高齢者の転倒リスク|施設内のリスク軽減と転倒事故を防ぐ介助・支援方法

介助

更新日:2024/04/05

高齢者の転倒リスクを抑えるためにどんな対策をしたらよいかわからない。そんな風に悩んでいる介護事業者も多いのではないでしょうか。高齢者はさまざまな場面で転倒リスクがあり、介護施設を利用する方にも細やかな配慮が必要です。この記事では、高齢者の転倒リスクを最小限に抑える方法などを解説していきます。  

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高齢者の転倒によるリスク

高齢になると身体機能が低下するだけでなく、歩行障害によって転倒の危険性が高まります。

若い世代の方はともかく、高齢者が転倒すると大きな事故となる恐れがあります。とくに、転倒による大腿骨や腰椎などの骨折が代表的な例です。

骨折をすると身体機能がさらに低下して、要介護や寝たきりにつながることもあるでしょう。厚生労働省の調査によると、介護が必要になった原因の上位3位のなかにも転倒が含まれています。

このことから、高齢者の転倒がいかにリスクがあるのかがわかるでしょう。

参考:厚生労働省|2019年 国民生活基礎調査の概況(2024年1月8日確認)

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転倒の主な原因

転倒の主な原因としては、生活環境に関係している「外的要因」と身体機能の問題である「内的要因」の2種類があります。

それぞれの要因についてみていきましょう。

  • 外的要因

転倒につながる外的要因としては、以下の通りです。

・室内の段差

・階段

・玄関

・手すりのない場所

・浴室

・滑りやすい廊下

このような環境は転倒しやすく、生活動線となっている場合はとくに注意が必要です。

  • 内的要因

転倒につながる内的要因としては、以下の通りです。

・加齢による身体機能の低下

・病気やケガの発症

・運動不足

加齢で身体機能が低下すると「フレイル」となり、介護が必要となる可能性も高まります。フレイルとは、加齢によって心身が衰えることを指し、健康な状態と介護が必要な状態の中間といえるでしょう。

また、それ以外にもコロナウイルスの影響も転倒と関係しています。コロナ禍で自宅で過ごす機会が多くなったことで、活動量低下にともなって身体機能も落ち、転倒につながるのです。

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転倒リスクがある場所

自宅や介護施設には、さまざまな場所に転倒リスクが隠れています。転倒リスクを防ぐには、転びやすい場所を利用者に意識してもらいつつ、転倒防止対策を取ることが大切です。

ここでは転倒リスクのある場所について解説します。

自宅で転倒リスクがある場所と防止策

自宅で転倒リスクがある場所と、その防止策は以下の通りです。

  • 居間

居間にはプラグのコードやカーペット、小さな段差などの転倒リスクとなる要因が多くあります。転倒を防ぐためにも、導線にコードが入らないように注意しましょう。

また、滑り止めを使用してカーペットをめくれないようにする、段差にスロープをつけるなどの工夫をしてもらうのも重要です。

  • 玄関

靴の脱ぎ履きを行う玄関はバランスが崩れやすく、転倒の原因となります。手すりやイスを設置すると、玄関の移動や靴の脱ぎ履きの際にバランスを崩しにくくなります。

上り框が高い場合は、踏み台を使用して段差を小さくするのもおすすめです。

  • 廊下・階段

廊下では床に置いてある荷物、階段では段差によって転倒する可能性があります。

そのような場所には床に荷物を置かないようにする、手すりを設置するなどの工夫によって転倒リスクの軽減につなげていきましょう。

また、足元に照明をつけると夜でも移動しやすくなります。

  • 脱衣所・浴室

脱衣所や浴室は段差が多く、滑りやすい環境となっています。脱衣所では、安全に着替えができるようにイスの設置をおすすめしましょう。

浴室までの段差にはスロープを使用し、室内は滑り止めマットや手すりの設置を促すことで、転倒予防となるでしょう。

  • ベッド

ベッドでは、寝ているときの転落や立ち上がる際の転倒のリスクがあります。ベッドには柵を設置してもらうことで、転落や転倒予防となります。

また、ベッドのマットレスが柔らかすぎたり、高さが低かったりすることも、立ち上がりにくくなる原因です。マットレスの柔らかさやベッドの高さにも気をつけましょう。

施設内で転倒リスクがある場所と防止策

施設内で転倒リスクがある場所と防止策は以下の通りです。

  • デイルーム

デイルームでは他の利用者や多くの机・イスがあるため、それらに引っかかって転倒する可能性があります。

デイルームでの転倒を防ぐには、利用者が多くいるスペースを避けてもらいつつ、イスが机にしっかりと収まっているかを注意することが大切です。

また、床が濡れていないかも確認しておきましょう。

  • トイレ

施設内のトイレは自宅よりも内部が広い場合もあるため、普段トイレでは壁を伝って移動している方にとってはかえって転倒しやすくなっている可能性もあります。

利用者がトイレをする際は手すりにしっかりとつかまってもらい、一つひとつの動作を慎重に行ってもらうようにしましょう。

トイレ動作が不安定な方は、しばらく見守りのもとで行ってもらい、必要に応じて動作指導を行うのも重要です。

  • 浴室

施設内での浴室も自宅と同じように、転倒のリスクが高いといえます。浴室の床は滑りやすいので、入浴介助をする際は常に転倒リスクに気を配りましょう。

介助するときは、転倒してもすぐに対応できるような距離にいてください。

利用者の転倒リスクの原因を把握して転倒事故の軽減を

転倒リスクを軽減するためには、まずは利用者への意識付けが重要です。自宅にはさまざまな場所に転倒リスクがあることを理解してもらいましょう。

そして転倒リスクが高い場合は、環境を整えてもらうことが大切です。

施設内の場合は環境の調整だけでなく、職員の配置や対応を見直すことも重要です。転倒に関する知識を身につけ、適切なサポートができるような教育を行ってください。

また、転倒は身体機能の衰えによっても発生するので、運動やレクリエーションを行ってもらい、機能維持を図りましょう。

このような対策を総合的に行うことで、転倒リスクの軽減につながります。

以下の記事では利用者の体づくりも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
高齢者の転倒予防対策|転倒の原因・繰り返す転倒を予防する方法を解説

高齢者の転倒リスクの軽減を

高齢になると、身体機能の衰えによって転倒リスクが高くなります。高齢者が転倒するとケガを発症しやすくなり、さらに身体機能が低下する悪循環となる恐れがあります。

転倒を予防するために筋力やバランス能力などの身体機能を維持向上させることが大切です。また、それに加えて環境的な要因に対するアプローチとして手すりの設置や段差を解消する自宅改修を提案する必要があるでしょう。

このように、転倒リスクを軽減するには、内的要因と外的要因の両方に対してアプローチを行うことが大切です。そして施設で転倒対策を取る場合は、職員に転倒に関する教育を行うことも重要な要素となります。

ぜひ今回の記事を参考にして、高齢者の転倒リスクを軽減するための方法をおさえておきましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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