介護における情報共有の大切さ|スムーズに共有する方法・効率化するツール

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更新日:2024/10/17

介護の現場において、チーム全体がスムーズに連携するためには、正確かつ迅速な情報の共有が不可欠です。しかし、実際の現場では情報共有不足によるトラブルがめずらしくありません。そのため、介護現場では常に効果的な情報共有の方法が求められているといって良いでしょう。この記事では、情報共有の課題や効率化の方法などを解説していきます。

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介護・デイサービスにおける「情報共有」とは?

デイサービスにおける情報共有は、利用者や業務情報について連絡し合い、提供するサービスの質を高めたり、仕事の効率化に努めたりするためのものです。

情報共有をする相手はさまざまで、おもに以下があげられます。

  • 利用者やその家族:利用者情報の共有のため
  • スタッフ:業務に関する情報の共有のため
  • ケアマネジャー:ケアプランなどの共有のため
  • 自治体:サービスの提供情報の共有のため
  • 医療機関:指示書や報告書の共有のため

参考:医療・介護間で共有する情報の範囲について|厚生労働省(2023年9月18日)

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介護・デイサービスにおける情報共有の大切さと必要性

なぜデイサービスでは情報共有が大切なのでしょうか。ここではその理由について解説します。

多職種によるチームワークが必要なため

情報共有が大切な理由として、まずはデイサービスが働いているそれぞれの職種とのチームワークを高める必要があるためです。

デイサービスでは、以下のようなさまざまな職種が働いています。

  • 介護士
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 医師
  • 看護師

これらの職種はそれぞれ役割が異なるからこそ、他職種との連携が重要となるのです。

たとえば、普段から利用者と接する機会のある介護士が情報を共有すれば、理学療法士をはじめとしたリハビリ職はどのようなアプローチを行うべきかのヒントになります。

介護士やリハビリ職から利用者の体調について看護師に共有すれば、適切なケアを行いやすくなり、医師への相談もスムーズとなるでしょう。

これはデイサービス内部だけでなく、外部のケアマネジャーや医療機関とも連携をとるときにも大切なポイントとなります。

他職種連携の大切さについて知りたい方は以下の記事からチェックできますので、ぜひご一読ください。

▶︎介護における他職種連携の必要性を3つの事例から読み解く

家族とのトラブルを未然に防ぐため

情報共有は、家族とのトラブルを防ぐためでもあります。

デイサービスではスタッフと利用者とのやりとりは密に行われますが、家族との情報共有はおろそかになってしまう恐れがあります。

そのため、家族への情報共有がない状態で利用者の様子が変化していると、トラブルに発展する可能性があるでしょう。

このようなトラブルを避けるためには、家族との情報共有を密に行える手段の活用が重要です。

スタッフがシフト制で頻繁に入れ替わるため

シフト制でスタッフが頻繁に入れ替わる都合上、情報共有は必須といえます。

シフトによってスタッフが入れ替わるときに利用者に関する情報を把握していないと、不適切なケアをしてしまい、その後のトラブルに発展する可能性があります。

頻繁にスタッフが入れ替わっても質の変わらないサービスを提供するためには、情報共有を徹底するための体制を作ることが大切です。

介護現場での情報共有:現状と課題

先ほど解説したように、デイサービスでの情報共有は重要ですが、いくつかの課題点もあります。ここではデイサービスで行われる情報共有の現状と課題について解説します。

情報共有の手間と時間

情報共有をするための手間と時間がかかる点が課題の1つとなっています。デイサービスでは、利用者ごとの状態や実施したケア内容など、さまざまな情報を共有する必要があります。

そのため、共有用のシートに内容を記入するときに手間や時間がかかってしまうのが難点です。

共有方法が手書きの場合、その手間はさらに増えるでしょう。

手間と時間がかかると、情報の抜け漏れが生じたり、スタッフの残業時間が増えて心身のストレスとなったりする恐れがあります。

結果的にサービスの質が低下し、利用者・スタッフとのトラブルに発展する可能性も高まります。

共有する情報のばらつき

スタッフによって共有する情報の内容にばらつきが生じる課題点もあります。

一人ひとりの経験年数や視点の違いが出てしまうため、共有する内容がばらついてしまい、効率よく情報を収集できなくなります。

共有する内容に差が生じると、勘違いが起きたり、誤情報のまま業務を進めてしまったりしてトラブルが発生する恐れがあるでしょう。

この情報のばらつきを解消するためには、ルールの設定やITツールの活用などの工夫をする必要があります。

すべての職員で情報共有する負担

すべての職員に情報共有することも、大きな負担となっています。

シフト制の職場が多く、職種によってノートやシートの配置場所が異なるため、すべての職員が集まって情報共有する機会はほとんどないでしょう。

職員の数が多ければ多いほど、その機会は余計に少なくなってしまいます。

その一方で、職員全員に共有しておきたい情報も多くあります。

ノートやシートを使用した連絡帳で情報共有を行う職場も多いですが、記入に時間や労力がかかり、質の高い運用がしにくいのが現状です。

実例から学ぶ:情報共有の不備が引き起こす問題

情報共有の不備はトラブルや事故につながりやすく、実際に問題に発展することも珍しくありません。ここでは情報共有の不備によって起きたトラブルの事例について解説します。

職員間の情報共有不足によるトラブル事例

利用者Aさんがレクリエーション中に転倒してしまう事故が発生した。事故対応後に担当スタッフから他のスタッフに口頭で転倒した旨を伝え、その後家族にも連絡をした。

Aさんは足に痛みがあったため、経過観察として翌日以降の運動やレクリエーションは控えるように伝えていた。しかし、口頭での連絡だったので、当日出勤していなかったスタッフには情報が共有されていなかった。

翌日、事故が発生した日に出勤していなかったスタッフが、Aさんと機能訓練を実施してしまった。そのときに様子を見に来た家族が施設に訪れており、Aさんが運動をしているのを発見してクレームに発展した。

その後、痛みが残っているようなので病院で検査をしたところ、足を骨折していたことがわかった。

このように、口頭だけの情報共有だけなので、他のスタッフとの共有が不足したことで起きた事例といえます。

個人の通信ツールを使用した情報共有によるトラブル事例

スタッフ間での情報共有をスムーズに済ませるために、職員の個人の「LINE」アプリを活用してやり取りをしていた。また、利用者の家族との連絡にも個人のLINEを活用していた。

スタッフが他の職員に利用者の情報について送信しようとしたら、誤って関係のない家族に誤送信してしまった。家族から宛先が間違っている旨の連絡が来て、そこで誤送信に気づき、送信内容を削除することを伝えた。

そして本来送るはずの家族に誤送信してしまったことを伝えた。

連絡の共有をスムーズにするために個人のLINEを利用するのは、情報漏洩のリスクやセキュリティ面の観点において危険です。

個人のLINEは普段の生活でも使用する機会が多いため、プライベートと仕事を分けるのが難しく、このような事例が起きてしまうのです。

デジタルツールを活用した情報共有の効率化

今の介護現場では、情報はノートやシートに記載して共有するのが主流となっています。

しかし、アナログでの情報共有には時間がかかったり、人によって情報量にばらつきがあったりする課題点も存在しているのです。

情報共有をよりスムーズにするために、利用者の様子を一括管理できるデジタルツールが徐々に活用されはじめています。

デジタルツールの活用によってアナログでの課題点が解消され、ブレのない情報共有ができます。

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情報共有の重要性を理解して質の高いサービス提供を

介護サービスにおける情報共有は、多職種での連携の促進、最新情報の取得によるトラブル回避などの役割があります。

この情報共有が不足、あるいはうまく職員に伝わっていないと、介護事故につながり、利用者とのトラブルに発展する恐れがあります。

その一方で、情報共有に時間や手間がかかる、人によって内容が異なるなどの課題点もあるのが現状です。そのため、今後はいかに効率よく正しい情報共有ができるかがキーポイントとなります。

デジタルツールの活用も検討しつつ、情報共有の重要性を理解しておきましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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