個別機能訓練計画書|効率的な作成方法・おさえるべきポイントとは
介護保険法
2024/11/06
介護保険法
栄養加算
更新日:2024/10/02
【令和6年報酬改定対応】栄養改善加算は、低栄養状態、またはそのおそれのある利用者の状態改善などの取り組みを評価する加算です。令和3年度の改定では、栄養改善が必要な利用者を的確に把握し適切なサービスにつなげられるように単位数と算定要件が見直されました。
この記事の目次
「口で食べる」ことの重要性について詳しく知りたい方に、無料で解説資料をプレゼントしています。
⇒資料のダウンロードはこちらから
栄養改善加算とは、低栄養状態またはその恐れがある利用者に栄養状態の改善や心身機能の維持・向上を図る取り組みに対して評価する加算です。
栄養改善加算は令和3年の介護報酬改定にて、単位数と算定要件が新しく変更されました。
そのほかの栄養に関する加算について知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
▶︎通所介護の口腔・栄養スクリーニング加算とは?算定要件や単位数を解説
▶︎通所介護の栄養アセスメント加算とは?算定要件・単位数などを解説
栄養改善加算の対象となるサービス種別について紹介します。
サービス種別 | 単位数 |
---|---|
通所介護 | 200単位(原則3ヵ月以内の期間に限り月2回まで) |
通所リハビリテーション | 200単位(原則3ヵ月以内の期間に限り月2回まで) |
地域密着型通所介護 | 200単位(原則3ヵ月以内の期間に限り月2回まで) |
認知症対応型通所介護 | 200単位(原則3ヵ月以内の期間に限り月2回まで) |
看護小規模多機能型居宅介護 | 200単位(原則3ヵ月以内の期間に限り月2回まで) |
介護予防通所リハビリテーション | 200単位(原則3ヵ月以内の期間に限り月2回まで) |
介護予防認知症対応型通所介護 | 200単位(原則3ヵ月以内の期間に限り月2回まで) |
栄養改善加算の算定率は下記となっています。
サービス種別 | 算定率 |
---|---|
通所介護 | 0.6% |
通所ハビリテーション | 3.1% |
地域密着型通所介護 | 0.2% |
認知症対応型通所介護 | 0.3% |
栄養改善加算の算定率が低い理由としては、以下の3点が挙げられます。
まず、介護事業所における管理栄養士の不足が一因です。多くの施設では管理栄養士が配置されておらず、外部との連携による栄養ケアも困難なため、算定要件を満たすことができていません。
次に、ICTの活用が遅れていることも問題です。外部の管理栄養士と連携するためのICTの導入が提案されていますが、まだ十分に進んでおらず、効率的なケアが難しい状況が続いています。
さらに、実務の負担も大きな課題です。栄養状態の把握やケア計画の作成など、加算を算定するために必要な作業が多く、事業所にとって大きな負担となっています。
これらの課題を解決するためには、管理栄養士の配置要件の緩和やICT導入の促進が必要とされています。
口腔機能向上加算の算定の開始方法について詳しく知りたい方に、無料で解説資料をプレゼントしています。
⇒資料のダウンロードはこちらから
栄養改善加算の算定要件と単位数、対象者は以下の通りです。
単位数 | 200単位/回(月2回まで) |
---|---|
対象者 |
以下のいずれかに該当する利用者が対象
|
算定要件 |
|
参考:令和3年度介護報酬改定の概要(栄養関連)
参考: 介護保険法施行規則第百四十条の六十三の二第一項第一号に規定する厚生労働大臣が定める基準
参考: 表4 基本チェックリスト
栄養改善加算の人員配置は、平成30年度の介護報酬改定で見直しがありました。
これまでは事業所内の従業者として、管理栄養士の1名以上の配置が必要でしたが、現在では外部の管理栄養士を配置していても算定が可能です。
<人員配置要件>
栄養改善加算を算定する事業所の職員として、または外部(他の介護事業所、医療機関、栄養ケア・ステーション)との連携により管理栄養士を1名以上配置していること。
栄養改善加算の人員配置要件は、「栄養ケア・ステーション」との連携による管理栄養士の配置でも満たされます。
栄養ケア・ステーションとは、公益社団法人日本栄養士会または都道府県栄養士会が設置・運営する地域密着型の拠点のことです。
栄養ケア・ステーションでは医療機関や民間企業などを対象に管理栄養士を紹介し、用途にあわせたさまざまなサービスを提供しています。
栄養改善加算では、「栄養士会栄養ケア・ステーション」による管理栄養士の配置に限って算定が可能です。
参考:公益社団法人日本栄養士会
栄養改善加算の算定は以下の流れで行います。
ここではそれぞれの具体的なやり方についてご紹介します。
まずはサービスの利用開始時に利用者の栄養アセスメントを行い、どのようなリスクがあるのかを把握します。
栄養アセスメントは管理栄養士が中心となり、利用者ごとに以下のような情報について記録しておきます。
また、利用者がどのような食事の仕方をしているのかをモニタリングすることも大切です。
利用者の栄養アセスメントをもとに、栄養ケア計画を作成します。
計画書は管理栄養士が中心となり、看護師や介護士などと協力しながら栄養上の問題点や今後の方向性について検討します。
目標を設定する際は、利用者の希望を聴取したうえで内容を検討しましょう。
そして、目標を達成するためのサービスを提供します。
令和6年度の介護報酬改定で「個別機能訓練、栄養、口腔に係る実施計画書」という一体的な計画書が作られました。
参照:(別紙様式1-3)個別機能訓練・栄養・口腔に係る実施計画書(通所系)
作成した栄養ケア計画書をもとに、利用者ごとに設定したサービスを実施します。
このとき、利用者自身から栄養改善の取り組みを行ってもらうために、お互いコミュニケーションを密に取りながら進めていくことが大切です。
栄養改善の必要性やサービスの内容について情報共有し、利用者のモチベーションを高めていきましょう。
栄養改善に向けたサービスの効果判定をするために、モニタリングを実施します。
モニタリングでは栄養状態や身体機能などの変化を評価し、その内容をケアマネジャーや主治医に共有します。約3ヵ月ごとを目安に行うといいでしょう。
評価結果をもとに、今後も管理栄養士によるサービスの提供によって改善が認められる場合は、引き続きケアを継続します。
元々運動経験者で運動意欲のある80歳の男性は、パーキンソン病(要介護2)により前傾姿勢が強くなり、便秘や逆流の影響で食事量が減少していました。これにより、6ヵ月で5kg減少し、栄養スクリーニングの結果、低栄養と評価されました。
最初の目標は、便秘を解消して食事量を増やすことです。介入当初は整腸剤のみを服用していましたが、排便は2週間で1回と非常に少なく、水分摂取量も1日500mlと少なかったため、下剤の使用と水分摂取の増加を主治医に相談し、提案しました。
結果、下剤の処方により毎日排便ができるようになり、食事量と水分摂取量が改善し、笑顔が見られるようになりました。
その後、便秘が解消したことで精神的にも安定し、次の目標として筋肉を増やしたいという希望が出てきました。筋肉増強のために、アミノ酸ジュースを毎日3ヵ月間飲むことを提案しました。自宅では散歩の後、デイサービス利用時にはリハビリの後に摂取しました。
結果、3ヵ月で体重が2kg増加し、「足の筋肉が太くなった」と本人も喜んでいました。
最終的に6ヵ月で4kg増加し、食欲も改善され、「おいしいね」とコメントされるまでになったため、栄養改善サービスは一旦終了しました。
栄養改善サービスはケアマネジメントの一環として提供され、特に口腔や摂食機能が低下している利用者などに対して適用されることが求められます。原則として、栄養アセスメント加算や口腔・栄養スクリーニング加算と一緒には算定できませんが、例外的にこれらの加算の結果として栄養改善が必要と判断された場合は、同じ月でも栄養改善加算が適用できます。
問 31 対象となる「栄養ケア・ステーション」の範囲はどのようなものか。
(答) 公益社団法人日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養士会栄養 ケア・ステーション」に限るものとする。
問 15 外部との連携について、介護保険施設の場合は「栄養マネジメント強化加算の算 定要件として規定する員数を超えて管理栄養士を置いているもの又は常勤の管理栄養 士を1名以上配置しているものに限る。」とあるが、栄養マネジメント強化加算を算定 せず、介護保険施設に常勤の管理栄養士が1名いる場合は、当該施設の管理栄養士が兼 務できるのか。
(答) 入所者の処遇に支障がない場合には、兼務が可能である。ただし、人員基準において常 勤の栄養士又は管理栄養士を1名以上配置することが求められる施設(例:100 床以上の 介護老人保健施設)において、人員基準上置くべき員数である管理栄養士については、兼務することはできない。
問 33 それぞれ別の通所介護・通所リハビリテーション事業所にしている場合、それぞ れの事業所で同時に栄養改善加算又は口腔機能向上加算を算定することはできるの か。
(答) 御指摘の件については、ケアマネジメントの過程で適切に判断されるものと認識して いるが、①算定要件として、それぞれの加算に係る実施内容等を勘案の上、1事業所にお ける請求回数に限度を設けていること、②2事業所において算定した場合の利用者負担 等も勘案すべきことから、それぞれの事業所で栄養改善加算又は口腔機能向上加算を算 定することは基本的には想定されない。
問1 平成 30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)問 34 については、通所サー ビスの利用者のうち、栄養改善加算を算定した者に対しては、管理栄養士による居宅療 養管理指導を算定することができないものと理解してよいか。
(答) 通所サービスで設けている「栄養改善加算」については、低栄養状態の改善等を目的と して栄養ケア計画に基づき、利用者ごとに栄養食事相談等の栄養管理を行うものである。 一方、「管理栄養士による居宅療養管理指導」については、低栄養状態にある者や特別 食を必要とする者に対して栄養ケア計画に基づき、利用者ごとに栄養食事相談等の栄養 管理を行うものである。 したがって、栄養改善加算を算定した者に対して、低栄養状態を改善する等の観点で管 理栄養士による居宅療養管理指導を行った場合、栄養管理の内容が重複するものと考え られるため、栄養改善加算を算定した者に対しては、管理栄養士による居宅療養管理指導 を算定することができない。
問 131 栄養改善加算及び口腔機能向上加算は、サービスの提供開始から3月 後に改善評価を行った後は算定できないのか。
(答) サービス開始から概ね3月後の評価において、解決すべき課題が解決さ れていない場合であって、当該サービスを継続する必要性が認められる場 合は、3月以降も算定できる。 なお、サービスを継続する場合であっても、アセスメント、計画作成、 評価の手順に従って実施する必要があるが、課題解決に向けて効果が得られるよう、実施方法及び実施内容を見直す必要がある。
栄養改善加算は利用者の健康状態を維持・改善するための重要な加算です。
身体機能の改善を目指すにはリハビリが大切ですが、その土台となる栄養面が担保されていなければ思うような効果が得られないでしょう。
さらに低栄養が進むと、今後の介護状況にも大きな影響が出る恐れもあります。
栄養面の重要性を理解したうえで、ぜひ栄養改善加算を積極的に取り入れられる環境を整えていきましょう。
リハビリの重要性について知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
▶︎介護リハビリの全て|リハビリテーションの定義や重要性・機能訓練との違いなどリハビリの全てを解説
利用者やケアマネに口腔機能訓練の必要性を説明できるようになりたいと考えている方に、無料で解説資料をプレゼントしています。
⇒資料のダウンロードはこちらから
日々の加算算定業務や記録業務などで苦労されている人も多いのではないでしょうか?科学的介護ソフト「Rehab Cloud」であれば、現場で抱えがちなお悩みを解決に導くことができます。
例えば、加算算定業務であれば、計画書作成や評価のタイミングなど、算定要件に沿ってご案内。初めての加算算定でも安心して取り組めます。さらに、個別性の高い計画書は最短3分で作成できます。
記録した内容は各種帳票へ自動で連携するため、何度も同じ内容を転記することがなくなります。また、文章作成が苦手な方でも、定型文から文章を作成できるので、簡単に連絡帳が作成できるなど、日々の記録や書類業務を楽にする機能が備わっています。