口腔機能向上加算とは|(Ⅰ)(Ⅱ)の違い・算定要件・計画書について
介護保険法
2024/10/09
介護保険法
個別機能訓練加算
更新日:2024/10/02
特別養護老人ホーム(特養)などの介護老人福祉施設での個別機能訓練加算の算定率は49.38%(厚生労働省2014)とされ、約半数がこの加算を算定しています。今回は、特養の個別機能訓練加算について算定要件や単位数、個別機能訓練計画書の手順や書き方、厚生労働省のQ&Aをまとめてご紹介します。
この記事の目次
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個別機能訓練加算とは、特別養護老人ホーム(以下、特養)において所定の要件を満たし、入居者様の身体状況に応じた機能訓練を行った場合に算定される加算のことを言います。なお、特別養護老人ホームは、厚生労働省などの資料では「介護老人福祉施設」と表記されていることが多いですが、法律上の呼び名の違いであるだけなので同じ意味として捉えて差し支えありません。
個別機能訓練加算 12単位/日(当該基準に従い1日につき所定単位数に加算することができます)
特養で個別機能訓練加算を算定するためには、次の基準にすべて当てはまることが条件です。
特養で個別機能訓練加算を算定するためには、次の基準にすべてに適合することが条件です。⑴ 専ら機能訓練指導員の職務に従事する「常勤」の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師(以下、機能訓練指導員)を1名以上配置していること。
入所者の数が100名を超える場合は、常勤専従の機能訓練指導員を1名以上配置+機能訓練指導員として常勤換算法で入所者の数を100で除した数値以上配置しているもの。
⑵ 指定介護老人福祉施設として都道府県知事に届け出をすること。
⑶ 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、 生活相談員その他の職種の者が共同して、入所者ごとに個別機能訓練計画を作成すること。
⑷ 当該計画に基づき、計画的に機能訓練を行っていること。
<参照:指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成十二年厚生省告示第二十一号)【平成二十七年四月一日施行】(平成29年7月28日アクセス)
入所者の数が100名を超える場合は、厚生労働省の「常勤換算換算の計算方法」の計算に当てはめて機能訓練指導員の配置を行う必要があります。
厚生労働省(平成26年4月審査分)によると、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)及び地域密着型介護老人福祉施設における個別機能訓練加算の算定率(推計)は「49.38%」と報告されており、最近では特養でも機能訓練を提供していることが分かります。
同じように個別機能訓練加算の算定が可能な通所介護(デイサービス)に比べ、特養の入居者様は比較的介護度の高い方(要介護3〜5)が対象となります。そのため、積極的に運動を提供するというよりも着替えやトイレなどの個々の生活に即した訓練を提供していることがその特徴です。
参照:厚生労働省「平成27年度介護報酬改定に向けて (介護福祉施設サービスについて)」(平成29年7月28日アクセス)
特養における個別機能訓練加算を取得する場合は、機能訓練指導員の配置が必須となります。
機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師(2018年の改正からは鍼灸師も含まれる予定)の6つの職種を合わせた職種を指します。
機能訓練指導員は、本人や家族のニーズを聞いたりケアマネージャーから提供されるケアプランに従ってご利用者様が求めている目標を達成するために必要な訓練を提案します。特に、特養の機能訓練指導員は、積極的な運動を行うというよりも、着替えやトイレ、お風呂など生活に即した訓練(通称:生活リハビリ)を行っていることが特徴です。
特養においても、個別機能訓練加算の算定するためには、個別機能訓練計画書を記載することが必要です。
個別機能訓練計画書とは、機能訓練指導員が中心となって作成する書類のことで、利用者様の身体状況や希望、自宅環境などを考慮した目標設定・プログラムの立案をするものです。また、本人や家族への説明、同意書としても活用する大切な書類です。その内容については、機能訓練指導員や看護職員、介護職員、生活相談員、その他のスタッフがカンファレンスやミーティングを行い、協働して目標設定や実施時間、実施方法などの個別機能訓練計画を立案していきます。
個別機能訓練計画書の作成方法として、厚生労働省から通達されている指針があります。これらは個別機能訓練加算を算定する上で必須の項目です。計画書を作成する際には必ず目を通しておきましょう。
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個別機能訓練を行うにあたり、機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種の者が協働して利用者様ごとにその目標・実施時間・実施方法などを内容とする個別機能訓練計画を作成し、これに基づいて行った個別機能訓練の効果・実施時間・実施方法について評価などを行います。
個別機能訓練を行う場合は、開始時及びその後3ヶ月ごとに1回以上、利用者様またはそのご家族に対して個別機能訓練計画の内容(評価を含む)を説明し、記録する。また、評価内容や目標の達成度合いについて、当該利用者を担当する介護支援相談員らに適宜報告、相談し、必要に応じてご利用者様またはご家族の以降を確認の上、当該利用者のADL及びIADLの改善状況を踏まえた目標の見直しや訓練内容の変更など適切な対応を行ってください。
個別機能訓練計画書の長期目標・短期目標などの目標設定については、適切な事後アセスメントを経て利用者様の身体機能及びADL、IADLの状況を把握し、日常生活における生活機能の維持・向上に関する目標を利用者様ごとに適切に設定する必要があります。
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個別機能訓練に関する実施記録(実施時間・訓練内容・担当者など)は、ご利用者様ごとに保管され、常に当該事業所の個別機能訓練の従事者により閲覧が可能であるようにしましょう。
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ここまで個別機能訓練計画書の書き方についてご紹介しましたが、ここで1つ疑問が浮かびます。それは「特養で個別機能訓練加算の算定する場合、施設サービス計画とは別の計画書を作成する必要があるか?」ということ。その答えはNOです。特養での「施設サービス計画」に個別の機能訓練計画が記載されていれば、別の計画書を作成する必要はありません。
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特養の個別機能訓練加算において、平成27年度の介護報酬改定に関する厚労省のQ&Aをご紹介します。
【質問】短期入所生活介護事業所を併設している特別養護老人ホームにおいて、個別機能訓練加算を特別養護老人ホームで算定し、併設の短期入所生活介護事業所では機能訓練指導員の加算を算定し、新設の個別機能訓練加算を短期入所生活介護事業所で算定しようとする場合、特別養護老人ホームと短期入所生活介護事業所を兼務する常勤専従の機能訓練指導員を1名配置し、それとは別に専従の機能訓練指導員を短期入所生活介護事業所に1名配置すれば、短期入所生活介護においては、機能訓練指導員の加算と新設の個別機能訓練加算の両方が算定できるということでよいか。 |
【回答】短期入所生活介護の「機能訓練指導員の加算」は、常勤・専従の機能訓練指導員を配置した場合に評価されるものであるが、「個別機能訓練加算」は利用者の生活機能の維持・向上を目的として、専従の機能訓練指導員が利用者に対して直接訓練を実施するものである。 このため、常勤・専従の機能訓練指導員とは別に専従の機能訓練指導員を短期入所生活介護事業所に1名配置すれば、いずれの加算も算定することができる。 |
参照:平成27年度介護報酬改定に関するQ&A問75(Vol.1)平成27年度介護報酬改定に関するQ&A問75(Vol.1)より
【質問】一部ユニット型施設・事業所が、ユニット型部分とユニット型以外の部分それぞれ別施設・事業所として指定されることとなった場合について、専従要件や利用者の数などの加算の算定条件についてどのように考えればよいか。 |
【回答】従来、「一部ユニット型」として指定を受けていた施設が、指定更新により、ユニット型施設とユニット型以外の施設とで別の指定を受けている場合を含め、同一建物内にユニット型及びユニット型以外の介護老人福祉施設(又は地域密着型介護老人福祉施設)が併設されている場合については、「個別機能訓練加算」や「常勤医師配置加算」など常勤職員の専従が要件となっている加算について、双方の施設を兼務する常勤職員の配置をもって双方の施設で当該加算を算定することは認められないものとしてきたところである。 しかしながら、個別機能訓練加算については、「専ら機能訓練指導員の職務に従事する」 ことが理学療法士等に求められているものであり、一体的な運営が行われていると認められる当該併設施設において、双方の入所者に対する機能訓練が適切に実施されている場合で、常勤の理学療法士等が、双方の施設において、専ら機能訓練指導員としての職務に従事しているのであれば、今後、当該加算の算定要件を双方の施設で満たすものとして取り扱うこととする。 |
参照:平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A (平成27年4月1日)
個別機能訓練加算は、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)でも算定が可能です。
通所介護の個別機能訓練加算には、「個別機能訓練加算(Ⅰ)イ:56単位/日」と「個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ:76単位/日」「個別機能訓練加算(Ⅱ):20単位/月」の3種類があります。
ショートステイの個別機能訓練加算には、「機能訓練体制加算:12単位/日」と「個別機能訓練加算:56単位/日」の2種類があります。
個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定要件と算定の流れを知りたい方に、無料で解説資料をプレゼントしています。
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個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件と算定の流れを知りたい方に、無料で解説資料をプレゼントしています。
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これまで特養は、高齢者が最後を迎える場所として考えられがちでしたが、現在の特養では機能訓練を提供することで「高齢者がいつまでの元気で生活できるように」「現状の生活能力を維持できるように」といった考えも増えてきています。
2018年の介護報酬改定、2021年の介護報酬改定では厚生労働省は「自立支援」の指針を示し、益々個別機能訓練加算のニーズは高くなります。今回の記事を参考に、皆さまの特養でも個別機能訓練加算が算定できるようになると幸いです。
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