通所介護の口腔・栄養スクリーニング加算とは?算定要件や単位数を解説

介護保険法

栄養加算

更新日:2024/10/02

【令和6年報酬改定対応】口腔・栄養スクリーニング加算とは、従来の栄養スクリーニング加算に加え、口腔状態の確認を行うことを評価するために新設された加算です。この加算により、口腔機能低下・重症化の予防や、維持・回復等つながることが期待されています。この記事では、口腔・栄養スクリーニング加算の単位数や算定要件について解説しています。

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口腔・栄養スクリーニング加算とは

口腔・栄養スクリーニング加算とは、利用者に定期的に口腔の健康状態、または栄養状態のスクリーニングを行ったときに算定される加算です。

平成30年度の介護報酬改定では、「栄養スクリーニング加算」が新設されました。

しかし、令和3年の介護報酬改定にて見直しが行われ、栄養スクリーニング加算が廃止されて、口腔・栄養スクリーニング加算が新設されました。

そのほかの栄養に関する加算について知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
▶︎通所介護の栄養改善加算とは?算定要件・具体的な算定方法
▶︎通所介護の栄養アセスメント加算とは?算定要件・単位数などを解説

参考:令和3年度介護報酬改定について

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算定要件と単位数

デイサービス

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)
単位数20単位/回(6ヵ月に1回)5単位/回(6ヵ月に1回)
対象者事業所のサービスを利用している利用者事業所のサービスを利用している利用者
算定要件介護サービス事業所の職員が、利用を開始して6ヵ月ごとに利用者の口腔の健康状態、および栄養状態について確認する利用者の口腔の健康状態、および栄養状態の情報を担当の介護支援専門員に提供する
※栄養アセスメント加算、栄養改善加算および口腔機能向上加算との併算定は不可能
利用者が栄養改善加算や口腔機能向上加算を算定している場合に、職員が利用を開始して6ヵ月ごとに利用者の口腔の健康状態と栄養状態のいずれかの確認をする利用者の口腔の健康状態、および栄養状態の情報を担当の介護支援専門員に提供する
※栄養アセスメント加算、栄養改善加算または口腔機能向上加算を算定しており、加算(Ⅰ)を算定できない場合に限り算定が可能

通所リハビリテーション

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) 20単位/回

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) 5単位/回

短期入所生活介護

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) 20単位/回

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) 5単位/回

短期入所療養介護

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) 20単位/回

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) 5単位/回

認知症対応型共同生活介護

口腔・栄養スクリーニング加算 20単位/回

※算定要件は(Ⅰ)扱い

認知症対応型通所介護

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) 20単位/回

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) 5単位/回

【口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)】

  • 6ヵ月ごとに利用者の口腔の健康状態、栄養状態を確認する
  • 利用者の口腔の健康状態、栄養状態の情報を介護支援専門員に提供する

【口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)】

  • 栄養改善加算や口腔機能向上加算の算定時に、6ヵ月ごとに口腔の健康状態や栄養状態を確認をする
  • 利用者の口腔の健康状態、栄養状態の情報を介護支援専門員に提供する

参考:令和3年度介護報酬改定について
参考:介護予防・日常生活支援総合事業費 単位数サービスコード表(案)

口腔・栄養のスクリーニング項目

ここでは口腔・栄養のスクリーニング項目について説明します。

口腔に関するスクリーニング項目

【硬いものを避け、柔らかいものばかり食べる】
歯を失うことで、肉や野菜などの硬い食品の摂取が減り、代わりに柔らかい麺類やパンなどの摂取が増えることが指摘されています。これにより、栄養バランスが偏る可能性があります。

【入れ歯を使っている】
入れ歯が合わない場合、噛みにくさや発音のしづらさなどの問題が発生します。また、歯が少ないにもかかわらず入れ歯を使用していない場合、口腔内の問題に加え、認知症や転倒のリスクが高まることが報告されています。

【むせやすい】
嚥下機能が低下すると、食事や飲み物を摂取する際にむせやすくなったり、飲み込みにくくなることがあります。これにより、食事が困難になるだけでなく、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。口腔内を清潔に保つことが、これらのリスク軽減に重要です。

栄養に関するスクリーニング項目

【身長(cm)】
基本的な身体計測の一部として、身長を記録します。

【体重(kg)】
体重の記録は、体格や栄養状態の変化を評価するために重要です。

【BMI(体格指数:kg/m²)】
BMIが18.5未満の場合、低体重や栄養不良の可能性があるため注意が必要です。

【体重減少】

  • 直近1~6か月間で3%以上の体重減少
  • 直近6か月間で2~3kg以上の体重減少

これらの減少は栄養状態の悪化を示す可能性があります。

【血清アルブミン値(g/dl)】
血清アルブミン値が3.5g/dl未満の場合、栄養状態が悪化している可能性があります。

【食事摂取量】
食事の摂取量が75%以下の場合、栄養不足のリスクが高まるため、早急な対応が必要です。

これらの項目を総合的に評価することで、早期に栄養不良や体調の変化を把握し、適切な介入を行うことができます。

口腔・栄養スクリーニングの様式

口腔や栄養状態のスクリーニングを適切に実施するため、厚生労働省から標準的な様式が提示されています。スクリーニング様式は、以下の厚生労働省のウェブサイトからダウンロードが可能です。各施設での活用にお役立てください。

▶︎別紙様式6(口腔・栄養スクリーニング様式)

口腔・栄養スクリーニング加算の算定の流れ

口腔・栄養スクリーニング加算の算定の流れについて説明します。

スクリーニングの実施

口腔・栄養スクリーニング加算を算定するためには、利用者の口腔機能や栄養状態のスクリーニングを実施する必要があります。利用開始時およびその後6ヵ月ごとに、厚生労働省が提供しているスクリーニング様式を活用して、口腔と栄養状態を一体的に評価します。

ケアマネジャーへの情報提供

スクリーニングの実施後は、その結果をケアマネジャーに共有します。スクリーニングは、効果的に継続できるよう、実施体制を整えることが重要です。また、スクリーニング後には体制を見直し、利用者の口腔や栄養状態を定期的に確認します。異常が見られた場合は、ケアマネジャーを通じて医療機関の受診や、必要なサービスの提案を行いましょう。

どのような基準でケアマネジャーがデイサービスを選ぶのかを知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
▶︎【現役ケアマネ座談会】利用者を紹介したいデイサービスの特徴と営業の秘訣

6ヵ月に1回スクリーニングを実施

口腔・栄養スクリーニングは、ケアマネジメントの一環として定期的に行うことが大切です。6ヵ月ごとに1回実施し、前回の結果と比較して利用者の状況の変化を確認しながら、ケアマネジャーに報告します。これにより、利用者の改善状況や変化を正確に把握できます。

「口腔・栄養スクリーニング加算」と「口腔機能向上加算」は 併用できる?

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)では、口腔機能向上加算との併算定はできません。

その他、「栄養アセスメント加算」と「栄養改善加算」も同様に、同時に算定できません。

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)では、口腔機能向上加算だけでなく、栄養アセスメント加算と栄養改善加算の併算定も可能です。

参考:令和3年度介護報酬改定について

口腔機能向上加算の算定要件について詳しく知りたい方に、無料で解説資料をプレゼントしています。 ⇒資料のダウンロードはこちらから

複数事業所では算定できない点に注意

当該利用者について、他の事業所で既に口腔・栄養スクリーニング加算を算定している場合は、算定できません。

つまり、複数の事業所では口腔・栄養スクリーニング加算が算定できないということです。

口腔・栄養スクリーニング加算の算定を行う事業所を決める際は、利用者やそのご家族の希望を踏まえたうえで、サービス担当者会議で決めましょう。

また、口腔・栄養スクリーニング加算の(Ⅰ)と(Ⅱ)は、同時に算定できませんので、その点も注意が必要です。

参考:令和3年度介護報酬改定について

利用者の健康管理につながる口腔・栄養スクリーニング加算

口腔状態と栄養状態のスクリーニングは、どちらも利用者の健康管理につながる重要な要素といえます。

定期的に健康状態の確認をすることで、問題が現れた場合でも早期の対処ができるようになるでしょう。

また、複数事業所で算定できない、特定の加算と併算定できないなど注意が必要な部分もいくつかあります。算定する場合は、事業所間の連携やサービス担当者会議での丁寧な話し合いと情報共有が大切です。利用者の健康を維持・改善するためにも、ぜひ口腔・栄養スクリーニング加算の算定を検討してみましょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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