介護現場のIT化のメリット|改善可能な業務・導入手順・課題とは

運営ノウハウ

ICT活用

更新日:2024/05/08

 介護現場ではさまざまな業務負荷を軽減するため、IT化が進められています。この記事では介護現場にIT機器を導入することのメリットや導入手順、課題や注意点などを詳しく解説しています。これから導入を考えている方はぜひ参考にしてください。  

介護現場のIT化が推進される理由とは

介護現場でIT化が推進される主な理由は、「人手不足の深刻化」にあります。

生産年齢人口の急速な減少により、あらゆる業界で人材の確保が難しくなりました。介護職は業務内容がハードなこともあり、もともと離職率が高い傾向があります。また、高齢者数が増え、介護需要が増加したことも人手不足の一因と考えられるでしょう。

そのため介護業務を効率化して、人手不足に対応する必要性が高まっているのです。

介護現場をIT化することで、介護業務が全体的に効率化することが期待できます。

IT・ICT・IOTの違い

「IT」「ICT」「IOT」の3つの用語の意味は、それぞれ以下のとおりです。

IT:コンピューターとインターネットを駆使する技術

ICT:インターネットを活用したコミュニケーション技術

IoT:さまざまなモノをインターネットに接続する技術

IT・ICT・IoTはいずれもよく使われる言葉ですが、上記のようにほとんど同じものを意味します。介護業界でよく使われる「介護IT化」は、介護現場にIT技術を導入することです。

なお 、 本記事では現場に導入する機器を「ICT機器」、機器導入で業務改善を図ることを「IT化」と呼んでいます。次章からこのことを頭に置きながら読み進めてください。

介護現場をIT化するメリットとは

介護現場をIT化することで、介護事業所やスタッフはさまざまなメリットを得られます。

出典:令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ(厚生労働省)

本章では以下の3つのポイントに焦点を当てて、介護現場のIT化のメリットについて解説します。

・業務を効率化できる

・介護サービスの質が向上する

・スムーズな業務連携ができる

業務を効率化ができる

介護現場をIT化することで、介護業務を効率化して、介護スタッフの負担を軽減できます。例えば、手書きによる介護記録の作成は長時間労働の要因のひとつになっていますが、IT化による効率化がやりやすい部分です。デジタル端末上で介護記録などを作成できるので、ペーパーレス化することも可能になるでしょう。

介護サービスの質が向上する

IT化によりスタッフの業務負荷が軽減することで、空いた時間をほかの業務に使えるようになります。利用者一人ひとりに向き合う時間をより多く確保できれば、きめ細やかな介護サービスを提供できるでしょう。介護サービスの品質向上は、介護事業所のイメージや収益の向上にもつながります。

スムーズな業務連携ができる

IT技術を活用することで、スタッフ同士でスムーズな業務連携ができるようになります。利用者や介護記録などの情報をシステム内で一元管理し、デジタル端末で情報にアクセスできるためです。多業種で同じデータが見られるので、業務連携がしやすくなります。

介護現場でIT化できる業務

介護現場でIT化できる業務として、以下の3つのものが挙げられます。

・LIFEへのデータ提出

・利用者の記録

・見守りと身体状況管理

LIFEへのデータ提出

「LIFE(科学的介護情報システム)」へのデータ提出は、介護現場で特にICT化しやすい部分です。適切なタイミングで必要なデータを送信できるようになるので便利です。

なお「Rehab Cloud(リハブクラウド)」を利用することで、LIFEへの提出・書類作成業務などトータルで業務効率化が図れます。詳細はこちらをご覧ください

利用者の記録

利用者の記録の作成・管理もIT化できます。PCだけではなく、タブレットなどのモバイル端末でもデータの作成と管理ができるので、効率化とスムーズな情報共有が可能です。必要なときに適切なデータを取得できることも、介護現場のIT化の大きな魅力です。

見守りと身体状況管理

利用者の見守りや身体状況の管理も、IT化が可能です。例えば、見守りシステムや寝起きセンサーを活用すると、離れた場所から利用者の身体状況を把握できます。介護スタッフが何度も巡回する必要がなくなるので、業務負荷の軽減にも役立ちます。

介護現場のIT化の課題とデメリット

介護現場のIT化の課題とデメリットとして、以下の3つが挙げられます。

・予算が足りない

・IT化の知識が足りていない

・スタッフ教育がやりづらい

予算が足りない

介護現場のIT化でよくある課題が「予算不足」です。IT化にあたってはシステムの導入が必要なので、相応のコストがかかります。しかし、介護施設の予算がIT化のために割かれていないこともあり、介護現場のIT化が進まない要因となっています。

IT化の知識が足りていない

前述したIT化のメリットを得るためには、適切なシステムの導入が必要です。しかし、「どの機器を導入すべきかわからない」「使い方がわからない」など、IT化の知識が十分でないケースは珍しくありません。

スタッフ教育がやりづらい

介護現場をIT化するためには、システムやICT機器などを使いこなす必要があります。しかし、高齢なスタッフがいる場合などは「理解が得られない」「教育しづらい」といった課題が生じます。また、通常業務で手一杯で教育する時間がないことも、要因の一つとして考えられそうです。

ICT機器を導入する際の手順・注意点

ICT機器を導入する際は、以下の3つの手順・注意点を意識しましょう。

・課題整理とICT機器の選択

・ICT機器の導入とスタッフ教育

・IT補助金の活用

課題整理とICT機器の選択

ICT機器の導入時は、自社の課題に合わせたICT機器の選択が重要です。そのため、まずは現状の課題整理から始めて、何が必要なのかを見極めましょう。

ICT機器の導入とスタッフ教育

ICT機器を導入したあとは、業務フローにICT機器を定着させることや、スタッフ教育を行うなどして活用することが大切です。マニュアルの作成や研修などを事前に行っておくといいでしょう。

IT補助金の活用

介護現場のIT化・ICT機器の導入にはコストがかかります。しかし「IT補助金」を活用することで、コスト負担を軽減することが可能です。IT補助金については、以下の記事をご参照ください。

介護現場におけるICT機器の導入事例

介護現場にICT機器を導入した通所介護事業所の事例について、以下の3例をご紹介します。

・有限会社ケアオフィス様

・社会福祉法人 元気村様

・株式会社ハビリスケア様

有限会社ケアオフィス様

2004年に開業された宮城県富谷市の有限会社ケアオフィス「デイサービスけあふる」は、定員数35名の地域密着型の通所介護事業所です。日常生活動作の維持向上を重視し個別機能訓練に取り組んでおられます。エクセルでの計画書、モニタリング報告書作成などに苦労しておられ、特に抜け漏れや管理に課題があったそうです。打開策として書類作成業務の効率化が可能な「Rehab Cloud(リハブクラウド)」を導入しました。

書類管理が一括できるようになったことで職員同士の連携もスムーズになり、アラート機能による記入項目の抜け漏れや更新忘れを防げるようになったことで、業務効率化を実現しました。担当者は「もうエクセルでの作業には戻れません」と語っておられます。

▶︎導入事例:脱エクセル!書類の一括管理でスタッフ共有がスムーズに

社会福祉法人 元気村様

1995年に開設された社会福祉法人元気村「栗橋翔裕園デイサービスセンター」は、定員数35名の通所介護事業所です。地域に根ざした事業所で、栗橋エリア近隣の方々を中心に利用されています。LIFEの提出内容や提出方法が複雑なため、業務の増加や属人化などの課題があったそうです。その打開策として、LIFE提出の効率化が可能な「Rehab Cloud(リハブクラウド)」を導入しました。

LIFE提出をIT化することにより、LIFE関連の作業時間が半分になり、相当の業務効率化が実現できました。リハビリ職員からも、「作成・管理がわかりやすくなった」と好評のようです。

▶︎導入事例:LIFE提出作業を脱属人化!「驚くほど簡単に引き継げた」

株式会社ハビリスケア様

和歌山県海南市の「株式会社ハビリスケア」は、リハビリ特化型の通所介護事業所を運営しています。定員数は半日コース20名・1日コース25名で、歩行困難な方や介護度の高い方でも無理なく介護リハビリが受けられることが特徴です。しかし、計画書作成が長時間化して、職員の負担が非常に大きいという課題があったそうです。その打開策として、短時間で計画書が作成できる「Rehab Cloud(リハブクラウド)」を導入しました。

Rehab Cloudの導入により、残業時間を従来の5分の1に削減できました。職員の業務負担が減ったことで、利用者とより向き合えるようになりました。さらに、介護スタッフの機能訓練に対する意識や、ケアマネからの評価が変化したこともポイントです。

▶︎導入事例:残業時間が従来の5分の1に削減。仕事が楽しくなった。

介護現場のIT化で業務効率化を実現しよう

介護現場のIT化により、業務効率化に加えて介護サービスの品質向上も期待できます。ICT機器の導入により、LIFEへのデータ提出や利用者の記録作成など、さまざまな業務をデジタル化・効率化することが可能です。

ただし、予算不足やIT関連の知識不足などの課題もあります。コストに関しては、補助金や助成金を活用することで負担を軽減できますので、今回ご紹介したポイントを活用して、介護現場をIT化して業務効率化を実現しましょう。

なお、介護ソフトを選定・導入する際は、厚生労働省が提供している以下の資料をぜひご活用ください。

参照:介護ソフトを選定・導入する際のポイント集

Rehab Cloudに待望の「レセプト」が新登場

リハビリ・LIFE加算支援の決定版「リハプラン」と記録、請求業務がスムーズにつながり、今までにない、ほんとうの一元管理を実現します。

日々お仕事をするなかで、「介護ソフトと紙やExcelで同じ情報を何度も転記している」「介護ソフトの操作が難しく、業務が属人化している」「自立支援や科学的介護に取り組みたいが余裕がない」といったことはありませんか?

科学的介護ソフト「Rehab Cloud(リハブクラウド) 」』なら、そういった状況を変えることができます!

ぜひ、これまでの介護ソフトとの違いをご覧頂ければと思います。



リハブクラウドでは、デイサービスの方向けに無料のメールマガジンを配信しております。日々のお仕事に役立つ情報や研修会のお知らせなどを配信します。ぜひメルマガ購読フォームよりご登録ください。

この記事の著者

Rehab Cloud編集部   

記事内容については、理学療法士や作業療法士といった専門職や、デイサービスでの勤務経験がある管理職や機能訓練指導員など専門的な知識のあるメンバーが最終確認をして公開しております。

関連記事