ADLとIADLの違いとは |介護における定義・項目・アセスメント・評価の違い
現場ノウハウ
2024/11/06
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更新日:2024/09/12
介護保険サービスや介護施設を利用する際には、必ずケアマネジメントが必要になります。ケアマネジメントとはなにを指すのでしょうか。この記事では、ケアマネジメントの定義や流れ、最近推奨されている「適切なケアマネジメント手法」について解説しています。
この記事の目次
ケアマネジメントには多様な解釈がありますが、厚生労働省による「相談支援の手引き」では以下のように定義されています。
利用者が地域社会による見守りや支援を受けながら、地域での望ましい生活の維持継続を阻害するさまざまな複合的な生活課題(ニーズ)に対して、生活の目標を明らかにし、課題解決に至る道筋と方向を明らかにして、地域社会にある資源の活用・改善・開発をとおして、総合的かつ効率的に継続して利用者のニーズに基づく課題解決を図っていくプロセスと、それを支えるシステム
参照:【相談支援の手引き 第1節ケアマネジメントの基本 1ケアマネジメントの意義と目的】( 厚生労働省)
これを踏まえてより具体的にケアマネジメントを解説すると、「ケアマネジメントとは利用者の状況やニーズを踏まえた個別のケアプランを策定し、適切なサービスを提供するための調整や連携を行うこと」と定義できるでしょう。
利用者の自立支援や生活の質の向上を目的とした総合的なケアを行うために、ケアマネジメントの視点は欠かせません。
ケアマネジメントの目的について、厚生労働省による「相談支援の手引き」では以下の通り記載されています。
ケアマネジメントの目的は、『人間の尊厳』を守ることであり、『自己決定』 『自立』を支えることです。『自己決定』と『自立』は、本人及び家族(介護者)の生活の質と深く結びつき、日常生活における『利用者の自立』と『家族の自立』を支援することによって具体的に現れます。
このことから、ケアマネジメントの大切な役割は、支援や介護が必要な人々が「自分らしく生活する」ことに加え、本人及び家族(介護者)が「自己決定のもとで尊厳ある生活を送る」ことを実現することにあるといえます。
要支援者や要介護者のケアマネジメントは、ケアマネジャーが中心になって行われます。
ケアマネジメントは、支援や介護が必要な方々が最適なサービスを受けるため計画的に手続きを行う重要なプロセスです。
ケアマネジメントのプロセスを通じてケアマネジャーは個々の利用者のニーズをヒアリングし、それぞれに合わせたケアプランを作成します。そのうえで利用者に合ったサービスが提供されます。
ケアマネジメントの主な流れは、下記の段階に分けて実践されます。ここでは各段階の内容について説明しますので、ご参考ください。
アセスメントは、利用者の健康状態・生活環境・社会的関係などから全体像を把握し、知り得た情報から課題や支援方針の分析をすることを指します。
アセスメントの目的は、利用者が生活の質を維持・向上させていく上で生じている問題点を明らかにすること。また、利用者が自立した日常生活を営むことができるように具体的な支援方法を検討することにあります。
ケアマネジャーが丁寧にアセスメントを行う必要があるのは、利用者に対するケア全体の質をより向上させるためです。
利用者本人だけでなく家族や交友関係、住まいや地域の環境などについても情報を集めると、より個別性のあるアセスメントになるでしょう。
アセスメントは質の高いサービスの実現のために欠かすことができません。
以下に、アセスメントで留意するべきポイントを記載しましたのでご参考ください。
ケアプランは、介護保険サービスなどの利用について方針を定めた計画書です。その内容は、提供されるサービスの利用回数や費用、課題に対する目標の達成時期などが記載されます。
ケアプランは、ケアマネジャーが利用者と家族の状況をアセスメントした上で作成される書類です。
利用する介護サービス事業所は、原則として利用者と家族に指定してもらう必要があり、ケアマネジャーが決めるものではありません。
ケアマネジャーがケアプランの原案を作成した後、利用者と家族の要望を踏まえて介護サービス事業所の担当者とも情報共有を行い、提供するサービスの内容を定めます。
ケアプラン作成の際には、下記のポイントをチェックしましょう。
サービス担当者会議は、利用者と家族を中心にケアマネジャーをはじめとする関係職種が集まりサービス提供にあたって、情報共有や意見交換を行う場です。
参加者がそれぞれ専門的な視点を持ち、ケアプランの方針や提供されるサービスに問題がないかなどを判断します。
サービス担当者会議は、医療と介護のスタッフがそれぞれの役割を理解するために欠かすことはできません。また、利用者と家族の意向に沿った適切なサービスとなっているかを検討する役割もあります。
そして、利用者の同意を得てサービスの提供が開始されます。あくまでもサービス担当者会議の主体は、利用者や家族であることを理解しておきましょう。
サービス担当者会議の主な参加者は下記の通りです。
【医療領域】
【介護領域】
提供されるサービスについて利用者と家族の同意が得られた後、各サービス事業所の受け入れが整った段階で利用が開始されます。
サービス事業所では、利用者の情報や支援の方針をスタッフ間で情報共有し、受け入れ体制を整えます。
ケアマネジャーはサービスがケアプランで調整された内容通りに実施されているか、不都合はないかなど利用状況を把握します。
参照:【相談支援の手引き 第1節ケアマネジメントの基本 5ケアマネジメントとプロセス エ.第4段階「ケアプランの実施」】( 厚生労働省)
モニタリングは、ケアプランに沿ったサービスが提供されているか、利用者や家族の状態に変化はないかなどを確認することを指します。
モニタリングは「サービスの日常的・継続的な点検」と表現されます。
ケアマネジメントにおけるモニタリングは、1ヵ月に1回行われる定期的なモニタリングと状態変化に合わせ必要に応じて行われるモニタリングの2つに分けられ、それぞれの性質の違いに留意する必要があるでしょう。
モニタリングの実施方法は、自宅やサービス提供場面への訪問やそれぞれへの電話連絡、サービス担当者会議など多岐に渡ります。
モニタリング時のポイントを以下に記載しましたので、ご参考ください。
「適切なケアマネジメント手法」とは、利用者の尊厳を保持し、生活の継続を支えるケアマネジメントの実践にあたり、ケアマネジャーの方々が培ってきた知見を厚生労働省が主体となり体系化したツールになります。
厚生労働省はケアマネジャーをはじめとするケアマネジメントに関わる職種がこのツールを活用することで適切なケアマネジメントが為されることを期待しています。
適切なケアマネジメントの目的について以下に説明しますので、ご参考ください。
ケアマネジメントでは、多方面からの視点を持って利用者の全体像を捉え、支援方法を具体的に検討することが求められます。
ケアマネジャーがアセスメントやケアプラン作成を行う際に、先達の知見が記載されている「適切なマネジメント手法」を参照することで、どの利用者に対しても一定以上の水準のケアマネジメントを提供できるとされています。
ケアマネジメントにおいて、多職種連携・協働は欠かすことができません。
「適切なケアマネジメント手法」では、アセスメント/モニタリング項目と合わせて「相談すべき専門職」が提示されています。
「適切なケアマネジメント手法」を活用することで知り得た情報を、誰と共有する必要があるか、お互いに理解しやすくなることでしょう。
多職種が共通の認識を持つことが、適切なサービスの提供へ向けて重要なポイントとなります。
支援内容の見直しを行う際に「適切なケアマネジメント手法」を活用することで状態の変化に応じた支援の判断が容易になります。
たとえば、脳血管疾患の場合、生活の継続だけでなく疾患特有の予防的な支援が欠かせません。
一般的に、目標血圧の確認や家庭での血圧の把握、塩分摂取状況の管理などの項目が挙げられるでしょう。
個別の支援内容を明確に把握し、次の見直しに反映させることで、効果的なサポートを実現しやすくなります。
「適切なケアマネジメント手法」のメリットについて以下に説明しますので、ご参考ください。
メリットは以下の通りです。
以下に詳しく解説しますのでご参考ください。
ケアマネジャーが「必要性が想定される支援(仮説)」の引き出しを増やし「あたり」の精度を高められるようにすることはケアプランにおいて重要です。
本人のニーズや具体的な支援内容はきわめて多様・多彩であるため、ケアプランは個別的なものです。
「適切なケアマネジメント手法」が土台となることで、個別性の高いケアプランが作りやすくなることでしょう。
「適切なケアマネジメント手法」は「基本ケア」と「疾患別ケア」の2種類に分かれています。
「基本ケア」は、本人の生活の継続を支援する基盤となる支援内容であり、高齢者の機能と生理を踏まえたケア。
本人が有する疾患に関係なく、在宅のケアマネジメントやその前提となる多職種との情報共有において必要な支援内容が整理されます。
一方「疾患別ケア」は、疾患に特有な検討の視点あるいは可能性が想定される支援内容を整理します。
疾患によっては、期別(退院後3ヵ月、退院後4ヵ月目以降など)の視点が盛り込まれ、適切なケアマネジメントが行いやすくなるでしょう。
「基本ケア」と「疾患別ケア」を用いることで利用者の全体像を捉えやすくなります。
「疾患別ケア」には医療との連携が必要になる内容が多く含まれます。
ただし、あくまで医療を提供するのは医療機関であるため、医療の範囲は医療へ繋ぐことに留意しましょう。
ケアマネジャーをはじめとする介護領域の職員は、利用者と家族が住まう生活の場で、どのような支援が実現できるか常に検討する必要があります。
医療的ケアが必要になることも想定して情報収集を行い、必要に応じてケアに関わる職種と細かな連携をする必要もあるでしょう。
「適切なケアマネジメント手法」の注意点について以下に説明しますので、ご参考ください。
注意点は以下の通りです。
以下に詳しく解説しますのでご参考ください。
適切なケアマネジメントは、支援内容やアセスメント項目の抜け漏れを防ぐために一定の視点で幅広く対象者を捉えることができますが、ケアプランを標準化するツールではありません。
「基本ケア」と「疾患別ケア」を用いるという手法が定められており、分析の視点は一定になります。ただし、これは見落としを防ぐための手法であり、幅広い視野の中で「あたり」を見つけることが重要になります。
対象者のニーズや支援方法は多彩であり、ケアプランは個別的なものです。抜け漏れの無い幅広い視野を持った上で、適切で個別的な支援方法等を定め、適切なケアマネジメントを行うことが大切になるでしょう。
「適切なケアマネジメント手法」は「基本ケア」 と「疾患別ケア」の 2 階建て構造であり、それぞれ1つを活用するものではありません。
必ず組み合わせて活用するよう推奨されています。
「疾患別ケア」は疾患に注目するものであり、疾患へのケアが全てのケアにはなり得ません。土台となる「基本ケア」を押さえた上で活用する必要があります。
介護保険の基本的な理念を踏まえた「基本ケア」の視点を持ち、対象者の生活を捉えた上で「疾患別ケア」を用いることによって適切なケアマネジメントが行えます。
ケアプランが標準化してしまう一因として「基本ケア」と「疾患別ケア」で拾い上げられた支援内容を横並びにケアプランに反映してしまうことが考えられます。
対象者のニーズや生活環境など、状況によってケアの重要度は異なります。
適切なケアマネジメント手法を用いて得られた情報と分析を踏まえ、対象者におけるケアの重要度を理解した上で優先順位を付け、具体的なケア内容を組み立てることが大切になるでしょう。
抜け漏れの無い総合的な分析から、適切な優先順位を導き出すことで個別性の高いケアプランの作成が行えます。
今回は、ケアマネジメントの「目的や流れ」「適切なケアマネジメント手法」についてまとめてご紹介しました。
ケアマネジメントは、利用者が「自分らしく生活する」「自己決定のもとで尊厳ある生活を送る」ことを実現するために重要な役割を果たします。
厚生労働省による「適切なマネジメント手法」は、ケアマネジャーをはじめとする多職種が個別性のある支援を行いやすくするために普及されているツールです。
利用者一人ひとりに寄り添った支援を検討する上で「適切なケアマネジメント手法」についても理解を深めていくと良いでしょう。
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