機能訓練指導員の仕事内容とは?必要な資格と配置でとれる加算

介護保険法

個別機能訓練加算

更新日:2025/02/04

介護施設にて利用者一人ひとりに応じた機能訓練の計画・実施・評価を行う職種を「機能訓練指導員」といいます。介護保険法により介護施設への配置が定められています。本記事では、機能訓練指導員に必要な資格や仕事内容、加算による配置基準を紹介します。

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機能訓練指導員とは?

厚生労働省の定義によると、機能訓練指導員とは「日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者」のことを指します。

「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧などの資格を保持する人物のことです。

令和3年の介護報酬改定では、高齢者の自立支援や重度化防止の取り組みに大きく舵を切り、機能訓練指導員の存在意義が高まっています。

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機能訓練指導員に必要な資格

機能訓練指導員として働くには、厚生労働省が定める8つの資格のうちいずれかを持っていることが条件になります。これらの資格を持っていない者は機能訓練指導員として勤務できません。

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 看護師及び准看護師
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師・きゅう師(*半年以上の実務経験が必要)

また、介護福祉士の資格のみでは機能訓練指導員として条件に該当しないため、機能訓練指導員として配置はできません。さらに加算も算定できないので注意しましょう。

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機能訓練指導員に向いている人

機能訓練指導員は、高齢者や障がい者の自立支援を目的とした、やりがいのある仕事です。しかし、体力面・精神面ともにタフさが求められる仕事でもあります。以下、機能訓練指導員に向いている人の特徴をまとめました。

1. 人と接することが好きで、思いやりのある人

機能訓練指導員は、利用者と直接関わり、身体機能の維持・回復をサポートする仕事です。そのため、人と接することが好きで、相手の立場に立って物事を考えられる思いやりのある人が向いています。

2. コミュニケーション能力が高い人

利用者やそのご家族、そして施設のスタッフとコミュニケーションを図る機会が多くあります。そのため、明るくハキハキと話すことができ、相手の言葉にしっかりと耳を傾けられる人が求められます。

3. 体力があり、健康な人

利用者の身体を支えたり、介助を行ったりする際に、体力が必要となります。また、長時間立ちっぱなしの作業もあるため、体力があり、健康な人が向いています。

4. 根気強く、明るい人

機能訓練の成果は、すぐに出るとは限りません。利用者一人ひとりのペースに合わせて、根気強く寄り添い、励ましながら訓練を続けることが大切です。そのため、根気強く、明るい性格の人が向いています。

5. 向上心があり、常に学び続ける意欲のある人

介護の知識や技術は常に進化しています。新しい情報や技術を積極的に学び、常に自身のスキルアップを目指せる人が求められます。

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機能訓練指導員と機能訓練士の違い

機能訓練指導員は資格ではなく、職種を指します。介護施設などで、利用者さんの日常生活動作の維持・改善を支援するために、機能訓練を行う人のことを指します。 よく「機能訓練士」と表記されることがありますが、「機能訓練士」という名称の資格は存在しません。これは誤表記です。正しくは「機能訓練指導員」です。

機能訓練指導員になるために、必ずしも特定の資格が必要なわけではありません。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師など、様々な資格を持つ人が、それぞれの専門性を活かして機能訓練指導員として活躍しています。

機能訓練指導員が勤務している施設とは

機能訓練指導員が従業者として在籍している施設や、仕事内容の違いは以下の通りです。

  • 通所介護(デイサービス)
    食事や入浴、排泄介助などの介護サービスを提供する施設です。機能訓練指導員は、集団での体操や自宅での生活を想定したリハビリ、事業所によってはレクリエーションや送迎も担当します。
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
    日頃介護を行っている家族にひと時の休息を与える役割を担っている施設です。機能訓練指導員は、デイサービスと同様に日常生活に必要な機能訓練の計画・実施を行います。
  • 特別養護老人ホーム
    公的に運営されている介護保険施設です。機能訓練指導員は、入所者の機能訓練に加え、個別機能訓練計画書の作成・管理も行います。
  • 特定施設入居者生活介護
    民間企業が運営する介護保険施設です。機能訓練指導員は、特別養護老人ホームと同様に入所者の機能訓練や個別機能訓練計画書の作成、管理を行います。
  • ケアハウス
    自立して生活するのが難しい60歳以上の高齢者を対象とした介護施設です。利用者の身体機能維持を目的に、機能訓練計画から実施、評価までを行います。

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機能訓練指導員の仕事内容

機能訓練指導員の配置は、運営基準上、厚生労働省により下記のように定義されています。

『機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とし、当該指定通所介護事業所の他の職務に従事することができるものとする。』

これを踏まえて、通所介護を例に、機能訓練指導員の仕事内容をご紹介すると以下のような内容になります。

個別機能訓練加算を算定している場合

個別機能訓練加算には(Ⅰ)と(Ⅱ)があります。令和3年度の介護報酬改定で新しく個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロとなり、令和6年度の介護報酬改定では(Ⅰ)ロの人員基準が緩和され単位数が減りました。また、個別機能訓練加算(Ⅱ)はLIFEを活用してデータ提出することが求められるほか、個別機能訓練加算(Ⅰ)を満たしている必要があります。

  • 個別機能訓練加算(Ⅰ)
    個別機能訓練加算の算定要件にある通り、個別機能訓練計画書を作成し、それに沿った機能訓練を行うのが機能訓練指導員の主な仕事になります。
    個別機能訓練加算は取得単位数に違いがあり、イとロを併用して算定はできません。イとロは、特定の資格を有する機能訓練指導員を、どちらも1人以上配置する必要があります。
    個別機能訓練加算(Ⅰ)の詳しい算定要件や機能訓練指導員の配置については、以下の記事に詳しく解説しています。

個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロの算定要件【2021年介護報酬改定】

  • 個別機能訓練加算(Ⅱ)
    個別機能訓練加算(Ⅱ)は、LIFEを活用したデータ提出とフィードバックの活用が主な要件になっており、個別機能訓練の内容に関する要件はありません。
    算定するには、個別機能訓練加算(Ⅰ)を満たした上で、さらにLIFEを活用したデータ提出が必要です。また、フィードバックを活用してケアに活かすことも必要になります。
    個別機能訓練加算(Ⅱ)の詳しい算定要件は、以下の記事に詳しく解説しています。

個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件・単位数とLIFEへの提出方法

個別機能訓練加算を算定していない場合

個別機能訓練加算を算定しない場合でも、リハビリやレクリエーションなどを通じて機能訓練を行うことは可能です。その際は、事業所の生活相談員または介護職員が兼務しても差し支えありません。

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資格ごとに求められる役割や強み

機能訓練指導員になるには、以下のいずれかの国家資格を保有している必要があります。機能訓練指導員としての仕事内容に違いはありませんが、それぞれの資格には特徴があるので把握しておきましょう。職種の特徴を理解すれば、求人公募のときにも役立ちます。この章ではそれぞれの資格の特徴をご紹介していきます。

理学療法士

機能訓練指導員としての理学療法士は、医学的リハビリテーションに基づき、運動療法や物理療法(電気や温熱)を活用して、歩く・座る・立つなどの基本動作能力を回復させたり、症状を軽減させたりすることができるのが特徴です。また、疾患の知識も豊富で生活習慣病や病気の予防などの機能訓練を提供することも得意としています。

理学療法士は、まず国家資格を取得することが必要です。国家資格とは、国が法律で定め、国や地方自治体などが認定する資格のことをいいます。

作業療法士

機能訓練指導員としての作業療法士は、医学的リハビリテーションに基づき、入浴やトイレなど日常生活の動作や手工芸、園芸及びレクリエーションなど様々な活動を通して、身体と心のケアをすることができるのが特徴です。また、自宅の環境に即した福祉用具の選定や家族のケアなども得意としています。

言語聴覚士

機能訓練指導員としての言語聴覚士は、医学的リハビリテーションに基づき、嚥下や口腔機能や誤嚥性肺炎の予防、口腔ケアなどの機能訓練とその評価を行うことができるのが特徴です。また、言語障害や高次脳機能障害などの機能訓練も得意としています。

看護師及び准看護師

機能訓練指導員としての看護職員は、ご利用者様のケアや健康状態を見極めるバイタルチェック、疾患別のリスク管理を行うことができるのが特徴です。

デイサービスでは、看護師兼機能訓練指導員として兼務するケースも多くあります。ただし、学生時代に運動などの知識を学ぶことは少ないため、機能訓練やリハビリの経験が少なく、現場で勉強されている方が多いのが現状です。

柔道整復師

機能訓練指導員としての柔道整復師は、骨折・脱臼・捻挫・打撲・肉ばなれなどの各種損傷に対しての治療や運動などの機能訓練を行うことができるのが特徴です。柔道整復師は、開業している場合も多く高齢者特有の疾患なども得意としています。

あん摩マッサージ指圧師

機能訓練指導員としてのあん摩マッサージ指圧師は、日常生活やトレーニングにともなう疲労感や筋肉のコリ、硬さを軽減することができるのが特徴です。

マシントレーニングなどリハビリ特化型デイサービスよりもストレッチやマッサージを主体とした事業所で勤務されることが多い印象です。あん摩マッサージ指圧師は、学生時代のカリキュラムに運動や日常生活訓練などの技術を学ぶことがなく、機能訓練指導員として勤務するようになり、現場で勉強されている方が多くいらっしゃいます。

はり師・きゅう師

令和3年の介護報酬改定では、機能訓練指導員の資格要件を緩和を行い、一定の実務経験を有する「鍼灸師(はり師・きゅう師)」でも担えるようになりました。

これは、短期入所生活介護(ショートステイ) や認知症対応型通所介護(認知症デイサービス) 、特定施設などの機能訓練指導員も同じ扱いになります。

ただし、サービスの質を担保する観点から、現行の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員(准看護師)、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの機能訓練指導員が配置されている事業所において、半年以上の実務経験を積むことを前提とされます。

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機能訓練指導員が必要になる加算算定

デイサービスや特別養護老人ホーム、ショートステイなど、厚生労働大臣が定める所定の基準要件を満たし、機能訓練指導員が利用者に応じた機能訓練を行った場合に機能訓練指導員の配置加算や個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定できます。

この章では事業所ごとに機能訓練指導員が必要となる加算算定についてご紹介していきましょう。

通所介護(デイサービス)の場合

個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロそれぞれの機能訓練指導員の配置は以下のように決められています。イとロの最大の違いはこの機能訓練指導員の人員配置ですので、算定前によく確認し、場合によっては人員配置を整備しておく必要があります。

特別養護老人ホーム(特養)の場合

特別養護老人ホーム(特養)が算定できるのは個別機能訓練加算(Ⅰ)のみです。機能訓練指導員を1名以上配置し、入所者に応じた個別機能訓練計画書の作成から実施、評価を行っていることが算定要件となっています。

特定施設入居者生活介護

有料老人ホーム(特定施設)が算定できるのは、特別養護老人ホーム(特養)と同様に個別機能訓練加算(Ⅰ)のみです。機能訓練指導員を1名以上配置し、入所者に応じた個別機能訓練計画書の作成から実施、評価を行っていることが算定要件となっています。

ケアハウス

ケアハウスが算定できるのは、上記の施設と同様に個別機能訓練加算(Ⅰ)のみです。

短期入所生活介護(ショートステイ)

ショートステイが算定できるのは「機能訓練指導員の配置加算」と「個別機能訓練加算(Ⅰ)」です。

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機能訓練指導員の配置基準

  • 特別養護老人ホーム:1人以上
  • デイサービス:1人以上

これらの基準は、あくまでも最低限のものです。施設の規模や利用者の状態によっては、より多くの機能訓練指導員を配置する必要がある場合もあります。また、機能訓練指導員は、常勤換算で計算されます。つまり、パートやアルバイトの機能訓練指導員も、常勤の職員に換算して配置人数に含める必要があります。

機能訓練のメニュー内容

機能訓練は、利用者の心身の機能維持を目的としたもので、リハビリテーションとは異なり、日常生活の質の向上や社会参加を重視しています。 個別機能訓練計画書に基づいて、個人または少人数で行われ、レクリエーションや地域交流などを通して行われることもあります。

主なメニューは、以下の3つに分けられます。

1. 身体機能の維持・向上を目指す訓練

座る、立つ、歩くといった基本的な動作から、階段昇降や歩行練習など、日常生活に必要な身体機能の向上を目指します。呼吸機能訓練や関節可動域訓練、筋力向上訓練なども含まれます。

2. 疾病・疾患の維持・予防を目的とした訓練

口腔機能の向上を図る支援や、認知症の重度化防止に向けた訓練などを行います。口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防や食事の経口摂取の維持などを目的とし、歯科医と連携して行うこともあります。

3. 日常生活を営むために必要な機能に対する訓練

入浴、排泄、更衣、食事、調理、洗濯など、身の回りのことの練習や、公共交通機関の利用練習、買い物練習など、地域社会に関わる訓練を行います。コミュニケーションに関する訓練も行います。

これらのメニューは、利用者の状態や目標に合わせて、柔軟に組み合わせられます。 機能訓練指導員は、利用者さんの生活の質を高め、社会参加を促進するために、多様なメニューを提供します。

機能訓練指導員は高齢者の自立支援・重度化防止の要

令和3年度の介護報酬改定で示された通り、これからの介護業界では高齢者の自立や重度化防止が重要視されていきます。

介護保険制度が変化していく中でも、自立支援や重度化防止に欠かせないのが機能訓練指導員です。

これからも利用者さんの自立に向けて大きな役割を担うことは間違いないでしょう。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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