介護事業所の管理者向けChatGPT活用術:業務改善を成功させる方法

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更新日:2024/05/07

介護事業所は、高齢化社会の進展に伴ってますます重要な役割を担うことになります。しかし、質の高いサービス提供と効率的な業務運営は、人材不足などの問題もあり課題が多くなっています。そこで介護事業所の管理者の皆さんに活用してほしいのが彗星の如く現れた、ChatGPTという自然言語処理AIです。ChatGPTは、自然言語生成AIとして、テキストを生成する能力を持ち、適切に活用することで、様々な業務課題に対する解決策を提供できる可能性があります。今回は、有限会社リハビリの風にて施設部門の管理責任者として勤務する阿部洋輔さんに経営者・管理者向けChatGPTの活用方法や、そのメリット、デメリット、導入の注意点について解説してもらいました。  

1. ChatGPTの基本理解

 ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIが開発した人工知能プログラム。その名前が示す通り、「Chat」はおしゃべり、「GPT」は「Generative Pre-trained Transformer」の略で、大量の文章を学習して自然な文章を生成する能力を持っています。具体的には、ChatGPTは文章のパターンや文脈を理解し、人間のように自然な対話をすることが可能です。

基本的な機能と仕組み

ChatGPTの基本的な機能は、テキストデータの処理と生成です。テキストデータを入力すると、AIはその文脈や意味を理解して適切な返答を生成します。この機能は、カスタマーサポートの自動応答や情報提供など、様々な場面で活用されています。

ChatGPTの仕組みは、深層学習と呼ばれる技術を用いています。大量の文章データを学習し、その中からパターンやルールを学び取ることで、質問に適切に回答する能力を身につけています。

ChatGPTの特徴は、柔軟な対話能力です。あたかも人間と会話しているかのような体験を提供し、ユーザーの質問や要望に対して適切な回答を返します。これにより、カスタマーサポート、情報提供、教育支援など、さまざまな領域で活用されています。

2. 業務改善への具体的なChat GPT活用方法

ChatGPTを介護事業所の業務改善に活用する方法は多岐にわたります。

以下に例を挙げてみます。

 文書作成
ChatGPTを利用して、定型の書類や報告書を効率的に生成することが可能です。これにより、時間のかかる文書作成作業を削減し、スタッフは直接的な介護業務や利用者さんの対応など重要な仕事に専念できるようになります。

文章の専門的な仕上げ
スタッフが書いた文章をChatGPTに添削してもらうことで、より専門的で適切な表現に変えることができます。これにより、効率的に高品質に仕上げられた文章を作成可能です。

デイサービスのレクリエーションのアイデア出し
ChatGPTを活用して、デイサービスのレクリエーションアクティビティのアイデアを得ることができます。車椅子利用者が多いなどの情報を入れれば、よりカスタマイズされたアイデアがもらえるでしょう。

デイサービスの集団体操のアイデア出し
ChatGPT を使って、利用者のための集団体操のアイデアを考えることが可能です。時間配分や内容を細かく指定すると、よりカスタマイズされた集団体操のアイデアが出てきます。

会議のアジェンダ作成
ChatGPTは会議や戦略の場でアイデアを提供するのに役立ちます。新しい視点やアプローチを示すことで、業務プロセスの改善に貢献できるでしょう。

活用方法は大きく分けて「聞く」と「頼む」の2つがあります。

「聞く」には、アドバイス、専門知識、アイデア、ITサポート

「頼む」には、文章作成、資料作成、プログラムコード

などがありますので、これらを参考に他の業務も担ってもらうことも可能です。

4.ChatGPT導入のメリットとデメリット

メリット①業務量削減

ChatGPTを活用することで、定型業務や繰り返しの業務を自動化できます。これによりスタッフの負担が軽減され、時間とエネルギーをより重要な業務に集中できるようになります。

メリット②人材の効果的な活用

ChatGPTがルーチン業務を担当することで、スタッフはよりクリエイティブで専門的な業務に注力できます。スタッフの能力を最大限に発揮する環境が整います。

デメリット①個人情報の取り扱い

ChatGPTには、個人情報を含むデータを入力しないようにしましょう。特に、名前や住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を入力することは避けるべきです。日本ディープラーニング協会による『生成AIの利用ガイドライン』(第1版、2023年5月公開版)を参考にしてみるのも良いでしょう。

デメリット②情報の正確性を確認する

ChatGPTが生成する情報は、学習データから生成されたものであり、全てが正確ではありません。例えば介護業界の情報であれば、厚生労働省のデータを確認したり、出力された情報の正確性を確認することも重要です。

5. まとめと今後の展望

ChatGPTの導入は、介護事業所の業務改善に大きな可能性をもたらします。効率化とサービス向上を両立させるために、ぜひ導入を検討してみてください。技術の進化を見逃さず、ChatGPTを活用して介護サービスの質の向上とスタッフの働きやすさを実現しましょう。今までChatGPTを使ったことがなかった方も、今回のコラムをきっかけにまずは試しに使ってみることから始めてみてください。

10年後にはChatGPTが使える介護事業所の管理者が標準になる時代が来るかもしれません。介護業界の仕事はなくなりませんが、個人個人に求められてくる仕事の要求水準が高くなる可能性があります。部下の力をうまく発揮させて成果を出す管理者のように、AIの力もうまく活用して成果を出す管理者に近づいていきましょう!

ChatGPTの具体的な使用例

ChatGPTの登録方法

ログインURL:https://openai.com/blog/chatgpt

登録方法

①ChatGPTの公式サイトにアクセス

②メールアドレス認証

③氏名・誕生日の登録

④電話番号の認証

具体的な質問文とその回答例をご紹介します。

(私)

# 命令書: あなたは{プロの機能訓練指導員}です。 

以下の制約条件をもとに{最高の体操プログラム}を出力してください。 

# 制約条件: 

・所要時間は15分程度 

・利用者さんは20名 

・座位で行う 

・なるべく全身を使う 

・ケガのリスクは最小限に 

・細かい運動方法や目的も出力 

# 出力文:

(ChatGPT)

以下は、所要時間15分程度で行う、座位で行う全身を使った体操プログラムの提案です。このプログラムは20名の利用者さんに向けて、ケガのリスクを最小限にしながら全身の活性化を促すことを目的としています。

最高の体操プログラム: 全身活性化座位体操

目的:

この体操プログラムの目的は、座位で行うことでケガのリスクを軽減しながら、全身の筋肉を活性化し、血流を促進することです。また、姿勢の改善やストレッチも含まれており、身体全体の調整をサポートします。

プログラム:

1. 首と肩のほぐし (2分)

首をゆっくりと左右に傾けるストレッチを交互に行う (20秒ずつ)

肩を前後に回す動作をゆっくりと行う (20秒)

2. 背中と腰のストレッチ (3分)

背中を伸ばすために、座ったまま上体を後ろに倒してストレッチ (30秒)

左右の腰を交互に倒して、腰回りのストレッチを行う (30秒ずつ)

3. 脚と足首の活性化 (4分)

膝を軽く曲げた状態で、足首をくるくる回す動作を行う (30秒ずつ)

両足を前に伸ばして、つま先を伸ばすストレッチ (30秒)

膝を曲げた状態で、脚を内側に引いて股関節を開くストレッチを行う (30秒ずつ)

4. 腹部と胸部の活性化 (3分)

腹筋を軽く締めるように意識しながら、ゆっくりと深呼吸を行う (1分)

胸を張りながら、座ったままで肩甲骨を寄せるように意識した動作を行う (1分)

5. 全身のリラックスと締めくくり (3分)

深呼吸を続けながら、全身の緊張をほぐすようにリラックスする (1分)

最後に、ゆっくりと手を前に伸ばしてストレッチを行い、プログラムを締めくくる (1分)

注意事項:

利用者さんに無理な負荷がかからないよう、各動作はゆっくりと行うよう指導すること。

姿勢に気を付けて行うことで、ケガのリスクを最小限に抑える。

利用者さんの体調や柔軟性に合わせて、適切な強度で行うようアドバイスすること。

このプログラムは座位で行うことを前提としつつ、全身の筋肉をバランスよく使い、リラックスも取り入れつつ体を活性化するものです。必要に応じて、利用者さんのフィードバックや体調に合わせて微調整を行いながら、効果的な体操プログラムとして活用していただければ幸いです。
原文:https://chat.openai.com/share/bd148eaa-102e-4b1c-9326-7f9122127d14

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この記事の著者

有限会社リハビリの風・施設部門管理責任者  阿部 洋輔

理学療法士、保健医療学修士。弟に脳性麻痺の障害があったことがきっかけで医療介護業界へ入る。一般病院、訪問リハビリ、デイサービスなどでの勤務を経て、現在は有限会社リハビリの風で施設部門の管理責任者として勤務。介護業界歴は10年以上で、運営している「介護業界で働く、理学療法士のブログ」にて施設のマネジャーやリーダー、介護が必要な家族を持つ方に向けて情報を発信している。

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