介護における倫理の役割とは?介護職の倫理基準・現場で実践するためのポイント

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更新日:2024/08/02

介護施設で働く人や介護の資格を取得している人は「介護における倫理」について考える機会があるはずです。一般的な倫理と照らし合わせると、介護における倫理とはどんな内容なのでしょうか。ここでは具体的な例を挙げながら、介護における倫理について解説していきます。

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介護における倫理とは?その内容と重要性

介護における倫理を学ぶことは、利用者に対して適切なサービスを提供するうえで非常に大事なことです。また、介護における倫理について学ぶ前に、まずは基本的な意味についておさえておくと良いでしょう。

ここでは、一般的な倫理と介護における倫理の役割について詳しく解説します。

そもそも倫理とは?

そもそも倫理とは、一般的に「組織や仲間内での決まりごと」「守るべきルール」などの意味を表す言葉です。

倫理に類似した言葉には「道徳」があります。道徳には「善悪を正しく判断すること」「正しい行動をするための基準」などの意味があります。

どちらも同じような意味合いを持ちますが、倫理は広い範囲で用いられ、一方で道徳は個人に焦点を当てたものです。

いずれにせよ、正しく誠実な行動をするためには、倫理的な考えを持つことが重要です。

介護における倫理の役割とは?

介護現場における倫理とは、「介護のプロとして、利用者に最大限配慮しながらサービスを提供すること」と表せます。

具体的には、利用者に不適切な行動をとっていないか、尊厳を保持しながら介護をしているか、などの対応があげられます。

介護における倫理は決して特別なものではなく、介護サービスを提供するうえでおさえておきたい考え方といえるでしょう。

介護サービスを提供する側は、この倫理を意識したうえで利用者とコミュニケーションすることが大切です。

介護の尊厳に関わることは以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
介護の尊厳とは?|守るべき原則と具体的な介護事例

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介護福祉士の倫理基準と行動規範

日本介護福祉士会は「日本介護福祉士会倫理綱領」を定めています。倫理綱領は介護福祉士を含めた介護職にとって参考となる内容です。

そのため、介護業務に携わる方は倫理綱領の内容を把握しておくことをおすすめします。ここでは、倫理綱領が掲げている倫理基準と行動規範についてご紹介します。

利用者本位で自立支援を目指す

利用者の選択を尊重しつつ、一人ひとりにあった日常生活を送るためのサービス提供を目指します。利用者ごとに抱えている疾患や身体機能、住宅環境は異なります。

一人ひとりの状況をよく確認し、それぞれに適切なサービスを提供することが大切です。

専門的なサービスの提供

専門的なサービスを提供するためには、以下のようなスキルを身につける必要があります。

  • 介護に必要な知識
  • 介護サービスを効率的に行うための技術
  • 深い判断力・洞察力

また、介護サービスの質を高めるだけでなく、介護専門職としての責任を持つ必要があります。

プライバシーの保護

介護サービスを提供するうえで利用者のプライバシーを保護し、個人情報を外部に漏らさないように心がける必要があります。

介護におけるプライバシー保護に関しては以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひご一読ください。
介護のプライバシー保護の取り組み|事例・気を付けることなど徹底解説

総合的なサービス提供と連携・協力の促進

介護サービスは介護福祉士だけに限らず、医師や看護師などの専門職と連携しながら提供するものです。そのため、多職種との協力は欠かせません。

利用者に総合的なサービスを提供するために、それぞれの専門職の役割を把握しつつ、情報共有を密に行うことが大切です。

介護の多職種連携については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
介護における多職種連携の必要性を3つの事例から読み解く

利用者のニーズの代弁

利用者のニーズをこちらが汲み取り、代弁して伝える必要があります。介護を必要とする利用者は、全員が自分のニーズについて伝えられるわけではありません。

障害によって自分の気持ちをうまく表現できなかったり、どの問題点を解決すれば良いのかわからなかったりする利用者もいるでしょう。

介護専門職は、利用者の隠れているニーズを発見するスキルが求められます。そして利用者のニーズを代わりに周囲に伝えて、適切な介護サービスを提供できるように行動することが重要です。

地域福祉の推進

介護福祉士は、地域で起きている問題を解決するために行動する必要があります。地域で起きている問題には、「老老介護」や「高齢者の孤独化」などがあげられます。

地域福祉を推進させる方法としては、ボランティアや事業所による活動などが代表的です。このような取り組みを実践し、地域の問題の解決をしていきましょう。

後継者の育成

どの世代でも質の高い介護を提供するには、後継者の育成が重要です。介護福祉士は自身のスキルを養うだけでなく、後輩の指導・教育も行う必要があります。

後継者のスキルを効率的に伸ばすためには、人材育成の方法を見直してみましょう。

外部研修や教育制度の変更など、スキルアップできる方法を取り入れることで、世代が変わっても質の高い介護サービスを維持しやすくなります。

参考:日本介護福祉会|倫理綱領(2024年3月3日確認)

「倫理」を意識した介護サービスの提供を

介護における倫理とは、「利用者様の尊厳と自立を守り、心を込めて最高の介護を行うこと」といえます。この倫理を意識することは、質の高い介護サービスを提供するための重要な要素です。

介護スタッフは不適切な言動をしていないか、正しい介護をしているかなど、倫理に沿った行動が求められます。また倫理を理解するうえで、日本介護福祉士会の「日本介護福祉士会倫理綱領」を把握しておくことも大切です。

倫理基準や行動規範を参考にしつつ、事業所全体で倫理を意識した介護サービスを提供していきましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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