生まれにくくなります。

参照:「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示に ついて」の一部改正等について(介護保険最新情報Vol.958等の再周知)

効率的に作成するには

アセスメントシートを作成するときは、事前に聞き取りたい内容をExcelシートなどにまとめておくと調査の際にスムーズです。その際、利用者の状況によっては聞き取り調査がしづらい質問もあるでしょう。そのときはあらかじめ家族にも事実確認を行っておくと安心です。

介護サービスに何を求めているのか、利用者と家族の希望を実現できるようなアセスメントにするべく、どちらの聞き取りもきちんと行います。また、同じ質問であっても利用者と家族の要望が違うことも多くあるので、家族と利用者が同席のもとアセスメントする場を設けられると良いでしょう。

アセスメントシートは誰が作成しても構いませんが、利用者が言いたくないことや、家族でも把握しきれていないこともありますから、必要に応じて専門家や主治医に同席をお願いしましょう。そうすると、医療や身体機能の改善に向けて利用者によりコミットしたアセスメントシートを作成できます。

アセスメントシートをもとに通所介護計画書を作成するので、アセスメント時になるべく多くの要望や問題点を情報収集することが大切です。

効率的な作成にはシートの内容が重要

アセスメントをスムーズに抜け漏れなく行うためには、事前準備をしっかりやっておくことが大切です。利用者から聞き取りたい内容を事前にシートにまとめ、精査しておくとアセスメントの質がぐっと上がります。

より利用者にコミットした通所介護計画書を作成するために、アセスメントはとても良い機会です。シートの見やすさや利用者や家族以外の要望はもちろん、介護を提供する側がほしい情報をまとめられているかを再度確認し、アセスメントをブラッシュアップしていきましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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