入浴介助加算の算定要件|通所介護で清拭・シャワー浴・足浴だけでも算定可能?

介護保険法

入浴介助加算

更新日:2024/06/25

【令和6年報酬改定対応】デイサービス(通所介護)で入浴サービスを提供する際、体調不良などにより、清拭、シャワー浴、足浴のみを行うケースがあります。その際、入浴介助加算を算定できるかどうか悩む方も多いのではないでしょうか。この記事で解説します。

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清拭とは

清拭とは

清拭(せいしき)とは、タオルをお湯で濡らしたり、清拭料を使ったりして、体を拭くことによって清潔保持を行う方法を言います。介護現場においては、入浴できない要介護者や、入浴予定日に体調が優れない場合などに清拭が行われています。

日本人としては本来は湯船に浸かって入浴したり、シャワーを浴びたりしてベトベトした汗や皮脂汚れなどを洗い流すことができたほうが理想ではありますが、全身状態などを考慮して清拭でも一定の衛生保持が行えることから取り入れられています。

体力や安静の度合に応じて、手と足など体の一部の清拭を行う「部分清拭」と、全身の清拭を行う「全身清拭」があり、利用者の希望や衛生管理などの目的などに沿ったサービスを行います。 

清拭の方法については「清拭の手順と注意点について解説」、「清拭の効果と目的・最適な温度とは?介護初心者のための豆知識」の記事で詳しく紹介しています。

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シャワー浴とは

シャワー浴とは、浴槽に入らずにシャワーだけを使って入浴する方法です。身体への負担が全身浴より軽減されるので、真っ直ぐに立つのが困難な方や、創傷(そうしょう)があり感染の懸念がある方、病気により浴槽内に入れない方が対象になります。創傷がある場合は傷口が濡れないように注意しなければなりません。

足浴とは

足浴とは

足浴(そくよく)とは、部分浴の一つで、全身浴やシャワー浴などの入浴をすることが難しい方を対象に足先からふくらはぎを温めたり、足先を洗う入浴法です。全身状態面の理由や、移動ができないなどの理由で入浴が困難な場合には、足浴などを行うケースもあります。

足浴の方法や手順、ポイントなどについて詳しくは「足浴の手順と注意点について解説」で解説しています。

入浴介助加算の算定要件

清拭・シャワー浴・足浴だけでも入浴介助加算を算定可能かの図

令和3年度(2021年度)の介護報酬改定では、旧来の入浴介助加算が(Ⅰ)に加え、利用者の浴室環境を踏まえた上で個別入浴計画を作成し、個別に入浴介助を実施する(Ⅱ)が新設されました。令和6年度(2024年度)の介護報酬改定では、単位数は変わらないものの算定要項の変更があり、入浴介助加算(Ⅰ)は入浴介助に関わる職員に対し、入浴介助に関する研修等を行うことが追加されています。(Ⅰ)(Ⅱ)の同時算定はできないので注意してください。

公益社団法人「全国老人福祉施設協議会」が発表した「令和4年4月『加算算定状況等調査』調査」によると、入浴介助加算(Ⅰ)を算定している事業所は93.1%、 入浴介助加算(Ⅱ)を算定している事業所は10.0%となっています。入浴介助加算(Ⅰ)に限っていえば、多くの事業所が算定していることがわかるでしょう。

入浴介助加算は入浴、シャワー浴は算定可能です。一方、足浴、清拭では算定不可となります。算定要件について詳しくは「入浴介助加算とは|算定要件・(Ⅰ)(Ⅱ)の違い・計画書の作成例」をご確認ください。

清拭だけを行った場合では算定できない

清拭だけを行った場合は入浴介助加算算定不可

デイサービスでは、入浴を行う通所介護計画をしていても当日の体調不良やご本人の希望などにより入浴を実施しないケースもあります。デイサービスでは、入浴の可否についてバイタルチェック時の血圧や脈拍などの基準値を設けて、その値に合致しない場合には入浴中止としているケースが多いです。

また、最終的な判断は看護職員が行なっているケースもあります。全く入浴や清潔保持の支援ができなかった場合もあれば、シャワーや清拭を行う場合もあります。

その場合に「清拭だけ」行なった場合には、入浴介助加算は算定できないという解釈が一般的になっています

入浴介助加算(Ⅰ)は、入浴中の利用者の観察を含む介助を行う場合について算定されるものである(大臣基準告示第14号の3)が、この場合の「観察」とは、自立生活支援のための見守り的援助のことであり、利用者の自立支援や日常生活動作能力などの向上のために、極力利用者自身の力で入浴し、必要に応じて介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを行うことにより、結果として、身体に直接接触する介助を行わなかった場合についても、加算の対象となるものであること。なお、この場合の入浴には、利用者の自立生活を支援する上で最適と考えられる入浴手法が、部分浴(シャワー浴含む)等である場合は、これを含むものとする。
入浴介助加算(Ⅰ)について

引用:「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第9号)

現実的には突発的に体調不良が起きた時などにはご家族等に連絡・相談の上、衛生保持の目的を果たすために、加算の算定ができなくても清拭を行っているケースもあります。加算の算定要件としては上記のような形ですが、ご利用者やご家族のニーズやお気持ちに合わせて柔軟性が求められる部分です。

足浴だけを行った場合では算定できない

足浴だけを行った場合は入浴介助加算算定不可

デイサービスでは、入浴を行う通所介護計画をしていても当日の体調不良やご本人の希望などにより入浴を実施しないケースで、足浴のみ行うというケースもあります。足浴のみを実施した場合には、部分浴であり入浴介助加算の算定要件を満たせていません。

デイサービスを利用する方の中には足の冷えや糖尿病など、足浴が必要で通所介護で行えないかとご家族やケアマネージャーから打診があることもあります。この場合、足浴をサービスとして提供することはできますが、足浴の提供のみでは入浴介助加算の算定はできないため注意しましょう。

シャワー浴のみの場合は算定できる

シャワー浴のみの場合は入浴介助加算算定可能

入浴の計画をしていたが、血圧や体調などの問題で湯船に浸かるのは避けるということもデイの現場としてはありえます。

自立生活の支援や見守り的援助としての観察を行うことで、シャワー浴は「一般浴として取り扱うことが可能とされています。シャワー浴の場合にはその理由などを記録して入浴介助加算を算定しましょう

算定の判断基準を把握し、適切な入浴サービス提供を

デイサービスの入浴介助加算の算定基準の判断について紹介しました。

入浴はデイサービスでも高いニーズの提供内容であり、算定基準については一定の線引きがあります。特にデイサービスの請求に係る方は清拭・シャワー浴・足浴などの入浴や衛生保持のサービス提供で入浴介助加算の算定ができるか把握しておきましょう。

入浴介助の注意点と方法については「入浴介助の目的・洗い方の手順 8つの注意点」の記事で詳しく紹介していますので、こちらもご覧ください。

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この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

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