デイサービスで働く機能訓練指導員が理解しておきたい「運動の中止基準」について

運営ノウハウ

評価

更新日:2022/02/24

アンダーソンの運動中止基準や、日本リハビリテーション学会診療ガイドラインで積極的なリハビリテーションを実施しない場合というリスク管理項目を知っているでしょうか?運動療法は非常に効果的ではありますが、誰にでもとにかく運動を提供すればいいというわけではありません。デイサービスで働く機能訓練指導員の方は、この記事で紹介する「アンダーソンの運動基準」を理解しておくと、ご利用者さんへのリスク管理をしっかり行うことができます。

デイサービスに通われる方の中には、高血圧症の方も多いと思います。また、心疾患を患っている方や既往に心疾患がある方も非常に多いです。

そんな中、機能訓練で多くの方に体操や運動を指導する機能訓練指導員の方も多いかと思います。ですが、冒頭に述べたように、誰にでも同じような運動がいいわけではなく、しっかりとリスク管理をした上で運動を提供する必要があります。

今回この記事では、機能訓練指導員の方に向けた「アンダーソンの運動基準」及び「日本リハビリテーション学会診療ガイドライン」をもとにデイサービスでの機能訓練でどう活かしていくべきかお伝えして参ります。

アンダーソンの運動中止基準(土肥変法)

運動を行わないほうがよい場合

  1. 安静時脈拍数:120/分以上
  2. 拡張期血圧(下の血圧):120mmHg以上
  3. 収縮期血圧(上の血圧):200mmHg以上
  4. 労作性狭心症を現在有するもの
  5. 新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
  6. うっ血性心不全の所見の著しい不整脈
  7. 心房細動以外の著しい不整脈
  8. 運動前すでに動悸、息切れのあるもの

途中で運動を中止する場合

  1. 運動中、中等度の呼吸困難・めまい・嘔気・狭心痛などが出現した場合
  2. 運動中、脈拍が140/分を超えた場合
  3. 運動中、1分間に10個以上の期外収縮が出現するか、または頻脈性不整脈(心房細動、上室性頻脈など)あるいは徐脈が出現した場合
  4. 運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合

次の場合は運動を一時中止し、回復を待って再開する

  1. 脈拍数が運動時の30%を超えた場合。ただし、2分間の安静で10%以下に戻らない場合は中止にするかかなり負荷の少ない運動に切り替える。
  2. 脈拍数が120/分を超えた場合
  3. 1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合
  4. 軽い動悸、息切れを訴えた場合


ここまで、アンダーソンの運動基準について記載しました。

少し難しい部分もあるかもしれませんが、まず何より重要なのが「情報収集」です。デイサービスに通われる際、ケアマネージャーから情報を得ていると思いますが、運動の中止基準や現病歴・既往歴のことをしっかりと聞いておくことが大事です。

この情報があるかどうかでリスク管理をしながら機能訓練をすすめていくことができるはずです。情報は少ないよりも多い方がいいですし、特にデイサービスでは医療情報が少ないので、なるべく多くの情報を拾っておくことが望ましいです。

続いて、以下に「日本リハビリテーション学会診療ガイドライン」の内容についてご説明します。

日本リハビリテーション学会診療ガイドライン

積極的なリハビリテーションを実施しない場合

  1. 安静時脈拍40/分以下または120/分以上
  2. 安静時収縮期血圧70mmHg以下または200mmHg以上
  3. 安静時拡張期血圧120mmHg以上
  4. 労作性狭心症の方
  5. 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
  6. 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
  7. 著しい不整脈がある場合
  8. 安静時胸痛がある場合
  9. リハビリテーション実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
  10. 座位でめまい、冷や汗、嘔気等がある場合
  11. 安静時体温が38度以上
  12. 安静時酸素飽和度(SpO2)が90%以下


アンダーソンの運動基準と比較して違う部分は、

  • 安静時脈拍40/分以下
  • 安静時収縮期血圧70mmHg以下
  • 安静時体温38度以上
  • 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下

ここが追記されています。

その他、「途中で運動を中止する場合」・「一時中止し、回復を待って再開する」についてはアンダーソンの運動基準と変わりありません。

ここに加えて、日本リハビリテーション医学会では以下の項目(その他の注意が必要な場合)を追加しています。

  1. 血尿の出現
  2. 喀痰量が増加している場合
  3. 体重が増加している場合
  4. 倦怠感がある場合
  5. 食欲不振時・空腹時
  6. 下肢の浮腫が増加している場合

デイサービスの機能訓練指導員が気をつけるべきポイント

文中にも書きましたが、まずは情報をしっかりと拾い上げることです。

その他は、

  • 血圧
  • 脈拍
  • SpO2
  • 体温

これらは必ずチェックしている項目だと思うので、常時意識しておくことが重要です。また、食欲や食事(水分)摂取量、下肢の浮腫、その日の体調(めまいや倦怠感など)がいつもと比較して違いがあるのか。

等々、この辺の状態を意識して確認しておくとリスク管理ができるようになるはずです

まとめ

今回この記事では、機能訓練指導員の方に向けて、アンダーソンの運動基準・日本リハビリテーション医学会の内容をもとに「運動の中止基準」についてご説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

機能訓練を担っていて、この時は運動してもいいのか?やらないほうがいいのか?このような状況というのは比較的あるのではないかと思います。そうなった場合、この記事を参考にしていただき、主治医などにも情報提供をしっかりとしてもらうようにしてください。

少しでも参考になれば幸いです。それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

デイサービススタッフ・機能訓練指導員が理解しておきたい記事シリーズ

Rehab Cloudに待望の「レセプト」が新登場

リハビリ・LIFE加算支援の決定版「リハプラン」と記録、請求業務がスムーズにつながり、今までにない、ほんとうの一元管理を実現します。

日々お仕事をするなかで、「介護ソフトと紙やExcelで同じ情報を何度も転記している」「介護ソフトの操作が難しく、業務が属人化している」「自立支援や科学的介護に取り組みたいが余裕がない」といったことはありませんか?

科学的介護ソフト「Rehab Cloud(リハブクラウド) 」』なら、そういった状況を変えることができます!

ぜひ、これまでの介護ソフトとの違いをご覧頂ければと思います。



リハブクラウドでは、デイサービスの方向けに無料のメールマガジンを配信しております。日々のお仕事に役立つ情報や研修会のお知らせなどを配信します。ぜひメルマガ購読フォームよりご登録ください。

この記事の著者

作業療法士  大屋 祐貴

作業療法士として、回復期リハビリテーション病院や救急病院、訪問リハビリに勤務し、医療・介護現場の幅広い分野を経験。現場のリハビリテーション技術を高めるために研修会の立ち上げ等を行う。

関連記事

他のテーマの記事をみる